土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
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62 巻, 3 号
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英文論文
  • Shixin LIU, A. H. M. Faisal ANWAR, Takafumi SEIKI, Yasuaki ICHIKAWA
    2006 年 62 巻 3 号 p. 623-630
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
    Microcrack generation and propagation is an important phenomenon, which describes the long-term behavior of a crystalline rock. In this study, a progressive development of microcrack in granite and its proagation was observed using microscope under water-saturated triaxial compression. A series of triaxial relaxation tests was performed with fine and coarse grained granite. Results revealed that there exists a strong relationship between the stress relaxation and the microcrack propagation. Three stages of stress relxation rate were identified where stage one offers the maximum microcrack generation and propagation. The microcrack propagation in fine grain granite was found higher than the coarse grain granite because of higher number of contact points between the grain boundaries. Stress concentration occurs in these boundaries and microcracks are propagated through these contact points.
和文論文
  • 芮 大虎, 鈴木 輝之, 山下 聡, 林 啓二
    2006 年 62 巻 3 号 p. 562-572
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
     廃棄物処理施設の確保の制約や処分場の埋め立て量に限界があることから,廃棄物を有効利用するための技術開発が図られている.筆者らは粒状廃棄物がL型擁壁の凍上対策の置換材料として代替可能であるかを屋外実験で検証し,廃棄物の新たな利用方法の開発を行ってきた.本論文では,袋詰めにした粒状廃棄物(EPS減容品,ガラスカレット)をプレキャストコンクリートL型擁壁に裏込めして,地盤凍結期における裏込め中の凍結状況や壁体変位の動態観測を行った.2シーズンにわたる実験から,凍上抑制置換材料として粒状廃棄物の活用が十分可能であることを明らかにした.
  • 大向 直樹, 今井 五郎
    2006 年 62 巻 3 号 p. 579-592
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
     圧密降伏応力付近の載荷重によって長期的な沈下挙動が問題となるような粘性土地盤に対しては,その圧密降伏応力の値を精度良く適切に評価することが重要である.特に降伏後に圧縮性が急増する粘性土地盤では,決定した圧密降伏応力の値が沈下予測の精度に与える影響は大きい.さらに,圧密降伏応力はひずみ速度の影響を受けるのでこれを考慮することが不可欠である.本研究では圧密履歴や過圧密比の値が異なる大阪湾周辺の3地区(大阪湾/尼崎/京都)の粘土に対して各種圧密試験を実施し,圧密降伏応力のひずみ速度依存性について詳細に検討した.その結果,圧密降伏応力のひずみ速度依存性を全面的に把握するには,10-11 s-1 付近の低レベルひずみ速度まで対象にすることが工学的に重要であることなどを示した.
  • 田中 智宏, 安田 進, 石井 隆志
    2006 年 62 巻 3 号 p. 593-604
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
     護岸背後地盤の液状化に伴う地盤の流動に対して,いくつかの対策方法が考案され研究されてきつつある.鋼矢板や鋼管矢板等の連続壁による対策工法は既に実用化に至っている.筆者らは地中配管等を多く有するコンビナート施設等への適用が可能である非連続な対策杭を用いた方法を考案し,その有効性を確認するため1G場の模型振動実験により検討した.その結果,護岸背後地盤では液状化が発生し流動が生じ,護岸や杭基礎は海側に移動した.これに対し護岸背後にある杭基礎の対策工として対策杭を護岸と杭基礎の間に2列に設置することで杭基礎や地盤の変位量を低減することができた.
     次に実験と同じ地盤モデルにおいて3次元のFEM残留変形解析を実施した.その結果,実験同様に対策杭の設置が杭基礎や地盤の変位量の低減に対して有効であるとの結果が得られた.
  • 鬼塚 克忠, 根上 武仁
    2006 年 62 巻 3 号 p. 643-656
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
     筑後平野は九州最大の河川である筑後川左岸部に位置する.右岸部の佐賀平野の地盤沈下はよく知られているが,左岸部の筑後平野にも,時期を同じくするかそれ以前から佐賀平野の地盤沈下に劣らぬスケールの地盤沈下現象が生じていた.しかし,筑後平野の地盤沈下については,全国的に取り上げられることは少なかった.本研究では,筑後平野の地盤沈下現象に関する既往の報告書や文献調査,新たなデータの入手と整理,考察を行った.筑後平野の地盤沈下,地盤深層部の地下水位低下,有明海の海底陥没と海底石炭採掘の実態について述べ,筑後平野の有明海沿岸部地盤沈下はかっての海底石炭掘削に伴う地下水くみ上げによるものであり,最近の地盤隆起は閉山後の地下水位回復によるものとの結論に達した.
  • 崔 紅斌, 孫 徳安, 松岡 元
    2006 年 62 巻 3 号 p. 657-666
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/20
    ジャーナル フリー
     締め固めたベントナイトと砂の混合材に対して,浸水による3次元的な変形特性を調べた.試験結果より,浸水による膨潤体積ひずみは主応力比 R よりも平均主応力 p の影響を大きく受けること,そして,浸水によるせん断ひずみは平均主応力 p よりも主応力比 R の影響を大きく受けることがわかった.浸水終了時の単位乾燥体積のモンモリロナイトの取り込む水の量を示すモンモリロナイト間隙比 em がベントナイト配合率,初期乾燥密度,主応力比 R にかかわらず平均主応力 p と両対数座標上で唯一の直線関係になることがわかった.これより,異なる配合率,初期乾燥密度,主応力比,平均主応力のもとでの浸水による体積ひずみが予測可能となる.また,同じ供試体の三軸圧縮状態での浸水によるせん断ひずみも主応力比 R との近似関係式より評価できることを示した.
  • 金子 賢治, 堤 成一郎, 高嶋 孝征, 熊谷 浩二
    2006 年 62 巻 3 号 p. 667-678
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/20
    ジャーナル フリー
     均質化理論に基づくマルチスケールモデリングにおけるミクロスケール問題はマクロスケール問題に対する構成関係を与えると解釈される.本研究では,この解釈に基づき粒状体の3次元ミクロスケール解析を実施し,粒状体の巨視的な負荷面の評価を行った.まず,マルチスケールモデリングの概要について述べ,ミクロスケール問題がマクロスケール問題に対する構成関係を与えることを示した.次に,3次元ミクロスケール解析により負荷面および負荷面と関連のある流動則について評価・考察した.その結果,粒状材料の負荷面は角点を含む曲面となり移動・回転硬化を示すこと,角点付近では塑性ひずみ増分の増分非線形性が現れること,π平面においては塑性ひずみ増分の増分非線形性が顕著なため負荷面を一意的に定めることが困難であること等の知見を得た.
  • 神谷 浩二, Rully BAKRIE, 本城 勇介
    2006 年 62 巻 3 号 p. 679-688
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,土構造物への降雨などの浸水に伴う間隙空気挙動の検討のため,不飽和土の透気特性を究明したものである.不飽和土の試料層にサクションを与えて飽和度を制御しながら透気係数を測定できる手法・装置を開発・提案して,土の保水性と透気係数の関係を考察した.その結果,提案装置・手法によって,不飽和な砂やシルトについて,10-3~100cm/sの範囲の透気係数を測定できることが判明した.そして,飽和度と透気係数の関係ならびにサクションと透気係数の関係にはいずれも間隙水の排水と吸水過程の履歴によってヒステリシスが生じ,同じ大きさの飽和度あるいはサクションのときの透気係数は吸水過程の方が大きくなることなどを認めた.
  • 大向 直樹, 今井 五郎
    2006 年 62 巻 3 号 p. 689-706
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/20
    ジャーナル フリー
     高位な構造および擬似的な過圧密比を有する粘土層の沈下を精度良く予測する手法が求められている.本研究では,このような粘土層を含めた様々な粘土地盤に対する沈下予測精度を向上させるための基礎データ取得を目的として,様々な要因で骨格構造の高低が異なる自然堆積粘土に対して圧密試験を行った.また,自然堆積粘土の構造の高低を定量的に評価するために新たな指標を提案し,それと圧縮性の関係を検討した.その結果,降伏条件は圧縮降伏・クリープ降伏によらず同一であり,自然堆積粘土の圧縮性の大小が降伏時の構造の高低に強く依存すること,圧縮曲線のひずみ速度依存性や二次圧密係数の大小が塑性図を利用して定量的に評価できること,などを示した.
  • 島内 哲哉, 大西 有三, 西山 哲, 酒井 直樹
    2006 年 62 巻 3 号 p. 707-721
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/20
    ジャーナル フリー
     落石の挙動は,斜面の傾斜や構成材質,落石の形状や規模など,さまざまな条件によって複雑に変化するため予測の難しい現象である.そのメカニズム解明や防災計画を目的として,数多くの落石シミュレーション手法が開発されているが,入力定数の特性や地盤との対応関係など,未解明な点が多く残されている.本研究では,落石シミュレーションに用いるこのような係数のうち,衝突時の法線方向速度比(Rn)と線速度エネルギー比(Ev)の変化に着目し,実際の挙動観察を通じて,それらが入射角度に大きく依存する性質があることを明らかにした.そして,この特性を不連続変形法(DDA)に導入することで,軌跡や速度が大きく改善されることを,再現解析によって確認した.
和文報告
  • 川井 俊介, 稲垣 太浩, 堀越 研一, 板清 弘, 三嶋 信雄, 太田 秀樹
    2006 年 62 巻 3 号 p. 605-622
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
     厚い軟弱粘土地盤上に構築された実在の橋台およびその背面盛土を対象に,変形対策工とその効果を解析的に検証し,施工中から供用時の維持管理を含めた費用の観点から最適な対策工の検討を行った.同橋台は,厚さ60mにもおよぶ軟弱粘土地盤上に構築され,施工中から幾多の対策を施しながらも背面盛土の継続的な沈下が発生し,供用開始後13年経過した時点で,抜本的対策としてEPS(Expanded Poly-Styrol: 発泡スチロール)置換による盛土荷重軽減を余儀なくされた.同橋台に対して,1) EPS置換による荷重軽減時期が対策効果に及ぼす影響,および2) 近年,適用事例が増加している気泡混合軽量土(FCB)による荷重軽減工法を適用した場合の対策効果を解析的なパラメトリックスタディを通して検討し,実資料を基にした総対策費用と照らし合わせて効果的な対策工のあり方を検討した.
  • 田嶋 仁志, 田村 敬一, 井上 雅夫, 亀井 祐聡
    2006 年 62 巻 3 号 p. 631-642
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
     道路橋示方書のレベル2地震動に対する杭基礎の設計方法は,骨組解析において杭頭に構造物の慣性力を作用させる震度法である.この設計法に対する応答変位法による実用的な照査法のあり方を探ることを目的として本検討を行った.まず,地盤+杭基礎+構造物からなる全体系の有効応力解析を行い,次に,応答変位法の入力条件である地盤ばね,地盤変位,慣性力について,各種の値を用いて応答変位解析を行い,全体系の有効応力解析結果と比較検討した.その結果,有効応力による地盤応答解析結果の地盤変位及び加速度応答スペクトルに基づく慣性力を入力条件とすればよいなどの知見を得ることができた.
和文ノート
  • 佛田 理恵, 小峯 秀雄, 安原 一哉, 村上 哲
    2006 年 62 巻 3 号 p. 573-578
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
     高レベル放射性廃棄物の地層処分施設において,処分孔を充填する緩衝材の仕様設計に際しては,ベントナイトの透水係数を把握することが肝要である.本研究では,最大圧密圧力10MPaの高圧圧密試験装置を用いて透水係数を求めることを念頭に,より信頼性の高い透水係数の算出を目的としてその試験方法の高度化に関して検討を行った.その結果,試験に用いる変位計を最小目盛1/1000mmの分解能のものにすること,および測定に際して各圧密圧力を作用させてから20分間における測定データ数を80に増やすこと,また,圧密圧力5.88MPa以上で15秒経過時点での沈下量が全沈下量の30%以下となっている実験データのみを採用し透水係数の算出を行うことにより,再現性の高い透水係数データの取得に成功した.
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