土木学会論文集A
Online ISSN : 1880-6023
ISSN-L : 1880-6023
62 巻, 1 号
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英文論文
和文論文
  • 阿部 忠, 木田 哲量, 星埜 正明, 加藤 清志, 徐 銘謙
    2006 年 62 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,RCはり・床版を用いて,走行一定荷重および走行振動荷重実験を行い,実験耐力および動的影響を評価した.その結果,走行振動荷重が作用した場合の最大耐力はRCはり・床版ともに走行一定荷重の場合の最大荷重と走行振動荷重の上限荷重とほぼ近似している.また,走行振動荷重による動的影響をたわみによる動的増幅率から得た実験衝撃係数で評価した.これによるとRCはりの場合は荷重振幅±10%,±20%,±30%でそれぞれ,0.237,0.372,0.487,RC床版の場合は±20%,±30%で0.382,0.485の衝撃係数となり,いずれも作用荷重振幅以上の衝撃係数となった.そこで,荷重振幅を関数とする動的影響係数を定義し,活荷重モーメント式を動的影響係数で割り増しすることで安全な設計が可能となる.
  • 玉田 和也, 小野 潔, 川村 暁人, 西村 宣男
    2006 年 62 巻 1 号 p. 14-28
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     開断面箱桁橋と一般的に称される鋼逆π形箱桁橋の架設時構造系におけるせん断耐荷力特性に関する実験的研究は今まで行われていない.そこで,本研究では実験桁による載荷実験を行い鋼逆π形箱桁橋のせん断耐荷力特性を明らかにした.また,傾斜腹板を有する鋼逆π形断面にBaslerのせん断耐荷力算定式を適用し,実験結果との比較によりその妥当性の確認を行った.さらに弾塑性有限変位解析プログラムによる実験の再現解析を行い,鋼逆π形箱桁橋のせん断耐荷力に関する数値解析による研究の基礎となる解析プログラムおよび解析条件の検証を行った.
  • 崔 宰栄
    2006 年 62 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,地震発生時の帰宅交通需要の発生特性を明らかにすることを目的とし,平成15年「宮城県沖の地震」(5月26日,月曜日,18時24分頃発生)を対象に,仙台市でパーソントリップ調査を行なった(有効分析サンプル1,239人).その結果,地震発生当日の帰宅交通需要は,9.7%のトリップが通行内容を変更し,鉄道交通を用いたトリップはあらゆる交通手段を,道路交通(乗用車,バス)のトリップは,主に徒歩を代替手段としていた.また,震災時の帰宅交通需要の時間変動は,本来の交通需要の「減少(収縮期)→増加(膨張期)→減少(収束期)」という一連の変動プロセスから生じており,「交通需要変動の3要素」(不動トリップ,遅れ浮動トリップ,早め浮動トリップ)によって形成されていたことがわかった.
  • 佐々木 保隆, 小山 明久, 山田 金喜, 長井 正嗣
    2006 年 62 巻 1 号 p. 41-52
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     合成2主桁橋では,中間横桁位置において垂直補剛材が首振り変形を拘束することから,鋼桁上フランジに配置されるずれ止め(一般に頭付スタッド)を介した床版と鋼桁間の大きな力のやり取りが予想されるが,十分に解明されていない状況にある.本研究では,実橋の長期経時計測及び載荷試験を行った結果に基づき,この部位でのスタッドの曲げ引抜き力を含めた応力性状の解明を行い,床版-鋼桁接合部におけるスタッドおよび垂直補剛材溶接部の疲労損傷の可能性が極めて低いことを明らかにする.また,これまで報告されている変状の原因を明らかにするとともに設計上の留意点を提示する.あわせて,この部位の挙動を解明するための3次元立体FE解析のためのモデル化の提案を行う.
  • 矢島 秀治, 内田 裕市, 六郷 恵哲, 北園 茂喜, 市川 篤司
    2006 年 62 巻 1 号 p. 53-67
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     SRC床版を有する鋼鉄道下路トラス橋は,床組高さを低減できる等の長所がある.その一方で,主構による床版の拘束など,床版の力学挙動が必ずしも明確になっていない面がある.そのため,筆者らは大型模型供試体を用いた載荷実験および乾燥収縮実験を実施し,それらの知見に基づき,実際にSRC床版を有する3径間連続鋼下路トラス橋を建設した.
     本研究は,上記トラス橋各部材の応力・ひずみ等を測定するとともに,床版のひび割れを考慮した解析により,下弦材,横桁,床版等の力学挙動を明らかにした.また,それらの結果をもとに,簡便かつ実務的な設計手法の提案を行った.
  • ――高架橋基礎周辺配置ケース――
    竹宮 宏和, 島袋 ホルへ
    2006 年 62 巻 1 号 p. 68-77
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,高架道路橋から発生する交通振動の沿線振動対策にハニカムWIBを導入することで低周波地盤振動を大幅に低減できることをコンピュータ・シミュレーションから例示したものである.まず走行車両により誘発される高架構造物の振動が,地盤では軟弱成層構造によって分散性波動伝播となって現れるメカニズムを明らかにした.つぎに構造物-地盤系の動的相互作用解析をFEMモデルにより行い,沿線地盤振動の予測法を示すと共に,減振工法としてハニカムセルWIBと,連続地中壁を適用した場合との減振効果の比較を試み,卓越する地盤振動に対して前者が10dB以上の振動低減効果を発揮する優位性を示した.
  • 石原 孟, 岡 新一, 藤野 陽三
    2006 年 62 巻 1 号 p. 78-90
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,一様流中に置かれた正方形角柱周りの空気力特性の迎角による変化をLESを用いて調べると共に,風洞実験の結果と比較してその予測精度を明らかにした.まず,平均空気力(抗力と揚力),平均圧力係数,流れのパターンについては,風洞実験の結果を精度よく再現した.そして,変動空気力(抗力と揚力)と変動圧力係数については解析領域のスパン方向の長さに強く依存し,定量的に評価するには長いスパン長が必要であることが分かった.また,ストローハル数の迎角による急な変化が再現され,実験結果との良い一致を得た.変動空気力のパワースペクトル密度については卓越周波数成分が実験結果とほぼ一致した.最後に,スパン長に依存しない空気力係数の推定法を提案し,数値解析の結果によりその有効性を検証した.
  • 高田 至郎, 山本 聡, 鍬田 泰子
    2006 年 62 巻 1 号 p. 91-100
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     ゴム支承や免震支承を用いた橋梁では,構造系が長周期化して桁の応答変位が増大する可能性がある.耐震設計あるいは免震設計によって橋梁の安全性が構造的に保たれたとしても,橋梁桁上を走行する利用者の安全は別途検討する余地がある.すなわち,構造物および利用者からの両視点での安全性の検討が必要である.そこで,本研究では地震発生時にゴム支承を有する高架橋を走行するドライバーの安全性を解析的に検討し,ドライバーの視点での橋梁の安全性向上のための対策法について提案した.
  • 判治 剛, 舘石 和雄, 南 邦明, 鬼頭 和也
    2006 年 62 巻 1 号 p. 101-109
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究では,極低サイクル疲労領域における溶接継手の低サイクル疲労強度を推定するための手法として,局部的なひずみを基準とする疲労強度評価手法に着目した.溶接継手の例として,T字溶接継手試験体を対象とした極低サイクル疲労試験を行った.一方,弾塑性有限要素解析により,溶接部周辺のひずみ分布を明らかにし,き裂発生点における局部的なひずみを求めた.局部的なひずみにより疲労試験結果を整理した結果,全ての試験データがき裂発生点である溶接金属部の疲労強度曲線と一致し,極低サイクル疲労領域においてもき裂発生点の局部的なひずみを用いることにより疲労強度を推定することが可能であることが明らかとなった.
  • 山口 敦, 石原 孟, 藤野 陽三
    2006 年 62 巻 1 号 p. 110-125
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究では数値流体解析に基づく風工学の手法と地域気象解析に基づく気象学の手法を融合することにより,現地観測によらない力学統計的局所化手法を提案し,青森県竜飛岬において観測データを用いて検証を行った.その結果,以下の結論を得た.津軽海峡では夏季に大気の成層により風の収束が起こり,竜飛岬付近では1年を通じて風速が高い.数値流体解析と標準実風況変換により,局所地形による風況の空間分布が再現され,竜飛ウィンドファームにおける年平均風速の平均予測誤差は7.6%であった.また空間的条件付ネスティング手法を用いた場合と比較すると,龍飛埼灯台の年平均風速の予測誤差は29.8%から4.6%に改善され,時間的条件付きネスティング手法を用いた場合と比較すると,月平均風速の予測誤差は19.3%から5.9%に改善された.
  • 東平 光生
    2006 年 62 巻 1 号 p. 132-142
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     波動解析のための領域型積分方程式は,媒質の揺らぎと遠方へ伝わる波動を直接的に結びつける数理的な利点を有するものの,媒質の揺らぎが大きく広がる場合には,離散化の過程で大規模な密行列を扱うことになり,数値解析手法として用いられることは少ない.この問題を解決するため,領域積分方程式を一旦波数領域に変換し,Haarのスケーリング関数を直交基底として離散化する方法を提示する.Fourier変換のユニタリ性により,Haarのスケーリング関数のFourier逆変換は再び空間領域で正規直交系を形成し,これに関わる積分演算を通して,積分方程式はスパースな行列に変換されることになる.本手法の妥当性を数値計算例で検証するとともに今後の課題についてまとめている.
  • 岡藤 孝史, 宇都宮 智昭, 渡邊 英一
    2006 年 62 巻 1 号 p. 143-152
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     水波Green関数法は,大型海洋構造物に対する波浪回折問題の解析における基本的ツールとして用いられてきているが,問題が超大規模になると,メッシュ数を N とする時,記憶容量および計算時間における O (N2) の特性からその適用が困難となる.既に浅水域においては,高速多重極法の導入が試みられ,記憶容量・計算時間における O (N) の特性を得ているが,深水域においては計算効率が低下する問題があった.
     そこで本研究では,無限水深における水波Green関数の多重極展開及び展開係数の変換式を導出し,それを用いて無限水深での超大型浮体構造物まわりの回折波の解析が可能な高速化Green関数法プログラムの開発をおこなった.
  • 池田 清宏, 藤澤 利光
    2006 年 62 巻 1 号 p. 153-160
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     構造系の座屈荷重の初期不整感度に関する研究により,ある特定のモードに対する初期不整感度を求める方法論が提案されている.一方,実構造系では無数の初期不整パターンが存在することが,その適用における問題点であった.本研究では,対称不整と反対称不整が異なる初期不整感度をもつことに着目し,対称と反対称とに分解した初期不整の個々の感度を求め,その感度を合成することにより,様々な初期不整による座屈荷重の低下特性を表すことができる,一般化初期不整感度則を提案する.ランダムに初期不整を与えた場合の,実際の座屈荷重と,一般化初期不整感度則による理論値とを比較することにより,一般化初期不整感度則の妥当性を検証する.
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