土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
62 巻 , 4 号
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招待論文
  • 千木良 雅弘
    2006 年 62 巻 4 号 p. 722-735
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     地すべり・崩壊発生場所を広域から抽出するための地質・地形的考え方と手法について現状をとりまとめた.表層崩壊に対しては,現在の技術で個々の発生場所を特定することは,土層の構造と性質が空間的に多様であるがために困難である.むしろ,自治体程度の広がりの危険度を既往の崩壊実績で評価することが実際的であると考える.既往の崩壊地形は近年実用化された航空レーザースキャナによって検出可能である.体積10万m3を超えるような大規模な地すべり・崩壊については,降雨による場合も地震による場合も,あらかじめ前兆的な地形が認められることが多いので,それを鍵にして発生場を予測することができる.ただし,地震によって発生する降下火砕物の急激なすべりや崩壊は前兆的な山地斜面の変形を伴わないので,その物質自体の存否を把握することが重要である.
和文論文
  • 石澤 友浩, 國生 剛治
    2006 年 62 巻 4 号 p. 736-746
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     地震時の斜面安定は,静的震度を考慮した滑り面法や加速度時刻歴を用いたNewmark 法により評価されてきたが,これらの方法は破壊後の大きな変形量や下流への影響範囲の評価には無力である.本研究では,地震時の斜面崩壊に関わるエネルギーに着目したエネルギー的評価方法の開発を目指し,新たに工夫した振動台実験により乾燥砂模型斜面の滑り破壊に関わるエネルギーと斜面の残留変位量を計測した.模型実験では,斜面変形に関わるエネルギーが破壊後の変形量と密接に関係していることが示された.振動台の振動数と斜面勾配の斜面変形量への影響を検討し,これらの結果と剛体ブロックモデルでのエネルギーバランスに基づき,実用レベルへの課題はあるものの,エネルギー的な斜面変形量の簡便な評価法の基本的な可能性を明らかにした.
  • 京谷 孝史, 平出 壮司
    2006 年 62 巻 4 号 p. 747-756
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     本論文では,均質化理論に基づくトポロジー最適化手法を応用したロックボルトの最適配置設計法を提案する.ロックボルトを挿入することによる岩盤の弾性係数と強度の増加は,均質化理論に基づく解析を通して定量的に評価することを通して,弾性係数と強度を配置間隔と挿入角度の関数として近似表現することができる.それらを基本関数として,岩盤構造物全体のグローバルコンプライアンスや破壊に対する安定性を表す汎関数を定義することにより,制約条件下でのそれら汎関数の最大化あるいは最小化問題としてロックボルトの間隔と挿入角度を最適化する最適配置設計問題を定式化する.例題として,提案法を道路トンネルの標準支保パターンに適用してその有効性を検証する.
  • 海野 寿康, 風間 基樹, 渦岡 良介, 仙頭 紀明
    2006 年 62 巻 4 号 p. 757-766
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     繰返しせん断による砂質土の体積収縮挙動に関連し,同一の繰返しせん断ひずみ履歴下での乾燥砂の排水繰返しせん断中に生じる体積ひずみと飽和砂の非排水繰返しせん断による液状化後の再圧密体積ひずみ量の比較検討を行った.ひずみ制御の繰返しせん断試験においては,同一の載荷履歴では,乾燥砂の繰返しせん断中に生じる体積ひずみは,飽和砂の繰返し載荷後の再圧密の際に生じる体積ひずみと等しいことを示した.このことから,液状化後の再圧密における体積収縮量は乾燥砂を用いた試験を行うことで代用することが可能である.また,乾燥砂の繰返しせん断による体積収縮量には,下限値が存在し,この値は砂の最大密度・最小密度試験の値とは異なることがわかった.
  • 市川 智史, 末政 直晃, 片田 敏行, 豊澤 康男, 島田 俊介
    2006 年 62 巻 4 号 p. 767-779
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     補強土壁における現行の耐震設計では,力学的な釣合いより求めた安全率が評価指標として用いられているが,頻度の低い大規模地震動に対してはある程度の変形を許容する方が現実的であり,変形量に基づく合理的な設計法が望まれている.一方,台湾集集地震ではブロック積み補強土壁が大変形したことが確認され,壁面工の影響が補強土壁の変形量に及ぼすことが予想される.そこで本研究では,アンカー式補強土壁について壁面工の違いに着目した動的遠心実験を実施し,耐震性に及ぼす壁面工の力学的効果について検討するとともに,Newmarkのすべりブロック法による変形解析を行い,補強土壁の変形予測を試みた.この結果,壁面工の違いにより変形モードが異なることが遠心実験及び変形解析により確かめられた.
  • 長谷川 憲孝, 松井 保, 田中 泰雄, 高橋 嘉樹, 南部 光広
    2006 年 62 巻 4 号 p. 780-792
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     神戸空港は神戸港沖に埋立造成して築造されたが,海底地盤には洪積層が厚く堆積している.大阪湾の洪積粘土は擬似過圧密粘土とされており,その挙動については不明確な部分が多い.あわせて海成粘土層の間に堆積している砂礫,砂,粘土の互層部の排水能力が不明確であった.これらのことを解明するために,洪積層において区間変位測定器および多深度間隙水圧計により圧縮量や間隙水圧の測定を行った.対象としたのは,埋立荷重により正規圧密状態に入ると思われる洪積層の上部に分布するDs1~Ds3層(互層部)とMa12層,Ma11層の上部である.計測の結果,Ma12層の上部については実測による圧密降伏応力を把握することができ,室内土質試験より求められた値に対する低下率を把握することができた.あわせて,互層部の排水能力の高いことが確認できた.
  • 浦野 祐嗣, 小峯 秀雄, 安原 一哉, 村上 哲
    2006 年 62 巻 4 号 p. 793-802
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     日本建築における石材の使用用途は,多くが仕上材料として用いられるため,石材の品質は主に色彩や色調により評価される.現在,石材の色彩測定・評価方法は,肉眼観察もしくは表色系を採用した測色計によるものが主である.しかし,前者は観測者の経験・感性等に依存し再現性に乏しく,後者は複数の鉱物の混合色を測定してしまうという欠点を有する.そこで本研究では,デジタルカメラを用いた新しい色彩測定方法を提案し,石材の色彩を緻密かつ広範囲に測定することを可能にした.また,この方法から得られる結果から,色彩・色調を定量的に評価できる新しい指標値を提案した.この指標値を用いて,茨城県産などの石材に対して色彩・色調測定およびその評価を行った結果,その有効性が確認された.
  • 伊藤 弘志, 鈴木 啓三, 小峯 秀雄
    2006 年 62 巻 4 号 p. 803-813
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     近年,ベントナイトは高レベル放射性廃棄物地層処分における緩衝材の原材料としての検討が各国で進められている.粒状ベントナイトは,緩衝材を現場施工によって施工する際の原材料として期待されている.従って,粒状ベントナイトの締固め・透水特性におよぼす粒度分布や原材料である原鉱石の物理・化学的特性の影響を把握することは重要である.本研究では,異なる産地・粒径を有するいくつかの粒状ベントナイトの締固めおよび透水特性について調査した.その結果,粒状ベントナイトの締固め・透水特性は,原材料である原鉱石の塑性限界とモンモリロナイト含有率によって評価できることが分かった.
  • 大谷 順, 永谷 英基, 高野 大樹
    2006 年 62 巻 4 号 p. 814-824
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,トンネル切羽崩壊機構の解明とその評価を目的とし,産業用X線CT装置とトンネル引抜き模型実験装置を連動させた実験システムを用いて,CT画像に基づく3次元崩壊領域の可視化を行うと共に,切羽前方に生じるすべり面や緩み領域の定量的評価を試みた.また,遠心場でのトンネル引抜き模型実験によって,実規模応力レベルでの崩壊領域を確認することで,CT実験より得られた結果の妥当性を確認した.さらに,ここで得られた3次元崩壊機構を基にした切羽安定解析モデルを提案し,その妥当性について検討し,比較的良好な結果を得た.
  • 竹下 祐二, 森井 俊広
    2006 年 62 巻 4 号 p. 831-839
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     不飽和砂質土地盤における表層近傍部分の飽和透水係数および不飽和透水係数を同一試験地点において連続的に,簡便かつ迅速に原位置計測することを目的として,Guelph Pressure Infiltrometerに基づいた定水位透水試験装置に挿入型土中水分計を併用した簡易な原位置透水試験方法を提案した.本試験方法では,定水位透水試験による浸潤過程での定常浸透流量により飽和透水係数を算定した後,排水過程における土中水分量の非定常データを用いてInstantaneous Profile Methodにより不飽和透水係数を算定する.この際,動水勾配の経時変化の計測を省略し,単位動水勾配の採用を提案した.本方法の適用性は数値シミュレーションデータによって吟味し,その有用性は砂丘砂地盤による実測データを用いて確認した.
  • 日置 和昭, 青木 一男
    2006 年 62 巻 4 号 p. 840-857
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     電解質物質による地盤環境汚染問題を考えるうえでは,土粒子への吸脱着現象が重要となる.本研究では,吸脱着現象の機構解明などを目的にバッチ試験を実施し,電解質物質の吸脱着・交換反応などについて,Sternが提唱した電気拡散二重層モデルの視点から種々の考察を行った.その結果,吸脱着機構の濃度依存性や化学ヒステリシスの発生要因などが明らかになるとともに,土壌酸性化が吸脱着特性に及ぼす影響などについても確認することができた.また,吸脱着機構の濃度依存性に関連付けて電解質物質吸脱着量の定式化を図ることにより,電解質濃度の増加・減少過程における吸着等温線をほぼ的確に表現できることを確認した.
和文報告
  • 篠崎 晴彦, 松田 博, 坂井 悦郎, 小野 幸一郎, 鈴木 操, 中川 雅夫
    2006 年 62 巻 4 号 p. 858-869
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     水硬性を有する高炉水砕スラグの硬化に及ぼす粒度(粒子破砕),拘束圧,アルカリ刺激,温度等の影響を室内試験で確認するとともに,粒子接触点数と一軸圧縮強さの関係,液相中のイオン濃度に着目して調べた.また,地盤改良工法への適用性の確認のため試験施工を行い,硬化・透水性の経時変化を調べた.その結果,粒径と間隙比から求めた単位体積あたりの接触点数と一軸圧縮強さには相関性が認められること,サンドコンパクションパイル(SCP)工法におけるスラグ杭は締固めに伴う粒子破砕により,施工後約3か月で著しい硬化と透水性の低下が生じることを確認した.
和文ノート
  • 坂上 実, 吉田 次男, 山下 克己, 前川 太, 片山 周平, 太田 秀樹
    2006 年 62 巻 4 号 p. 825-830
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     高圧条件下での密な砂質土の挙動を明らかとするため,3種類の不攪乱試料を用い,高圧三軸圧縮装置による等方圧密,等体積せん断試験を行い材料特性の把握を行った.その結果,高圧条件下の密な不攪乱砂の圧密,せん断挙動は粘性土に類似し,圧密降伏応力が存在すること,および圧密降伏応力前後でせん断挙動が異なることを確認した.圧密試験後,せん断試験後に粒度試験を行い,圧密応力が増加するにつれて粒子破砕の発生率が増加し,特に圧密降伏応力を超えると粒子破砕が顕著になることを確認した.
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