渡り鳥の保護は地球全体の生態系保全観点から重要である.そのため,ラムサールという国際条約が制定された.現在,渡り鳥保護ための研究が盛んに行われているが,水鳥類が利用する湿地のcarrying capacityという視点が欠けている.鳥および人間のために湿地の持続的利用に着目する研究が不可欠である.本研究ではその第一歩として,渡り鳥集団が越冬水域の栄養塩挙動に与える影響について,知見を得ることを目的とした.
ラムサール条約に登録された佐潟における渡り鳥の飛来・越冬実態の調査結果に基づいて,鳥の糞による栄養塩負荷の見積りを行い,1998年12月において,リンの上昇の70%,窒素の上昇の30%は渡り鳥の糞の寄与であった推定を導いた.また鳥の糞が底質に影響を及ぼすことを示唆した.さらに,佐潟のcarrying capacityを検討した.
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