土木学会論文集F3(土木情報学)
Online ISSN : 2185-6591
ISSN-L : 2185-6591
68 巻, 1 号
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和文論文
  • 矢吹 信喜, 菊重 有輝, 福田 知弘, 江端 夢歌
    2012 年 68 巻 1 号 p. 13-27
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     豊かな都市環境形成に欠かせない街路樹は,樹木にとっては劣悪な環境で育成していることが多い.このため健全な状態で街路樹を維持するためには,科学的・体系的な街路樹診断を定期的に実施する必要があるが,診断の非効率性や街路樹の個体識別の難しさなどが起因し,現状ではほとんどの自治体で実現には至っていない.そこで本研究では,ドイツのVTA(Visual Tree Assessment)法に基づいて,RFID(ICタグ)とPDA(携帯個人端末)を用いて,街路樹診断支援システムRTDSSを開発した.実際の街路樹において樹木医に試用してもらい,現在の方法よりも効率的で効果があることを示した.次に,将来RTDSSによって街路樹データベースが各道路管理組織によって開発された場合,データベース間で街路樹名などの齟齬により検索ができなくなることを防ぐために,オントロジーを開発した.実証実験を行い,言葉が異なる同じ種類の樹木を異なるデータベース間で検索することができることを示した.
  • 矢吹 信喜, 丸橋 温美, 福田 知弘
    2012 年 68 巻 1 号 p. 28-41
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     公共交通機関の利用促進は重要であるが,鉄道駅に代表される交通結節点は大規模・複雑化しており,利用者が道に迷いやすいことと利用者の要望が再整備に反映されにくいことが利用促進への課題の一つとされている.そこで,本研究ではまず複雑な交通結節点の空間構成と機能を表現できるデータモデルを構築し,それを用いて施設構内でRFID(ICタグ)とPDA(携帯情報端末)による自律位置測位と最適経路探索を可能とする経路案内システムを開発した.次に,事業者が再整備に役立てることを目的として,利用者の交通結節点に対する要望を集約するための意見収集システムを,上記のシステムを基に開発した.本研究の成果により,利用者の公共交通機関による移動に伴う不安を軽減し,事業者は施設改善に繋がる意見を効率的に得る効果が期待できる.
  • 平田 昌史, 山本 達生, 安井 利彰, 林 まゆ, 武部 篤治, 舟橋 政司
    2012 年 68 巻 1 号 p. 42-57
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
     建設施工現場では,エネルギー使用量の7割弱をトラックや重機等が使用する軽油が占めているため,省燃費運転の教育・指導が,燃費向上やCO2削減に効果的である.省燃費運転教育は,安価で手軽に実施することが可能であり高い効果が期待できるが,教育効果を長期間維持していくためには,省燃費運転の実施状況や効果を正しく把握・評価する必要がある.本研究では,建設施工現場のダンプトラックを対象として,車両速度とエンジン回転速度の2つのデータから,省燃費運転の実施状況や燃費向上効果を定量的に評価する手法について検討を行った.本手法では,車種や走行条件(渋滞等)の違いを考慮した「理想的な省燃費運転モデル」を作成し,これを指標とすることで,省燃費運転の実施状況や燃費向上効果を統一的に評価・比較することが可能である.
  • 有賀 貴志, 矢吹 信喜, 新井 泰
    2012 年 68 巻 1 号 p. 58-70
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
     開削トンネルは,主に場所打ちコンクリートで築造されるためその品質には環境や施工等の条件が大きく影響し,また,完成後の大規模な補修・補強は容易ではない.開削トンネルを健全な状態に保つためには適切な維持管理が求められ,変状の調査,発生原因の推定,補修・補強等の検討に際して設計や施工に関する情報も必要不可欠である.本研究では維持管理における情報活用のため,変状を含めた開削トンネルのプロダクトモデルの開発を行うこととした.まず,開削トンネルを構成する構造物に生じる変状の特徴を整理し,開削トンネルおよび変状の概念モデルを構築した.次に,概念モデルに基づいてIFC実装可能なクラスを拡張し,実構造物を例としたプロダクトモデルの適用例を示した.
和文報告
  • 中島 伸一郎, 川崎 秀明, 久保田 昇助, 中野 太郎, 清水 則一
    2012 年 68 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     均一型アースフィルダム(真締川ダム,堤高21.9m)の堤体変位および間隙水圧を,GPS変位計測システムおよび振動弦型間隙水圧計を用いて計測した.堤高が21m余りと低く貯水位の変化も小さいことから,湛水開始からの堤体変位量は最大でも10mmに満たない.しかしながら,GPS変位計測システムは,貯水位の昇降やコアの圧縮に対応した堤体のわずかな変位を滑らかに捉えることができることが示された.また,振動弦型間隙水圧計は,基礎内部とコア内部に計19基設置したが,埋設後4年半余り経った現在においても破損はなく,信号異常も見られず,定量的にも貯水位とその変化に整合した計測値を示している.以上より,フィルダム計測におけるGPS変位計測システムの有効性と振動弦型間隙水圧計の長期計測信頼性が明らかとなった.
  • 関本 義秀, 薄井 智貴, 山田 晴利, 今井 龍一, 山口 章平, 柴崎 亮介
    2012 年 68 巻 1 号 p. 71-83
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
     2007年に成立した地理空間情報活用推進基本法を契機に,地理空間情報を活用したサービスは日々進展を遂げている.その一方で,国土あるいは公共施設等のベースとなる情報は,データ提供主体ごとに,形式だけでなく,入手条件や権利関係,更新頻度等が多様であり,利用者側からみるとデータ収集は手間のかかる作業である.従って,本研究は,公共事業等で作成された地理空間情報の収集・配信・利活用等に関わる円滑な流通環境の実現を目的とする「地理空間情報流通実験コンソーシアム」の活動を通じ,データ利用者のニーズ,データ保有者の制約等を把握し,関係者の役割分担を提案する.また,実証実験として,広範なデータ収集活動,データ共有を効率的に実現するシステムの構築と運用,利用者・保有者の意見集約を行い,流通の仕組みの妥当性を評価した.
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