土木学会論文集
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2005 巻, 799 号
III-72
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[投稿論文]
和文論文
  • 西垣 誠, 今井 紀和, 小松 満, 長井 いづみ
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_1-799_12
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    広域の3次元的な地盤沈下を予測できる簡易な解析手法を開発した. 本手法は, 地下水浸透流解析から得られる間隙水圧の変化を有効応力の増分に置き換えて沈下量を算定する手法である. また, 沈下対象層のe-logP曲線に基づき, 1次元変形条件の下で比貯留係数を有効応力と間隙比の関数で表すことによって, 地盤が過圧密状態から正規圧密状態へと変化する圧密過程を精度良く表現できる. 本手法により, Terzaghiの1次元の理論解析結果及び室内における圧密試験結果を精度よく追従できた. そして, 実際の地盤への適用例として3つの問題を想定し, 本手法の応用例を示した.
  • 福島 伸二, 北島 明, 谷 茂
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_13-799_24
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    著者らは, これまでにため池を対象に貯水容量低下や水質悪化の原因となる池内に堆積した底泥土を固化処理して, そのため池の堤体改修用の築堤土として活用し, 堤体改修と底泥土の除去処分を同時に達成できる砕・転圧盛土工法を開発してきた. この工法は池近傍で所要の強度と遮水性を有する築堤土を入手できない場合でも経済的な堤体改修を可能にしたものである. 本論文は, この工法をため池より規模の大きいフィルダムの堤体改修への適用を想定し, 堤体の安定性評価に必要となる固化処理した底泥土からなる築堤土 (砕・転圧土) の三軸圧縮試験を実施し, 強度パラメータに及ぼす圧密拘束圧と底泥土の粒度の影響を調べた結果を報告する.
  • 菊本 統, 岸田 潔, 木村 亮, 田村 武
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_25-799_36
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    離隔のない双設トンネルを掘削する際の地山の力学挙動を検討するため, 土被りやトンネルの掘削過程を変化させて2次元降下床実験を実施した. 実験結果より, 双設トンネルには単一トンネルよりも大きな土圧が作用すること, 特に後続トンネルの掘削に伴い先行トンネルにはほぼ全土被り圧が作用することを確認した. これらの実験結果を基に, 双設トンネルに作用する土圧の算定手法を提案し, 実験値と比較することでその適用性を検証した. その結果, 提案手法は先行および後続トンネルに作用する土圧を精度良く算定することが可能となった.
  • 野田 利弘, 田代 むつみ, 高稲 敏浩, 浅岡 顕
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_37-799_49
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    パイルドラフトを弾性体とし, 飽和自然堆積地盤を水~土2相系の弾塑性体として, 両者の相互作用を考慮した3次元有限変形解析を実施し, 荷重伝達メカニズムに着目しながら, 基礎形式 (杭長・杭配置)・ラフト剛性・上載荷重が, 沈下量低減と杭の荷重分担率に及ぼす影響を調べた. 杭が長い場合ほど高拘束で低圧縮性の地盤深部に荷重が伝達され, また杭が外側に均等配置された場合ほど地盤から受ける杭の摩擦抵抗が大きくなるため沈下抑制により効果的であるが, 杭の荷重分担率が大きくなる. 逆にラフトへの荷重分担を期待する場合は, ラフトのたわみ (不同沈下量) が同時に大きくなるため注意を要する. また, 杭先端部周辺土では構造の乱れに伴いせん断ひずみが局所的に発生する場合があることも示した.
  • 野並 賢, 加藤 正司, 吉村 優治, 前田 健一, 山本 修一
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_51-799_63
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    粒子形状が粒状材料の力学的挙動に与える影響を調べるために, 同じ物理特性をもつ円粒子を結合して作成した粒子を用いて, 粒子形状の異なる二次元粒状材料の二軸圧縮試験のシミュレーションを行った. そして, 凹凸係数FUに着目して圧縮特性, 内部摩擦角, ダイレイタンシー特性について検討を加えた. 構成粒子は同じ物理特性を持つにもかかわらず, 上に述べた変形・強度特性は粒子形状に依存する傾向を示した. しかし, 最大圧縮点で定義されるせん断摩擦係数は, 粒子形状に依存しない傾向を示した.
  • 田村 武, 吉塚 守, 田中 義晴
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_65-799_74
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 岩盤に付着する吹付けコンクリートが, キーブロックによる局所荷重を受けたとき, どのようなメカニズムで破壊するかを数値解析的に考察したものである. 吹付けコンクリートの厚さと強度, 付着層の強度をパラメーターにとり, 種々のケースに分けて検討した. その結果, 吹付けコンクリートの岩盤に対する付着力が大きいと比較的大きな荷重で局所的なせん断破壊をするが, 付着力が小さい場合には, 長い区間にわたる付着部の剥離が破壊のトリガーとなり小さな荷重で曲げ破壊や剥離破壊が発生する可能性を明らかにした. また曲げや剥離破壊モードを避けて, 破壊強度の大きいせん断破壊モードにするような設計法やその力学的な理解について詳しく論じた.
  • 松長 剛, 熊坂 博夫, 小島 芳之, 朝倉 俊弘
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_75-799_88
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    我が国のトンネルでは, グリーンタフ, 片岩類, 風化・変質岩等の軟質な地質において覆工に地圧が発生することが少なくない. 特に, トンネルの断面形状や覆工構造が地質条件に適応できずに設計・施工が行われる場合には, 供用後に変形やひび割れ等の変状が生じることがある. また, 地圧による変状対策では, トンネル周辺の地山性状を正確に把握することが困難なため, 過去の類似事例を参考に専門技術者の経験に基づく判断で対処しているのが現状である. このようなトンネルの維持管理に関する実情を鑑み, 筆者らは経時的な変状の進行を踏まえた対策工選定の定量化に向けて検討を行っている. 本論文では, 実トンネルの長期計測結果をシミュレーションするため, 周辺地山の強度劣化でモデル化することで, 長期にわたるトンネルの変形を表現し, その変形が覆工に及ぼす影響を評価した.
  • 有泉 毅, 金子 俊輔, 塩冶 幸男, 山崎 剛, 日下部 治
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_89-799_108
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    既設シールドトンネル周辺の現地地盤調査結果に基づいて, 遠心模型実験で想定したトンネルの変状原因, すなわちトンネル周辺地盤の圧密の進行によって, トンネルの長期荷重変化が発生することの妥当性について確認した. また, シールドトンネルに働く長期荷重状態を定量的に設定するために, 圧密に伴う長期荷重変化挙動を実証した遠心模型実験結果について土/水連成解析によるフィッティングを試み, その解析手法の妥当性を確認した. さらに, この土/水連成解析を用いて, 土被り等の各種条件に関するパラメータスタディを行い, シールドトンネルに働く長期荷重への影響度合いについて考察した.
  • 八谷 誠, 東田 淳, 徳増 健, 高塚 義則, 佐野 洋平
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_109-799_122
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    地盤が不同沈下する時の管路の土圧と変形挙動を調べた遠心場の降下床実験の結果に基づいて, 継手の無い長尺管路の軸方向挙動を合理的に予測する実用設計法を提案した. 提案設計法は, 沈下地盤側で管路の上半分に集中する鉛直土圧を放物線形分布荷重として弾性床上の梁に作用させ, 荷重が働く範囲を収束計算によって決定する力学モデルを採用することにより, 遠心実験で判明した不同沈下量の増大に伴う管路挙動の非線形変化と地盤条件の違いの影響を良好に近似できる. 提案設計法が妥当性と現行設計法に対して優位性を有することは, 遠心実験との照合および同一条件に対する計算例の比較によって確認した.
  • ―圧縮空気貯蔵実験結果に基づいて―
    末永 弘, 中川 加明一郎
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_123-799_137
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    岩盤の水封機能を実証するために, 岩盤内の空洞で行った圧縮空気貯蔵実験で得られたデータを用いて, 水封メカニズムに関する検討を行った. この結果, 水封には空洞内圧と周辺地下水圧との関係から (a) 漏気しない状態, (b) 水・空気の界面が移動する状態が存在し, (b) の状態では空気の相対浸透率が0に近いために漏気が生じにくいこと, (b) の状態よりも高い空洞内圧になると空気の流路が形成されることが推定された. また周辺岩盤における飽和・不飽和状態での空気・水の相対浸透率をそれぞれ計算し, これらを用いて両者の関係をよく表現する相対浸透率モデルを提案した.
和文報告
  • 田上 裕, 落合 英俊, 安田 進, 前田 良刀, 安福 規之, 藤原 常男
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_139-799_151
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    新北九州空港が建設されている空港島で, 圧密度50%以下の超軟弱な未圧密粘土地盤上に計画高さ3~5mの道路盛土を構築するにあたり, 沈下・安定対策にサンドドレーンで地盤改良を行い, 盛土を立ち上げた. その際, 盛土により発生する増加応力Δp に未圧密分の過剰間隙水圧Δup0 を加えた荷重で圧密沈下量, 圧密による強度増加が推定可能であることを示し, この考え方を従来の軟弱地盤対策工指針などに導入して設計を行った. さらに, 動態観測結果をもとに設計方法の妥当性を検証した.
  • 深沢 健, 日下部 治
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_153-799_170
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    原位置試験としてのコーン貫入試験は, 有用な地盤情報が短時間に得られ試験方法も単純であるという利点を有している. しかし, 我が国における地盤の物理・力学特性を求めるための調査は不撹乱試料採取と室内試験が主流であり, その際コーン貫入試験が実務で使われることはほとんどないのが現状である. 本研究は, 粘性土地盤に対するコーン貫入試験の適用性・有効性を実証することを目的としている. 本報告では, 土質特性の異なる国内外26ケ所の地盤調査により得られた新たな実測データに基づき, 地域性・堆積環境の相違によるコーン係数の変化が小さいことおよびコーン貫入試験から得られる各種パラメータを用いて粘性土地盤の設計に用いる土質定数を概略的に推定するための関係式を示す.
  • 菊池 喜昭, 池上 正春, 山崎 浩之
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_171-799_182
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    港湾構造物の裏込めに用いられた高炉水砕スラグは硬化する傾向にあるため, 硬化することを前提とした施工をすることが考えられている. この場合, どのような過程を経て硬化するかという点を明らかにすることが必要となる. そこで, 高炉水砕スラグを岸壁の裏込めに用いた現場において, 施工後18ヶ月間にわたり, 地盤調査及び水質調査を行った. その結果, 硬化過程での高炉水砕スラグの強度は極めてばらつきが大きいが, マクロに見ることにより硬化領域が広がっていくと考えることが望ましいことがわかった. また, 18ヵ月後において70%程度の領域が硬化していたこと, 硬化領域は今後とも広がりそうなことがわかった. また, 硬化進展時の裏込めの地下水環境が明らかとなった.
  • 冨澤 幸一, 西川 純一
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_183-799_193
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤を深層混合処理工法により改良して複合地盤を形成し, この複合地盤強度を杭の水平抵抗に反映させる設計法を実用化した. この設計法では, 杭の水平抵抗の影響範囲, すなわち地盤改良の必要範囲を杭の特性長1/βの深さから受動土圧の作用勾配θ=(45°+φ/2) で立ち上げた領域とした. また, 杭の水平地盤反力は複合地盤の変形係数から導いた. 実際の複合地盤での杭水平載荷試験から, 設計通りの水平抵抗が得られることを確認し, 上記設定の妥当性を確認した. さらに, 複合地盤と原地盤の強度の違いが杭に及ぼす影響を静的および動的有限要素法により検討したが, いずれにおいても問題がなかった. この工法を実際の橋台基礎の設計に適用すると, 従来工法に較べて大きくコストが縮減されることがわかった.
和文ノート
  • 菊池 喜昭, 木村 淳治, 水谷 崇亮, 永留 健
    2005 年 2005 巻 799 号 p. 799_195-799_200
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 海水環境下で用いられる高炉水砕スラグが硬化する事例が多く見られることから高炉水砕スラグの硬化に及ぼす間隙水の影響について調べた. 特に, 海水下で硬化している現実を踏まえ, pHとCa2+の存在の有無による硬化の仕方の違いについて検討した. その結果, 間隙水が海水の場合には, pHが高くなくても高炉水砕スラグは硬化することがわかった. 一方で, 間隙水がNaOH溶液のようにpHが高いだけではすぐには硬化反応は始まらないことがわかった. このような結果の違いには間隙水中のカルシウムイオンの存在の影響が大きいと考えられる.
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