土木学会論文集A2(応用力学)
Online ISSN : 2185-4661
ISSN-L : 2185-4661
74 巻, 2 号
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応用力学論文集Vol.21(特集)
  • 三増 拓也, 金 哲佑, 五井 良直, 林 厳
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_513-I_522
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究では鋼鈑桁橋を対象とした走行車両による振動実験を行い,人工損傷前後の橋梁の振動特性の変化について検討を行う.振動特性同定手法には確率部分空間法(SSI)を用いて,Stabilization Diagram(SD)により安定的な振動モードを抽出した.人工損傷として鋼鈑桁橋桁端部の亀裂を摸擬し,振動特性の確率分布の変化により異常検知の可能性が確認された.特に損傷による曲げ1次振動数の増加が観測され,同定される振動特性の変動のメカニズムを解明するために,損傷による境界条件の変化の固有振動数に対する感度解析を行った.損傷による曲げ1次振動数の増加の原因は,損傷による支承部の境界条件の変化である可能性が高いことが確認され,橋梁における疲労亀裂などの損傷を考慮する際には,支承部の機能についても十分把握することが重要であることがわかった.
  • 阿部 和久, 山田 高也, 古田 勝, 末原 美智子, 紅露 一寛
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_523-I_534
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    軌道・トンネル・地盤連成モデルを用いた,地下鉄軌道の振動応答解析法を構成した.解法の効率化を図るために,軌道長手方向にFloquet変換を適用し,さらにFourier級数展開することで,軌道系応答解を解析的に表現し,トンネル・地盤系を準二次元問題に帰着させる手法を採った.その下で,トンネルを有限要素で離散化し,解析解より導出した地盤インピーダンス行列と結合して解を構成した.提案法を軌道の定常加振問題に適用し,軌道構造の違いが防振特性に及ぼす影響について検討した.
  • 全 邦釘, 佐久間 啓蔵, 大窪 和明
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_535-I_541
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    腐食鋼構造物の安全性の照査および適切な維持管理戦略の策定のためには,残存耐力を精度よく評価する必要がある.ソリッド要素を用いて腐食表面形状を精密に再現した有限要素解析を行えば,的確に耐力を評価できることが期待されるが,計算コストが非常に大きくなってしまう.そのため平均板厚をシェル要素の板厚としたモデルがよく用いられるが,精度面に課題があり,特に危険側に評価をしてしまうという問題がある.そこで本研究では引張部材を対象として,ディープラーニングの一種であるCNNによりシェル要素の有効板厚を評価し,そしてその有効板厚を用いたシェル要素により有限要素モデルを構築した上で,構造解析を行うという手法を提案した.そして,腐食鋼板およびH鋼についてソリッド要素を用いたモデルとの比較により,高い精度で耐荷力を予測できることを示した.
  • 楠田 将之, 松本 麻美, 片岡 宏夫
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_543-I_551
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    鉄道のバラスト軌道において散見される浮きまくらぎは,管理上さまざまな問題を生じさせる.しかしながら,実態把握が困難なため,発生状況について十分な調査が行われてこなかった.本研究では,軌道の汎用データを用いて,容易に精度良く浮きまくらぎを検出する手法を検討した.構築した二次元FEMモデルと営業線の軌道変位データを用いて浮きまくらぎ量を算出し,実測値と比較を行うことにより,一般的な軌道構造であるロングレール区間において良好な推定精度が得られることを確認した.また,継目部付近など,精度が低下する区間においても,継目形状の反映や,復元波長帯域の拡大により,精度向上が図られる可能性について示した.
  • 徳永 宗正, 曽我部 正道, 成田 顕次, 築嶋 大輔
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_553-I_560
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,標準ダイヤ,ランカーブ,実乗車率,車両種別等の鉄道運行情報ビッグデータを活用した,列車運行シミュレーションに基づく構造物の時間依存疲労強度の評価手法を構築した.新幹線実線区の構造物に開発手法を適用した結果,上下線の列車が一部でも交差する複線同時載荷確率は,駅部付近で5%,中間部で0.2∼1%程度であり,到着時刻が一致する完全複線載荷の発生確率は駅部付近で0.5%,中間部で0.02∼0.1%程度であること,複線載荷の発生確率が高い位置の構造物において,複線載荷特有の高い応力振幅の発生確率は最大で全編成の0.5%程度であるものの,疲労強度への影響を表す等価繰返回数に占める割合は20%程度となる場合があることを明らかにした.対象橋梁のPC鋼材の時間依存疲労強度を試算し,提案手法により100年以上の長期にわたる疲労強度の低下を評価可能であることを示した.
  • 北林 和良, 辻 貴洋, 籬 はるか, 佐伯 昌之
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_561-I_570
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    著者らは道路標識を対象とした異常検知システムの開発を行っている.加速度センサによる常時モニタリングを行うと,計測した振動特性には日々の変動がみられる.そこで本研究では,日常的な変動の要因を解明するために,学内に設置した実験用の道路標識に対して強制加振実験を多数回行い,周波数伝達関数をARX法により高精度に推定し,その妥当性を検証した.また,強制加振実験により得られた周波数伝達関数を再現可能な数値モデルを構築し,平均的な振動特性を表すモデルパラメータを決定した.さらに,構築した数値モデルを用いて損傷や環境条件の変動による固有振動数への影響を検討した.
  • 石黒 広倫, 佐伯 昌之
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_571-I_578
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    MEMS加速度・ジャイロセンサを搭載した小型6軸地震センサを試作し,地震時における構造物の経験最大層間変形角を推定する手法を検討した.角速度の時系列データを積分することでセンサの傾斜角を推定できるが,バイアス誤差により推定値がふらつくという問題がある.この問題に対し本研究では,加速度センサの出力を観測量とし,カルマンフィルタにより角速度のバイアス誤差を補正しつつ,姿勢を推定する手法を試みた.そして,本手法の推定精度を検証するために1軸振動実験を行った.精度検証では,地震動が観測される場合を模擬して,1軸振動実験の計測データに地震波を混入させて姿勢角を推定し,どの程度精度が悪化するかを検討した.
  • 竹田 翼, 斉木 功, 山本 剛大, 岩坪 要
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_579-I_590
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    橋梁の耐荷力評価のための数値モデルにおいて,床版と主桁は剛結とされることが多い.これは,非合成桁橋として設計された橋梁でも,設計荷重レベルでは主桁上フランジと床版は一体となっているという考えに基づいており,この考えを裏付ける実橋梁における計測結果も報告されている.しかし,冗長性解析のような損傷を有する橋梁の余耐力を評価する場合,健全時の設計荷重レベルと同等の床版と主桁の一体化は必ずしも期待できない.そこで本論文ではスラブアンカーの非線形挙動を考慮できる非合成多主桁橋の非線形有限要素解析を行い,スラブアンカーの合成効果が冗長性評価に及ぼす影響を検討した.その結果,桁端部損傷時では主桁曲げ応力に対するスラブアンカーのモデル化の影響が大きいこと,また,設計荷重レベルでスラブアンカーが降伏する可能性があることがわかった.
  • 藤江 渉, 吉田 聡一郎, 猪飼 豊樹, 葛 漢彬
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_591-I_602
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    繰り返し曲げを受ける溶接継手を対象に,延性き裂の発生および進展を予測可能とする解析手法について検討を行った.まず,損傷進展エネルギーのメッシュ分割依存性について検討し,要素破壊時の相当塑性ひずみを一定と仮定したとき,要素サイズによらず同様の解析結果を得られることを示した.次に,要素破壊時の相当塑性ひずみの算出法を検討し,材料引張試験と非破壊解析による,より簡便な手法を考案した.これらの結果に基づき,メッシュ分割に応じた損傷進展エネルギーの簡易算出法を提案した.新たに求めた損傷進展エネルギーにて破壊解析を実施し,実験結果との比較から,その適用可能性を示した.
  • 井上 和真, 渡辺 和明, 立石 章, 五十嵐 晃
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_603-I_614
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,水平2方向の入力地震動の軌跡の特徴が地盤の非線形応答に及ぼす影響を3次元地盤地震応答解析よって検討した.2方向加速度応答スペクトルに適合した4種の加速度軌跡の水平2方向地震動を入力とし,地盤の非線形性を考慮した土柱モデルを対象に,周波数領域における等価線形解析と時間領域における逐次非線形解析の2種類の解析手法で,入力振幅を変化させた地震応答解析を行った.検討の結果,等価線形解析では,2方向入力の加速度軌跡の違いが地盤の最大応答に及ぼす影響が小さいことが明らかになった.また,多重せん断ばねモデルを用いた逐次非線形解析では,入力地震動を円形軌跡,実位相軌跡とした2方向入力の場合に,1方向入力と比べ,地盤の非線形応答によるせん断ひずみが大きくなる傾向となった.
  • 伊勢 典央, 妙中 真治, 野田 利弘, 中井 健太郎, 高稲 敏浩
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_615-I_625
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    岸壁背後地盤の液状化および側方流動化の両方の抑止工法として,既往研究において有効性が示されている抑止杭を参考にするとともに,狭隘地での施工可能性も考慮して,岸壁背後に法線直角方向に鋼矢板せん断壁を配置する工法を提案した.この提案した工法について,2次元/3次元・水~土骨格連成有限変形解析コードGEOASIAを用いて検討を行い,液状化および側方流動化の抑止効果を確認した.具体的には隣り合う鋼矢板せん断壁の間隔を狭くする,形状に凹凸が多いほど効果が大きいことを明らかにし,新たな岸壁耐震補強工法の可能性を示した.
  • 澤田 昌孝, 羽場 一基, 堀 宗朗
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_627-I_638
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    断層変位の評価手法として連続体力学に基づく数値解析がある.著者らはそれを行うための並列有限要素法解析プログラムの開発を行ってきた.本稿では,この解析プログラムを用いて,2014年長野県北部地震で発生した地表地震断層を対象としたシミュレーションを実施した結果を示す.副断層が発生した地表地震断層北端部を含む5km×5km×1kmの領域をモデル化し,底面に地殻変動の逆解析に基づく強制変位を与えた.入力ずれ変位の増加とともに,主断層および副断層にずれ変位が発生し,その大きさは観測結果と概ね整合した.また,副断層近傍での主断層のずれ変位分布が副断層での地表ずれ変位発生に大きく影響することがわかった.
  • 松本 高志, 石澤 郁馬, 近藤 健太
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_639-I_647
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    CFRPは軽量にして高剛性・高強度を有する複合材料であるが,その挙動は脆性的であり線形挙動の後に突然の局所的な破壊を生じる.本研究では生体に見られるらせん積層構造を模倣することで脆性挙動の改善を検討した.一方向炭素繊維プリプレグを積層する際に層間の配向角度差を設けることでらせん積層を構成した供試体を作製した.三点および四点曲げ載荷実験を行い,直交積層と比較して,曲げ挙動と損傷・破壊挙動を詳細に観察した.曲げ挙動においては,第一ピーク荷重を経て荷重降下した後の荷重保持が大きくなり,前後のエネルギー吸収量の比が大きくなることを確認した.特徴的な損傷・破壊挙動により,総じて局所的な損傷・破壊は起きにくくなり,損傷深さも小さくなっていることを確認した.
  • 西宮 裕騎
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_649-I_660
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    鉄道車両の走行解析には,マルチボディダイナミクスを用い,車輪・レール間の接触力は接触理論から導出された理論式で与えるのが一般的である.しかし,この理論では接触形状を仮定しており,レール継目部等の不連続部分の走行解析への適用は限定される.また,実物実験では,接触力を車輪のひずみ量から換算して得ているが,レールの不連続部分との接触では,位置や点数が想定と異なるために測定精度が低下する可能性がある.
    そこで,本研究では鉄道の車輪・軌道間の動的相互作用を考慮し,レールの不連続部分の走行へ適用可能な,陽解法による有限要素法を用いた数値解析モデルを構築した.その結果,構築モデルによる接触力は検証試験と概ね一致していることから,構築した手法の妥当性が確認された.
  • 堀合 聡, 三浦 真季, 千葉 慎二, 新銀 武, 大西 弘志
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_661-I_670
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    鋼構造物の劣化問題において,亀裂は溶接部周辺に発生するものが多い.亀裂損傷の点検は目視点検や必要に応じて浸透探傷試験や磁粉探傷試験により行われるが,目視点検では検査者の技量に左右されることや,非破壊検査では検出精度の問題や内部亀裂・欠陥には対応できないという問題を持つ.そこで,経験や技量の少ない点検者でも確実に亀裂を発見できる方法として,亀裂周辺のX軸方向応力とY軸方向応力の比を確認することで,亀裂の有無を判定する方法を検討した.本論文では,実大試験体を用いた振動疲労試験を行い,その試験結果をもとに三次元FEM汎用解析ソフトを用いた解析モデルによる検討を行った.
  • 久保 武明, 谷口 望, 藤原 良憲, 林 偉偉, 依田 照彦
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_671-I_681
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    鉄道橋の設計基準においては,従来より許容応力度設計法が用いられてきたが,平成4年に限界状態設計法,平成21年に性能照査型設計体系が導入され,設計手法の合理化が図られている.近年,更なるコスト縮減が求められているなか,鋼・合成標準示方書や複合構造標準示方書において採用されているAASHTOやEurocodeによる断面分類(コンパクト断面,ノンコンパクト断面,スレンダー断面)を行い,断面強度を算定する設計手法が注目されている.そこで本研究では,この新たな設計手法を鉄道用合成桁に適用した場合の合理化効果を検証する目的で試設計および有限要素法解析による検討を行い,約1割程度の鋼重軽減の可能性を示した.
  • 羽場 一基, 澤田 昌孝, 堀 宗朗
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_683-I_692
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    原子力発電所の安全性の確保には,主断層の活動によって副次的に発生する地表断層変位の評価が必要である.著者らは連続体力学に基づく断層変位評価を実現するために,断層変位評価のための並列有限要素法解析プログラムの開発を行ってきた.一方,断層変位のような破壊現象に対しては,入力条件のばらつきによって解が大きくばらつくことが予想されるため,入力条件の不確実性を考慮した確率論的な評価が必須である.本論文では,岩盤及び断層の物性値の不確実性に対して高性能計算による確率論的断層変位評価を実施し,評価手法の適用性を確認するとともに,物性値の不確実性が断層変位に与える影響を整理する.その結果,高性能計算により現実的な時間で応答値の確率分布を評価可能であることが分かった.また,物性値の不確実性は地表ずれ変位が発生する主断層底部のずれ変位の限界値に大きく影響することが分かった.
  • 小林 実央, 野田 利弘, 中井 健太郎, 高稲 敏浩, 浅岡 顕
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_693-I_703
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    レベル2地震動に対する高度な安全性が要求される球形ガスホルダーについて,上部基礎一体かつ3次元形状にてモデル化し,地盤の地震前~中~後までの力学挙動を一貫して扱うことができる水~土連成有限変形解析コードを用いて,3次元地震応答解析を行った.その結果,最大級の地震想定では,(1)地震発生直後にすべての杭が「塑性化」して支持機能をほぼ完全に失うため,杭を想定しない場合の挙動とほぼ同一になること,(2)ゆえに,最大限の地盤の不等沈下によるホルダーの傾斜を想定した終局状態は相当程度安全側の評価になること,また,(3)今回の解析条件下であれば,終局状態の評価は2次元解析で十分に可能であること,さらには,(4)ホルダーの構造安定性を一体的に評価する必要性があることを示した.
  • 林 厳, 金 哲佑, 三増 拓也, 五井 良直, 吉田 郁政, 杉浦 邦征
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_705-I_714
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,撤去予定の供用終了後の単純鋼鈑2主桁橋に対して,長期振動および支承部変位モニタリングと,橋梁点検作業車による静的載荷ならびに車両による走行実験を行い,既設橋梁の変形応答評価および振動特性を同定し,FEMによる数値解析の結果と比較検討を行う.また,FEモデルの再現性を高めるために,計測結果に基づき,Particle Filterを適用したFEモデルのアップデートを試みる.さらには,対象橋梁の撤去時に主桁およびコンクリート床版から採取したサンプルを用いて材料試験を行い,アップデート結果と比較検討を行う.その結果,長年供用された実橋梁は,長期供用による経年劣化で支承部等に機能低下を示した.また,そのような橋梁に対して,Particle Filterを用いたFEモデルアップデートを行うと,動的応答に対して再現性を高めることができた.
  • 松岡 弘大, 上半 文昭, 日下 博也, 今川 太郎, 野田 晃浩
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_715-I_726
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    高画素・高速度ビデオカメラと画像処理による変位測定技術は,ノンターゲットで簡易かつ詳細に鉄道橋のたわみ・たわみ形状測定を実現できる可能性があるが,その測定精度についてこれまで詳細に検証されてこなかった.本研究では,模型橋梁の加振実験を通じて,多点での微小変位測定精度について検証を実施し,白飛び箇所を除き全振幅0.03ピクセル程度の微小変位が測定できることを明らかにした.また,過去の実測結果や実験結果から実務への適用性を検討し,日中でかつ径間長20m以上の橋梁であれば測定距離50m程度まで桁たわみ測定が可能であることを試算した.さらに,実橋梁測定を実施し,ターゲット有りの光学式測定やUドップラーIと概ね同様の精度で列車通過時のたわみを測定可能であることを示した.
  • 浦川 文寛, 間々田 祥吾, 鈴木 実, 佐藤 大悟, 河野 昭子
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_727-I_737
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,FEM解析により弾性まくらぎ化によるバラストと路盤の振動の周波数応答の変化を,バラストの沈下への影響が大きい200 Hz以下の周波数帯で算出した.その結果,支持弾性係数が0.23 N/mm3以下のまくらぎ底面材(USP)を使用することで,まくらぎとバラストが同位相で振動するモード(まくらぎ・バラスト同位相モード)と逆位相で振動するモード(まくらぎ・バラスト逆位相モード)の固有振動数とピーク値が低下し,これらのモードを含む周波数帯でバラストと路盤の振動が低下することが分かった.さらに,実軌道での弾性まくらぎ敷設箇所にて,列車通過時の路盤振動加速度を測定したところ,まくらぎ・バラスト逆位相モードを含む60 Hz~150 Hzの周波数帯で3 dB~8 dBの路盤振動加速度の低下を確認した.
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