土木学会論文集
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2004 巻, 775 号
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  • 吉田 保衡, 弓本 桂也, 鵜野 伊津志
    2004 年 2004 巻 775 号 p. 1-10
    発行日: 2004/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    領域気象モデルRAMSを用いて九州地域を対象に二重ネスティング法による通年計算を行った. 計算結果は風速, 気温, 降水量を九州地域の気象官署の観測データと比較し再現性を確認し, 計算結果による風速頻度分布はレイリー分布と非常に良い一致を示した. 典型的な風力発電機を設置仮定して発電量などを見積もった. 風力発電能は季節風の影響が強い冬季で高い値を示し, 特に離島, 日本海や東シナ海に沿った海岸地域そして阿蘇などの山岳地域は年間平均風速が強く, 発電取得量が高いことが明らかになった. レイリー分布を用いた発電取得量は一時間間隔の計算結果を時間積算することによって算定した発電取得量より過小評価を示した.
  • 池永 均, 向山 公人, 大島 伸介, 吉本 健太郎, 山田 正
    2004 年 2004 巻 775 号 p. 11-27
    発行日: 2004/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らが10年以上観測している網走湖の青潮発生の原因を明らかにする目的で準三次元モデルを用いて数値解析を行った. 界面変動特性の解明には風応力を強制外力項とする水面と界面変動量に関する連成振動に似た一次元の基本式を誘導し, これにもとづいた解析を行った. その結果, 慣性力 (波動) の効果により従来の定常解に比べ界面上昇量は7割程度大きくなる. 解析結果と実測値を比較すると, この非定常解析は定常解に比べ強風時における界面変動の過渡応答挙動を定量的に捉え得ることがわかった. さらに多層レベルモデルを用いた解析により上層水深と平均風速から青潮発生条件を推定するダイヤグラムを作成し, 既往の青潮発生時の条件と比較した.
  • 池永 均, 吉本 健太郎, 山田 正
    2004 年 2004 巻 775 号 p. 29-43
    発行日: 2004/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は網走湖とそれを含む流域内の水循環の長期的, 短期的挙動を知る目的で1992年以降, 約30回以上におよぶ現地観測と数値計算を用いた水理, 水文学的観点からの総合調査の成果である. 網走湖の塩水と淡水の境界の位置に決定的な影響を及ぼすのは洪水時の流入水による下層塩水の上層への押し上げ, 引出しと, 強風時に現れる青潮現象である. 融雪出水が中層密度流の形態で塩淡境界面に沿って湖内に流入する様子を超音波により可視化することにも成功した. また湖内塩分の吐き出しには, 洪水流入に伴う下層塩水の吸い上げや連行による短期的な機構と恒常的な連行により湖外へ流出する長期的な吐き出し機構の2つがあることがわかった.
  • 原田 英治, 細田 尚, 後藤 仁志
    2004 年 2004 巻 775 号 p. 45-54
    発行日: 2004/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水質および生態系を考慮して, 自然石を積上げて構成される捨石堰が, コンクリート製の堰に代わって注目されつつあるが, 捨石堰の設計の際に重要となるその崩壊機構については, 十分な検討が成されているとは言い難い. 捨石堰の崩壊過程では, 捨石間 (固相-固相) および捨石と水流間 (固相-液相) の相互作用が主に現象を支配しているため, 本稿では, 固相に対しては, 捨石間の相互作用の記述が可能な粒状体モデル (個別要素法) を用いて記述し, さらに, Euler-Lagrange カップリングによって固液相間の相互作用をも含めた固液混相流モデルを構築し, 捨石堰の破壊機構を検討する. さらに, 水理実験も併せて実施し数値計算の検証をした.
  • 梅田 信, 宮崎 貴紅子, 富岡 誠司
    2004 年 2004 巻 775 号 p. 55-68
    発行日: 2004/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    曝気式循環施設によって生じる水理的な環境変化を把握するための現地観測を実施した. 主要な観測項目は, 次の3点である. (1) ADCPを取り付けた観測船の曳航による流動空間分布の計測, (2) 曝気の比較的近傍に設置したADCPによる長期間 (約1ヶ月) に渡る流速分布の計測, (3) 多水深に取り付けた自記式水温計による水温成層の形成・破壊に関する計測. この結果, 従来観測事例の無かったイントリュージョンについて把握することができた. イントリュージョンの挙動は, 水面での連行のため, 貯水池表層水温の変動に大きく影響されることが分かった. また複数の曝気による流量が重ね合わせられたため, イントリュージョンによる湖水流動量は, 曝気によって直接連行され上昇する流量より数倍大きかった.
  • 光永 臣秀, 平石 哲也, 宇都宮 好博, 三浦 房紀, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 775 号 p. 69-80
    発行日: 2004/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1999年の台風18号は山口県の周防灘沿岸に甚大な高潮被害を及ぼした. 山口県ではこれを契機に護岸高の設計基準の見直しを行なった. この中で, 過去に山口県に大きな被害を及ぼした台風を対象に, 進行コース, 気圧深度, 潮位偏差の観測結果から統計的評価および沿岸部の地形や土地利用などの地域特性を含めた検討を行い, 山口県の高潮防災の基準となるモデル台風としてT9918号を選定した. そして, これを基に周防灘における新たな防護基準を定めた. この結果, 設計潮位については最大90cmの嵩上げが必要との結論を得た. 本論文は, 筆者らが行ったこの検討の内容についてまとめたものである.
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