土木学会論文集B
Online ISSN : 1880-6031
ISSN-L : 1880-6031
65 巻, 1 号
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和文論文
  • 傳田 正利, 天野 邦彦, 辻本 哲郎
    2009 年 65 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     魚類自動追跡システム(Advanced Telemetry System:ATS)の実用性検証のため,千曲川鼠橋地区(調査地)で実証実験を行った.調査地の受信局配置では,ATSは水中にある電波発信機の位置を電波到来角推定誤差4.05°,調査地では平均誤差約18.93mで位置特定可能であった.ATSで供試魚の行動を追跡した結果,約3分に1回の割合で連続的に155日間魚類行動を追跡し,出水時の追跡にも成功した.平水時には,供試魚は約4000m2を行動圏として活動し主に深部を利用していた.出水時には,供試魚は流量増加に伴う流速変化に対応し,流速の遅い場所を選択し下流への流下を回避することが明らかになった.本研究の結果は,出水時,高水敷が魚類の避難場として機能していることなどを示唆するものであった.
  • 高山 知司, 安田 誠宏, 辻尾 大樹, 井上 純一
    2009 年 65 巻 1 号 p. 15-30
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,コスト削減の観点から,沿岸構造物の被覆材について,ライフサイクルコスト(LCC)を最小化する最適設計手法を提案するものである.本手法では,LCCとして初期建設費と設計供用期間の補修費を対象とし,消波ブロックの補修費の算出には,既存の経験式を用い,被覆石と被覆ブロックに関しては,水理模型実験によって新たに求めた被災度算定式を用いた.
     消波ブロックについて,現行設計法と比較して最適設計法の有用性を示した.また,被覆石および被覆ブロックについては,検討対象護岸に関して最適設計を行った結果,LCCが最小となる被覆石を用いると,コストを大幅に削減できることを示した.
  • 有働 恵子
    2009 年 65 巻 1 号 p. 31-45
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     茨城県青塚海岸において後浜変形および底質粒径変化を調べることにより,後浜の土砂輸送プロセスに関する基礎的な知見を得た.対象海岸では2003年12月から2005年2月までの観測期間中後浜に既存の砂より小粒径の砂が養浜されたものの,長期的には後浜への養浜の影響は限定的であると判断された.養浜前後を除けばビーチカスプが形成されており,2005年1月の荒天時にはカスプのBay付近への粗砂の堆積に起因して後浜の粗粒化およびカスプの変形が生じた.同県波崎海岸の観測結果との比較により,砂浜海岸の底質粒径変化は,波の遡上域における粗粒化,強い海風による粗砂の後浜への輸送と拡散,ならびに粗細混合砂領域における弱風による細砂のみの輸送,というプロセスにより一般的に生じることが示された.
  • 河内 友一, 山磨 敏夫, 山本 有生, 大久保 賢治
    2009 年 65 巻 1 号 p. 46-55
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     2005年秋,岡山県のダム貯水池の側湾底層に水質・流速計を係留した.機器の設置(10月31日)と回収(11月9日)の際,側湾奥から本川下流ダム壁近傍まで水質プロファイルを測定した.設置時には貯水池下流端深部に溶存酸素量が0mg/Lに近い低温の貧酸素層が存在したが,回収時には10mg/Lに回復するとともに水温が上昇していた.その間,連続計測した側湾底層の流速記録から冷却性対流循環により側湾から本川へ向かう下層密度流の発生が確認された.下層密度流の貯水池内の縦断流れ構造を斜面で発生する下層プルームの相似解と比較して評価した結果より10月31日の貧酸素・低温の貯水池底水が側湾から下層密度流として潜入した水に置換えられたと考えられる.
  • 合田 良実, 吉田 秀樹, 蜂須賀 和吉, 黒木 敬司
    2009 年 65 巻 1 号 p. 56-69
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     干出型の離岸堤や没水型の人工リーフを総称する低天端堤については,これまで適切な波高伝達率の推定法が確立されていなかったが,内部透過波と乗り越え伝達波の両者のエネルギー合成の考え方に基づく新しい実用的推定法を取りまとめ,既往の各種実験851データの波高伝達率の実験値ならびに現地の低天端堤(糸魚川,湯河原,新潟西海岸)の観測値と照合し,新方式の適用性を確認した.天端拡幅による波高伝達率の低減も再現された.
     波高伝達率を支配する主パラメータは天端高と入射波高の比であり,内部透過波については天端幅と内部構成材の有効径との比および天端幅と波長の比,乗り越え伝達波については天端幅と深海波長との比が副パラメータとなる.さらに,模型の縮尺効果についても論究した.
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