土木学会論文集
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2005 巻 , 803 号
II-73
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
[投稿論文]
和文論文
  • 佐山 敬洋, 立川 康人, 寶 馨
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_1-803_11
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    共変量クリギング型逐次ガウシアンシミュレーションを用いた地上雨量とレーダ雨量の合成法を提案する. これは, レーダ雨量の空間分布特性を保持しつつ地上雨量と定量的に整合性の取れた降雨場を生成する手法である. 生成する降雨場は推定の不確実性を加味しており, 複数の降雨場を生成して流出モデルに入力すれば, 降雨推定の不確実性に伴う流出予測の不確実性が分析できる. この手法を台風時の降雨イベントに適用し地上雨量で交差検証を行った結果, 現業で用いられているダイナミックウィンドウ法よりも降雨推定の誤差が小さいことがわかった.
  • 佐山 敬洋, 立川 康人, 寶 馨, 市川 温
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_13-803_27
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    淀川流域全域を対象としてダム群の流況制御過程を考慮した分布型の流出予測システムを開発した. 再現計算の結果, ダムが予備放流に続いて洪水調節に入る過程や, 他のダムの操作状況に応じて放流量を決定する連携操作の過程など, 洪水時の高度な流況制御の過程を定量的に再現できることを確認した. 開発した流出予測システムを用いてダム群治水効果の評価を行った結果, 1960年には年超過確率1/30の降雨で枚方地点の計画高水流量を超えるのに対し, ダム群の治水効果が期待できる2000年には1/100の降雨でそれを超過することがわかった. また, 高山ダムを例に, ダムが単体で機能する場合とダム群として機能する場合との治水効果を比較し, 後者の場合は前者の場合より規模の大きな降雨に対して治水効果を発揮することを明らかにした.
  • 朝位 孝二, 坪郷 浩一, 小松 利光
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_29-803_44
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    小松らが開発した6-point schemeは特性曲線法に基づく手法で1次精度であるが, 高精度で移流計算を行うことができる. 特にガウス分布などの極値の再現性に優れている. 一方, 様々な勾配の値を含む半楕円分布の再現性には改良の余地がある. 本論文では小松らの6-point schemeの誘導の概念に従い, 3次精度および4次精度の6-point schemeを提案する. これを特性曲線形式高次精度6-point schemeと呼ぶ. また数値振動の発生を抑制するuniversal limiterを導入するためにスキームを保存形式に修正した. これを保存形式高次精度6-point schemeと呼ぶ. さらに朝位らが開発した物理的に意味のある極値と数値振動を区別するアルゴリズム (discriminator) の修正を行い, 高精度かつ高解像度数値計算法を提案した.
  • 禰津 家久, 矢野 勝士, 光成 洋二
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_45-803_55
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    浸透性側壁を有するワンド流れにおいて, PIVによる瞬間流速計測およびLIFによる濃度変動計測を実験水路で行った. 実験条件として, 浸透流を4パターンに分けてワンド内部に流入させた. すなわち, (1) 上流壁から浸透させたケース, (2) 側壁から浸透させたケース, (3) 下流壁から浸透させたケースおよび (4) 上流壁・側壁・下流壁から同時に浸透させたケースである. その結果, ワンド内部で発生する大規模な循環渦の周辺では低濃度分布が確認された. 一方で, ワンド内部上流域の低速度領域で高濃度分布が確認された. さらに, ワンド周辺で発生する組織渦をウェーブレット解析で抽出し, 渦規模と物質輸送量との関連性を論及した. その結果, 組織渦の規模が大きくなるほど, 物質輸送量が増加することが明らかとなり, 定量的に評価することができた.
  • 吉田 圭介, 禰津 家久
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_57-803_67
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    水面上に風シアーが存在する開水路流れ場 (水・空気2層流) を対象として, 水路中央鉛直断面における水・空気流をレーザー流速計 (LDA) で2次元乱流計測を行い, 時間周波数解析法を用いて水層の組織乱流構造を実験的に検討した. また, 溶存酸素計を用いて水層の酸素濃度を計測し, 水・空気間の気体輸送速度を算定した. その結果, 風シアーが大きい場合に界面近傍では吹送せん断流に基づく乱流構造が存在することが示唆され, 風応力の増大とともに水層界面近傍で流速変動の高周波成分が卓越することがわかった. また, 水・空気間気体輸送は水流と空気の相対的な速度差に依存して変化し, 小規模渦モデルに支配されることが明らかとなった.
  • 山〓 裕介, 二瓶 泰雄
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_69-803_80
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    河川流計算で用いる水平座標系として, デカルト座標系や直交曲線座標系のような数値モデル上の簡便さを有しつつ, 一般座標系と同程度の計算精度を兼ね備えた簡易境界適合座標系 (水平σ座標系) を新たに提案した. この水平σ座標系とは, 鉛直座標系として気象・海洋計算に用いられる一種の境界適合座標系であるσ座標系を, 河川流計算における水平座標系に応用するものである. 水平σ座標系に基づく河川流モデルの基本的な有効性を調べるために, 本モデルを直線開水路流れや実河川流場へ適用し, 他の水平座標系と計算精度や計算負荷を比較・検討した. その結果, 水平σ座標系は一般座標系と比べて計算精度に大差なく, その上, デカルト座標系と同程度の低計算負荷を保つことが示された.
  • 鬼束 幸樹, 秋山 壽一郎, 常松 智博, 俣賀 円
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_81-803_89
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    横越流堰の越流量を予測するには, 流量係数を定量的に把握する必要がある. 流量係数のパラメータは, フルード数, 相対堰高, 相対堰長および相対水深の4つである. 既往の研究では, 同時に複数のパラメータを変化させた実験を行っているため, 得られた流量係数は複数のパラメータの影響を受けているにも関わらず少ないパラメータで定式化している. これは, 4つのパラメータを系統的に変化させることが困難だからである. 近年, 相対水深の影響が微少であることが実験的に解明された. 本研究では相対水深を一定とし, フルード数, 相対堰高および相対堰長の3つのパラメータを系統的に変化させて, 実験を行った. その結果, 4つ全てのパラメータを考慮した流量係数の定式化に成功した.
  • 前野 詩朗, 渡辺 敏, 藤塚 佳晃
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_91-803_104
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 比較的簡易に得られる植生情報を用いて, 実務レベルにおける平面二次元数値解析モデルの精度向上を図り, 今後の河川管理に役立てようとするものである. 既往の水理解析モデルが植生の影響を粗度で評価しているのに対して, 本研究では, 木本類に対して適用されている既往の植生抵抗モデルを草本類に適用し, 冠水を伴う植生の倒伏状況も考慮できるモデルを提案する. 具体的には, 植生密生度を高木林, 低木林, 竹林, 草本に区分して求め, 草本の抗力係数に対しては, 倒伏度合が直立, 1/2倒伏, 1/4倒伏で茎の断面抵抗が減少するものと考えてモデルの再構築を図った. その結果, 近年旭川で実際に経験した洪水における痕跡水位や流況と比較して, 本モデルの妥当性及び有用性が高まることが確認された.
  • 道奥 康治, 竹原 幸生, 江藤 剛治, 高橋 亮介, 南條 雅志
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_105-803_114
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    捨石・木材・異形ブロックなどで構築された透過型構造物の環境機能を評価するためには, 多孔体内部の流れや乱れが水質・生態系などにおよぼす影響を明らかにする必要がある. 本研究では, 屈折率整合技術を用いて透過型構造物の内部・周辺の流れを画像計測し, 流れと乱れの構造特性を検討した. PIVにより粒径や間隙配置などの多孔体構造が流れ・乱れにおよぼす影響, 「構造物間隙―周囲流体」間の質量・運動量交換特性などが明らかにされた. 本研究で得られた知見は, 流体力など構造設計に必要な情報であると同時に, 透過型構造物による曝気促進や礫間浄化能力, 生息空間としての間隙の役割など透過型構造物の自然環境機能を評価する上で有用である.
  • 二瓶 泰雄, 加藤 祐一, 佐藤 慶太
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_115-803_131
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    計算負荷を減らしつつ, 広域の河川区間に対する三次元流動計算を実現するために, 新しいモードスプリット法と並列化処理を組み込んだ計算効率性の高い三次元河川流モデルを開発した. 平面二次元計算と三次元計算を分割する, という従来のモードスプリット法に対して, 数値安定性を満足しつつ大幅に三次元計算の回数を減らし得る新たな手法を提案した. 本モデルの基本的な有効性を示すために, 非定常開水路流計算を実施し, 本モデルが良好な計算精度を保ちつつ, 計算時間を大幅に短縮することを示した. さらに, 本モデルを江戸川全区間の洪水流計算に適用した結果, 本モデルの計算時間は通常の三次元モデルの約1/250となり, また, 水位・流速・流量に関する計算結果と観測結果は概ね一致しており, 広域河川流計算に対する本モデルの適用性が示された.
  • 田島 芳満, Ole Secher MADSEN
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_133-803_144
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    本論文では, 砕波帯周辺で顕著な戻り流れ流速の鉛直分布を予測するモデルを構築する. 戻り流れの起因力となる波やSurface Rollerの空間分布は汎用性の高いエネルギー平衡方程式で算定する. これらの諸量を全水深および波谷の上方でそれぞれ鉛直方向に積分したReynolds運動方程式に導入し, 得られた二層の運動方程式から水底および波谷で作用する剪断応力を定義する. これらの剪断応力を鉛直方向に線形内挿し, 砕波による乱れを考慮した渦動粘性モデルと組み合わせて, 戻り流れ流速の鉛直方向分布を解析的に導く. 最後にモデルを様々な実験条件に適用し, モデルの妥当性を検証する. 二層の運動方程式に基づくモデルは, 計算負荷が比較的小さく, 不規則波や任意地形条件への適用性が高い点で特徴的である.
  • 栗山 善昭, 伊東 啓勝, 柳嶋 慎一
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_145-803_153
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    茨城県波崎海岸において15年間にわたり1日1回ほぼ毎日取得した沿岸流速データを解析した. 卓越沿岸流の方向は岸と沖で異なっており, 岸側では北向きの沿岸流が卓越したのに対して, 沖側では南向きの沿岸流が卓越した. この原因は, 北向きの沿岸流が生じた場合には, 波高が相対的に小さく, 北から及び南からの風が同じ頻度であったのに対して, 南向きの沿岸流が生じた場合には, 波高が大きく, 北からの風が卓越していたことにある. 前者では, 汀線近傍の狭い砕波帯内のみで北向き沿岸流が発達するのに対して, 後者では, 砕波帯幅が広く, 砕波帯外でも風による沿岸流が発達するため岸沖方向に一様に近い南向き沿岸流が形成される. 以上の流速分布が重なり, 卓越沿岸流の向きが岸と沖で異なった.
和文ノート
  • 二瓶 泰雄, 木水 啓
    2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_155-803_160
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
    河川横断面内にて離散的に観測された流速値から流速の横断分布や流量を精度良く算定するために, 現地観測と数値解析を併用して, 新たなデータ同化手法に基づく河川流速・流量推定法を提案した. ここでは, 水深平均流速の観測値を同化データとして取り込んでいる浅水流モデル (力学的内挿法) に基づいて数値シミュレーションを行い, 流体運動の力学条件を満足した形で横断方向に空間内挿された流速データを得る. この力学的内挿法の推定精度や有効性を調べるために, 江戸川洪水流を対象とした数値シミュレーションデータや現地観測結果に対して本手法を適用した結果, 本手法は, 単に流速データを空間内挿する方法 (単純内挿法) よりも精度良く流速分布や流量を推定していることが示された.
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