土木学会論文集D1(景観・デザイン)
Online ISSN : 2185-6524
ISSN-L : 2185-6524
73 巻, 1 号
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和文論文
  • 山下 三平, 丸谷 耕太, 内山 忠, 栗田 融
    2017 年 73 巻 1 号 p. 1-20
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
     文化的景観は生きた景観であり,伝統的な生業・生活の持続によって様相がきまる.これを真に捉えるには,景観において生きる人々の実存に迫る必要がある.本研究は17世紀に始まり,20世紀中期の民芸運動の影響を受けた陶業の産地である,福岡県朝倉郡東峰村小石原皿山地区を対象とした.ここで写真投影法を適用し,窯元とその家族の目に映った工芸/焼き物の里の景観表象とその価値を追究した.また里への来訪者の見方も併せて扱い,窯元らと比較した.さらに他地域の農業の文化的景観の研究成果と比較した.その結果,生活基盤要素の無意識化と背景要因の意識化がとくに職人の表象で確認された.また聖性と山水の表象が,生業の違いを超えて景観上,重要であることが示された.さらに薪積みの表象の,新たな景観的価値と来訪者の役割が示唆された.
  • 林 倫子, 篠原 知史, 大坪 舞
    2017 年 73 巻 1 号 p. 21-36
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,大阪中之島公園の起源ともいえる山崎ノ鼻「公園地」に着目する.「この『公園地』は,豊國神社境内地造営と一体的に,大阪府によって計画・整備された門前の盛り場であった」という仮説を設定し,この仮説に関する3つの傍証,すなわち(1) 境内の隣接地に「公園地」が必要とされた理由,(2)両事業の主体・時期の重なり,(3) 開設直後の「公園地」施設とその利用実態,を示した.さらにこの「公園地」の制度上の位置づけや公園制度との関係についても考察した.「公園地」は公共の管理する盛り場であるという意味で最初期の公園と同じ場所であったが,近代土地制度上は道路施設の一部として位置づけられていたこと,西洋的公園観の広まりとともに「仮公園」との併存を経て,正式な公園に編入されたことを示した.
  • 阿部 俊彦
    2017 年 73 巻 1 号 p. 37-51
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
     東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市内湾地区では,震災前は防潮堤が無かったため,宮城県から示されたL1津波を防ぐための防潮堤の計画高さに対して,多くの地域住民が反対した.筆者は,住民等で構成される内湾地区復興まちづくり協議会のコーディネーターとして,協議体制を構築し,模型やCGなどを使ったワークショップを企画運営に関わり,宮城県が設計を進めていた防潮堤の高さ,位置,形式,意匠デザインの設計変更案の検討支援をおこなった.本研究では,その合意形成に至る一連の協議プロセスを整理し,多主体が関係する景観デザインのプロジェクトにおけるコーディネーターとしての専門家の役割と工夫を示すことを目的とする.
  • 中尾 信裕, 吉田 忠司, 堀 繁
    2017 年 73 巻 1 号 p. 52-71
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,高速道路サービスエリア(SA)の外部空間全体とその空間構成要素との魅力について,定量的な評価とその評価要因とを明らかにする目的で,20SAを対象に各8枚組の写真を刺激として心理実験を行った.結果,沼津や浜松などが高評価,中央道や北陸道は低評価であった.また,空間全体評価と要素評価には強い相関があった.さらに,「視対象の統合性」や「ゲシュタルト」などが写真に見られるSAは高評価で,見られない場合は低評価であった.つまり,SA外部空間の魅力の評価は上位と下位とで大きく差がつき,上位評価SAでは景観で大切とされることがしっかり見られ,各構成要素の定量的評価も高いことがわかった.
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