土木学会論文集A
Online ISSN : 1880-6023
ISSN-L : 1880-6023
65 巻, 4 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
英文論文
  • Tatiana KUROIWA, Hirokazu IEMURA
    2009 年 65 巻 4 号 p. 873-878
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
      In this paper, in order to identify the modal properties of a structure based on the ambient vibration monitoring, an innovative method for modal identification, called Hybrid Time and Frequency Domain Analysis, is described and a full scale test is presented. The method consists of frequency domain analysis for natural frequencies and modal shapes identification; and time domain analysis for the damping estimation. The methodology was tested in a 5 story steel frame structure constructed at the Disaster Prevent Research Institute, Kyoto University, Japan, using ambient vibration testing. The dynamic response was measured with simultaneous sensors in every floor, including ground. The modal shapes results were compared with the FEM and with previous results obtained from monitoring under forced vibration. For the damping estimation, free vibration results were compared with the ambient vibration test. The system identification obtained under ambient vibration tests are in very good agreement with the forced and free vibration tests and with the analytical results.
  • Mustapha TAAZOUNT, Abdelhamid BOUCHAÏR
    2009 年 65 巻 4 号 p. 994-1005
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
      The aim of this study is to characterize the mechanical behavior of connections timber-to-timber joist hangers with specific nail fasteners. The methodology proposed by technical design standards is based on the hypothesis of an elastic and linear joint behavior. However, the local behavior of joint is semirigid characterized by the ductility of wood material in embedment and the non linear behavior of the nail fasteners in bending. Hence, in this study, the combination of a comprehensive experimental setup and a numerical approach is developed to analyze the evolution of the forces in the joint. Firstly, various tests are realized on specific nail fasteners, using different glulam species, in accordance with European test standards. They concern the withdrawal push-out test, the single plane shear and the yield bending moment. Besides, the adequacy of the methodology proposed by Eurocode 5 for dowel-type fasteners is discussed. Secondly, a similar investigation is carried out on a whole timber-to-timberjoint, with nailed tridimensional metal plates. Considering the hypothesis of a semi-rigid behavior of the joint, the stiffness of each fastener is identified in tension and shear slips. Finally, a finite element model is applied and discussed considering the fasteners represented by bi-directional mechanical springs. The stiffness of each spring is considered as the slip modulus of each fastener defined by tests. A semi-rigid formulation was adopted and the overall joint behavior is apprehended numerically.
和文論文
  • 三輪 幸治, 別府 万寿博, 大野 友則, 伊東 雅晴, 片山 雅英
    2009 年 65 巻 4 号 p. 844-858
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,剛飛翔体の高速衝突を受けて生じるコンクリート板の局部破壊の防護設計法について検討したものである.まず,コンクリート板の高速衝突実験を行うとともに,局部的な損傷・破壊を再現できる数値モデルを構築した.また,実験および解析結果に基づいて,コンクリート板の局部破壊メカニズムを解明した.次に,理論式にコンクリートの材料モデルとひずみ速度効果を考慮した改良式を提案し,その妥当性を確認した.最後に,破壊メカニズムに基づいて,飛翔体の衝突荷重と裏面剥離発生に必要な荷重を比較して局部破壊モードを判定する方法を提案し,その妥当性を検証した.
  • 松本 勝, 松宮 央登, 藤原 慎也, 加藤 嘉昭
    2009 年 65 巻 4 号 p. 859-872
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
     近年の研究において松本らは,step-by-step解析を用いて,連成フラッター特性を明らかにしてきた.本研究では,従来のstep-by-step解析に改良を加えた新たなstep-by-step解析を提案した.そして,位相特性に着目した4つのフラッター基本モードを定義し,その観点からフラッターを検討することで,フラッター基本モードがフラッター発現に密接に関わっていることを明らかにした.また,step-by-step解析により明らかとなったフラッター発生機構を基に,フラッター発現風速推定式の誘導に成功し,その導出過程の検討及びフラッター発現風速との比較検討を行うことで,高精度にフラッター発現風速を推定できることが明らかになった.さらに,3つのダイバージェンス現象の発現の可能性を示した.
  • 岡田 佳久, 小川 好, 廣島 実, 岩楯 敞広
    2009 年 65 巻 4 号 p. 879-897
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     東京都の低地に位置する杭基礎形式の既設橋梁の耐震性を精度良く評価するためには動的相互作用の影響を考慮する必要がある.この影響を考慮した簡易な動的解析モデルとしてSRモデルがあることから,筆者らは地表と橋脚の強震記録を利用したSRモデルの集約バネ定数と減衰係数の同定手法の開発を進めてきた.本論は地盤と橋脚の固有周期の関係に着目し,動的遠心載荷実験を用いてSRモデルによる同定解析手法の妥当性を検証し,集約バネ定数と減衰係数の設定法を提案した.また,同方法で設定した集約バネ定数と減衰係数を用いたSRモデルによる動的解析がレベル2地震動で適用可能か検討した.その結果,SRモデルによる簡易動的解析は2次元FEM解析での橋脚の応答を概ね再現できることがわかった.
  • 徳永 宗正, 小野 潔, 橋本 亮, 西村 宣男, 谷上 裕明
    2009 年 65 巻 4 号 p. 898-914
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     鋼部材が保有する耐震性能は最大水平荷重程度までの領域では繰返し塑性履歴の影響をほとんど受けない一方,ファイバーモデルによる鋼骨組構造の耐震性能照査法として提案されているひずみ照査法の照査指標であるひずみは,繰返し塑性履歴の影響を受けやすいことが既往の研究で報告されている.従って,ひずみ照査法では非線形時刻歴応答解析において繰返し塑性履歴を受ける鋼部材の耐震性能を適切に評価できない可能性がある.本論文では,繰返し塑性履歴の影響を考慮した耐震性能照査法の開発を目的に,繰返し塑性履歴を受けにくい曲率および断面力を照査指標としたひずみ換算曲率照査法,断面力照査法を提案し,それらの妥当性を確認した.さらに,2軸曲げやねじりを受ける鋼部材に対する断面力照査法の適用の可能性,有効性について検討を行った.
  • 稲村 友彦, 泉 岳樹, 松山 洋
    2009 年 65 巻 4 号 p. 915-931
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     東京における強雨日の際に都市が関東地方の風系に及ぼす影響について,メソ気象モデルを用いて調べた.現実の土地利用分布と,都市を森林に変更した土地利用分布を用いて,短時間強雨の事例をシミュレートした.また,館野の高層気象観測データを用いた一般化シミュレーションも行った.その結果,関東地方の風系に及ぼす都市の影響は小さいこと,しかしながら,都市が都市部周囲の風を変化させ収束を強めていることが分かった.一般化シミュレーションでは,強雨の発生に重要と言われている鹿島灘からの東風が生じなかったが,これは,この東風が太平洋上の気圧場の影響で生じているためと考えられる.さらに,データ同化を行わないと東風が生じなかったことから,この東風は熱的局地循環とは別のプロセスによって吹走していると考えられる.
  • 久保 圭吾, 長尾 千瑛, 石崎 茂, 松井 繁之
    2009 年 65 巻 4 号 p. 932-948
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     近年,劣化・損傷により補修されたRC床版も再劣化が進み,再補修するよりも打替える事例が増加しつつあり,橋梁の長寿命化を図る上で適切な選択であると言える.このため,部分取替えする場合も含めて,既設床版部との取り合いが容易で,死荷重増を伴わない床版構造が望まれていた.このような要求に合致するものとして,鋼・FRP複合永久型枠を用いた合成床版の開発を試みた.本床版はFRP,鋼管,鉄筋,コンクリートからなる合成床版であり,構造特性や耐荷機構が複雑となる.一連の実験を実施し,本床版の構造特性,耐荷力,疲労耐久性を確認した.特に,FRPの橋軸方向継手に関しては,構造改良を重ね,要求性能を充分満たすものに到達できた.本論文は,これらの研究成果を述べるとともに,本床版の実用化に関する研究プロセスを示したものである.
  • 藤澤 伸光
    2009 年 65 巻 4 号 p. 966-979
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     並列円柱のウェーク・ギャロッピングに関して,下流側円柱の振動応答,定常圧力および非定常圧力を測定し,振動発生のメカニズムに考察を加えた.定常圧力の測定によれば,下流側円柱に作用する揚力は基本的には上流側円柱の後流内圧力分布に支配されるが,ギャップ・フローへのスイッチングによるピーク状の揚力がこれに加わる.このピーク揚力は振動時にも発生するが,スイッチングによるピーク自体はウェーク・ギャロッピングの原因ではない.むしろ,後流内圧力分布に起因する揚力も含めて,揚力変動の位相が変位に対して遅れることが不安定の原因であり,振動変位が中立位置から増加していく時に発生するピーク状揚力は振動を安定化する方向に作用することを明らかにした.
  • 宇佐美 勉, 倉田 正志, 佐藤 崇, 葛西 昭, 萩澤 亘保
    2009 年 65 巻 4 号 p. 980-993
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,構造用アルミニウム合金を用いた履歴型制震ダンパーの開発研究の一環として,構造用アルミニウム合金の一軸繰り返し弾塑性構成則について触れたものである.そのために,構造用アルミニウム合金の繰り返し引張-圧縮試験を多数実施し,鋼材の挙動との相違点を明らかにし,鋼材に対して多くの実績のある修正2曲面モデルを修正することにより構造用アルミニウム合金に対する新しい構成則を構築した.最後に,開発した構成則によりランダム載荷の実験結果を予測し,提案構成則の妥当性を検証した.
  • 本間 淳史, 河西 龍彦, 松井 繁之
    2009 年 65 巻 4 号 p. 1016-1026
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
     近年,道路橋において技術開発が活発に行われている鋼2主桁橋の普及に伴い,その床版構造としてPC床版が標準的に採用されるようになり,その床版支間も長支間化する傾向にある.特に広幅員となる第二東名高速道路では,床版支間が6mを超える大規模な鋼2主桁橋の建設を行うために,道路橋示方書の適用範囲を超える長支間のPC床版に対して,それに適した断面形状の工夫を行い,合わせて設計断面力の算出について研究を行った.
     本研究では,FEM解析を用いて,活荷重の載荷方法による影響と1方向PC版という異方性を考慮して,この長支間PC床版を設計するためのB活荷重による曲げモーメントを算出した.また同様の手法により算出した他の橋梁の解析結果をもとに,長支間PC床版用の設計曲げモーメント式について提案した.
  • 宮定 龍司, 梶田 幸秀, 大塚 久哲, 北原 武嗣
    2009 年 65 巻 4 号 p. 1027-1036
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,コンクリート床版,鋼箱桁および鋼製の伸縮装置から構成される上部構造の桁間衝突解析を三次元有限要素法を用いて行い,衝突部位である桁端部の伸縮装置の損傷状況の推定を行った.数値解析結果から,伸縮装置のフィンガー部のめくり上がりが約20mmから200mm発生することが確認された.また,伸縮装置のフィンガー部のめくり上がりによる段差について車両通行性の検討を行ったところ,衝突速度が2.0m/secを超えると緊急車両は低速での走行を余儀なくされることが分かった.
  • 三浦 良輔, 吉田 秀典, 松島 学, 横田 優
    2009 年 65 巻 4 号 p. 1037-1052
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
     ASRによって劣化したコンクリート構造物の表面に発生する特徴的なひび割れに着目した解析モデルを橋脚梁部に適用し,解析と実構造物のひび割れ性状を比較した結果,その特徴を概ね再現することができた.加えて,近年特に留意すべき鉄筋破断に焦点を当て,曲げ加工時の損傷にともなう鉄筋の強度低下を検討する解析モデルを提案した.その結果,鉄筋曲げ加工部は微小な亀裂を有する場合においても,健全鉄筋に比べ急激な強度低下を呈することが明らかとなった.劣化シミュレーションを行った橋脚梁部の鉄筋曲げ加工部に発生したひずみと,曲げ加工部の強度低下後の鉄筋ひずみを比較することで鉄筋破断個所の推定を行った結果,鉄筋比の異なる境界付近で鉄筋破断の可能性が高くなることを示唆した.
和文報告
  • 野上 雄太, 坂井 公俊, 高橋 千佳, 室野 剛隆, 盛川 仁, 佐藤 勉
    2009 年 65 巻 4 号 p. 1006-1015
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
     耐震設計では,特に不整形地盤などの特殊な地盤条件では,正確な浅部地下構造を求め,表層地盤の地震時挙動を適切に評価した上で構造物を設計することが重要である.地下構造を推定するには,一般にボーリング調査が用いられる.しかし,ボーリング調査では工学的基盤の推定が困難な場合や既存の調査結果を活用して工学的基盤を補間,推定する場合には,ボーリング調査に代わる手法で地盤構造を推定することが考えられる.本報告では,広域な不整形地盤において,ボーリング調査を行ったにも関わらず,工学的基盤が推定できなかった地域を対象として,微動探査法,重力探査法を用いて工学的基盤を推定した後,得られた地盤構造に対して非線形動的FEM解析を行って地表面設計地震動を推定した事例について述べる.
和文ノート
  • 古市 亨, 松井 繁之, 佐光 浩継
    2009 年 65 巻 4 号 p. 949-954
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     近年はコンピュータ技術の進歩に伴って,複雑な3次元構造物における応力頻度解析はその構造物全体を3次元有限要素法などの解析を駆使して影響面を求めた後に,自動車の走行シミュレーションを行って精度良く行われている.しかし,影響面を求めるには膨大な解析時間と経費を要する.筆者らはこの影響面をミューラーブレスローの原理を応用した3次元FEM解析を1回行うことによって得られることを提案するものである.本論文で数例について解析を行い,その精度の照査を示した.さらに,最近に疲労で問題となっている橋梁部材の発生応力,ならびに応力振幅について考察を加えた.
  • 柴沼 一樹, 宇都宮 智昭
    2009 年 65 巻 4 号 p. 955-960
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     XFEMは,既知である解の特性「priori knowledge」を直接利用した近似を,エンリッチメントという概念を用いて局所的な領域に適用した解析手法である.本論文では,従来のXFEMおよび著者らがPUFEMに基づき再定式化したXFEM(PU-XFEM)に関して,き裂解析におけるpriori knowledgeの再現性の評価を行った.その結果,従来のXFEMは,特にき裂先端付近においてこの再現性に重大な問題を有することが明らかとなった.一方,PU-XFEMを用いた場合,従来のXFEMと異なり,priori knowledgeを局所的な領域で正確に再現できることが示された.
  • 山田 健太郎, 石川 敏之, 柿市 拓巳
    2009 年 65 巻 4 号 p. 961-965
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
     鋼橋に発生した疲労き裂の進展を抑制して,十分な残存寿命を確保できる補修・補強方法があれば,補修・補強のコストが大幅に低減できる.ここでは,試験体に疲労き裂を発生させ,その疲労き裂を閉口させ,疲労き裂進展を停留あるいは遅延させ,簡易に疲労き裂を補修し,耐久性を向上させることを試みた.実験では,まず平板に置かれた溶接ビードに切り欠きを設けて疲労試験を行い,半だ円形の疲労き裂を発生させた.その後,溶接ビードをグラインダで除去し,そのまま疲労き裂を進展させたものと,疲労き裂を閉口させたものを比較して,その延命効果を確認した.疲労き裂の閉口は,表面き裂の両側と直上を,汎用的なフラックスチッパの先端を加工したもので叩くことで,処理した.
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