土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
ISSN-L : 1880-604X
66 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
英文論文
  • Naohiko TOKASHIKI, Ömer AYDAN
    2010 年 66 巻 2 号 p. 397-406
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
      Ryukyu limestone formation belonging the Quaternary Era is wide spreadly distributed over Ryukyu archipelago. The sea shores constituted by Ryukyu limestone formation is generally steep and it often forms overhanging cliffs. It also contains many karstic caves. Overhanging cliffs and karstic caves cause engineering and social problems particularly in urbanized areas in addition to seashores and riversides. The authors are concerned with the stability of cliffs constituted by Ryukyu limestone formation along the seashores in Ryukyu Islands archipelago and they present some analytical methods and numerical analyses for the stability assessment of overhanging cliff subjected to gravitational and seismic loads. These methods are applied to some actual observations on seashore cliffs in several islands. They compared the case studies with estimations and discussed the possibility of estimating tensile strength of rock.
和文論文
  • 高橋 英紀, 森川 嘉之, 市川 栄徳, 早野 公敏, 大草 陽太郎
    2010 年 66 巻 2 号 p. 236-249
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,固化材(セメント)と含水比低下材(ポリマー)の添加率を低減した貧配合な造粒固化土について物性および圧縮特性,支持力特性の検討を行い,地盤材料としての性能を評価した.具体的には,添加率を変化させて軟弱な粘性土の造粒固化を試み,粒状体を作製できるかを調べた.次に,単粒子強度試験および一次元圧縮試験によって,単粒子および地盤としての強度特性や圧縮特性について検討を行った.最後に,現場スケールの応力状態下での支持力を調べるために,遠心力場で鉛直載荷実験を実施した.これらの試験の結果,添加材を低減しても軟弱粘性土に対して造粒固化できる可能性や,貧配合化が地盤としての剛性や支持力に与える影響は小さいことが分かった.
  • 伊藤 和也, 日下部 澄音, 小板橋 拓馬, 豊澤 康男, 末政 直晃
    2010 年 66 巻 2 号 p. 250-263
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/20
    ジャーナル フリー
     道路拡張工事や急傾斜地対策工事のような斜面の切取り掘削工事では,自然斜面の下方部分を掘削したり,斜面の勾配を従前より急勾配にしたりする場合が多く,斜面の崩壊に対する安定性を失わせることになりやすい.本論文では,実物大規模にて実施した斜面崩壊実験と相似の条件となるように制御した遠心模型実験を実施し,前兆現象である変位量や崩壊形状・土量について実物大実験結果と比較し,斜面下部の掘削による斜面崩壊時の崩壊形状や前兆現象を予測するための遠心模型実験の適用性について検討した.その結果,掘削幅や側面境界条件を実物大実験と一致させることで,崩壊形状だけでなく変形挙動についても整合することが分かった.
  • 小西 純一, 鈴木 素之, 三須 尊洋, 甲斐 康広, 藤井 公博
    2010 年 66 巻 2 号 p. 264-279
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/20
    ジャーナル フリー
     盤膨れなど地盤変状をもたらす自然状態の土の膨潤性は,各種用途開発されたベントナイトと比べて十分に解明されていない.本研究では,自然土の膨潤性とその異方性を明らかにするために,5種類の不撹乱粘土試料に対して一次元膨潤圧測定試験を実施し,以下の知見を得た. (1)不撹乱粘土試料においては,比較のために実施した練返し再構成ベントナイトと同様に,最大膨潤圧は初期乾燥密度と顕著な相関が認められた.(2)液性指数が特定の範囲にある試料において大きな膨潤圧が発生した.(3)不撹乱粘土試料において膨潤圧の異方性が認められた.
  • 岡田 勝也, 杉山 友康, 太田 直之, 布川 修, 高柳 剛, 佐溝 昌彦
    2010 年 66 巻 2 号 p. 280-288
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/20
    ジャーナル フリー
     鉄道盛土では,降雨時における侵食を防ぎ,法面崩壊を防止するために法面被覆工を施工することが多い.この法面被覆工は,侵食防止という機能以外にも,盛土本体の豪雨時の地下水上昇抑制効果もある.ここでは,法面被覆工の一つである張ブロック工を対象に室内と現場で散水実験を行い,張ブロック工の遮水率の経時変化について検討した.さらに,このような張ブロック工を砂質土からなる鉄道盛土に適用したときの,降雨による盛土崩壊に及ぼす地下水位上昇抑制効果と斜面安全率について数値解析を行い,遮水率と被覆率が盛土崩壊に及ぼす影響について論じ,限界雨量による危険度評価手法へのこの結果の適用方法について具体的に示した.
  • 鈴木 輝一, 岩下 和義
    2010 年 66 巻 2 号 p. 289-298
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/20
    ジャーナル フリー
     個別要素法は単純な原理に基づき粒状体の変形・応力挙動をシミュレーションできる手法として注目されているが,定量的には十分に吟味されたものではない.定量的予測が工学分野における重要課題の一つであることを考えれば,個別要素法は大きな難点を抱えていることになる.本論文では,基礎的な研究として二軸等方圧縮時における定性的・定量的検討を行った.その結果,等粒径配置モデルにおいて,応力が解析値に収束しても理論解と異なるひずみ値に収束する場合があること,動的緩和法として全体減衰を用いた場合に,滑らかで速い収束を得られることを示した.また,不等粒径配置モデルにおいて,全体減衰を用いることによって粒子間摩擦角と得られる間隙比との間に一義的な関係が成り立つことを示した.
  • 小山 倫史, 布川 哲也, 西山 哲, 大西 有三
    2010 年 66 巻 2 号 p. 299-311
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル フリー
     不連続変形法(DDA)において,ブロック間の接触時にはブロックの貫入が生じないように接触ばねが導入される.この際,個別要素法(DEM)と違い,ダッシュポットによるエネルギーの減衰は生じないが,数値積分法に起因した数値減衰が生じる.本論文では,DDAの接触時の挙動をシンプルに表現した1次元の自由振動問題を例に挙げ,ニューマークβ法による数値減衰特性の評価方法をまとめ,DDAによる衝突時の数値減衰特性評価について整理した.また,3次元剛体球DDAを用いて1次元場での衝突解析を行い数値減衰の評価を行った.その際,ニューマークβ法のパラメータについて感度解析を行い,DDA解析による衝突解析時の数値減衰特性と解の安定性および解析精度に与える影響を評価した.
  • 今村 眞一郎
    2010 年 66 巻 2 号 p. 312-331
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,液状化地盤における杭の水平地盤反力特性を明らかにすることを目的として,模型地盤に対する振動実験と振動直後に行われる4本の組杭基礎の交番載荷試験を組み合わせた遠心模型実験を行った.実験では,数種類の加振エネルギーが異なる地震波を模型地盤に与え,深度,入力波,過剰間隙水圧比,水平変位量および地下水位が杭の水平地盤反力特性に及ぼす影響を調べた.さらに一連の実験結果を整理し,地盤の非線形領域までに至る連続的な地盤反力係数の推定式および地盤反力変位関係式を双曲線関数を用いて構築した.これらの推定式の精度向上には,過剰間隙水圧比と地盤反力係数比の関係を正確にモデル化し,深度,入力波および地盤構成に対応した推定式の構築が必要であることを明らかにした.
  • 石川 明, 寺田 賢二郎, 京谷 孝史, 社本 康広
    2010 年 66 巻 2 号 p. 332-341
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル フリー
     筆者らは複合地盤の変形挙動を解析するための主応力・主ひずみで記述した3次元非線形弾性構成則とこれを材料モデルとして組入れた非線形マルチスケール解析法を提案している.本論文では,提案手法の実験的検証と原位置問題への適用について示す.まず,遠心場において静的載荷実験を行い,砂地盤では荷重面に均一に沈下するのに対して,改良体で改良された複合地盤では中心部の沈下量が大きく,異なる沈下分布となることを示す.次に,上記の沈下分布を,提案する解析法により定量的に評価できることを示す.最後に,敷地の一部に杭が多数打設された原位置複合地盤に対してマルチスケール解析を適用した結果,全体的な沈下分布を再現できることを示す.
  • 平田 昌史, 木藤 政則, 山田 耕一, 飯塚 敦, 荒井 克彦
    2010 年 66 巻 2 号 p. 356-369
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル フリー
     現在,舞鶴若狭自動車道の築造が行われている福井県若狭地区は,粘性土と腐植土から構成される地層が厚く堆積する超軟弱地盤帯である.本施工に先立ち実施した試験盛土では,大規模な沈下が発生すると同時に,周辺地盤に広範囲にわたって多大な影響を及ぼした.さらに,周辺地盤の変形が盛土断面片側にのみ集中する特殊な傾向も見られた.本論文では,このような試験盛土の変形挙動要因を検討するため,事後ボーリング調査および二次元の土-水連成FEM解析を実施した.この結果,押え盛土下の粘性土層が大変形を引き起こすと同時に,地盤深部の腐植土層が側方流動を起こしていることが推測された.また,この粘性土層および腐植土層の圧密を促進させることで,周辺地盤の変形を抑制する効果が期待できることがわかった.
  • 本島 貴之, 尾上 博則, 井尻 裕二, 大津 宏康, 三枝 博光
    2010 年 66 巻 2 号 p. 370-386
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
     割れ目が発達した岩盤中に大深度立坑を掘削する際には,割れ目からの突発湧水リスクが大きいことが知られている.湧水リスクを割れ目ネットワークモデルを用いたモンテカルロシミュレーションにより算出する場合,ネットワークモデル構造の複雑さのため数値解析に時間を要し,低頻度事象の再現性が課題となる.本研究では低頻度事象を精度よく再現するため,理論式に基づく湧水リスクの簡易評価手法を提案した.提案した手法は実現象の再現性に課題が残るものの,解析実施が容易であり,低頻度事象を再現するために十分なサンプリング数を確保することが可能となった.さらに本研究ではベイズの概念を導入し,調査の情報量に応じた突発湧水リスクの評価手法および調査コストとリスクを足し合わせた総コストの最適点を算出する手法を提案した.
  • 張 至鎬, 濱田 政則
    2010 年 66 巻 2 号 p. 387-396
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
     兵庫県南部地震における液状化地盤の流動事例分析,重力場の流動模型実験,および遠心載荷場の流動模型実験から,護岸移動による液状化地盤の流動量と,護岸からの離間距離による地盤変位の減衰特性を明らかにした.既往の流動事例分析から,流動量が液状化地盤の層厚の5~10倍の距離の領域で急激に変化し,その後の領域ではほぼ一定の流動量に漸近して流動変位が護岸より200~300m以上の広範囲に及んでいることが示されている.本研究では流動変位が護岸より遠方に及ぶ原因が地表面の傾斜によることを,遠心載荷場の模型実験より明らかにし,実地盤における地表面傾斜の測定を含めた流動事例の再分析により検証した.模型実験と事例分析結果を総合化して護岸背後の液状化地盤の水平変位量の減衰特性を定量的に示した.
  • 山口 晶, 吉田 望, 飛田 善雄
    2010 年 66 巻 2 号 p. 407-417
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,一度液状化した地盤が別の地震によって再度液状化する現象(再液状化現象)が発生する理由として土粒子の水中落下に着目した.これは,液状化後の体積減少によって発生する土粒子の水中落下現象を想定したものである.土槽に作製した模型地盤を強制的に水中落下させ,その前後でせん断抵抗の変化を調べた.この結果,土粒子の水中落下距離が大きいほど,土層のせん断抵抗が減少する層厚が増加した.この実験から,土粒子の水中落下現象が,再液状化が発生する原因の一つであることを示した.
  • 日比 義彦, 中田 周佑, 杉山 秋博
    2010 年 66 巻 2 号 p. 418-429
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
     不飽和状態の地盤にNAPLが侵入すると地盤中にNAPLが残留し,NAPLの残留飽和度がNAPLの分布に影響を与えることが知られている.しかしNAPLの残留飽和度を考慮して,空気―水―NAPL3相流の2次元問題を解析し,その結果を実験結果と比較した論文はこれまでに少ない.そこで,本論文では,NAPLの残留飽和度を考慮した空気―水―NAPL3相解析を行い,空気―水―NAPL3相流解析結果と2次元水槽実験結果を比較した.その結果,NAPLの残留飽和度を考慮することでNAPLの飽和度の分布をある程度まで再現できることが分かった.
  • 中道 正人, 清宮 理, 小林 正樹, 田端 竹千穗, 江村 剛, 藤本 勝
    2010 年 66 巻 2 号 p. 430-445
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
     空港における滑走路,誘導路と道路との交差では,航空機の安全通行を確保するためアンダーパスで立体交差させている.現在建設中の関西国際空港2期空港島においては,施工工程の短縮とコスト縮減を図るため,長期にわたり大きな地盤沈下が継続している埋立途上にアンダーパスの建設を行うこととなった.
     本論文は,沈下が長期間継続する造成中の地盤に建設したアンダーパスについて,圧密沈下および埋立地盤の圧縮にともなう不同沈下を考慮した横断方向設計法を提案したものである.
和文報告
  • 堀 智仁, 玉手 聡, 末政 直晃
    2010 年 66 巻 2 号 p. 342-355
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル フリー
     基礎工事用大型車両系建設機械(以下,くい打機という)の転倒災害は,走行時に発生したケースが多く見られる.本研究では,くい打機の走行時不安定化メカニズムを明らかにするために,実大走行実験と遠心場走行実験を行った.実大走行実験では,走行路の水準測量と支持力調査を行い,自走時の揺れを計測した.遠心場走行実験では,地盤支持力分布の違いが揺れと履帯接地圧力に与える影響を実験的に調査した.その結果,走行時の機体には長周期的な揺れが確認された.また,遠心場走行実験では,履帯における接地圧は正規分布的に変動し,その変動係数は地盤支持力分布の影響を強く受けることがわかった.本報告では,実験結果をふまえたくい打機の安定設置に関する評価法について検討した.
  • 中村 晋, 樋口 俊一, 澤田 純男, 吉田 望
    2010 年 66 巻 2 号 p. 446-456
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
     不飽和状態の土構造物の崩壊機構を明らかにするため,盛土とその支持地盤および基盤層で構成される土構造物モデルを対象とし,30Gの遠心力場で振動実験を実施した.盛土は,砂質地盤で,その水分状態を乾燥と降雨後の不飽和状態の2つのモデル,支持地盤も飽和砂質土とセメント改良土の2つのモデルとし,盛土の水分状態,支持地盤の土質が盛土の応答,崩壊性状に及ぼす影響について検討を行った.また,入力地震動には,2003年宮城県北部の地震の際に鳴瀬川下流の河川堤防で観測された記録を用いた.その結果,不飽和状態の盛土では,過剰間隙水圧が上昇し,法面の崩壊が生じた.また,支持地盤の土質に応じて盛土内の過剰間隙水圧の上昇過程と上昇量が異なり,支持地盤の透水性が盛土内の水分状態に影響を及ぼすこと明らかになった.
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