土木学会論文集A2(応用力学)
Online ISSN : 2185-4661
ISSN-L : 2185-4661
75 巻 , 2 号
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応用力学論文集Vol.22(特集)
  • 斉木 功, 鄭 勲, 山本 剛大
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_3-I_12
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    せん断変形を考慮する Timoshenko 梁は断面平面保持を仮定する.しかし,断面内のせん断応力は実際には一定ではないので,せん断剛性はせん断補正係数によって修正される.はりのせん断補正係数は,弾性学に基づく方法や有限要素離散化による方法などにより断面変形を求めることで決定される.このような梁理論では断面変形は断面の巨視的なせん断変形に比例すると仮定される.しかし,例えば片持ち梁の支点部ではせん断力が大きくなるが断面変形は拘束される.このように,実際の梁においてはせん断変形と,せん断に伴う断面変形は必ずしも比例しない.そこで本研究では,断面変形を巨視的なせん断変形とは独立に考慮できる梁を定式化し,その影響を定量的に考察した.その結果,本手法は連続体の境界値問題を精度よく再現できること,および断面変形の拘束の影響が梁の高さと同程度の長さに及ぶことを明らかにした.

  • 岸本 喜直, 小林 志好, 大塚 年久, 小室 貫太
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_13-I_24
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では接合部界面における微小な凹凸同士の接触を数理モデル化し,有限要素法に組み込めるようにした界面要素を提案している.トンネル天井板を模擬した鋼材とコンクリートブロックからなるボルト締結体に対して打撃試験と界面要素を用いた有限要素解析を行い,本解析手法の有効性を調べるとともに,固有振動数および固有振動モードから締付力を同定する際の指針を検討した.本研究で提案する有限要素解析手法から得られた固有振動数および固有振動モードは打撃試験の結果と一致したことから,本解析手法の有効性が確認された.実構造物において締付力の低下したボルトを検出する際には,複数の加速度ピックアップを用いて取得したパワースペクトルから加速度振幅の差を読み取れば,締付力が低下したボルトを検出できる可能性があることがわかった.

  • 金川 秀也
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_25-I_29
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    日経 225 平均株価指数の数理モデルとして,ブラック・ショールズモデルと複合ポアソン過程によって構成された従来のモデルを改良したジャンプ拡散過程について考察する.ここではボラティリティがランダムに変動する場合にヒストリカル・ボラティリティを用いて推定する.ヒストリカル・ボラティリティの観測期間の選び方で大きく分析結果が異なることから,これまで曖昧であったヒストリカル・ボラティリティ算出のための適切な株価観測期間が存在することを実証する.

  • 兼清 泰明, 笠行 健介, 石川 敏之
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_31-I_40
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    CFRP 板で接着された鋼板において,接着剤の弾性特性の空間的に不規則な変動を想定し,接着剤の主応力の空間不規則変動について考察する.まず,接着剤の縦弾性係数,せん断弾性係数と Poisson 比が相互に統計的相関を有するような空間一様な確率場であるものとし,静力学的方程式を空間変動型の確率微分方程式に拡張する.次に,計算機シミュレーションにより解のサンプルを生成するスキームを構築する.この手法により接着剤の最大主応力の確率分布を推定し,接着剤のはく離発生確率の数値評価に応用する.この結果,接着剤の最大主応力の従う分布は正規分布で最も良く近似できること,はく離発生確率は弾性係数間の相関係数にはあまり影響を受けないこと,などを明らかとした.

  • 斎藤 隆泰, 田代 匡彦, 森川 光, 木本 和志
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_41-I_49
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では, 超音波を用いた定量的非破壊評価法への応用を目指し, 時間反転法と呼ばれる方法を用いて複数の欠陥形状を同時に再構成する方法について検討する. 時間反転波等の計算には, 従来の時間領域境界要素法に比べ, 安定で高精度な方法である, スカラー波動問題に対する 3 次元演算子積分時間領域境界要素法 (CQBEM:Convolution Quadrature Boundary Element Method) を用いる. 時間反転法による欠陥形状を再構成するための指標として, トポロジー感度を導入する. トポロジー感度は, 与えられた 3 次元スカラー波動問題の随伴問題を解くことで求めることができる. 数値解析例として, 提案手法を用いた無限空間中の散乱体再構成結果を示す. その際, マトリクスアレイ探傷法を想定し, 様々な入射パターン, 散乱体の数に対する欠陥形状再構成能を検討する.

  • 近藤 洋佑, 林 厳, 大島 義信, 金 哲佑
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_51-I_62
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,PC 橋梁における橋梁の耐荷性能および振動特性の変化の関係性を明らかにすることを目的として,実際の PC 橋梁を対象として,油圧ジャッキを用いた現地耐荷力実験を行った.さらに,各載荷プロセスにおいて,ハンマーおよび車両走行による振動実験を行い,PC 橋梁の振動特性を明らかにした.各載荷プロセスにおける橋梁性能は,載荷試験から得られた荷重−変位曲線より計算したエネルギー吸収能を用いて評価し,振動実験から得られた振動特性との関係性を考察した.その結果,曲げ 2 次モードの固有振動数がエネルギー吸収能と非常に高い相関を示し,振動ヘルスモニタリングにおける特徴量としての有用性があることがわかった.

  • 栗原 幸也, 辻 徳生
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_63-I_70
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    高度経済成長期に建設された社会基盤構造物の経年劣化,老朽化が進行しており,効率的かつ定量的な診断手法が求められているが,塔状トラス構造物の代表例として挙げられる送電用鉄塔においても同様である.本研究では代表的な経年劣化事象のボルト緩み,部材腐食,基礎変位等による送電用鉄塔の振動特性の変化から効率的かつ定量的な健全性評価を実施するため,高解像度カメラや加速度計を用いたヘルスモニタリング手法の基礎的検討を実施している.

    本論文では,解析上で部材腐食や基礎変位を模擬し,送電用鉄塔の振動特性にどの程度の影響を与えるか確認した.また,実際に基礎変位鉄塔と診断された送電用鉄塔の振動特性の変化を解析で確認し,その結果が実際の送電用鉄塔を高解像度カメラと加速度計を用いて振動計測をした結果と一致するか検証した.

  • 中畑 和之, 天野 裕維, 溝田 裕久, 斎藤 隆泰, 木本 和志
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_71-I_81
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    超音波非破壊検査の高度化のために,数値解析を援用した時間反転法に基づく欠陥映像化手法が提案されている.この手法は,はじめに欠陥に入射波を送信し,アレイプローブで欠陥からの散乱波を受信する.それを時間反転させて,数値モデル中に再現した位相共役鏡から送信する.数値シミュレーションの中で時間反転した受信波は欠陥に向かって伝搬し,欠陥で集束することから,各時間ステップで出力された波動場のスナップショットから集束位置を判定することで,欠陥の位置を推定する.実際の検査では,計測波形の特性やモデル化誤差の影響で,必ずしも欠陥位置で超音波の振幅が最大になるとは限らないため,欠陥の位置を一意に定めるために,入射波と逆伝搬波の相互相関を利用した方法を導入する.論文の前半で,本手法の原理を詳細に説明し,後半では試験体を用いて実験的に検証を行う.ここでは,数値モデルを詳細に作成するため,弾性スティフネスを Wavefield データから求め,これを有限要素解析で用いる.この結果,一方向凝固結晶材の裏面に設けたスリットの位置と高さを精度良く推定できた.欠陥イメージング範囲は入射波の送信に依存し,また相互相関値に適用する周波数が欠陥形状に大きく寄与することがわかった.

  • 渡邉 尚彦, 松井 稜, 青木 大祐, 行田 聡, 坂東 芳行
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_83-I_92
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    短周期振動作用時に矩形水槽壁面で問題となるバルジング振動を抑制する手法として,既設水槽底部に高減衰ゴムを配置する方法を検討対象とし,メカニカルモデルによる簡易応答予測計算によりその抑制効果の把握を試みた.まず 1m 角のステンレスパネルタンク模型タンクを対象とし,各液位条件で sweep 加振実験とスケーリングされた模擬地震波の加振試験を行った.各試験から確認された応答抑制は液位や温度条件により異なった.これを精度よく予測する手法としてスロッシング要素,バルジング要素,固定水要素,防振材要素を含むメカニカルモデルを作成し数値積分による応答計算を行ったところ,防振時における各加振条件における応答を説明できることが確認された.

  • 倉澤 智樹, 井上 一哉
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_93-I_104
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,透水係数分布のアップスケール度合いの異なる複数の浸透場を対象とした中規模溶質輸送実験を実施し,溶質輸送挙動の可視化情報から縦方向と横方向のマクロ分散長などを推定することで,アップスケールとマクロ分散現象の関係について定量評価した.結果として,マクロ縦分散長とマクロ横分散長はともに,アップスケールに伴う不均質度の低下に起因して減少することを確認した.また,アップスケール場におけるセルの一辺の長さが参照対象場の相関長より大きくなると,マクロ分散性が大幅に低下する結果となった.さらに,溶質分布のリア部とフロント部の間の距離はアップスケールに応じて小さくなる点,解像度の高い浸透場では溶質分布の重心位置からフロント部までの距離は重心位置からリア部までの距離よりも小さくなる点を明らかにした.

  • Masataka HASHIMOTO, Hiroshi TAKAHASHI
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_105-I_111
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    Stochastic differential delay equations (SDDEs) are generalizations of stochastic differential equations (SDEs) because SDDEs may include information of the past process. SDDEs are used for describing models that the future states of systems depend on not only the present state but their past states. Solutions of SDDEs do not necessarily have the Markov property, and representations of the solutions are more complicated than those of SDEs. For this reason, approximate solutions of SDDEs have been studied. In this paper, we focus on error estimations of the Euler-Maruyama approximate solutions of SDDEs and consider confidence intervals for the approximate solutions.

  • 木本 和志
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_113-I_124
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究は,不飽和多孔質体における物質拡散挙動を調べることを目的に,ランダムウォークをベースとした数値拡散解析手法の開発を行ったものである.ここで提案する方法では,固相粒子を充填して作成した周期多孔質構造のユニットセルにおいて,モンテカルロ法を用いて界面エネルギーが極小値をとるように間隙水を配置する.作成した数値不飽和多孔質媒体は,液相を拡散媒体としたランダムウォークによる物質拡散解析に用いる.ランダムウォーク・シミュレーションで得られた拡散粒子変位の時刻歴から,拡散係数と平均2乗変位に関する時間のべき指数を評価し,多孔質媒体が示すマクロな拡散特性を定量化する.本稿では,以上の方法で2次元拡散解析を行い,飽和度や,固相粒子の形状と粒径分布が不飽和多孔質体のマクロ拡散に与える影響を調べた.その結果,主として粒径分布が拡散係数の大きさに,固相粒子の充填構造が異常拡散の程度に寄与することが明らかとなった.

  • 柳田 達雄, 小西 哲郎
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_125-I_133
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    質点をバネで連結した系は,Bead-spring モデルや Rouse モデルとも呼ばれ高分子の理論モデルとして用いられている.その他にも,固体,多原子分子や構造物の簡便な理論的モデルとして古くから研究されている.本論では,このようなモデルとして線形バネで結合し質点が2次元平面で運動する系を考える.このモデルは,屈曲エネルギーを陽に含んでいないため,結合点では自由に回転することができる.しかしながら,バネの伸縮振動を励起すると,その励起エネルギーに依存した屈曲振動が出現することを見出した.この現象は,振動モードの励起にともなう剛性の発生とも考えられ,工学的な応用が考えられる.本論では,伸縮振動の励起エネルギーに依存した屈曲振動に関する数値解析を報告する.

  • 中澤 嵩
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_135-I_143
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本論文では,時間変動場の効率的制御を目的として,Snapshot POD を活用した流れ場の形状最適化問題を定式化する.具体的には,Snapshot POD で得られた固有値を目的関数と定義し,Reynolds Average Navier-Stokes 問題と Snapshot POD の固有値問題を制約関数とする.そして,Lagrange 未定乗数法と有限要素法に基づき目的汎関数を設定する.次に,この目的汎関数の領域変動をとり,主問題と随伴問題を解いた後,感度を評価する.その際,感度の評価に一般 J 積分を利用し,正則化として 𝐻1 勾配法を用いた.そして,目的関数が最小化するまで逐次的に領域変形を行った.従来の最適設計技術では,主に時間平均場のみを用いて目的関数を設定していたが,本研究では,Snapshot POD を導入することで時間変動場を用いることに成功している.当該スキームの妥当性を検証するために,円盤形の孤立物体を有する 2 次元 Cavity 流れを採用し,Newton 流体と非 Newton 流体で検証したところ,時間変動場の固有値が最小化していることを確認した.

  • 徳永 宗正, 八木 英輝, 池田 学, 曽我部 正道
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_145-I_153
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    鉄道橋りょうにおいては,鉄道システムを構成する要素として軌道部材や高欄等の非構造部材が付帯しており,これら非構造部材が主構造剛性や動的応答に大きな影響を及ぼすが,影響度やメカニズムは十分に明らかにされていない.本論文では,鉄道橋りょう区間で多く用いられる一般的な桁を対象として,非構造部材および伸縮目地が振動特性に及ぼす影響度を評価した.有限要素解析により,非構造部材による主構造の固有振動数の増加率は非構造部材の種類によって異なり,路盤コンクリート,軌道スラブ,レールは影響度が大きいこと,主構造の固有振動数は影響度の大きい路盤コンクリートの剛性により,スパンが 10m の桁の場合は 30~50%増加する一方,スパンが 22m 以上の桁の場合は 10%程度の増加であること,伸縮目地の影響で主構造剛性に対する寄与が 15~25%程度低下することが明らかとなった.

  • 和田 光真, 久保 栞, 吉田 秀典, 藤田 航平, 市村 強
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_155-I_164
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    大地震によるため池の災害は,ため池堤体が決壊するまでの時間が短い傾向があり避難が困難となる.防災上重要なため池から優先的に補強工事が実施される一方で,経験則と 2 次元数値解析に基づくハザードマップ情報を防災に活用することも重要とされている.近年では,コンピュータ計算能力の向上により大規模な数値シミュレーションが可能となってきたことから,本研究では,従来の手法よりも詳細な情報が得られる 3 次元的解析手法を提案した.まず,高精細な有限要素を用いた 3 次元非線形地震応答解析を実施し,ため池堤体の損壊箇所と規模を推定した.次に,地震応答解析の結果を洪水解析のモデルに取り込み,地形および建物を含む 3 次元洪水解析を実施し,その数値情報を利用して家屋の崩壊を判定した.3 次元非線形地震応答解析と 3 次元洪水解析とを統合する手法によって災害リスクを評価する解析技術の適用方法を示した.

  • 相馬 悠人, 車谷 麻緒
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_165-I_173
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本論文では,著者らが提案した界面の摩擦接触を考慮した損傷モデルを用い,鉄筋とコンクリート間の付着に影響する材料界面における破壊や摩擦接触,鉄筋の節による支圧抵抗力を直接反映させた鉄筋コンクリートの破壊シミュレーション手法を構築する.そして,付着性能の異なる丸鋼と異形鉄筋の引抜き試験を模擬した破壊シミュレーションを実施し,鉄筋の表面形状のモデル化を変えるだけで,丸鋼と異形鉄筋の付着挙動の違いを詳細に再現できることを示す.さらに,丸鋼と異形鉄筋を用いた RC はりの 4 点曲げ試験を実施し,実験結果と同条件の解析結果を比較することで,付着性能の異なる RC はりの破壊挙動を精度よく再現できることを示す.

  • 嶋川 理, 堀口 俊行, 小松 喜治, 香月 智
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_175-I_185
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    土石流の主たるハード対策として,土石流流下区間に鋼製透過型砂防堰堤が設置されている.近年の気象変化は,局所的な豪雨をもたらし,現行の 100 年再現確率に基づく設計荷重をはるかに超える土石流が高頻度で発生している.この影響で透過型砂防堰堤の損傷事例が報告されている.著者らは,災害事例の分析として実験によって,透過型砂防堰堤の前面に傾斜を与えることで,土石流衝突荷重が低減することを示した.しかし,その低減効果のメカニズムは検証されておらず,設計法への適用には難がある.このため本研究は,個別要素法を用いて事前実験の再現解析を行い,低減効果の発生メカニズムを検討した.そのうえで,前面角を与えると堰堤と先行して衝突した礫が形成する先行停止領域が拡がり,後続礫が堰堤に衝突する運動量を低減させることを示した.

  • –誤差評価に基づく安定化係数の最適化–
    井元 佑介, 浅井 光輝, 藤井 孟大
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_187-I_194
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    非圧縮性 Navier–Stokes 方程式に対する粒子法の一つである安定化 ISPH 法は,通常の非圧縮性 SPH 法 (ISPH 法) に粒子密度に関する安定化項を圧力 Poisson 方程式に付加した手法である.この安定化項により,粒子の偏在化を防ぐことができ,計算安定,体積保存,精度向上などが数値計算によって確かめられている.この安定化 ISPH 法に対して,我々は先行研究で安定化項が非圧縮性条件と局所密度一定の条件の誤差を重み付きで近似的に最小化するという解釈ができることを理論的に示した.しかしながら,その誤差の重みを表す安定化係数については,いくらかの数値実験によって最適な範囲や傾向が見積もられているものの,それらを理解するための理論は存在しなかった.そこで,本論文では,経験的に知られている安定化係数の範囲や他のパラメータとの関係性を,誤差評価に基づいて安定化係数を最適化する.さらに,その最適化された安定化係数の性質を示すことで経験則で知られていたことを理論的に解釈する.

  • 藤岡 良輔, 三目 直登, 山田 知典, 吉村 忍
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_195-I_201
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    単一の目的地へ向かう歩行者や群衆の移動に対して,歩行者の密度分布を未知数とした偏微分方程式による歩行者流のモデル化が広く行われている.本研究では,それらの歩行者流モデルのひとつに着目し,差分法と粒子法を用いた効率的な数値解析手法を提案する.具体的には,歩行者流の最短経路ポテンシャルを決定するための偏微分方程式である Eikonal 方程式の解析を差分法の一種である fast marching 法によって行い,歩行者の相互作用と移動を表現する偏微分方程式の解析を粒子法の一種である smoothed particle hydrodynamics (SPH) 法を用いて行う.提案手法は,SPH 法を用いて歩行者流を Lagrange 的に解析するため,メッシュベース法を用いた既存手法に比べて,歩行者密度の低い場所には粒子数が少なく配置されるという点で計算コストの面で合理的である.また,本研究の定性的な妥当性を議論するために,提案手法を用いた歩行者流の試解析を行なう.

  • 辻 勲平, 浅井 光輝, 小西 康彦, 大峯 秀一
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_203-I_213
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    昨今,高度成長期から発達してきた下水道管路の不具合に伴う地盤陥没被害が多発している.本研究では,未だ解析例の少ない地盤陥没現象の 3 次元数値解析を実施した.解析手法として,大変形かつ不連続な運動も追随できる粒子法をベースとした流体-地盤混相流解析手法の開発を行い,粉体工学の分野で研究されている液体架橋力を導入することで,含水に伴う見かけの粘着力を考慮し,不飽和地盤に適応できるように改良を施した.本手法を用いた陥没現象の再現解析により,定性的な陥没現象の再現することに成功し,不飽和地盤における見かけの粘着力と粒子形状の評価の必要性について考察を行った.

  • 山栗 祐樹, 小林 俊一, 西藤 潤, 松本 樹典
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_215-I_224
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    支持力問題の破壊時のモードと終局限界荷重を直接解く数値解析法の1つに極限定理に基づく剛塑性有限要素法がある.剛塑性有限要素法で線状補強材による補強地盤を取り扱う際,既往研究では2 節点間の距離不変条件を課したモデル化が提案されているが,本研究では極限解析法の双対性に着目し,下界法から 2 節点間の距離不変条件を再検討した.2 節点間の距離不変条件に対応するラグランジュ乗数は,2 節点間に働く拘束力と解釈でき,さらに拘束力が無制約であれば補強材強度が十分大きいとみなせる.そこで,本論文では下界法に基づく剛塑性有限要素法に拘束力に関する制約条件を追加することにより,線状補強材の強度特性も考慮した一般的な状況に対する定式化を示した.さらに数値実験例を示し,提案手法の有効性を示した.

  • 山口 清道, 山村 和人, 竹内 則雄, 寺田 賢二郎
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_225-I_236
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本論文では HPM を用いた骨組構造に対する MSFS 手法を開発した.構造物がメカニズム形成するまでの解析には,陰解法による静的弾塑性大変位解析のアルゴリズムを適用した.メカニズム判定は不静定次数,不安定次数,最大変位,荷重-変位関係により判定した.崩壊後の解析には,構造がメカニズムを形成していることから,準陰解法による動的運動解析のアルゴリズムを適用した.はり要素は動的陽解法で解き,質量のないピン要素は静的陰解法により位置補正を行った.境界との接触の際は,拡張ラグランジュ法のように境界面での接触補正のアルゴリズムを適用した.MSFS 手法として HPM を用いると,崩壊前後で同じ解析モデルと同じ剛体自由度を有する離散化手法を一貫して適用することができる.最後に,簡単な数値解析例で提案手法による解析結果の特性を検討した.

  • 西口 浩司, 嶋田 宗将, 大高 雅史, 岡澤 重信, 坪倉 誠
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_237-I_248
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    複雑構造に対して計算メッシュ生成が自動かつ高速で行えるビルディング・キューブ法に基づくオイラーメッシュ上でマーカー粒子を用いた圧縮性固体解析手法を提案する.従来のオイラー型固体解析で困難であった固体界面における幾何学的境界条件の付与は,マーカー粒子からオイラーメッシュへ速度を補間する方法により実現される.提案手法の妥当性は円孔付き平板の引張およびせん断解析で検証され,所望の解析精度を得るために必要なメッシュ解像度,マーカー粒子の配置密度,およびその計算コストを明らかにした.さらに従来的な有限要素法では数週間オーダーのターンアラウンドタイムが必要となる自動車ボディのねじり剛性解析が,提案手法により 3.6 時間のターンアラウンドタイムで実施できることを実証した.

  • 藤井 孟大, 浅井 光輝, 牛島 省, 鳥生 大祐
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_249-I_258
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    2011 年の東北地方太平洋沖地震後に発生した津波による防波堤の崩壊原因としては,防波堤前後の水位差による水平力,浸透流によるマウンドの支持力低下に伴うパイピング破壊,越流水によるマウンドの洗掘が主因となり,これらが連成することで崩壊に至ったものと考えられている.著者らはこうした複雑な水と土の相互作用に起因する土構造物の破壊を予測するため,SPH 法と個別要素法(DEM)による水‐土連成解析手法を開発してきた.本研究では,特に礫のみを対象とした洗掘現象に対して,解析ツールによる解析精度の妥当性確認を行いながら,乱流状態となる礫表層部分の抗力モデルの改良の必要性について議論し,その修正モデルを提案し,実験との比較検証を通してその有用性を確認した.

  • 今井 啓太, 吉町 徹, 樫山 和男
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_259-I_267
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本論文は,インパルス応答解析手法に基づく騒音シミュレーションに対して、吸音効果の考慮を行うとともに、移動音源問題への適用を可能としたものである.波動方程式の離散化には AMR(Adaptive Mesh Refinement) を適用した CIP 法を用いる.吸音効果の考慮には,多孔質吸音材をモデル化した Rayleigh モデルを導入した.また,移動音源問題への適用を可能とするため,時変畳み込み演算手法の導入を行った.本手法の妥当性と有効性を検討するため,参照解のある例題および吸音材を付した遮音壁を有する 3 次元音場解析に適用するとともに,VR 技術を用いた可聴化を行った.

  • 田中 寛樹, 鳥生 大祐, 牛島 省
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_269-I_276
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    埋め込み境界法や相平均モデルでは,離散化した運動方程式右辺に現われる流体と固体の相互作用項に,流体計算の時間増分 ∆t が含まれる.本報では,この相互作用項に含まれる ∆t が計算結果に与える影響を確認するため,相平均モデルを用いてダルシー則が成り立つ低レイノルズ数領域を対象とした粒子間隙流れの数値実験を行った.均一な球を規則的に配置した場合,および複数の異なる粒径を有する球をランダムに配置した場合のそれぞれについて,空間分解能と時間分解能に関する検討を行った結果,空隙に対するセル解像度 Rs を 5000~10000 程度に設定することで十分な空間分解能を設定できることを確認し,このとき,拡散数 D を 6.0 × 10−3 以下に設定すれば,∆t が計算結果に与える影響を十分小さくできることがわかった.

  • 荒木 美保, 河村 哲也
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_277-I_288
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    逆回転する二つの垂直軸S字型回転装置について,三次元でのシミュレーションを行い,主流とのなす角を変化させることで相互作用の影響を調べた.また,ブレードの両端にとりつける端板の影響も調べた.複数の装置を回転させるため,流れの領域を,各回転装置の近接領域と回転しない外部領域とに分け,各領域の境界部分において,各つなぎ目を精度よくつなげる手法を用いている.主流の方向を三種類に変化させたところ,上流側の装置の回転による流れの変化が下流側の装置の回転に影響したことによる,トルク係数や流れ場の変化を定量的にとらえることができた.

  • 牛島 省, 鳥生 大祐, 柳 博文, 田中 寛樹
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_289-I_300
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,静止状態から約 3.2 秒間,鉛直下方に向かう平均流速約 1.2 m/s の円管噴流を平均粒径約 7 mm の礫群に衝突させる現象を対象として,実験と数値計算を行った.計算では,流体・固体連成並列計算手法を用いて,約 16,700 個の礫モデルと流体間の相互作用と,実際の礫粒子の概略形状を表す礫モデル間の衝突を扱う 1,088 プロセスの並列計算を行った.礫面洗掘現象の非定常過程を,(A) 非平衡洗掘状態,(B) saltation-collapse 平衡状態,そして,(C) 安息角静止状態,という 3 段階に分け,各段階の礫面形状を再現できることを確認した.saltation-collapse 平衡状態では跳躍・崩落礫モデル数ががほぼ等しい状態で大局的な礫面形状はほぼ一定であることを明らかにした.礫モデルの移動特性と,洗掘孔近傍で礫間流体圧が増加する可能性があることを示した.

  • 瀬戸内 秀規
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_301-I_311
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    Cam-clay モデルの硬化則に対する対数間隙勾配のべき乗則の適用性を検証した.また,地盤材料の圧縮に伴う密度の増加を考慮した圧縮剛性を提案するとともに,せん断に伴って同じ定常状態に遷移するダイレイタンシー特性を表現できるモデルを対数間隙ひずみに基づいて提案した.

    その結果,硬化則に対する対数間隙勾配のべき乗則の適用性が示された.また,圧縮剛性を記述する硬化係数を初期相対塑性ひずみの関数で与えることで任意土粒子構造土の初期圧縮剛性を表現でき,硬化係数を塑性ひずみと同期させることで間隙空間の減少に伴う圧縮剛性の増加を表現できた.さらに,せん断に伴って相対塑性ひずみが解消するように相対塑性ひずみの発展則を与えることで,任意土粒子構造土のダイレイタンシー特性を表現できた.

  • 橋口 和哉, 会田 涼太, 車谷 麻緒, 岡崎 慎一郎
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_313-I_321
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本論文では,高解像度デジタルカメラを用いてコンクリートの変形とひび割れを 3 次元で計測することを目的として,デジタル画像相関法(DIC)に基づく 3D-DIC 計測システムを構築し,その計測精度および有効性の検討を行った.面外方向の計測にはステレオマッチングに基づく 3 次元計測技術を適用し,これを著者らが開発した既往の 2 次元 DIC 計測システムに導入することで,高解像度デジタルカメラを用いた独自の 3D-DIC 計測システムとした.はじめに,構築した 3D-DIC の概要について説明した後,円柱および角柱のコンクリート供試体を対象に,3 次元形状および面外方向変位の計測精度を検証する.最後に,円柱供試体の圧縮破壊過程における複雑なひび割れ進展挙動を 3 次元で詳細に計測・可視化できることを示す.

  • 金田 一広, 青木 雅路
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_323-I_328
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    直接基礎の鉛直支持力の算定は,一般に Nc 項, 項,Nq 項で構成される支持力公式が用いられる.建築基礎構造設計指針では, 項に関して内部摩擦角 φ の拘束圧依存性等の影響として,基礎の寸法効果の考慮が示されている.ただし,Nc 項,Nq 項の寸法効果の記載はない.本論文では,まず初めに,高次関数を用いた剛塑性有限要素法による解析を実施して,根入れのない基礎の鉛直支持力を基礎指針の寸法効果の補正値と同等の効果を解析的に評価できることを示した.その後根入れのある直接基礎の鉛直支持力の解析を実施して,道路橋示方書で提案されている式が精度がよいことを示した.さらに,傾斜荷重についても検討し,Nova の式が比較的整合していることも示した.

  • 森河 由紀弘, 中井 健太郎, 中谷 一貴, 武田 祐輔, 前田 健一, 野田 利弘
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_329-I_339
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    我が国では度重なる大地震を教訓に重要構造物の耐震化は推進されてきた.しかしながら,今もなお,十分な対策が行われていない戸建住宅の液状化被害は深刻である.これまで多くの液状化対策工法が研究されてきたが,その多くは原地盤を対象としており,戸建住宅などにも経済的に適用可能であり,且つ効果的な液状化対策工法については十分な検討が行われているとは言い難い.そこで,本研究では戸建住宅などにも適用可能な液状化対策として,小規模な浮き型格子状地盤改良の対策効果について検討を行った.本検討は構造物の不等沈下を伴わない限定的な条件ではあるが,1G 場での模型実験や数値解析を用いた検討の結果,格子間隔を基礎幅の 1.2 倍以内に制限することで,改良深度が基礎幅の 2 倍程度の浅く小規模な浮き型格子状地盤改良でも構造物の沈下被害を抑制可能であること分かった.

  • Ahmed ElSAYED, Huang HUANG, Zhishen WU
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_341-I_350
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    Majority failure of ductile behavior of the tested flexural bridge columns was buckling of longitudinal bars, which occurred after yielding of the perimeter ties. Increasing the transverse reinforcement specified in design codes for bridge columns in plastic hinge zone to confine and prevent premature buckling of longitudinal bars for column deformation ductility has a limit due to yielding of reinforcement steel ties. Types of fiber-reinforced polymer (FRP) have the strength and yield (rupture) strain higher than steel-reinforcement leads to enhance the confinement. Recently, using FRP ties has been spread especially in the destructive environment to enhance the deformation ductility. This paper presents a numerical investigation model to predicate the behavior of square bridge column confined using a combination of steel and rectangular closed FRP ties in the plastic hinge zone subjected to reversed lateral cyclic load. Results showed enhancement of columns’ deformation ductility and indicated that closed FRP ties provide effective confinement resulting in delay bars’ buckling and increasing the drift ratio more than 16.6%.

  • 肥前 大樹, 上野 勝利, 渦岡 良介
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_351-I_359
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    粘性土地盤の圧密変形問題に対して,数値解析の検証と妥当性確認の適用を試みる.数値解析手法は多孔質体理論に基づく土―水連成解析を用いる.

    はじめにコード検証として解析解との比較を行い,数値解が解析解と一致することを確認し,プログラミングエラーがないと判断された.次の解析検証として,メッシュサイズによる解析解に対する数値解の収束性に Order of accuracy を適用した.この指標を用いてメッシュサイズの細分化により数値解が解析解に収束することを確認した.また,沈下量よりも間隙水圧の方がメッシュサイズの影響を受けやすいことを示した.

    妥当性確認では,三軸試験より得た材料パラメーターの不確かさを正規分布と仮定し,その中から代表点を選択し 81 通りのパラメトリック解析を,粘性土地盤の圧密変形に関する遠心模型実験を対象として実施した.沈下量に対する材料パラメーターの感度を示すと共に,それらの解析結果と実験結果を比較した.実験値と数値解の分布が重なる部分もあるが,限界状態応力比によって変形モードが変化し沈下量を過大評価する場合も見られた.

  • 小松 喜治, 堀口 俊行, 香月 智
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_361-I_370
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    近年,大規模な土石流が頻発し,これまで被害が無かった鋼製透過型砂防堰堤でさえも破壊する事例が見受けられるようになった.このため,構造物の粘り強さを評価する新設計法として,許容応力度設計に加えて,レベル II 荷重として検討されることになった.その際,既存不適格構造物が生起しすることになる.そこで本研究は,既設透過型砂防堰堤に対する補強技術の一手法として,コンクリート堰堤に連接する補強部材を取り付ける方法を提案し,その補強効果について静的弾塑性解析プログラム1)を用いて検討したものである.さらに,補強した際の耐力およびその反力について比較し,耐力増強策としての効果を考察した.その結果,既設透過型砂防堰堤とコンクリート堰堤を連結することで耐力が改善されることが示した.

  • 津山 雅徳, 酒匂 一成, 伊藤 真一, 北村 良介
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_371-I_378
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    自然斜面,盛土や堤防などの安全性照査に用いられる既往の安定解析手法における地下水位より上にある不飽和土領域の間隙水圧の取り扱いについて議論する.本論文では,極限平衡法の一つである無限斜面法において不飽和土中の浸透力と圧力水頭差による体積力を考慮した体積力法および不飽和土中の負の間隙水圧を考慮した水圧法をそれぞれ提案した.特に,水圧法における負の間隙水圧の合力の計算において,間隙水圧が作用する面積について検討し,提案手法の安全率に与える影響を考察した.その結果,極限平衡法において不飽和土中の間隙水圧の影響を考慮する場合,水圧法と体積力法で結果が異なり,不飽和土中の間隙水圧が作用する面積が影響を及ぼしていることがわかった.

  • 吉川 高広, 野田 利弘, 小高 猛司, 崔 瑛
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_379-I_388
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    平成24年7月の九州北部豪雨による矢部川堤防の決壊は,高透水性の基礎地盤における局所的なパイピングをきっかけとして発生し,“越流なき破堤” として大きな衝撃を与えた.平成25年7月に発生した子吉川堤防の法すべりと梯川堤防の法崩れも,高透水性の基礎地盤に起因する被災と考えられている.本論文では,高透水性基礎地盤を有する河川堤防の浸透破壊メカニズム解明を目指し,空気~水~土骨格連成有限変形解析コードを用いて,透水模型実験の数値シミュレーションを実施した.その結果,実験において浸透破壊した場合としなかった場合の違いを表現できることを示した.また,本解析コードを用いてケーススタディを実施するとともに,土骨格の弾塑性構成モデルにサクションの効果を考慮することによる浸透破壊挙動への影響についても考察した.

  • 松尾 和茂, 前田 健一, 堀 耕輔, 鈴木 健太郎, 今野 久志
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_389-I_400
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究は,落石対策工の一つである落石防護土堤に関する落石捕捉性能の把握を目的としている.落石防護土堤は,設置スペースさえあれば現地発生土の流用も可能で経済性,施工性,維持管理性に優れた落石対策工法である.しかしながら,現行の設計マニュアルである落石対策便覧では設計の考え方は落石エネルギーの吸収・消散のメカニズムの概念が文言として記されているのみであり,変形・破壊モードを考慮した性能評価までなされていない.そこで,本研究では,落石防護土堤の落石捕捉性能の把握に向けて,高さ 500mm の土堤模型を対象とした挙動確認実験を実施した.また,2 次元個別要素法を用いて挙動確認実験の再現解析を実施した.

  • 中井 健太郎, 野田 利弘, 大庭 拓也
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_401-I_410
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    東北地方太平洋沖地震では,特に千葉県浦安市の埋立て地盤で甚大な液状化被害が発生し,多くの戸建て住宅が不同沈下の被害を受けた.しかし,既存の液状化対策工法は,施工面積およびコストの面から戸建て住宅への適用は難しく,小規模構造物に対する新しい工法の開発が期待されている.効果的な対策工法提案のためには,戸建て住宅の液状化被害の発生メカニズムを解明することが重要となるが,戸建て住宅の特徴としては,構造物が近接して立地していることが挙げられる.そこで本研究では,戸建て住宅の液状化被害発生メカニズムの解明の第一歩として,液状化被害に及ぼす隣家の影響について,数値解析的に検討した.その結果,①構造物 1 棟単独評価の場合は傾斜せずに安定を保っても,隣接家屋を考慮すると互いに影響し合って傾倒被害が生じ得ること,②隣接家屋がある場合でも,構造物の傾倒向きや隣接家屋の影響範囲については,建物 1 棟単独の変位ベクトルの向きで判断できることが示唆された.

  • 車谷 麻緒, 岡崎 慎一郎, 山本 佳士, 上田 尚史, 小倉 大季
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_411-I_420
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本論文では,コンクリート分野の V&V(Verification and Validation),特に Validation に向けて,実験結果の再現性に焦点を当てた実験を実施した.具体的には,所有する試験機の異なる 5 つの研究機関において,同条件の実験を一斉に実施することにより,完全に統一することのできない載荷条件や拘束条件のわずかな違いによって,実験結果がどの程度影響を受けるのかについて比較検討した.曲げ破壊型およびせん断破壊型の RC はりを対象とし,それぞれの機関で得られた荷重-変位関係とひび割れ分布から,境界条件による影響の受けやすさ,荷重-変位関係とひび割れ性状との関連性について考察した.また,計算モデルの Validation の視点から,数値シミュレーションによる実験結果の再現性についても論じた.

  • 片岡 新之介, 別府 万寿博, 市野 宏嘉
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_421-I_432
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    近年,竜巻や火山などの自然災害において飛来物が構造物に衝突する被害が生じており,防護構造物の設計法の確立が求められている.飛来物の衝突を受ける RC 部材の局部破壊に対する研究は多く行われているが,局部破壊のメカニズムは未だ不明な点が多い.本研究は,飛来物衝突を受ける RC 版の局部破壊メカニズムについて検討を行ったものである.衝突を受ける RC 版の衝撃応答を調べるため,衝突実験の数値解析を行った.さらに,数値解析結果から RC 版の慣性力および断面力を算定し,RC 版に作用する衝撃力,慣性力およびせん断力について考察を行った.その結果,衝撃荷重は支点反力が生じる前に慣性力と釣合い,断面に生じるせん断力に対応して斜めひび割れが進展することがわかった.また,せん断力と修正した押抜きせん断耐力を比較する力学モデルについて基礎的な検討行った.

  • 内藤 直人, 布川 修, 前田 健一
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_433-I_444
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    降雨等により斜面表層土が飽和状態に至る前の不飽和状態で小規模な崩壊が発生することがあり,その土砂流入を防ぐために斜面法尻に待受け対策工が設置される場合がある.経済的な対策工を選定するためには,不飽和土の斜面流下および衝撃力発生メカニズムを解明する必要があり,本研究では,実験だけでなく数値解析を併用してこのメカニズムを解明することを目指している.

    本稿では,不飽和土の斜面流下および衝突挙動に対する粘着力による再付着を考慮した簡易付着モデルを導入した DEM 解析の適用性について検討し,衝撃実験で得られた崩土の条件と最大衝撃力との関係を概ね再現できることを示した.また,実物大を想定した数値実験を実施し,先行して壁面に堆積する崩土が後続する崩土の衝撃に対して緩衝材のような役割を果たす可能性を示した.

  • 堤 成一郎, 長濱 啓和, Riccardo Fincato
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_445-I_453
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    疲労損傷過程は一般に,き裂発生とその後の伝播段階に分けて議論され,疲労き裂進展の駆動力としては応力拡大係数やJ 積分を採用することが多い.疲労き裂発生寿命の評価手法は様々提案されているが,著者らは近年,繰返し硬軟化挙動を再現可能な材料モデルを採用した弾塑性 FEM 解析を活用する疲労き裂発生寿命評価手法を提案している.材料の弾塑性応答に強く依存する疲労き裂の発生とその後の進展抵抗を同じ数値解析的枠組みで評価できれば,複雑な荷重履歴や疲労き裂先端の開閉口挙動,き裂面接触摩擦挙動など,疲労損傷過程の詳細なメカニズムの理解に有益であると考える.そこで本研究では,疲労き裂発生寿命評価手法を拡張することにより,疲労き裂伝播挙動を評価可能な手法を提案し,実験結果との比較によりその予測精度等に関して考察を行った.

  • 小山 宏人, 前田 健一, 安江 絵翔, 鈴木 悠真
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_455-I_466
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,浸透による支持力低減を利用するスカートサクション基礎の沈下予測や制御時に重要な土-水-構造物の相互作用のメカニズムを理解するため,1g 場の簡易浸透模型実験を実施し,上向き浸透による基礎の沈下現象を観察した.メカニズムの理解を補うため,設計で用いられている極限支持力式,三次元浸透流解析および大変形問題に優れたSPH法による数値解析など複数の観点から基礎的な考察を行った.実験結果より,極限支持力式による沈下開始の制御および動水勾配管理による沈下量の定量化を実現した.一方で浸透による噴砂および水みちの形成などの局所化現象が制御を困難にすることも明らかになった.また,数値解析では模型実験の沈下発生のタイミングを再現でき,実機の基礎貫入制御をする上で重要な知見が得られた.

  • 堤 成一郎, 柴田 誉, Riccardo FINCATO
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_467-I_476
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    社会基盤構造物において疲労が大きな問題となっており,破損事例も多く報告されている.中でも溶接継手ルート部から発生するき裂は,溶接ビード表面からの目視による発見が困難なこともあり,疲労性能支配因子の明確化と精度の高い評価手法が重要となる.本研究では,溶接継手ルート部を起点とする疲労損傷に影響を与える諸因子について数値解析的な検討を行った.具体的には,非線形 FEM 解析および線形破壊力学に基づく X-FEM 解析を実施することにより,ルート部の局所的な弾塑性挙動とそれに基づいて予測される疲労き裂発生寿命,および疲労き裂発生後の伝播挙動について考察した.その結果,応力集中の高い溶接ルート部の疲労損傷は,疲労き裂伝播過程が支配的となり,局所的な材料特性やルートギャップによる影響は小さいことを明らかにした.一方,角変形矯正が疲労寿命に与える影響は大きく,ルート部に圧縮応力を導入する付加的なプロセスによる疲労寿命延長効果が示唆される結果を得た.

  • Norihiko SUGIMOTO, Mirai ABE, Yukako KIKUCHI, Asako HOSONO, Hiroki AND ...
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_477-I_486
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    We have developed the Venus AFES (atmospheric GCM (general circulation model) for the Earth Simulator) LETKF (local ensemble transform Kalman filter) data assimilation system (VALEDAS) to make full use of observations. In this study, radio occultation measurements among small satellites are evaluated by the observing system simulation experiment (OSSE) of VALEDAS. Idealized observations are prepared by a French Venus Atmospheric GCM in which the cold collar is realistically reproduced. Reproducibility of the cold collar in VALEDAS is tested by several types of observations. The results show that the cold collar is successfully reproduced by assimilating at least 2 or 3 vertical temperature profiles in the polar region every 4 or 6 hours. Therefore, the radio occultation measurements among three satellites in polar orbits would be promising to improve the polar atmospheric structures at about 40–90 km altitudes.

  • Obaidullah SAFIE, Akihiro TOMINAGA
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_487-I_498
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    Many pile-group dikes have been built along the banks of the Kiso River in Japan for several decades to control the riverbank erosion. However, flow and bed characteristics around pile-group dikes are not treated sufficiently, and no detailed explanation has been found in the literature. This study investigates the effects of different pile-group dikes on the flow and sediment deposition. Different numbers of piles per group, which was defined as pile density, with two types of pile arrangement, namely in-line and staggered arrays were compared. The results indicate that the pile-group dikes can reduce the velocity and enhance sand deposition in the downstream along the bank. Consequently, both can increase riverbank stability. A staggered case had a lower velocity and higher deposition along the bank than an in-line case with the same pile density. Furthermore, the staggered type significantly reduced the turbulence in the downstream. From an economic point of view, a lower pile density in staggered arrays can perform like a higher pile density in an in-line arrangement.

  • 亀井 陸史, 鮎貝 崇広, 金川 哲也
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_499-I_508
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    多数の球形微細気泡を含む水中において, 波長の長い平面圧力波の弱非線形伝播に粘性と熱伝導性が与える影響を理論的に調べる. 多重尺度法を用いて, 粘性と熱伝導性を考慮した気泡流の基礎方程式系から低周波数の長波の長距離伝播を記述する KdV–Burgers 方程式を導いた. 気泡流全体の粘性と熱伝導性を無視した先行研究(金川ら, 機論 B, 76, 1802, 2010) との対比から, 液相粘性と熱伝導性の影響は散逸性のみに現れ, 気泡内気体の熱力学的過程が非線形, 散逸, 分散の全性質に影響を与えることがわかった. さらに, KdV–Burgers 方程式を数値的に解き, 非線形性, 分散性の順に波形に対して性質が発現することがわかった. 本研究と先行研究の数値解を比較すると, 本研究の方が散逸性と分散性が強いことが波形からも確認できた.

  • 櫻井 幹記, 白石 啓貴, 石原 卓
    2019 年 75 巻 2 号 p. I_509-I_518
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    一様等方性乱流中の慣性粒子の自己相似クラスタリングが数値的にも理論的にも示唆され,乱流中に共存する自己相似マルチスケールコヒーレント渦によって説明されている.しかし,粒子クラスタリングとマルチスケール渦の間の自己相似関係の直接的な抽出はまだされていない.本論文では,粗視化された乱流場における高渦度領域をサンプリングし,粗視化された歪速度テンソルの固有ベクトル空間で粒子分布の平均をとることにより,非圧縮一様乱流の直接数値計算のデータを解析した.その結果,高渦度領域が慣性粒子の低密度領域を生成し,そのサイズと形状が粗視化レベルと粒子の慣性の大きさ(St )に依存することがわかった.また,得られた平均速度場中で慣性粒子の運動を追跡すると,粗視化レベルとSt の値に依存する楕円形の領域を周回することがわかった.

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