土木学会論文集B
Online ISSN : 1880-6031
63 巻 , 4 号
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和文論文
  • 栗山 善昭, 山口 里実, 池上 正春, 伊藤 晃, 高野 誠紀, 田中 純壱, 友田 尚貴
    2007 年 63 巻 4 号 p. 255-271
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     潜堤周辺の地形変化特性を検討するために,新潟西海岸の大規模潜堤(天端幅40m,沿岸方向距離約1500m)周辺において潜堤建設開始の1989年から2004年までの16年間に取得された地形データを解析した.潜堤背後では最大4mにも及ぶ洗掘が発生し,潜堤の延伸とともに洗掘域が沿岸方向に拡大したけれども,突堤が潜堤に先行して建設された領域では汀線近傍の地形の安定には洗掘孔は大きな影響を及ぼしておらず,潜堤建設によって潜堤建設以前の侵食が抑えられ地形が安定した.さらに,潜堤沖側でも,潜堤建設以前は侵食傾向にあったものの,潜堤建設後は堆積傾向となった.潜堤背後の突堤の設置は,洗掘量そのものは軽減しないけれども,洗掘域を潜堤背後にとどめ,その影響を岸に及ぼさない効果があった.
  • 中村 聡志, 合田 良実
    2007 年 63 巻 4 号 p. 272-281
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     突堤構造物の沿岸掃流漂砂阻止機能について,規則波による波と流れおよび掃流漂砂計算で算定した通過率をもとに,波高の出現確率分布と有義波の出現確率分布を用いてこれを拡張し,有義波に対する沿岸掃流漂砂の期待通過率・阻止率を算定した.さらに,ある期間中のエネルギー平均波に対する沿岸掃流漂砂の期待通過率・阻止率に対する簡易な算定近似式を導いた.算定式は波高の代表値と突堤端水深との比をパラメタとしており,突堤の沿岸掃流漂砂阻止機能の算定方法として,利便性が高い.
  • 村上 智一, 安田 孝志, 吉野 純
    2007 年 63 巻 4 号 p. 282-290
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,台風0416号による瀬戸内海全域における高潮の再現を通して広域高潮に対する海上風および外洋からの海水流入の重要性を実証するとともに,その再現に気象モデルおよび多重σ座標系海洋モデルが有用となることを示したものである.具体的には,ここで用いた大気-海洋-波浪結合モデルによって,瀬戸内海全域の高潮が高精度に再現できることを実測潮位との比較によって実証するとともに,従来の計算手法である経験的台風モデルおよびσ座標系を用いた計算も併せて行い,前者では海上風を過小評価,後者では海水流入を過大評価することを示し,本事例のような広域高潮の高精度な再現には気象モデルによる台風下の気象場の記述および多重σ座標系海洋モデルによる海水流動記述が有用となることを明らかにした.
  • 二瓶 泰雄, 木水 啓
    2007 年 63 巻 4 号 p. 295-310
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
     低コストで高精度な自動河川流量計測システムとして,一台で流速の横断分布計測が可能なH-ADCP計測技術と河川流計算技術を融合した流量モニタリングシステムを新たに構築した.ここでの河川流計算法として,H-ADCP による流速の「線」データから「面」流速データや流量を得るために,流体力学条件を満たした形で横断面内の流速の内外挿操作が可能な力学的内外挿法(DIEX 法)を開発した.本手法の基本特性を調べるために,江戸川において約3ヶ月間のH-ADCP 観測を実施し,流量を算出した.別途行われたADCP 等による流速·流量観測結果と比較した結果,本手法による流速分布や流量の計算結果は観測結果と良好に一致し,また本手法の流量推定精度は単純に内外挿する方法(単純法)よりも高く,本手法の基本的な有効性が検証された.
  • 関根 正人
    2007 年 63 巻 4 号 p. 311-322
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
     水流の ejection や sweep といった組織的な渦運動が浮遊する土砂の運動メカニズムにどのような影響を及ぼすかに注目し,これを定量的に評価することを本研究の目的とする.ここでは,LES 乱流モデルを適用することによりせん断乱流場を数値的に再現し,この乱流場における浮遊土砂の運動を,質点系の運動方程式を数値的に解くことにより解析した.本論文では,主として最大500 個の土砂粒子の運動に関するデータを統計処理し,これを基に浮遊土砂の運動特性を明らかにしたほか,Taylor の拡散理論を適用することにより土砂の拡散係数を求めた.本研究による主たる結論として,従来とは異なるこのような方法によって算定された拡散係数が水流の乱流拡散係数と同等の値をとることが理解された.
  • 風間 聡, 松本 哲, 沢本 正樹
    2007 年 63 巻 4 号 p. 323-337
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     水文モデルの水情報を考慮した生息分布推定手法を提案した.分布型水文流出モデルにより流速,水深の分布および年間変動を求め,同時に数値地理情報を元に,土地被覆,市街化率や勾配などのデータセットを作成した.名取市における既知の生息地図を用いて評価対象生物の存在確率からSIモデルを構築し,SI値から影響因子を定量的に把握した.これらのSIの合算により,生物毎の生息適性値HSIモデルを構築した.このモデルを用いて名取川流域全域のHSI分布図を作成し,既往の観測結果と比較した結果,カエル類,流水性トンボ,止水性トンボ,ヘイケボタル,ゲンジボタルの5種で正答率90%を上回り,概ね妥当な結果を得ることができた.水生生物の生息域推定には,水文データが重要な因子であることが理解された.
  • 風間 聡, 松本 哲, 沢本 正樹, 浜本 洋
    2007 年 63 巻 4 号 p. 338-350
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     流域環境を生態学的観点から評価する手法を提案した.現地調査から得られた生息域上において数値地図情報と水文モデルの生息環境情報を抽出し,HSI(生息適性指数)を求めた.この指標を用いて,土地利用が変化した場合,気候変動が生じた場合を生物毎に議論した.また,HSIを総合化することから生物多様性を求めた.これらの結果,都市化が止水性水生生物の生息場に強い影響を与えること,オオタカの生息場が生物多様性の高い地域と合致すること,多様性の大きい地域は主に中流域に存在することが理解された.また,これらを総合的に取り扱うことから流域環境を考察した.本手法を用いると流域環境を定量的にかつ分布的に評価することが可能となる.
  • 宮本 仁志
    2007 年 63 巻 4 号 p. 357-367
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
    本論文では,開水路における乱流と水表面を同時画像計測することによって水面波紋の流体力学的挙動を実験的に解明するとともに,河川ローカルリモートセンシング技術への成果還元を念頭において可視化トレーサーとしての水面波紋の性能を定量的に評価した.水面波紋の走時挙動は,波−流れ共存場において遡上する波動エネルギーの伝播速度を用いて非常によく説明できることがわかった.遡上波のエネルギーフラックスの全体的なバランスを考慮することによって,水面波紋の代表波数を用いた断面平均流速の推定式を導出し,その有効性を検証した.実河川において水面波紋を可視化トレーサーとした場合,急勾配 · 大流量なほど平均流速への追随性が上がるが,高精度計測のためには本論文で提案した推定式のような波動理論に基づく補正が必要とされる.
和文ノート
  • 高木 泰士, 中島 ちひろ
    2007 年 63 巻 4 号 p. 291-294
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     海岸や海洋構造物を合理的に設計するためには,信頼性の高い推定手法を用いて波圧を推定することが重要であることは言うまでもないが,荷重と抵抗力の各変動特性を考慮した設計法である信頼性設計法が今後この分野において普及していくことを考えると,事前に適用可能な波圧推定手法の精度を定量的に評価しておく必要がある.本研究では,大水深に設置される防波堤において支配的な外力となる重複波圧に着目して,その有力な推定手法と期待される有限振幅重複波理論に基づく第4次近似解の推定精度の定量的な評価を水理模型実験の結果との比較に基づいて試みた.その結果,実験値と計算値の比は平均0.91,標準偏差0.10という変動特性値が得られ,また両者の関係性は正規分布で近似可能であることがわかった.
  • 湯谷 賢太郎, 田中 規夫
    2007 年 63 巻 4 号 p. 351-356
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     ヨシ茎の通気抵抗特性を,ダルシー · ワイズバッハの損失形式を用いて評価した.ヨシ茎は内径の等しい管路とし,厚さのない多孔質の節隔壁群によって仕切られていると考えてモデル化した.通気による損失は,主に節隔壁と根元部の茎内空洞で生じていた.根元部を除く茎内空洞での摩擦損失係数は,レイノルズ数と逆比例の関係が確認された.茎内空洞では層流状態と考えられたが,損失係数は理論値と比較して大きくなった.節隔壁での損失係数は速度ヘッドの1/2乗に正比例した.実験結果より,通常の損失係数に速度を掛けた損失係数を再定義し,ヨシ茎内の流れにダルシー型の式が適用可能であることを示した.節の数に着目して測定した実際の通気量と,モデルによる計算結果を比較したところ,モデルは節の数による通気量変化の傾向を良く表現した.
  • 永井 紀彦, 野津 厚, 李 在炯, 久高 将信, 安立 重昭, 大町 達夫
    2007 年 63 巻 4 号 p. 368-373
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     本稿は,全国沿岸の浅海域に設置されている海底設置式波浪計の水圧変動計測センサーが捉えた,2005年宮城県沖の地震と2007年能登半島地震による近地津波来襲に先立つ短周期水圧変動観測記録を紹介するものである.短周期水圧変動は,津波が来襲する数分から数十分程度前に,近傍で観測された地震動とほぼ同時刻に観測されたが,その継続時間は地点毎に大きく異なり,地震動と同程度かそれより長かった.周波数スペクトルの解析結果では,短周期水圧変動は,近傍の地震動と概ねよく対応し,時間の経過と共にピークが徐々に低周波側にシフトする現象が見られた.浅海域沿岸波浪計による短周期水圧変動観測は,津波来襲前に地震が海水に及ぼす影響を直接検知するものであるため,既存観測網と情報システムの改良による津波防災への応用が期待される.
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