土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
ISSN-L : 1880-604X
65 巻, 1 号
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英文論文
和文論文
  • 玉手 聡, 伊藤 和也, SURENDARA B. Tamrakar
    2009 年 65 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では土砂崩壊による労働者の被災防止を目的に簡易な崩壊検知装置を試作し,その適用性を実大模型実験と遠心模型実験により調査した.この装置は小型軽量なパイプひずみ計であり,貫入用スクリューが下端に備わる.斜面の表面から浅い範囲に発生するせん断変形増分を計測対象とすることにより,設置と計測を容易にした.実験では労働災害の発生が多い法先部切土による崩壊を再現し,応答ひずみ(rs) を計測した.rs増分と経過時間の間にはクリープ曲線的な関係が崩壊の数分前より認められ,危険性の増加が検知された.この時間は労働者の避難行動を可能にし,土砂の直撃による重大な災害を防止するものであり,斜面浅層におけるせん断ひずみ増分の計測は施工時斜面の崩壊監視に有効なことがわかった.
  • 福井 勝則, 辻本 知範, 大久保 誠介, 松永 昌太
    2009 年 65 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
     地震の前後に観測される電磁波の発生は興味深いことと考えられており,古くから研究されてきた.しかしながら,その現象は極めて複雑であり,電磁波の発生原因を明快に説明することは現状では難しいとされている.本研究では従来あまり検討されていない,AM波に混在する電磁ノイズに着目することとし,日本各地に設置されているAM波帯の電磁ノイズ観測装置による,過去の観測データを調べ,地震前後の電磁ノイズ発生状況の検討を行った.その結果,地震の2週間から5週間前より電磁ノイズは通常より多くなり始め,地震の1,2週間前に最大値を迎えた後,減少し,地震を迎える事例が多いことを示した.
  • 信岡 卓, 鵜飼 恵三, 若井 明彦, 蔡 飛
    2009 年 65 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
     我が国は急峻な山地が多く急傾斜地付近の土地利用が著しく進んでおり,加えて降水量が多いことから毎年多くの土砂災害が発生している.降雨に対する危険性の指標として,時間雨量と累積雨量を変数とする限界雨量曲線が提案されているが,地盤条件や地形にかかわらず一義的に定められている.本研究では,降雨時の斜面安全性の予測手法を確立するために,降雨の総雨量と時間雨量,地盤の透水性を入力変数とした2次元FEM解析を行い,入力変数と安全率をニューラルネットワークで非線形回帰することで,すべり安全率が1.0となる限界雨量曲線を定める手法を提案した.また,時間雨量が変動する降雨の非定常性が安全率に与える影響についても定量的に評価した.
  • 安原 英明, 木下 尚樹, Dae Sung LEE, 中島 伸一郎, 岸田 潔
    2009 年 65 巻 1 号 p. 41-52
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物や二酸化炭素等のエネルギー生成後の副産物を深地層下の岩盤内に隔離し,長期に渡りその性能を保証するためには,対象となる岩盤の水理学特性を詳細に把握することが必要不可欠である.特に,低透水性岩石を有する不連続性岩盤では,流体の流れは不連続面で支配的となるため,不連続面内の流体の流動特性を時間的かつ空間的に把握することは非常に重要となる.本研究では,作用応力・温度に依存する鉱物の溶解現象を記述するモデルを用いて,花崗岩不連続面の透水性の経時変化を定量的に評価した.また,拘束圧・温度を制御した花崗岩不連続面の透水試験結果と比較することにより,モデルの妥当性を検討した.
  • 島内 哲哉, 大西 有三, 西山 哲, 中村 公一, 酒井 直樹
    2009 年 65 巻 1 号 p. 53-65
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     DDAによる落石シミュレーションでは,衝突のための入力定数に速度比(Rv)が用いられる.筆者らは,現場実験結果をもとに,速度比(Rv)には法線方向入射速度の増加にともない大きく減少する性質があることを報告した.本研究では,室内実験結果を基にその詳細を調べ,(1)速度比は法線方向入射速度に大きく依存する,(2)速度比そのものは材質の違いを表さない,(3)材質の違いは,法線方向入射速度との関係において最大入射速度に対する勾配と速度比の下限に表れる,などを明らかにした.この結果を踏まえて,速度比(Rv)の法線方向依存性を補正する方法を三次元球要素剛体不連続変形法(DDAball)に導入し,現場実験結果の再現シミュレーションを通じて適用性を確認した.
  • 田中 幸久, 長谷川 琢磨, 中村 邦彦
    2009 年 65 巻 1 号 p. 66-84
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     高レベル放射性廃棄物処分施設の立地地点が沿岸に近い場合には,地下水に海水を起源とする塩分が含まれている可能性がある.このため,海水が各種ベントナイトの透水性に及ぼす影響を把握する必要がある.そこで,本研究においては,各種ベントナイトに対する各種濃度の人工海水を用いた場合の透水係数ならびに膨潤圧を表現し得るモデルを提案した.このモデルでは,人工海水の濃度変化によるベントナイトの特性の変化がモンモリロナイト結晶の凝集と間隙水の粘性の変化により表現されている.さらに,既往の実験結果との比較を行い,海水を含む地下水環境下でのベントナイトの透水係数および膨潤圧を妥当に評価できることを示した.
  • 中村 邦彦, 田中 幸久
    2009 年 65 巻 1 号 p. 85-96
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     ベントナイトの種類と密度が,高レベル放射性廃棄物処分におけるオーバーパックの沈下量に与える影響を調べるために,遠心模型実験と解析を実施した.解析は,ベントナイトの種類の違いを考慮可能とするため,拡散二重層理論に基づき求めた接線弾性係数を用いた非線形弾性解析を行った.実験結果と解析結果は良好な一致を示し,沈下量はベントナイトの乾燥密度の増加に伴い減少すること,ベントナイトの種類によらず膨潤圧の大きさが同程度であれば沈下量も同程度となること,沈下量は膨潤圧の増加に伴い指数関数的に減少すること,膨潤圧が1MPa以上あれば,400mm厚さの緩衝材に対して,沈下量は10mm以下となることが明らかとなった.
  • 榊原 淳一, 山本 督夫
    2009 年 65 巻 1 号 p. 97-106
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     高周波数の弾性波を用いた高精度な地盤調査手法を開発した.本手法は擬似ランダム波を発振波として用いることで周波数を正確に制御すると共に,地盤中における減衰の影響を低減することで高周波数の弾性波を用いた計測を行うことができる.これにより高精度でかつ実用的な計測距離での調査が可能となった.中部国際空港建家基礎建設工事においては支持地盤の不陸が激しいため基礎杭の高止まりや杭長不足などのリスクが懸念されていたが,本手法による精度の高い計測結果を基に基礎杭の杭長設計を行い,これらのリスクを未然に回避することができた.本手法の効果を把握するために,ボーリング調査のみによる杭長設計との比較を行った結果,約40%以上のコスト削減効果があったことが分った.
  • 野城 一栄, 嶋本 敬介, 小島 芳之, 高橋 幹夫, 松長 剛, 朝倉 俊弘
    2009 年 65 巻 1 号 p. 107-119
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     山岳トンネルでは,完成後の地圧の作用により,変形,ひび割れなどの変状を生じることもある.時間に依存した山岳トンネルの変形挙動については不明な点が多く,維持管理法は現状では確立されていない.筆者らは,地圧の作用によりトンネルが変状する場合に着目し,その数値解析を行った.その結果,地山劣化モデルを用いた解析により,経時的な内空の縮小を伴うトンネルの変形挙動を適切に再現できること,地山の強度低下を3つの代表的な関数で表現することにより,地圧による内空変位縮小の推移パターンを概ね表現できること,対策工に関しては数値解析によりその効果を適切に表現できること,地山劣化モデルを用いた解析を対策工の施工時期の判断に適用することが可能であることがわかった.
  • 寺島 麗, 島田 俊介, 小山 忠雄, 川崎 了
    2009 年 65 巻 1 号 p. 120-130
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     近年,薬液注入による地盤改良において,現場周辺への環境保全性が重要視されている.その一環として,筆者らは微生物代謝を利用した環境に優しい新たなグラウト(以下,バイオグラウトと呼ぶ)に関する共同研究を進めている.その結果,地盤注入材としてシリカ化合物,微生物,栄養源,pH調整剤を組合せて用いることで,注入材に添加するpH調整剤の量を少なくしても従来の注入材と同程度の固結時間,強度を持つ地盤改良効果のある注入材を開発することに成功した.本論文では,バイオグラウトの開発に至った経緯およびバイオグラウトに関する基礎的な室内試験結果について報告する.
  • 酒井 俊典, 田中 忠次
    2009 年 65 巻 1 号 p. 131-137
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     円形アンカー基礎および正方形アンカー基礎を対象に,基礎形状が引抜き抵抗およびせん断帯の発達に及ぼす影響について,モデル実験および三次元弾塑性有限要素解析から検討を行った.モデル実験は,地盤試料に豊浦砂を使用し,密詰め状態でh/Dh:地盤高さ,D:基礎幅)を2として行った.有限要素解析は,非関連流れ則を適用し,せん断帯・ひずみ軟化を考慮に入れた三次元弾塑性有限要素解析を使用した.その結果,本解析は実験を再現でき,同一D に対する荷重値は正方形アンカー基礎で大きく,無次元荷重値は円形アンカー基礎で大きかった.また,両アンカー基礎ともD の増加に伴い無次元荷重値は低下し,スケール効果が認められたものの,両アンカー基礎のスケール効果の程度に大きな差は見られなかった.
  • 岡村 嘉之, 酒匂 一成, 深川 良一
    2009 年 65 巻 1 号 p. 162-173
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     地震時の斜面に生じる土塊のすべり変位解析には,一般的にNewmark法が採用されている.しかし,この方法は弾塑性的に動く土塊を剛体として計算するため,解析の精度が悪くなる.そこで,本論文では,地震時のすべり土塊の変位量を解析するために,弾塑性体の解析に使われる動的FEMおよび剛体の変位を計算する振動輸送理論を適用し,新たな解析手法“弾塑性振動移動理論”を提案した.この新理論の解析結果は,模型斜面の振動実験の結果と比較したところ,新理論が従来の理論よりも精度よく解析できることが明らかになった.
  • 本島 貴之, 鈴木 俊一
    2009 年 65 巻 1 号 p. 174-184
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     地下施設の建設時には,大規模な不連続面の存在によって突発湧水や岩盤の変形が引き起こされるため,大規模な不連続面の有無を事前調査に基づいて客観的かつ精度良く推定する必要がある.そこで本検討では不連続面のサイズの分布がべき乗分布に従うとの仮定に基づき,原位置の露頭や坑道壁面で観察される不連続面のトレース長と直接には観察できない不連続面のサイズの関係式を理論的に導出し,原位置調査データに基づく不連続面のサイズの分布を推定する手法を提案した.さらに国内の岩盤で計測されたトレース長分布について,本検討で提案したパラメータ推定手法を適用して検討を行い,べき乗分布のパラメータであるべき数及び不連続面の最小値のばらつきを取りまとめた.
  • 鈴木 俊一, 本島 貴之, 井尻 裕二, 青木 広臣
    2009 年 65 巻 1 号 p. 185-195
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     岩盤中の亀裂や断層といった不連続面の分布特性,形状及び透水性などの物理的特性は,一般的に亀裂性岩盤の力学的特性及び水理学的特性を支配している.本検討では亀裂を有する岩盤をモデル化する手法であるDFNモデルを対象に,原位置で取得可能な各亀裂特性とそれらの相互関係に着目し,DFNモデルを作成するための各亀裂特性の相互関係を確率統計理論に基づいて整理した.さらに,この相互関係の妥当性を検証するために,当該相互関係を用いて作成したDFNモデル中に仮想のボーリング孔を掘削して亀裂頻度を観測し,後述する亀裂頻度の理論式から予測される亀裂頻度の理論統計値との比較検証を実施した.
  • 中谷 郁夫, 早川 清, 西村 忠典, 田中 勝也
    2009 年 65 巻 1 号 p. 196-212
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     高架道路橋を振動源とする特に低周波域の地盤環境振動の遠距離伝播現象を検討するために,実際に振動問題が発生した高架道路橋での現地計測を行い,大型車両が高架道路橋を走行する際に発生された振動が地盤を経由して遠距離まで伝播されていることを確認した.この現象を検討するため,重力場における相似則を用いた模型実験および2次元FEMによる数値シミュレーション解析を実施した.その結果,ア)高架道路橋の橋脚下部構造である杭が鉛直・水平2方向に同時挙動し,その際の振動が支持層に入射されて深い位置から発せられること,イ)この振動入力が支持層と表層との波動インピーダンス比により増幅され,一部の振動数成分が地盤の波動分散特性から減衰されずに遠距離まで伝播されることが解明された.
  • 譽田 孝宏, Hossain M. Shahin, 中井 照夫
    2009 年 65 巻 1 号 p. 213-225
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     土留め設計は,土留め壁を梁に,周辺地盤や切梁をばねに置換してモデル化したフレーム解析によって設計される場合が多い.しかし,軟弱粘土が厚く堆積した開削現場において,実測された土留め壁変位量が設計値を上回るケースが多く報告されている.ここでは,地盤材料の力学特性を適切に表現できる構成モデルを用い,実現場の施工過程を忠実に再現した弾塑性有限要素解析を実施し,土留め壁や周辺地盤の変形に関する解析結果を実測値やフレーム解析による設計値と比較・検討した.その結果,弾塑性有限要素解析は,土留め壁および背面地盤の変形挙動や切梁軸力の変動など,土留め掘削時の地盤の応力・変形挙動を同一観点から適切に再現できることを示し,実現場への弾塑性有限要素解析の適用が有効であることがわかった.
  • 加藤 亮輔, 岡 二三生, 木元 小百合, 小高 猛司, 角南 進
    2009 年 65 巻 1 号 p. 226-240
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     不飽和土の水分特性を考慮することにより水-土連成の弾塑性有限要素解析法の定式化を行った.さらに,非常に大きな空気の圧縮性を仮定することにより,簡易3相系手法の浸透変形連成解析法を提案した.はじめに,この手法を用いて既往の浸透実験を模擬し,解析結果と実験結果を比較することで手法の妥当性を確認した.また,一次元浸透のシミュレーションを行い,静水圧発生を確認するとともに,浸潤過程でのひずみの発生特性を明らかにした.さらに,河川堤防断面を対象とする解析を行い,堤防内の水の浸潤により生じる変形特性を示した.また,地盤および基礎地盤の初期飽和度および飽和透水係数を変化させ,変形,動水勾配および法尻部の挙動に対する影響について明らかにした.
  • 三村 衛, 吉村 貢, 金田 遙
    2009 年 65 巻 1 号 p. 241-253
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     高松塚古墳は1972年3月に奈良県高市郡明日香村において発見され,石室内部に描かれた極彩色の壁画は国宝に,古墳は特別史跡に指定され,現地保存されてきた.ところが,国宝壁画がカビや細菌による生物被害,および地震による墳丘地山の亀裂や漆喰の劣化による物理的被害によって危機的状況に陥ったため,石室を解体し,壁画を温湿度管理の行き届いた環境下において修復することになった.これを受けて,2006年10月∼2007年9月にかけて古墳の発掘調査と石室解体が行われた.本論文では,発掘によって明らかとなった古墳の土構造物としての構造特性と,一連の原位置試験と室内土質試験によって得られた墳丘土の強度特性について報告する.また,締固め盛土構造物としての古墳墳丘地盤が国宝壁画の保全と被災にどのように関わっているのかについて議論する.
  • 加登 文学, 森尾 敏, 堤 哲平
    2009 年 65 巻 1 号 p. 266-274
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     泥岩を母材とした粘土質の土は降雨等の水の浸入により細粒化を生じやすいという特徴がある.本研究では,乾湿繰り返し試験と単粒子破砕試験を実施して舞鶴市に分布する泥岩性材料の細粒化特性を明らかにするとともに,建設材料として用いた際の圧縮特性について,一次元圧縮試験を実施して検討した.その結果,泥岩性材料は乾燥状態に比べ水浸状態では,細粒化の影響で沈下量が大きくなり,圧縮降伏応力が小さくなることや,載荷途中で水浸した場合,水浸後の一次元圧縮挙動は初期間隙比や水浸時の応力によらず,同じ挙動となることが明らかとなった.
  • 白子 博明, 杉山 太宏, 外崎 明, 赤石 勝
    2009 年 65 巻 1 号 p. 275-287
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     サーチャージ除荷後の一次元圧密沈下量‐時間曲線,主として除荷後の二次圧密沈下速度の予測法を室内圧密試験と数値計算によって検討している.サーチャージ工法を想定した室内圧密試験から,サーチャージ除荷後の二次圧密速度と過圧密比OCRの関係を見出した.次に,著者らが提案している一次圧密中に発生する二次圧密挙動を仮定した構成式に,実験から求めたOCRと二次圧密速度の関係を取り入れて一次元圧密解析を行った.解析結果は,サーチャージ工法を想定した室内圧密試験結果の一次圧密沈下挙動とよく対応することを示した.
  • 高橋 秀明, 田邉 成, 安 雪暉, 松島 学
    2009 年 65 巻 1 号 p. 288-302
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     本論文は,地盤材料がせん断破壊する際のひずみ軟化特性と変形の局所化を考慮した等価連続体の構成モデルを提案し,cφ材料である人工軟岩に適用して妥当性を検証した.地盤のひずみ軟化特性は,降伏関数にCoulombの破壊規準を用い,粘着力cと摩擦角φを塑性せん断ひずみの関数で表現した.変形の局所化が地盤の支持力解析へ与える影響は,有限要素の寸法に基づいて塑性せん断ひずみの大きさを定義することで考慮した.さらに,提案モデルを浅い基礎の支持力問題に適用し,ひずみ軟化特性を有する地盤の寸法効果を検討した.三軸圧縮試験の供試体寸法とメッシュ分割寸法の差異が解析結果に与える影響を示すと共に,適切な寸法効果を導入すれば,大きなメッシュ分割でも有意な解析結果を得られることを示した.
  • 田中 幸久, 廣永 道彦, 工藤 康二
    2009 年 65 巻 1 号 p. 303-320
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物処分においては,放射性核種の移行を抑止するためなどの理由により締固められたベントナイトが用いられる.一方,地下深部の還元性環境下における金属腐食などにより金属廃棄物等から水素ガスが発生する可能性があるが,高密度ベントナイトは緻密であるため透気性も低く,蓄積したガスが速やかに排出されないことが予想される.そのためガス圧上昇による周辺施設や岩盤への影響の評価,ガス排出時のベントナイトの損傷の影響の評価を行なう必要がある.そこで本研究では,初期に飽和した高密度ベントナイトのガス移行特性ならびにガス透過後の透水性を実験的に把握し,ガス移行現象のメカニズムを明らかにするとともに,ガス流量急増時のガス圧推定法を提案した.
  • 山木 正彦, 三浦 清一, 横浜 勝司
    2009 年 65 巻 1 号 p. 321-333
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     北海道のような寒冷地では気温変動による地盤の凍結融解現象が生じる.その影響を定量化することは寒冷地地盤の力学的安定性を見極めるために重要となる.本研究では,北海道に分布する破砕性が顕著な火山性粗粒土を用いて,人工的に凍結融解履歴を繰返し与えた供試体を作製し,凍結融解履歴が破砕性火山灰土の微小ひずみレベルにおける変形特性に及ぼす影響を調べた.一連の試験結果から,凍結融解履歴は破砕性火山灰土の変形特性に無視できない影響を与えること,初期せん断剛性率G0の顕著な低下を引き起こすことがわかった.その主な原因は凍結融解履歴を繰返し与えることで誘発される粒子の破砕による細粒分の増加であることが示された.また凍結融解履歴により,間隙構造に変化が生じることが示された.
和文報告
  • 山下 裕司, 江藤 芳武, 蒋 宇静, 李 博, 澤田 昌孝
    2009 年 65 巻 1 号 p. 138-150
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     大規模地下空洞掘削時の岩盤変形挙動と安定性を評価するにあたっては,節理,断層などの不連続面の影響を適切にモデル化することが重要である.不連続性岩盤内での空洞掘削を考えた場合,周辺岩盤の変形や破壊の大部分は不連続面に沿うせん断破壊やダイレーションに起因することが多いと認識されていながらも,設計の現状は連続体解析に基づくのが主流である.
     本論文では,小丸川発電所の地下空洞掘削における情報化設計施工で得られた調査・計測データを分析し,不連続性岩盤内に掘削された大規模地下空洞の特徴的挙動について整理する.さらに,不連続体解析手法である個別要素法を用いて解析を行い,実計測との比較により解析手法の有用性を検証する.
  • 伊藤 和也, 豊澤 康男
    2009 年 65 巻 1 号 p. 254-265
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     道路拡張工事や急傾斜地対策工事では,重力式擁壁などの対策工を設置して最終的な安定性を向上させることが多い.しかし,これらの施工中には,法面勾配を従前よりも一時的に急勾配とする切土掘削作業や,床付けに伴う法尻部の掘削作業など,法面全体が不安定化するような作業が行われており,労働災害となる事例が多く報告されている.本報告では,高さ5m,斜面勾配45°の実物大盛土斜面にて切取り工事中の斜面崩壊を再現する実験を実施し,斜面下部の掘削切取りによる斜面崩壊メカニズムの解明,ならびに施工中の安全を担保する計測機器の最適配置位置の検討を行った.
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