土木学会論文集
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2005 巻, 798 号
VI-68
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[招待論文]
  • ―真空圧を利用した地盤改良の原理とその適用―
    今井 五郎
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_1-798_16
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    1960年代に「大気圧工法」と銘打ってわが国に導入された「真空圧密工法」は, その後の積極的な実用化努力にも拘らず, 実用工法として広く受け容れられないままに終わり, '80年代は空白の期間であった. ところが'90年代に入ってから中国やフランスで実用化が達成され, 施工実績が急増し始めた. 日本もその例に漏れず, 現在では土木学会年次学術講演会や地盤工学研究発表会で「真空圧密」のセッションが設けられるほどの研究対象までになっている. このように一時の休眠期間を経た後で再評価された地盤改良工法はめずらしい. そのような特異な経緯を辿った背景と理由があるはずである. それらを明確にし, 地盤改良工法としての「真空圧密工法」をさらに発展させようというのが, 本論文の目的である.
    いずれの地盤改良工法にもその目的を達成するための「原理」及びそれを具現化するための「手段」がある. そしてそれら総体としての工法にそれ特有の「特徴」が自ずと備わる. これらのすべてを「真空圧密工法」について論じ尽くせれば言うことは無いのだが, この論文では「原理」を中心に据えた議論を展開する. 「原理」に対する理解不足が, 当時の地盤内減圧技術の未熟さと相俟って, 上述した「真空圧密工法」の休眠期間を生んだと考えるからである.
[投稿論文]
和文報告
  • 飯村 正一
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_17-798_30
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    地盤沈下などが曲管を含んだ管路に作用すると, 最大応力はしばしば直管部ではなく曲管部に発生する. そこで曲管に外力が作用したときに発生する断面変形から応力を診断する方法が実用的な方法か否かについて検討した. Roadabaugh-Georgeの理論を応用し, 外径変化量と曲げモーメントの関係を導き, ある扁平量が発生したときの発生応力を推定し, その結果を実験から得られた代表的な3種類の曲管の応力分布と比較した. その結果, ノギスで測ることのできる精度程度の扁平量でも, 実用的には十分な精度で応力推定が可能であることが確かめられた.
  • 熊谷 和夫, 高橋 秀喜, 青山 實伸
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_31-798_39
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    北陸地方の高速道路の橋梁には, 供用後30年を越えるものもあり損傷が進行している部位がある. 特に橋梁けた端部のコンクリート部材は, 凍結防止剤を含む路面水の伸縮装置周辺部からの漏水に伴う塩分浸透による塩害損傷が多く見られる. 橋梁によっては鉄筋腐食が進行し断面欠損を生じているものもあり, 計画的な補修の実施が求められている. 本研究では, 過去の橋梁の点検データを分析して損傷発生形態や, 損傷の多い橋梁けた端部のコンクリート部材の損傷 (剥離・鉄筋露出) の発生要因を明らかにした. さらに, 橋梁けた端部の損傷の劣化推移経過に関する分析を行ない, 補修計画策定に必要とする部材に着目した現状の損傷からの劣化の進行を予測するための劣化推移曲線を作成した.
  • 樋野 和俊, 小林 良太, 松尾 栄治, 浜田 純夫
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_41-798_49
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    細骨材をフライアッシュに全量置換した転圧コンクリートについて, 筆者らはこれまでに配合設計方法の提案や疲労性状などを明らかにしてきた. このコンクリートの実用化を目指すためには, 舗装路面の表面性状や現場試験施工による施工性および強度発現などの確認が必要である. 本研究では, コンクリート舗装の管理項目である表面性状の確認試験や寒冷地を想定したラベリング試験を実施し, このコンクリートが耐久性に優れる点を明らかにした. また, 実機による現場施工により物性確認を行ったのでその報告をする.
和文論文
  • 氏家 勲, 大野 浩二
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_51-798_61
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物の建設工事において, コンクリート打設後の早期材齢における強度を適切に把握することは, 型枠・支保工の取り外し時期の決定など施工の工程管理の点から非常に重要である. 本研究は早期材齢での圧縮強度を精度良く推定することを目的として, これまでにコンクリートの強度推定方法に用いられている積算温度とアレニウス式による等価材齢および4種類の圧縮強度の成長曲線を取り上げて, それらの適用性を本研究で実施した3水準の一定温度で養生されたコンクリートの強度試験結果を用いて検討した. そして, 本研究で提案した強度推定式の有用性を温度管理されていない条件下のレディーミクストコンクリートの圧縮強度を推定することにより検討した.
  • 橋本 徹, 寺田 彰, 森田 浩二, 前川 功, 片川 秀基
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_63-798_74
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    新第三紀岩盤地盤の大規模鉛直掘削工事で掘削壁面地山の変形挙動を再検討し, 次の事柄が判明した.
    (1) 掘削壁面地山の変形特性は水平方向と鉛直方向, 除荷時と載荷時とで異なる.
    (2) 親杭工の軸力発生量の把握には, 壁面地山の変形特性による軸力発生分を考慮する必要がある.
    (3) 最終的なリバウンド量の把握には, PS検層の弾性係数 (剛性率) が利用できる可能性がある.
    (4) 逆解析で得られた水平方向除荷時の弾性係数は岩盤変形試験結果の除荷過程で定義する弾性係数に近い.
  • 本荘 〓司, 井手上 文雄, 上東 泰, 谷口 秀明, 丸屋 剛, 宮川 豊章
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_75-798_88
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    内部塩分と凍結防止剤によって劣化したRC中空床版橋の床版下面に対し, 設計耐用年数100年を想定した断面修復の検討を行った結果, 主筋背後30mm以上のはつりとかぶり55mm以上の大断面の修復が必要となった. しかし, 現状でははつりの性能や断面修復材の充てん性, 耐久性等が明らかでない. 実橋模擬試験体を用いた実験の結果, 密な配筋箇所に対しても, 適切な補助はつりを行えば, ウォータージェットによるはつりが適用可能であることや, 吹付け工法を用いれば, はつり部分への充てん性が確保できることが判明した. 一方, 充てんされたモルタルの品質には, 施工・環境条件が大きく影響することが明らかとなり, 設計時の設定, 品質管理および初期点検では施工環境要因の影響を考慮することの重要性を述べた.
  • 稲葉 尚文, 冨田 芳男, 紫桃 孝一郎, 鈴木 博之, 岡本 陽介
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_89-798_99
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, GFRPをリブ十字溶接継手に貼付することにより, 疲労き裂の発生を予防する工法について検討を行ったものである. 荷重非伝達型十字溶接継手にGFRPを貼付し疲労試験を行った結果, 溶接継手部にGFRPを貼付することにより, 疲労寿命が改善されることが明らかとなった. さらに, 有限要素法による解析を行うことにより, GFRPが荷重を負担することおよびプライマーが溶接ビード形状を改善することにより, 溶接止端の応力集中低減に効果をもたらすことが示された.
  • 笹田 俊治, 江崎 哲郎, 三谷 泰浩, 田代 幸英, 粟津 善文, 大久保 秀男
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_101-798_111
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    アスファルト表面遮水壁工について我が国では確立した技術基準がないため, 一般的に先行地点の実績を踏まえた施工管理がなされており, 施工管理基準の具体的な設定根拠は必ずしも明らかとされていない. 本稿では, 我が国初となる通年施工での遮水壁舗設を考慮し, 室内試験及び試験施工の結果に基づき体系的に策定した施工管理基準の基本的内容を示した. この主な成果として, 遮水層の施工温度は品質を最終的に左右する二次転圧終了温度に着目して基準化を図ったこと, 外気温や施工箇所等に応じたアスファルト量の柔軟な調整を可能にしたこと等が挙げられ, 実証試験結果に基づく合理的な施工管理基準の策定を達成した.
  • 齋藤 隆
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_113-798_124
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    21世紀に入った我が国では「建設」という社会にドラスチックな「変化」が期待され, 特に公共工事システムにおける真の改革の達成および新たな総合建設企業のあり方が強く求められているといえる. 本研究は, 建設における構造改革が必要不可欠であるとの認識に基づき, 『受注者責任』を明らかとし, その結果に基づいて日本および諸外国の公共工事システムを比較検証することにより, 『我が国の公共工事が, 関係者間に対等性のある新システムで執行される為の改革方策を提言すること』を目的とした.
  • 青木 一也, 山本 浩司, 津田 尚胤, 小林 潔司
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_125-798_136
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 土木施設の劣化状態を複数の離散的な健全度指標で表現するとともに, 劣化の進展速度が初期時刻からの経過年数に依存するような時間依存的劣化予測モデルを提案する. 具体的には, 健全度間の推移確率をワイブルハザードモデルで表現する. その上で, 複数健全度に跨る継続的な劣化プロセスを, ワイブルハザード関数の合成により表現した多段階ワイブル劣化ハザードモデルを提案する. さらに, 目視点検により獲得できるデータを用いて, 多段階ワイブルハザード関数を推計する方法論を提案する. さらに, 本研究で提案した多段階ワイブルハザードモデルを, 現実の道路付帯施設の劣化データベースに基づいて推計し, 劣化予測モデルの再現精度を実証的に検討する.
  • 西川 和良, 鈴木 明彦, 田中 正樹, 三上 博, 近藤 二郎, 川相 章
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_137-798_155
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    分割型PC推進管は, 内径3000mmを超える推進工法に適用する新しい推進管である. 曲線推進を行う際には, 管径の拡大に応じて, 施工可能な曲線半径や推進管の長さ, 許容推進力等の検討が求められる. また, 推進管の円周方向に2箇所の継手を有する構造的特徴により, 施工時における円周方向継手の挙動や作用荷重の把握が, 継手に十分な安全性を確保するうえで重要となる.
    本研究では, これまでの規格を超える大口径推進管に対し, 日本下水道協会の指針に準じた曲線推進の適合性を検証した. また, 模型推進管を用いたS字曲線推進実験による既往研究結果と併せて, 曲線推進に対する包括的な評価を試みた結果, 実施工に対する有用な知見が得られた.
  • 蟹江 俊仁, 赤川 敏, 三上 隆, 佐藤 太裕, 金 高義
    2005 年 2005 巻 798 号 p. 798_157-798_166
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    永久凍土と非永久凍土が混在する地域に埋設された冷却ガスパイプラインは, 地表面での温度変化や冷却ガスの冷熱等により凍結融解作用を受けるため, 周辺地盤と複雑な相互作用を発生し, 予期せぬ沈下や上昇による被害が生じている. こうした問題を解決するため, アラスカの凍土地域において実物大のパイプラインを使った実験的研究が行われており, 極めて顕著なパイプラインの変状が観測されている. 本研究は, このような地域に埋設されるパイプラインの計画・設計において必要とされる挙動評価技術の確立を目的に, 実物大実験で得られたデータをもとにして, その挙動変化を見るとともに, 凍土とパイプラインの相互作用の評価方法について考えるものである.
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