土木学会論文集A
Online ISSN : 1880-6023
ISSN-L : 1880-6023
62 巻, 3 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
英文論文
  • Yoshito ITOH, Haosheng GU, Kazuya SATOH, Yoshihisa YAMAMOTO
    2006 年 62 巻 3 号 p. 595-607
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
    In recent years, high damping rubber (HDR) bridge bearings have become widely used because of the excellent ability to provide high damping as well as flexibility. However, there are few systematic studies on the deterioration problems of HDRs during their service life, and usually the long-term performance was not considered in the design stage. In this research, through accelerated thermal oxidation tests on HDR blocks, the property variations inside the HDR bridge bearing are examined. A deterioration prediction model is developed to estimate the property profiles. Then using a constitutive model and carrying out FEM analysis, the behavior of a HDR bridge bearing during its lifespan is clarified. A design procedure is proposed that takes the long-term performance in the site environment into consideration.
  • Tongxiang AN, Osamu KIYOMIYA
    2006 年 62 巻 3 号 p. 623-642
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
    In this study, the oscillation behavior and the aseismicity of bridge piers with isolating foundations are investigated. An isolating foundation is formed by installing isolation materials such as sand, gravel and PTFE (Teflon sheet) between the footing and the pier foundation and mainly utilizes the relative displacements (sliding and rocking) between the footing and the foundation to absorb and dissipate energy during large-scale earthquakes. The governing equations of motion are derived and dynamic response analyses and model vibration tests on a single pier are carried out. The results show that this isolating system has a significant positive effect in decreasing responses during earthquakes.
和文論文
  • 萩澤 亘保, 大倉 一郎, 花崎 昌幸, 大西 弘志, 佐藤 正典
    2006 年 62 巻 3 号 p. 478-488
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,アルミニウム合金材の母材と摩擦撹拌接合部の疲労強度に腐食が与える影響を明らかにする.研究対象としたアルミニウム合金材はA6N01S-T5の押出形材である.この母材試験片と,摩擦撹拌接合部を有する摩擦撹拌接合材試験片を沖縄県で大気暴露し,暴露0.5年,1年および2年後の試験片の腐食形態を調べる.そして,腐食した試験片の疲労試験を実施し,腐食と疲労強度低下の関係を明らかにする.大気暴露による腐食は粒界腐食である.粒界腐食の深さ方向への侵食は1年以降進行しない.疲労亀裂は粒界腐食から発生する.大気暴露により,母材の疲労強度は元から72%まで,摩擦撹拌接合部の疲労強度は元から85%まで低下する.
  • 川谷 充郎, 何 興文, 白神 亮, 関 雅樹, 西山 誠治, 吉田 幸司
    2006 年 62 巻 3 号 p. 509-519
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     高速鉄道は都市間の旅客輸送の大役を担っており,今後も機能を維持向上することは元より,更なる周辺環境への配慮も必要と考えられる.そのためには,列車と高架橋との動的相互作用を考慮し,列車走行時の高架橋の振動特性を明らかにすることが肝要である.
     本研究では,平面2自由度と6自由度,さらに立体9自由度振動系列車モデルを提案し,列車と高架橋の連成を考慮した三次元動的応答解析手法を構築した.本手法を用いて高架橋の振動を再現し,実測値との比較検討よりその妥当性を確認した.さらに高架橋の振動特性を踏まえて同連成解析手法の応用例として,高架橋の振動軽減対策についても検討し,振動特性の改善効果を確認した.
  • 西藤 潤, 田村 武, 小林 俊一
    2006 年 62 巻 3 号 p. 520-530
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     本論文では剛塑性体の強度分布最適化問題を極限解析の立場から議論する.ここでいう強度分布最適化問題とは,所定の外荷重の下で構造物の塑性安定性を確保しつつ,構造物の強度分布を変化させ,コスト関数を強度分布に関して最小化する問題である.この最適化問題を記述するため,極限解析の静力学的な制約条件とコスト関数を組み合わせたラグランジュ関数を提案した.また,ラグランジュ双対理論により,その双対性と相補性条件を導出した.さらに主双対内点法に基づく数値解析法として,l2型障壁罰金関数を導入し,シフト付KKT条件を利用した定式化を具体的に示した.最後に,提案した数値解析法の有効性を確認するために,片持ちばりの強度分布最適化問題とc, φ=0材料のパンチングに関する強度分布最適化問題を取り上げ,その妥当性を確認した.
  • 鈴木 康夫, 山口 隆司, 熊野 拓志, 杉浦 邦征, 渡邊 英一
    2006 年 62 巻 3 号 p. 531-542
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,板幅方向にテーパ-を有する鋼製自由突出板の圧縮強度と変形能およびエネルギー吸収能を検討するため,テーパ-率,幅厚比パラメータを変化させたパラメトリック解析を行った.本研究で取り上げた自由突出板は,同一断面内で板厚を線形的に変化させており,支持辺部の板厚を厚くした凸型,支持辺部の板厚を薄くした凹型の2タイプのモデルに対して初期変形のみを考慮した弾塑性有限変位解析を行った.また,自由突出部の強度特性が影響するH形断面部材の曲げ挙動に対して,板幅方向テーパーによる効果についても併せて検討した.その結果,等厚の自由突出板と比べて,凸型の変厚自由突出板では,圧縮強度,変形性能およびエネルギー吸収性能が向上することを確認し,板幅方向にテーパーを有する変厚鋼板の有効性を示した.
  • 頭井 洋, 中村 貴峯, 西山 誠治
    2006 年 62 巻 3 号 p. 543-555
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     仮設用鋼管矢板を本体壁構造として用いた半地下道路構造の縦断方向を対象に,レベル1およびレベル2地震動に対して応答変位法に基づく解析を行い,地盤条件や構造物幅などが半地下道路構造の地震応答におよぼす影響を検討した.横断方向の曲げ変形に比べ縦断方向伸縮変形の方がより大きい変形や応力を生じること,20mごとに目地を設ければ構造本体に損傷を生じる可能性は小さいこと,目地に変形が集中するので鋼管矢板の継ぎ手構造の変形がやや大きいことなどを示した.また,2次元FEMおよび3次元FEM動的解析との比較より,応答変位法は,半地下道路構造の有効な設計法であることを示した.
  • 岡田 淳, 依田 照彦
    2006 年 62 巻 3 号 p. 556-569
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     鋼コンクリート複合構造における接合部の合理化に向けた取り組みの一つとして,頭付きスタッドのグループ配列が挙げられる.本研究では,密にグループ配列した頭付きスタッドの寸法および強度の影響に着目した解析的検討を実施し,破壊モードと関連付けてこれらのパラメータがせん断耐荷性能に及ぼす影響について考察した.さらに,スタッドの寸法,スタッドの強度,コンクリート強度,スタッドのグループ配列の影響を考慮したせん断耐荷力算定手法を構築し,グループ配列したスタッド近傍の床版断面のせん断耐荷力評価を行った.
  • 丸山 喜久, 山崎 文雄, 用害 比呂之, 土屋 良之
    2006 年 62 巻 3 号 p. 582-594
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     高速道路で重大事故や大規模災害等が発生した場合,その負傷者が重傷である可能性が高く,ドクターヘリを活用することにより高い救命効果が期待できる.一方,ヘリコプターの離着陸に伴うダウンウォッシュと呼ばれる吹き下ろし風が原因となり,対向車線の走行車両が二次的な事故を起こしてしまうことが懸念されている.そこで,本研究では,建設中の第二東海自動車道(第二東名)においてドクターヘリのダウンウォッシュ風速の観測を行った.さらに,実車を用いた走行実験と数値解析により,ドクターヘリのダウンウォッシュが車両の走行安定性に与える影響について評価した.
  • 古田 均, 亀田 学広, 中原 耕一郎
    2006 年 62 巻 3 号 p. 656-668
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,長期的視野で複数橋梁の維持管理計画を策定する事で,費用削減が可能である事を示し,遺伝的アルゴリズム(以下,GA)を用いて実用的な維持管理計画策定システムの構築を試みた.維持管理計画問題は,ある一定性能の維持という条件や,一定期間内に必ず行うべき対策などの複数の制約条件を持つ.従来,多くの制約条件を持ち,長期的かつ大規模な管理計画を策定するには,問題を分割したり,巨大なシステムを構築する必要があった.実用化を目指すのであれば,簡易かつ汎用性の高いシステムの構築が望まれる.本論文では,GAの遺伝子表現,ペナルティー関数の設計方法,淘汰に着目し,簡易かつ汎用性の高いシステムを構築し,数値実験を行うことにより本システムの有用性,実用性に関する検討を行った.
  • 白土 博通, 松本 勝
    2006 年 62 巻 3 号 p. 669-680
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     鉛直変動気流に起因するガスト空気力(揚力,ピッチングモーメント)の非定常性とスパン方向の相関性について,断面固有の剥離せん断層を含む流れのパターンとの関連を中心に実験的に検討を加えた.対象とする断面は幅員 B と桁高 D の比 B/D が5の矩形断面である.まず,2次元鉛直変動気流中における断面内の非定常圧力測定から換算振動数による流れの変化,ガスト空気力の非定常性を考察した.次いでスパン方向に非一様な3次元鉛直変動気流を作用させ,ガスト空気力のスパン方向の相関度について検討を加えた.以上の結果,変動気流による剥離渦と断面が本来有する流れのパターンが上記のガスト空気力の諸特性に与える影響が明らかとなった.
  • 坊原 尚記, 作田 健, 香月 智, 嶋 丈示
    2006 年 62 巻 3 号 p. 681-692
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,PSO(Particle Swarm Optimization)の改良とその鋼製砂防えん堤の最適設計への応用について検討したものである.すなわち,探索効率を改善するため,従来型PSOに探索範囲制約および局所ランダム探索機能を付加し修正している.また,その効果について,2次元非線形関数問題を用いて検討している.この結果,初期探索においては探索範囲制約が,後期探索においては局所ランダム探索機能が効果を発揮することを示している.提案手法の適用性を確認するため,鋼製砂防ダム最適断面形状問題に適用し,その有用性を確認している.
  • 佐藤 忠信, 田中 庸平
    2006 年 62 巻 3 号 p. 693-701
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     従来のモンテカルロフィルタ (MCF) を用いた構造同定は,大規模な構造システムに対して適用する際,計算時間が極端に増加するために実用的ではなかった.そこで本論文では,モンテカルロフィルタのアルゴリズムに修正を加えることによって,自由度の大きな構造システムへ適用可能な効率的な構造同定法 (Relaxation MCF) を開発する.また,提案手法に遺伝的アルゴリズム (GA) を組み込むことによって,より良い追従能力を有する構造同定法 (GA-RMCF) を開発する.次に,5層構造モデルに対して行った振動台実験から得られた観測結果に対して,GA-RMCFを適用することにより提案手法の有用性を示す.
  • 河田 直樹, 川谷 充郎
    2006 年 62 巻 3 号 p. 702-712
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/20
    ジャーナル フリー
     道路環境を取り巻く騒音問題の一つに低周波音問題が知られている.著者らはすでに,橋梁から放射される低周波音を,波動方程式の基本解より簡易的に求めている.しかしながら周辺に物理的影響を及ぼす非可聴域の音圧を過大評価してしまう現象から,より精度の高い解析手法によって周辺音場を解析する必要が求められる.本論文では,波動を扱う問題を始め多くの分野で応用されつつある境界要素法を低周波音解析に適用し,より実音場に近い周辺の音場特性を再現する.また,周辺音場に影響を与える可能性がある橋梁下部工や隣接橋梁による影響を確認し,さらに,騒音低減対策として有効と考えられる桁端部RC巻き立て補強についてその効果を確認する.
和文報告
  • 中村 剛, 川島 一彦, 渡邊 学歩, 山下 幹夫, 江嵜 順一, 鈴木 猛康, 古賀 政二郎
    2006 年 62 巻 3 号 p. 489-508
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,開削式鉄筋コンクリート共同溝の側壁の破壊形態と耐震補強効果を繰り返し載荷実験に基づいて検討したものである.耐震補強法としては,貫通アンカー,拡底式アンカー,CFRPシート,CFRPシートと拡底式アンカーの組み合わせの4種類を検討した.現況の構造では側壁に曲げ損傷後にせん断破壊が生じるが,これを貫通アンカーで耐震補強すると,曲げ破壊先行型にすることができること,拡底式アンカーではせん断ひび割れ抑制効果はあるが,せん断補強効果は低いこと,CFRPシートでは目的とする耐震補強効果を得るためには,シートを側壁に固定する方法に注意を要すること等が明らかとなった.
  • 森 猛, 鴫原 志保, 中村 宏
    2006 年 62 巻 3 号 p. 570-581
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     重交通路線に位置するいくつかの橋梁おいて,鋼床版のデッキプレートとトラフリブの溶接ルートから溶接部を進展する疲労亀裂の発生事例が報告されており,溶接ルートからデッキプレートを進展する疲労亀裂も懸念されている.本報文では,横リブ中間部(縦リブ支間中央部)のデッキプレート・トラフリブ溶接部のルートから発生する疲労亀裂の再現と,その性状に対する溶接溶け込みの深さの影響を明らかにする目的で行った応力解析,応力測定試験と疲労試験の結果を報告する.
  • 鈴村 恵太, 中村 俊一, 樽井 敏三
    2006 年 62 巻 3 号 p. 614-622
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     腐食度の異なる橋梁ケーブル用亜鉛めっき鋼線(1570MPa級)の疲労強度について研究した.供試材は,湿潤が保持される実橋の腐食環境をシミュレートする,湿ったガーゼを巻き付ける方法により腐食させた.腐食した亜鉛めっき鋼線の疲労強度は,亜鉛めっきが腐食により消費され,地鉄の腐食が開始してから大きく低下した.さらに,湿潤下での疲労強度は乾燥下に比べ低下する傾向が認められた.破断部の観察を行った結果,いずれの供試材も,破断の起点は孔食部から発生し,亀裂伝播した形態であった.腐食による疲労強度の低下は孔食部への応力集中,湿潤環境の低下は腐食反応をともなった疲労を生じるためと考えられた.
  • 利根川 太郎, 浦野 友樹, 杉浦 邦征, 山口 隆司, 渡邊 英一, 中村 雅樹
    2006 年 62 巻 3 号 p. 643-655
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     強度規格が異なる鋼板でウェブとフランジを構成するハイブリッド桁は,ウェブが先行して降伏することから同一強度規格の鋼板で構成される通常の桁に対して異なる曲げ耐荷特性を持つため,ウェブの限界幅厚比の制限を相対的に厳しくしている.一方で,正曲げを受ける通常の合成桁に対してはウェブの幅厚比を大きくとれるとする既往の知見がある.本研究では,引張フランジに近年開発された高機能鋼材を用い,圧縮フランジとウェブを同一強度とした合成ハイブリッド桁を対象とし,幅厚比の大きな薄肉無補剛ウェブから構成される箱桁とサンドイッチ型複合床版を組合せた合成桁構造を提案し,その正曲げ耐荷特性を実験的に把握した.実験の結果,鉄筋コンクリート床版を用いた合成ハイブリッド桁より,変形性能面で優れていることが確認された.
和文ノート
  • 米田 昌弘, 枝元 勝哉
    2006 年 62 巻 3 号 p. 608-613
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     鋼2主I桁橋の採用実績は増加の一途をたどっているが,その耐風検討にあたっては,構造減衰に加え,固有振動数が必要となる.解析ソフトウェアの普及とともに,近年では全橋FEMモデルを用いた固有振動解析を実施する場合も多いが,全橋FEMモデルによる解析では入力データの作成に多大な労力と時間を要する.そこで,本研究では,単純梁と両端固定梁の解析解を用いて,鋼2主I桁橋の鉛直たわみとねじれの基本固有振動数を算出する手法とその妥当性について検討した.その結果,本手法を適用すれば,鋼2主I桁橋の基本固有振動数を,非常に簡単に,しかも十分な精度で推定できることを提示した.
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