土木学会論文集
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2004 巻 , 777 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 1-13
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橋梁などの一般的な土木構造物と異なり, 地中深くに建設されるトンネルは, 事前調査の全線にわたる調査精度保持の困難さや地盤そのものの不確実性により, 地山条件の工学的な推定による設計に基づき施工が行われている. それにも関わらず, 事前設計や施工中の修正設計に対する柔軟性が発注者により異なるために, 施工現場においてしばしば問題が発生する. 一方, 施工技術者の経験や安全性確保に関する考え方や切羽観察による地山評価や現場計測結果に対する考え方にも相違が見られるため, 問題を複雑化させている. 本論文は, 山岳工法により建設されるトンネルを対象として, 事前調査・設計の現状を概括し, 今後の合理的な調査・設計のあり方について著者の基本的な考え方を述べる.
  • 伊藤 哲男, 馬場 弘二, 城間 博通, 吉武 勇, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 15-21
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, トンネル覆工からのコンクリート片剥落の危険性評価の指標つくりを終局的な目標とするものである. その一環となる基礎的研究として, 供用中の山岳道路トンネルにおいて生じたひび割れ部に着目し, そのボーリングコアを用いて, ひび割れ界面における一面せん断試験を実施した. また, ひび割れ部の凹凸度やひび割れ界面に生じる支圧力を求め, せん断応力との相関性を求めた. その結果, 実際に生じたひび割れ部のせん断強度は, 1~3N/mm2程度であることが分かった.
  • 室 達朗, 高橋 伸定, 本田 恭邦
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 23-35
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    厚さ45cmにまき出したまさ土地盤に対する鉛直加振型履帯式車両の振動周波数による締固め効果を評価するために, 車両総重量4.9kNと最大加振力との載荷比を0.2~2.0とし, 振動周波数5~35Hzにおいて大型土槽を用いた模型実験を実施した. その結果, 締固め効果を最大ならしめる最適振動周波数は, 転圧回数を重ねるほど大きな値となり, 載荷比1.0, 振動転圧回数1~10回において10.2±2.7Hzであることが判明した. さらに, 車両総重量47.0kNの実機においては, 例えば, 振動周波数16Hzでは, 厚さ90cmのまき出し厚さ, 載荷比2.0に対する締固め度は, 深層部においても90%以上達成可能であることが予測された.
  • 山村 賢輔, 清宮 理
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 37-51
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    既設構造物でも現行の耐震基準を満足する必要があるが, 地下構造物の壁はせん断耐力が不足している場合が多い, 耐震補強方法として様々な手法が挙げられるが, 地下構造物では建物や橋脚と異なり, 施工性や経済性の観点から, 耐震補強工事がなかなか進まないのが現状である. そこで「鉄筋差込」による簡易なせん断補強方法を提案する, この方法は壁の厚さ方向にドリルで削孔し異形鉄筋を挿入して定着させ, スターラップの事前配置と同様の耐荷機構を得ることを目的としている, この有効性を検証するため, 静的単調載荷試験と静的正負交番載荷試験を実施したところ, スターラップと比較して8割以上のせん断補強効果が得られた. この方法を実開削トンネル擁壁部に適用した事例と問題点について述べる.
  • 高橋 浩一, 松本 伸, 大河内 保彦, 龍岡 文夫
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 53-58
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    りんかい線大井町駅部は, 用地上の制約から, シールドトンネルのセグメントの一部を撤去し, 隣接する立坑間を地中開削し, 接合して構築した. この際下部シールドトンネルが, 水圧300kN/m2を超える東京礫層に位置するため, 止水対策が最重要視された. 工期上の制限から, 薬液注入工法を採用し, 注入を1次, 2次, 補足注入の三段階とし万全を図るとともに, 注入効果を比抵抗トモグラフィ等で確認した. 確認試験結果は注入の良好性を示し, 補足注入も1次注入の1/10以下であった. さらに, 漏水のリスク低減のためのディープウェルを計画し, 三次元浸透流解析で事前検討を行なった. その結果, 大きな漏水もなく, ウェルの水位低下量, 地表面沈下等も予測と矛盾のない範囲で安全な施工が達成された.
  • 増田 良一, 朝野 英一, 雨宮 清, 茂呂 吉司, 小菅 一弘, 小峯 秀雄
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 59-72
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物の地層処分において廃棄物周辺に設置されるベントナイト系緩衝材の施工技術の開発は, 人工バリアとしての緩衝材の性能を左右する重要な技術課題である, 筆者らは, 緩衝材の施工方法のひとつである内型枠方式の原位置締固め工法について, 実際の処分孔と同寸法のコンクリートピットおよび遠隔操作を前提に設計された施工システムを模擬した締固め装置を用い, 実規模での緩衝材の締固め試験を実施した. その結果, 内型枠方式の原位置締固め工法により要求される仕様・品質の緩衝材の施工が可能であること並びに一連の施工作業において機械構造的な問題が生じないことを確認し, 本施工方法で実規模の緩衝材施工に対応できる見通しを得ることができた.
  • 石橋 忠良, 清水 満, 渡邊 明之, 森山 智明, 栗栖 基彰, 山口 昭
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 73-82
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    既設の鉄道や道路下を横断交差する構造物の構築法として, 鋼製エレメントを特殊な噛み合わせ継手でつなぎ合わせて構造物を構築する工法を開発した, 本研究は, 開発した工法の主要部材である噛み合わせ継手を対象としたものである. この噛み合わせ継手の力学特性を明らかにするために, 静的引張試験を行い, その結果から引張特性の定量的評価を試みた. さらに, 疲労試験を行い, 疲労破壊性状およびS-N曲線を示した.
  • 高橋 浩, 進士 正人, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 83-96
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大変形の発生が想定される押出し性地山でのトンネル建設において, トンネル技術者は個々の経験に基づき地山を評価し, 考えられる大変形の発生要因に対して, 支保構造や掘削工法などを経験的に取捨選択しているのが実情と思われる. 支保構造や掘削工法による変位抑制効果については, 数値解析的手法などによる幾つかの提案は散見されるものの, 押出し性地山での支保構造や施工方法などの具体的な適用基準や選定基準は明確でなく, 結果として難工事を強いられる場合が少なくない. 本論文は, 公表されている押出し性地山のトンネル施工事例をできる限り収集・整理することで体系化を図り, 事前の地質情報からトンネル施工時の地山の押出し性を判断・評価する基準および施工方法の設計方針を提案するものである.
  • 川崎 俊次, 中村 俊一, 大野 克紀
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 97-107
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    歩行者により生じたM吊橋の水平振動を計測した結果, 歩行者の分布状況により桁は逆対称水平3次モード (固有振動数0.88Hz) または対称水平4次モード (固有振動数1.02Hz) で振動し, 最大応答振幅は約45mmに達していた. 桁と歩行者の水平変位は正弦波形を示し, 歩行者は桁の水平変位に同調していることが確認された. 歩行者の位相は, 桁の位相より120°から160°進んでおり, 歩行者の水平力は桁応答振幅を増大させる起振力となっていた. 常時微動計測により, 桁固有振動数が0.6Hz以下では歩行者と桁の共振は生じないことが明確となった. 橋の質量および減衰定数が小さいほど桁の応答変位は大きくなること, 桁振幅が45mm程度 (速度250mm/s, 加速度1,350mm/s2) になると自然に歩行することは困難であることを見出した.
  • 室 達朗, 土屋 清, 河野 幸一
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 109-124
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 多段式トンネル掘進機のディスクカッタビットが岩石材料の2自由面を有するエッジ部分を一定の貫入深さで切削する場合の定常掘削特性について, 実験的に明らかにすることである. ここでは, 4種類の岩石試料を用いて, 種々の切り込み幅, 1回転当たりの貫入深さに対する3種類の刃物角を有するディスクカッタビットに作用する接線方向力, 横方向力, 垂直力および岩屑の体積を計測した. その結果, 安山岩において, 切り込み幅/1回転当たりの貫入深さが52.7回転において, 刃物角π/4radのディスクカッタビットの仕事量を岩屑の体積で除した比エネルギーが最小値0.036kNcm/cm3を示すことが明らかとなった. また, 岩石材料の端面掘削方式が平面掘削方式の22倍も効率が良いことが判明した.
  • 中村 秀明, 白倉 篤志, 宮本 文穂
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 125-138
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造物の診断を行える専門技術者の不足が懸念されている. 本研究は, 構造物の診断に携わる専門技術者の思考過程をあいまい階層構造モデルとしてモデル化することにより, 日常点検程度の情報で専門技術者と同等な評価・判定が行える「コンクリート構造物維持管理支援システム」の実用化を行ったものである. このシステムは, 損傷要因間の関連性をFSM (Fuzzy Structural Modeling) 法を用いて階層化し, 最終的な耐用性の診断にファジィ集合論を適用している. 本研究では, 実構造物に本システムを適用することにより, 階層構造モデルの効率的な作成方法やその留意点について明らかにするとともに, 診断を行う際の確信度や影響度の設定方法, さらには, 対策工の提案 (選定) 方法について明らかにした.
  • 松本 直司, 近久 博志, 加藤 毅, 勝崎 香奈
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 139-147
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 地下空間を魅力的にするための空間概念として「期待感」を導入し, 連続する地下空間が途中で広がって拡大した場合に於ける(1)期待感を感じる位置, (2)期待感強さと物的条件の関係, を明確化することを目的とする. そのため, 地下空間での現地調査を行い期待感が最も強くなる位置の存在を確認し, VTR映像を用いた期待感評価実験を行った. その結果, 期待感最大位置とその位置での期待感強さ, および位置と強さを決定する空間要因を抽出した. さらに, 空間ボリューム変化を示すCGモデル映像実験を行い, 空間拡大時の期待感最大位置が断面不可視領域率により決定されることを明確化し, 期待感最大位置とその位置における期待感最大強さについて予測式を求めた.
  • 夏川 亨介, 春日 光昭, 岡田 英克, 蜂須賀 義文, 和久 昭正, 松井 繁之
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 149-159
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近接施工に伴う既存構造物の鉛直変位の測定には, 水の水平面保持特性を利用した水管式水盛沈下計が一般的に利用される. 水管式水盛沈下計の計測精度は, 原理的には0.1mm程度の水面変動を測定することが可能であるといわれる. しかし, 長期間にわたる屋外環境下では, 主として温度変化に伴う水の物理的変化などにより, 測定精度が低下することが指摘されている. 筆者らは, この水管式水盛沈下計の有する課題を解決する方法として, 水面を測定システム全長にわたり大気圧下に解放する開水路式沈下計の研究開発に取り組んだ. 本研究開発では, まず開水路式沈下計の測定精度の安定性について, 水管式水盛沈下計との理論的比較検討を行った. つぎにこの検討結果を室内試験により検証し, 開水路式沈下計の有効性を確認した.
  • 嶋田 善多, 矢吹 信喜, 坂田 智己
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 161-173
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土木設備を長期にわたり健全かつ経済的に維持管理していくためには, 日常の巡視点検が重要である. しかし, 点検技術は知識や経験といった人に依存する部分が大きく, 計測, 健全度評価, 意思決定, 修繕といった維持管理の下流側の高度化された技術と比較すると, 乖離し取り残されている感がある. 従って, 経年増加する膨大な量のデータを管理しながら, 点検員の技術を継承し, 点検を維持管理に統合化したシステムを開発する必要がある. さらにシステムは長期使用継続に耐え得るものでなければならないという点も考慮し, ICタグを利用して点検支援システムを開発した. 本論では, 維持管理体系における巡視点検の課題と解決方法を論じ, それを踏まえた点検支援システムの構築及び導入検証結果について述べる.
  • 大津 宏康, 尾ノ井 芳樹, 大西 有三, 足立 純
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 175-186
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, PFI建設プロジェクトの総合的なリスク評価を行うため, 操業段階で想定される長期市場リスクおよび需要変動リスク等と同等に, トンネルおよび地下空洞を構築する地下工事を対象とし, 地盤リスク要因に起因する建設コスト変動特性を総合的に評価する手法を提案する. 具体的には, 操業段階のリスク評価が, 平均変動量周りの変動特性を表わす指標 (以下ボラティリティと称す) により実施されることから, 筆者らがこれまでに提案してきた, 地盤統計学を用いたリスク評価手法に加えて, 新たに金融工学分野で用いられるリスクカーブの概念を用い, 地盤条件に起因する建設コストのボラティリティを評価する手法を示す, さらに, 実際の建設プロジェクトを対象としたボラティリティの算定結果を示す.
  • 木村 修一, 近藤 博, 本間 重雄
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 187-192
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ロードセルで圧縮荷重を測定する場合は, 剛で平らな場所に設置するように言われている, しかし, 剛の明確な基準が定められていない. 本研究は, 円筒受管形のロードセルを参考にした供試ロードセルを, 静的に剛な場所と動的に剛な場所で打撃試験を行い, 設置場所のインピーダンスがロードセルの出力値に与える影響について調べた. さらに, インピーダンス法を適用したシミュレーションでこのような問題の検討の可能性について調べたものである, この結果, ロードセルの出力値は設置場所のインピーダンスの影響を大きく受けることを示すともに, このメカニズムをインピーダンス法で検討できることを明らかにした.
  • 上村 正人, 梨本 裕, 椙山 孝司, 青木 宏一, 進士 正人, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 193-198
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来, 離隔距離1m程度の山岳トンネル工法による都市部の近接トンネルにおいては, 中央導坑を掘削し, 両トンネル間にセンターピラーを構築するめがねトンネルが適用されてきたが, 工期・工事費などで利点の多い無導坑方式めがねトンネルも机上検討の対象となっていた. しかし, 施工実績が無いために, 作用荷重や挙動など未解明な点が多く, 長い間採用されることはなかった. そのような中, 筆者らは下到津トンネルにおいて, めがねトンネルと2種類の無導坑方式めがねトンネルの掘削を試みることができた. これら3種類の施工法はそれぞれ長所・短所もある. 本ノートでは, 支保工の応力計測結果から, 施工法による作用荷重などの違いを比較して, 3種類の施工法の特徴を明らかにし, 工法選定の際の参考資料を提供する.
  • 寺内 伸, 谷口 裕史, 喜多 達夫, 割田 巳好, 吉武 勇, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 199-204
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    切削即時充填式プレライニング工法 (New PLS工法) に用いる特殊急硬性コンクリートは, 施工方法から要求される性能を満足させるため, 3種類の特殊混和材を使用することとなり, 一般的な都市NATMなどに比べて材料コストが高い割合を占める. New PLS工法の適用範囲拡大には, これらのコンクリートに要する材料コストを低減することが課題であった. 本研究では, 特に特殊急硬性コングリートのコストに着目し, これまでの各種試験および実施工より得られた知見をもとにコストの最適化検討を行った.
  • 地下水制御が地盤環境に及ぼす影響評価に関する調査
    2004 年 2004 巻 777 号 p. 205-214
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地下水制御による液状化危険度の低減に伴う地震災害リスクについて, 大阪市域を対象に経済的視点から評価した. 民力をもとにした被害額推定の結果, 現水位における直技接被害総額は, 直下型地震の場合で9.6兆円, 海洋型地震の場合でその約30%の25兆円であるのに対し, 地下水制御を行うことで, 直接被害総額は地下水位低下量に対応して順次減少し, 3mの水位低下では, 直下型地震で約6.7兆円, 海洋型地震では約2.4兆円となることが明らかとなった. すなわち, 直下型で約2.9兆円, 海洋型で約1,000億円の被害低減効果が期待でき, 直下型地震および海洋型地震による地震災害リスク軽減対策の一手法としての地下水制御の有意性を示した.
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