土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
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63 巻, 3 号
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招待論文
  • -下負荷面の概念-
    橋口 公一
    2007 年 63 巻 3 号 p. 691-710
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     弾塑性論の基盤をなす弾塑性構成式として種々の構成モデルが提案されているが,これらの中で,下負荷面モデルのみが構成式としての諸力学的要求条件を満たす合理的な特性を有するとみなし得る.本稿では,下負荷面モデルの基本構造・特性を示すとともに,本モデルの発展の状況を概説する.さらに,金属,土といった特定の材料に限定されない一般固体の弾塑性変形現象さらには摩擦現象に至るまでの一連の力学的挙動の記述への下負荷面の概念・モデルの広範な適応性,発展の可能性について述べる.
英文論文
  • A.M.R.G. ATHAPATHTHU, Takashi TSUCHIDA, Kazuaki SUGA, Shinji NAKAI, Ji ...
    2007 年 63 巻 3 号 p. 848-861
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
    Recently developed lightweight dynamic cone penetrometer was successfully applied to investigate spatial variability of in-situ strength of Masado profiles in Hiroshima prefecture, Japan. Six patterns were identified based on the penetration resistance varying with the depth. Fairly good correlations were developed between penetration resistances obtained by lightweight dynamic cone penetrometer and portable dynamic cone penetrometer. Spatial variability analyses conducted on different grid spaces showed that the coefficient of variance of cone resistance varies from 0% to 40%. Semi-variogram analyses showed that the Spherical Models could be used for representation of spatial autocorrelation of Masado profiles.
和文論文
  • 秦 吉弥, 一井 康二, 土田 孝
    2007 年 63 巻 3 号 p. 677-690
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     盛土構造物の耐震設計法においては,地震時におけるすべり破壊の有無の判定あるいは地震後における残留変形量の評価に主眼をおいたものとなっており,斜面の崩壊範囲については検討の対象となっていない.一方で,自然斜面は耐震設計の対象ではないが,各都道府県の崖条例によって崩壊の危険による建築の禁止範囲が存在する.そこで本研究では,2001年芸予地震により崩壊した宅地を対象として,法肩から天端におけるすべり面の位置までの水平距離に着目した検討を行った.そして解析結果と崖条例による規定を比較検討することによって,現在の日本国内の崖条例で用いられている崩壊範囲の評価法の問題点を明らかにし,その問題点を踏まえた新たな提案を行った.
  • 中村 晋, 澤田 純男, 松本 敏克
    2007 年 63 巻 3 号 p. 711-724
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     本論の目的は,地盤の非線形地震応答性状に及ぼす地盤物性の不均質な空間分布のモデル化の影響と課題を明らかにすることである.空間分布を考慮する地盤物性は,非線形モデルとして用いた双曲線モデルのパラメータであるせん断波速度と内部摩擦角の2つである.それらの空間分布は,ガウス型の確率変動モデルを用い,鉛直および水平方向の分布を考慮した2次元有限要素モデルと,鉛直方向のみ考慮した1次元有限要素モデルの2つの次元でモデル化を行った,2次元モデルの地震応答性状は,水平方向の地盤物性の空間分布に依存するが,全体として1次元地盤のような挙動を示すという結果が得られた.また,課題として,地盤物性の不均質な空間分布の情報が欠けており,情報の収集と分析の必要性が示された.
  • 小峯 秀雄, 大橋 良哉, 安原 一哉, 村上 哲
    2007 年 63 巻 3 号 p. 731-741
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     高レベル放射性廃棄物の地層処分において,廃棄物収納容器と周辺岩盤との間を充填する緩衝材には膨潤性を有するベントナイトの利用が有望とされている.一方,高レベル放射性廃棄物は崩壊熱を発生し,その影響により緩衝材として要求される膨潤特性の低下が懸念されている.そこで本研究では,基本的性質の異なる4種類のベントナイトに対し,加熱温度60~130℃,加熱期間28日,120日および365日間の条件で温度履歴を与え,膨潤圧実験と鉛直圧1000kPaおよび500kPa下での膨潤変形実験を行い,温度履歴の影響を実験的に調査した.また,供試体周辺の水溶液の水質分析,メチレンブルー吸着量試験およびX線回折分析を行い,膨潤圧・膨潤変形特性への温度履歴の影響メカニズムについて考察した.
  • 加藤 正司, 榊原 辰雄
    2007 年 63 巻 3 号 p. 742-751
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     水浸後の圧縮曲線は不飽和土の基本的な特性の一つであり,現在提案されている不飽和土の構成モデルや状態面の概念において重要な役割を果たしている.この水浸後の圧縮曲線に与える締固めの影響について,締固めたシルト質土供試体を用いて,標準圧密試験装置により水浸後の圧縮試験(水浸圧縮試験)を行い検討した.得られた水浸後の圧縮曲線は,スラリー状態から圧縮して得られる圧縮曲線とは異なる傾向を示した.また,水浸後の圧縮曲線に対して,供試体作製時の締固め回数が影響する場合があることがわかった.この結果は,水浸後にサクションが消失しても,圧縮曲線には締固めにより形成された土骨格構造の影響が残る場合があることを示している.
  • 足立 有史, 浦野 和彦, 竹之下 朋章, 丹澤 宣彦, 河邑 眞
    2007 年 63 巻 3 号 p. 752-762
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     杭基礎の耐震補強の実施は,施工用地等の制約条件により補強方法が限られているのが現状である.筆者らはこれまで,既存杭へも適用可能な新たな補強方法を提案し,1g場での模型振動台実験および数値解析によりその補強効果を確認している.本方法は地盤中に複数の杭を包含するように地盤固化体を板状に作製し,その拘束効果により杭基礎の剛性を高めるものである.ここでは,提案した補強工法の実物大での性能を確認することを目的として,実構造物レベルの杭基礎を用いたフィールド実験を行った.実験では,水平載荷試験ならびに起振機試験により補強効果を明確にした.また,簡易設計法についても検討を加えた.さらに,補強体の強度,寸法についても所定の値を満たしているかについて確認した.
  • 一場 勝幸, 岩下 和義, 小田 匡寛
    2007 年 63 巻 3 号 p. 763-771
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     高速でせん断変形を受ける粒状体流の物性を調べるために,平面上での運動形態が異なる2種類(円盤と球体)の粒子を駆動する高速せん断試験を行った.平面上で円盤はすべり,球体はすべりと転がりを交えて運動するという違いがあるものの,観測されたせん断応力とひずみ速度の関係は,フラクションが低い疎な流れではせん断応力はひずみ速度の2乗に比例し,密な流れの場合,ひずみ速度が速い場合には2乗に比例し,遅い場合にはこの関係から外れるという同じ傾向を示した.円盤粒子を用いる場合,実験可能なフラクションとひずみ速度の範囲は球体粒子に比べそれぞれ限定されるが,PTVソフトウエアによる粒子運動の追跡が容易であり速度分布を精度良く測定できることが確かめられた.
  • 西岡 英俊, 神田 政幸, 舘山 勝, 村田 修, 平尾 淳一, 樋口 俊一
    2007 年 63 巻 3 号 p. 772-782
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     筆者らは,仮土留め用鋼矢板を本設利用する鋼矢板併用直接基礎(シートパイル基礎)を提案している.シートパイル基礎は,鋼矢板による地盤拘束効果等の補強効果が期待できることから,従来は直接基礎では支持力不足となるN値30未満の地盤においても杭が不要となる.本研究では,このシートパイル基礎の鉛直支持力特性を把握するため,模型地盤における静的鉛直載荷実験を行った.その結果,直接基礎に比べて極限支持力が上昇し,ピーク荷重後の荷重低下幅が抑制される改良効果が確認できた.また改良効果の発現メカニズムについて考察を行い,シートパイルによる地盤拘束による支持力の上昇効果だけではなく,地盤とシートパイル側面の拘束が強まり周面摩擦力が上昇する効果が期待できることを明らかとした.
  • 福林 良典, 木村 亮
    2007 年 63 巻 3 号 p. 783-796
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     開発途上国農村部の未舗装道路は,雨季に部分的に車両通行不能となる.農民は収穫した換金作物を市場へ運搬できず,現金収入を得ることができない.本研究ではこのような農道の通年通行性確保のために,現地住民自身で持続的に整備することができる住民参加型の未舗装道路改修方法を開発した.この手法は「土のう」による道路改修方法で,現地調達可能材料を用い,人力施工が可能である.この手法の拡大が「貧困削減」への土木工学的アプローチ手法の一つであると考える.まず「土のう」袋材,中詰材として利用しうる材料を現存資材の中から選定し,その材料特性を把握し輪荷重作用下での耐力,変形性能の検討を行った.そして軟弱地盤上での車両通行性を確保するための「土のう」による道路改修断面や施工方法を,実物大走行実験を通して提案した.
  • 川村 志麻, 三浦 清一
    2007 年 63 巻 3 号 p. 797-805
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     構造異方性が基礎構造物-地盤系の繰返し強度特性に及ぼす影響を検討するために,二次元平面ひずみ模型土槽と種々の荷重を載荷可能な装置を用いた一連の模型実験が行われた.ここでは,構造物下部が開口した形式(側壁)の基礎,矢板基礎に対する異方性の影響が調べられており,その設置効果とその繰返し強度発現のメカニズムが考察されている.一連の実験結果から,異方的に堆積した砂地盤では,最大主応力方向と地盤の堆積方向とのなす角ψおよび基礎の設置方向と堆積方向とのなす角ωを決定できれば,上述のような基礎構造物の合理的な設置が可能であることが示唆された.
  • 篠田 昌弘, 佐藤 忠信, 米澤 豊司
    2007 年 63 巻 3 号 p. 812-824
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     一般的な斜面の設計では,安全率が最小となる単一のすべり線を求めるのが通例だが,地盤のばらつき等により斜面のすべり線は潜在的に複数存在する場合がある.本研究では超一様分布列と重点サンプリングを用いて計算効率を大幅に改善したモンテカルロ法によって複数の潜在的すべり線を有する斜面の限界状態超過確率の算定を行った.超一様分布列における一様性の検討を行い有効性を確認した後に,重点サンプリングモンテカルロ法の収束性に与える設計点の影響について考察した.提案した手法により,複数の潜在的すべり線を有する斜面の限界状態超過確率を効率的に算定できることを示した.
  • 土谷 幸彦, 倉川 哲志, 工藤 健, 小西 真治, 小島 芳之, 東畑 郁生
    2007 年 63 巻 3 号 p. 825-834
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     わが国では,在来線の関門ずい道が1944年に建設されて以降,数多くの海底トンネルが建設されてきた.供用中の海底トンネルにおいて出水等の事態を招いた場合,人命を失う危険性が高く,社会基盤の安全性を大きく損なう結果となる.しかし,供用開始後のトンネルの挙動については未解明の部分が多く,海底下のトンネルも,一般のトンネルと同様,過去の変状トンネル等の実績を踏まえた対症療法的な維持管理を実施しているのが現状である.
     本論文では,1988年以降,青函トンネル本坑において行われている長期計測結果に着目し,計測結果を整理,分析し,覆工の長期挙動のメカニズムに関する検討を行い,海底トンネルの維持管理に関する評価手法を提案した.
  • 上田 保司, 生頼 孝博, 田村 武
    2007 年 63 巻 3 号 p. 835-847
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     凍結工法を行う際の凍結膨張による構造物変位への対策工を,現行よりも合理的に行うためには,地盤変形予測の精度向上が不可欠である.本研究では,予測精度向上のために,三軸凍上実験式に基づく土の凍結線膨張率を取り込んだ地盤変形解析法を提案した.凍結領域内における熱流方向の異なる各領域毎の凍結線膨張率を,凍土成長時期および凍結管の配置に対応した2種類の冷却面形状を用いて計算し,3次元弾性FEMに適用した.この方法で凍結管の設置方向が異なる二つの現場を解析し,計測値との比較から解析精度を確認した.また,熱流方向にのみ凍結膨張するとした解析,等方膨張するとした解析とも比較して,本解析の有効性と妥当性を検証した.
  • 長尾 毅, 中瀬 仁, 本田 中, 吉岡 健, 興野 俊也
    2007 年 63 巻 3 号 p. 862-880
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     現在採用されている防波堤の支持力照査法は,捨石マウンドが防波堤ケーソンを面的に支持しているという仮定のもとに構築されたものである.しかしながら,近年の載荷実験により,捨石マウンドによる荷重支持は極めて離散的であることが明らかとなっている.この事実は防波堤の支持力照査法の合理化に向けた検討の必要性を示すものである.そこで本研究では,捨石マウンド内での荷重伝達機構や捨石マウンドを構成している捨石の載荷に伴う変形特性を評価するため,模型載荷実験を行い,捨石マウンドに発生している応力特性および捨石マウンドの変形特性を明らかにした.さらに,今後の支持力照査法の構築のために,2次元個別要素法による再現解析を実施した.
  • 御手洗 義夫, 安原 一哉, 菊池 喜昭, Ashoke Kumar KARMOKAR
    2007 年 63 巻 3 号 p. 881-900
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     軟弱な浚渫土砂や建設発生土の有効利用方法のひとつとして,セメントなどによる固化処理工法がある.固化処理土は,その圧縮試験における応力~ひずみ関係が,一般的な粘性土などと比較して小さなひずみでピーク強度を示し,その後急激な強度低下を示す脆性的なものである.筆者らは固化処理土に古タイヤを原料としたゴムチップを混合した複合材料の室内力学試験を実施し,固化処理土の靭性(ねばり強さ)が向上する効果があることを見出した.本論文では主に一軸圧縮試験,三軸圧縮試験を行った結果から,固化処理土に古タイヤゴムチップを混合することによる基本的な力学特性に与える影響を明らかにするとともに,そのメカニズムの推測を行った.
  • 桑野 健, 大西 有三, 西山 哲, 佐々木 靖人, 川北 稔
    2007 年 63 巻 3 号 p. 901-912
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     岩盤崩壊の防災管理を効率的かつ効果的に行う目的で,ハザードマップの重要性は年々高まっている.本研究では岩盤崩壊の崩土到達範囲に対して,既発表の確率論的予測手法とその手法を組み入れたシステムを使用し,ハザードマップの基本となる崩土到達範囲予測図を作成した.さらに崩土到達範囲の予測結果に,既往資料に基づいた岩体安定度や対策工効果を考慮に加え,ハザードマップを作成し,岩盤崩壊のリスク評価について検討した.ハザードマップを利用したリスク評価を岩盤崩壊に適用したことにより,リスクの大小を箇所ごと,さらには区間ごとに,視覚的に認識できることとなり,対策や点検の優先度などの意思決定を行う際,面的かつ論理的な判断を有効に行うことが可能となった.
  • 馬 貴臣, 松山 裕幸, 西山 哲, 大西 有三
    2007 年 63 巻 3 号 p. 913-922
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,落石挙動を正確に表現するための解析手法を開発するに当たり,現場実験によって落石挙動を表現するためのエネルギー損失のメカニズムを検討し,落石のエネルギー損失を,摩擦による損失,落石と斜面の衝突による損失および植生による損失の3種類に分類する必要があることを明らかにした.次に,その考察に基づき,当該エネルギー損失をそれぞれ独立なパラメータを用いて表現できるような係数を導入した非質点系の解析手法である不連続変形法を開発し,現場実験に対するシミュレーションを実施し,当該手法の妥当性を検証した.その結果,実際の斜面の地形地質条件,植生条件および落石形状等を考慮に入れて,落石の挙動を正確に求めるシミュレーション手法の構築が可能であることを実証した.
和文報告
  • 渡部 要一, 木下 雅敬, 山田 耕一, 沖 健
    2007 年 63 巻 3 号 p. 662-676
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     沿岸域に建設される管理型廃棄物最終処分場の多くは,厚く堆積した粘土地盤上に建設され,底面の遮水性能は十分に確保されている.したがって,底面遮水層まで確実に根入れでき,かつ,護岸本体工と遮水工とを兼ねる鋼製遮水壁は,海面処分場における確実な遮水を実現するための重要な工法となる.本稿では,鋼製遮水壁の施工性ならびに遮水性に関する実海域実証実験の結果を概括するとともに,その結果を踏まえて,各遮水工法の適用性について整理した.加えて,基準省令に示された構造基準で求められる遮水性能を単に満足することにとどまらず,遮水機能のバックアップ・検査・モニタリング・補修等を可能にするために,各遮水継手の組合せによる二重以上の遮水構造を想定し,これによって実現可能となる遮水性能についてもとりまとめた.
和文ノート
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