土木学会論文集B
Online ISSN : 1880-6031
ISSN-L : 1880-6031
63 巻, 2 号
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委員会報告
  • -津波水位の確率論的評価法ならびに分散性と砕波を考慮した数値モデルの検討-
    原子力土木委員会 津波評価部会
    2007 年 63 巻 2 号 p. 168-177
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/20
    ジャーナル フリー
     原子力発電所の津波に対する安全性評価に係る検討として,津波水位の確率論的評価法について検討を行い,ロジックツリーに基づく評価体系の枠組みを立案し,東北日本太平洋側を対象に試計算を行った.また,津波のソリトン分裂が発生すると津波の波高が増幅し,その後の砕波により波力や流速が増大する場合があることから,非線形分散波理論に基づき,津波の分散性と砕波を考慮した数値計算モデルを提案し,現地計算へ適用することにより実用性の確認を行った.また,津波により防波堤および陸上構造物に作用する波力評価手法について検討した.本報告では,これらの検討成果を紹介する.
和文論文
  • 佐山 敬洋, 立川 康人, 寶 馨
    2007 年 63 巻 2 号 p. 92-107
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/21
    ジャーナル フリー
     洪水を予測するうえで,降雨の空間分布をどの程度の分解能で流出計算に反映するべきかを検討する.降雨がどこに位置するかを陽に取り扱うことなく,下流端での洪水流出を再現できる最大の流域面積を基準面積と定義し,分布型流出モデルを用いたシミュレーションによりその大きさを決定する.基準面積に影響する要素として,降雨・流域特性の空間分布,河道網の効果に着目し,それらの要素と基準面積との関係を明らかにする.淀川流域を対象とした分析の結果,流域面積が150 km2 から1,500 km2 の範囲では,基準面積は流域面積に関わらず絶対的な大きさで決まり,河道網の効果が主にその大きさを規定していることが分かった.また,ピーク流量の許容誤差を5%とすると基準面積は200 km2 になることが分かった.
  • 小林 健一郎, Reinhard HINKELMANN, Rainer HELMIG, 寶 馨, 玉井 信行
    2007 年 63 巻 2 号 p. 120-133
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
     本稿では地下水位が回復した状態の閉鎖炭鉱で,残留炭層から脱着したメタンがどのように地表面に向かって流動するかを,仮想帯水層を設定し,多相流モデルを用いて数値実験を行うことにより考察している.ここではまず相間質量輸送を考慮しない基礎的な気液2相モデルを用いてシミュレーションを行い,このモデルがどのような場合に適用可能かを考察した.その後,2相(気・液)・3成分(空気・水・メタン)モデルを別途開発し,同様なシミュレーションを行った.結果,質量輸送を考慮しない基礎的な2相モデルによるシミュレーションでは仮想帯水層中のメタンは地上まで到達するのに対し,2相・3成分モデルによる計算結果はメタンの地下隔離が可能であると示すなど,状況に応じてモデルを使い分けなければ,結果に多大な差が生じることが示された.
  • 鬼束 幸樹, 秋山 壽一郎, 俣賀 円, 井田 千尋
    2007 年 63 巻 2 号 p. 134-143
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
     横越流堰の越流量を予測するには,流量式における流量係数を定量的に解明する必要がある.流量係数のパラメータは,フルード数,相対堰高,相対堰長および相対水深の4つであるが,接近流が常流の場合ではこれら4つのパラメータを系統的に変化させた実験が行われ,流量係数が定式化された.接近流が射流の場合については,相対堰高をゼロとしてその他3つのパラメータを系統的に変化させた実験が行われ,相対水深の影響が微少であることが実験的に解明された.本研究では横越流堰に接近する流れが射流の状態において,相対水深を一定とし,フルード数,相対堰高および相対堰長の3つのパラメータを系統的に変化させて,実験を行った.その結果,接近流が射流の場合の横越流堰の流量係数の定式化に成功した.
  • 熊田 貴之, 宇多 高明, 芹沢 真澄
    2007 年 63 巻 2 号 p. 154-167
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/20
    ジャーナル フリー
     等深線変化モデルを基礎として,3次元海浜変形のみならず底質粒径の平面変化を予測可能なモデルを開発した.従来のモデルでは計算の安定性に課題が残されていたが,実現象に立ち戻って平衡勾配の基本特性を見直した上でその解決を図った.海浜のある場所の平衡勾配は,そこに最も多く存在し,厚い砂層を形成している卓越粒径集団の砂の平衡勾配に強く支配され,表層の交換層内の粒度組成変化の影響は小さいと仮定し,この卓越粒径集団の概念をモデルに導入することで,防波堤など波の遮蔽域周辺での海浜変形に加えて,平面的な底質粒度組成変化の予測が精度良く安定して計算可能な方式を開発した.モデルを千葉県検見川浜および下原漁港周辺の海浜変形に適用し,その妥当性を検証し,海浜変形と底質粒径の平面変化予測が可能なことを実証した.
和文報告
  • 古川 博一, 河村 賢二, 原 稔明, 木戸 研太郎, 福壽 真也
    2007 年 63 巻 2 号 p. 144-153
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,琵琶湖水質の連続観測データおよび長期気象観測データにもとづき,秋~冬期の成層崩壊期から循環期に移行する過程における深層部の水温・溶存酸素の変化メカニズムを検討し,循環期の気温と深層部のDO回復の関連等について考察した.ついで,琵琶湖北湖における現地調査結果より,循環による深層部へのDO供給量を試算するとともに,同時期に河川から流入したDO量との比較を行った.
     その結果,琵琶湖深層部へのDO供給メカニズムにおいては,融雪によるDOの流入よりも湖水循環に伴う湖面からの酸素供給が支配的であることを実測値より裏付けるとともに,深層部のDO回復のためには循環期にあたる冬期がいかに寒いかが重要であることを指摘した.
英文論文
  • Kh. Md. Shafiul ISLAM, Teruyuki FUKUHARA
    2007 年 63 巻 2 号 p. 108-119
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/21
    ジャーナル フリー
    In this study, attempts were made to provide a group of complete heat and mass transfer correlations, and to propose a new heat and mass transfer model for a Tubular Solar Still (TSS) by taking account of thermal properties of the humid air inside the still. We developed a new experimental technique for directly measuring the evaporation rate from the saline water surface in the TSS and evaluated the evaporative mass transfer coefficient. Indoor experiments were conducted to investigate the production performance and the heat and mass transfer coefficients of the TSS. It was found that i) the heat and mass transfer coefficients, hcha, hcw, hcdha, hew can be expressed as functions of the temperature difference between the saline water and the cover, and ii) the conventional formula available for a basin type still overestimates the convective heat transfer coefficient, hcw for the TSS. Furthermore, in this study, the long-wave radiation interaction between the water surface and the tubular cover was shown theoretically.
    We also proposed a new heat and mass transfer model of TSS. The mass balance of water vapor inside the still was formulized for the first time. The proposed model was successful in the calculation of humid air properties (temperature, vapor density and relative humidity) and condensation flux on the tubular cover inner surface besides the saline water temperature, tubular cover temperature, trough temperature and evaporation flux. The validity of the model was evaluated from the comparison with field experiments in Fukui, Japan and in Hamuraniyah, UAE. It was seen that the calculated results also had a good agreement with the field data.
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