魚類自動追跡システム(Advanced Telemetry System:ATS)の実用性検証のため,千曲川鼠橋地区(調査地)で実証実験を行った.調査地の受信局配置では,ATSは水中にある電波発信機の位置を電波到来角推定誤差4.05°,調査地では平均誤差約18.93mで位置特定可能であった.ATSで供試魚の行動を追跡した結果,約3分に1回の割合で連続的に155日間魚類行動を追跡し,出水時の追跡にも成功した.平水時には,供試魚は約4000m
2を行動圏として活動し主に深部を利用していた.出水時には,供試魚は流量増加に伴う流速変化に対応し,流速の遅い場所を選択し下流への流下を回避することが明らかになった.本研究の結果は,出水時,高水敷が魚類の避難場として機能していることなどを示唆するものであった.
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