土木学会論文集F3(土木情報学)
Online ISSN : 2185-6591
ISSN-L : 2185-6591
69 巻, 2 号
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特集号(論文)
  • 須﨑 純一, 黒川 雄太
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_1-I_12
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     航空機等の上空からの計測データを用いた建物モデリングは効率的である反面,建物側面の属性データが得られず,精緻なモデリングのためには地上からの計測が不可欠である.本論文では,3次元建物モデルにおける,近接写真測量を用いた効率的な建物開口部データ生成手法を提案する.まずscale invariant feature transform (SIFT)を用いたパスポイント選定の高速化と誤抽出の低減のために,重複撮影された画像間のずれ幅を利用して対応点探索の範囲に制限を設ける.次に,建物開口部領域内部に手動で与えた1点の位置を手掛かりに開口部の輪郭を推定する.最後に,単写真におけるモデル座標計算を通じて開口部端点の3次元座標や開口部面積を推定する.京都市東山区で計測した写真群に適用し検証した結果,パスポイントの選定時間を大幅に短縮し,開口部の3次元座標のRMSEは約10cmで,防災分野で利用できる妥当な結果が得られた.
  • 河村 圭, 吉野 孝亮, Amir Tarighat, 中村 秀明
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_13-I_23
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,デジタル画像からのひび割れ抽出画像処理アルゴリズムに付随するパラメータ調整を対象とし,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)および決定木を用いて,良好な画像処理を可能とするパラメータの有効範囲を特定する手法を提案する.GAは,組み合わせ最適化問題などの近似最適解を求める手法として幅広く応用されている.一般的に,GAの計算過程における探索点は,近似最適解の探索のみに利用される.本論文では,これらの探索点の情報を利用することにより,有効な解の範囲を特定する手法を提案する.具体的には,GAの解探索過程におけるデータ,すなわち解探索点と評価値のデータを保存し,データマイニング手法である決定木を用いて分析することにより,解の有効範囲を特定する.
  • 羽鳥 文雄, 矢吹 信喜, 小森 絵未, 福田 知弘
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_24-I_33
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     近年,拡張現実感が注目されている.現実世界の映像にコンピュータグラフィクス(CG)などのデジタル情報を重畳させ,現実を拡張・強化する技術である.ARを実現するには,現実空間と仮想空間を一致させるための位置合わせ手法が重要である.本研究では大規模構造物を対象とした位置合わせへの適用を目的として,複数の人工マーカを使用し位置合わせ手法の開発及び施工現場への適用を行った.ARToolKitの4個以上の複数の正方形マーカを用い,基準となるマーカの中心点を原点として,各々のマーカ中心点の相対的な3次元座標値からカメラの位置・姿勢を推定した.開発した位置合わせ手法を応用させ,プラントの安全対策と施工時の建設プロセスを可視化するシステムを作成した.実務者立会いのもと実験を行い,本手法の有効性を確認できた.
  • 関根 亮, 吉田 智也, 野崎 亮, 小島 尚人
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_34-I_44
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,局所的集中豪雨を誘因として発生する源頭部斜面崩壊の広域危険箇所評価を目的として,誘因逆推定モデルにおける分析アルゴリズムを提案したものである.画素単位での誘因観測が困難なことを指摘した上で,これを潜在変量(未観測変量)とみなし,各種地理情報を説明変量(観測変量:素因)とするパス図(共分散構造分析法)をもとに誘因逆推定を試みた.「源頭部(現状型),斜面中腹部(規範型),崩壊土砂堆積域(規範型)」といった3種類の教師データを定義し,教師データ別・誘因逆推定図とそれらの感度分析図を作成した.この感度分析図と解釈表を用いれば「源頭部,斜面中腹部,崩壊土砂堆積域」といった土地性状の違いに伴う誘因影響の違いが明確となり,源頭部斜面崩壊に関わる誘因影響分析支援策の一つとして寄与できることを示した.
  • 清水 智弘, 吉川 眞, 瀧浪 秀元, 御崎 哲一, 髙橋 康将, 中山 忠雅, 内田 修, 近藤 健一
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_45-I_53
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     適切に橋梁構造物を維持管理していくためには,各種データを一元管理する必要がある.JR西日本では通常のメンテナンスは展開図を参照することによって検査,補修が行われている.しかし,変状もしくは補修の位置や形状を記録する維持管理用の展開図は,寸法のない模式図である.さらに,検査と工事で共通に使用できず,時系列管理を行いにくいという課題がある.そこで,著者らは,3Dモデルを活用した橋梁維持管理システムを開発した.また, 点検や修理を管理するための展開図を簡単に作成できるシステムを開発した.さらに,本システムの有効性を確認した.
  • 富山 和也, 川村 彰, 藤田 旬, 石田 樹
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_54-I_62
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,地方自治体における舗装維持管理実態を整理し,その結果を基に効果的な路面点検手法について検討したものである.管理実態調査の結果,地方自治体では,高頻度に道路パトロールを実施しており,段差やポットホールなど局在する路面損傷を重視しているが,路面損傷の定量的な測定が課題となっていることがわかった.そこで,本研究では,加速度センサを用いた簡易路面平坦性測定装置を導入し,その測定結果にリフティングスキームに基づき設計したリフティングウェーブレットフィルタを適用することで,特徴的な路面損傷の検出方法を開発した.本手法は,路面情報の効率的な処理に基づき,損傷検出を自動化できるため,市街地道路における効果的な路面点検に貢献するものと期待できる.
  • 藤澤 泰雄, 矢吹 信喜, 吉野 博之
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_63-I_70
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     土木工学分野における三次元プロダクトモデルの利用は,国土交通省が開始したCIM(Construction Information Modeling)により普及が開始された.CIMでは,計画・調査・設計・積算・施工・維持管理の各分野に渡ってCIMを利用することを目指しているが,その利用方法は開始されたばかりであり関連する研究はほとんど行われていない.CIMにおける三次元プロダクトモデルを設計・積算・施工と連携して利用することによりミスの低減,生産性向上,効率化・品質の向上などに繋がることが期待されている.本研究では,道路橋の下部工を対象に,詳細設計で作成したCIMの三次元プロダクトモデルを発注者側での積算に活用する際の手法を検討し,CIMによる建設生産性の向上を行うためにどのようなことが必要であるかを検討した.
  • 有賀 貴志, 矢吹 信喜
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_71-I_81
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     社会基盤の中心的存在である土木構造物は,自然環境や利用状況の変化等により構造物の性能が低下することは避けられず,維持管理が重要である.維持管理を実施するのは,地方自治体や中小事業者であり,予算や人員の制約などから対応が困難になりつつある.そのため,維持管理に関する情報の共有および情報を分かりやすくする仕組みが必要である.
     そこで本研究において,コンクリート構造物の変状管理におけるプロダクトモデルの適用を目的として,クラックスケール内蔵光波測量器で取得したひび割れデータによるプロダクトモデルの生成手法,およびクラスター分析によるひび割れの類似形状の検索に用いる形状特性を開発した.
  • 石森 章之, 佐田 達典, 石坂 哲宏, 塩崎 正人
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_82-I_89
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     トンネルのコンクリート壁面の点検に,目視点検と並行し灯光器とデジタルカメラやビデカメラを用いる画像計測手法が増えてきている.しかし,コンクリート面を撮影した画像から二値化処理によりひび割れを抽出する場合,汚れとひび割れが誤認識される課題がある.本研究では,通常の白色光に代わり,RGB単色光を用いて汚れたコンクリート面を撮影する実験を行った.その結果,RGB単色光でひび割れと煤を判別可能であり,特に,赤色光と青色光が判別に有効であることがわかった.
  • 藤田 旬, 富山 和也, Nueraihemaitijang ABLIZ, 川村 彰
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_90-I_97
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     近年,道路構造物の老朽化が進み,舗装維持管理における質的向上の社会的重要度がますます高まっている.特に,利用者の安全性・快適性に直結する路面平坦性の定量的なモニタリングは,効率的な舗装補修箇所の特定および優先順位の決定に必要不可欠である.本研究では,加速度計を用いた簡易路面平坦性測定装置であるモバイルプロフィロメータ(MPM: Mobile Profilometer)とGIS(Geographic Information System)を用いて,市街地道路における平坦性の効率的なモニタリング方法について検討した.その結果,MPMで測定した路面平坦性情報を基に,GISを用いて平坦性の経年変化を把握することで,舗装の維持および修繕が必要となる箇所特定の効率化が期待できることを示した.
  • 池田 隆博, 佐田 達典
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_98-I_109
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     衛星測位システムは,現在GPSとGLONASSが正式運用されており,複数衛星系の併用により衛星電波が遮蔽されやすい環境でも測位に必要な衛星数が得られる可能性がある.また,衛星数増加により,マルチパスの影響を受ける衛星電波を排除しても,測位に必要な衛星数が得られる可能性があり,今後は衛星電波の状態を把握し,使用する衛星の選択手法が求められる.本研究では,高精度測位に対応した衛星選択手法を構築するため,信号強度と搬送波の位相変化量の差からマルチパスの影響を受ける衛星電波の判別手法を検討し,観測データからマルチパスを含む衛星電波を判別可能か検証した.その結果,マルチパスの影響を含む衛星電波の判別が可能であること,衛星選択によりFix率が向上する可能性が確認された.
  • Salman Ali NISAR, Koshi YAMAMOTO, Koji SUZUKI
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_110-I_120
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     This paper proposes the enhanced resource-dependent critical path method (enhanced RDCPM) for identifying resource dependencies that exist between activities in order to compute the correct floats and determine the critical path in the project schedule under variable resource constraints. In addition to technological relations, there exist resource dependencies between activities in a project schedule under resource constraints that are neglected in traditional resources constrained scheduling (RCS) techniques. Therefore RCS cannot compute the correct floats and critical path(s). Although previous studies have proposed many methods in order to overcome these shortcomings, they assumed that the maximum amount of available resources remains constant during the execution of the project. However, an actual project can have variable resource constraints in certain situations. The enhanced RDCPM, which is an improved version of the RDCPM, reasonably identifies the resource dependencies between activities and computes the correct floats and critical path in a project schedule under either variable or constant resource constraints. Moreover, it provides an updateable schedule with stable work sequences. Therefore, the enhanced RDCPM can be adapted for scheduling and control in real construction projects.
  • 田原 孝
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_121-I_129
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     建設構造物の3次元モデルを工事施工段階で活用し,施工状況を可視化させることで,関係者間のコミュニケーションの円滑化,工事監理業務の効率化,施工の品質・安全性向上に繋げることが可能になると考え,現場監視カメラの映像に,AR技術を用いて3次元モデル化した設計図を投影する仕組みを構築し,施工段階の構造物のイメージの明確化,スケールの可視化を行う手法について検討を行った.現場での確認試験を行った結果,VRモデルを精度良く重畳できること,構造物の位置関係やスケールが明確になること,機能的に問題なくシステムが作動することを確認し,本手法は建設段階の構造物の可視化に有効であり,これにより,施工計画を理解しやすくなる効果があることを示した.
  • 川岸 卓司, 善甫 啓一, 水谷 孝一, 若槻 尚斗, 川村 洋平
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_130-I_138
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     本稿は土中で発生する音源の位置測定法に関するものである.提案手法では,直達音だけではなく,地表面からの反射音も利用することで測定精度の向上を図っている.地表面で起こる反射音を利用するために,鉛直方向に一対の素子を配置した杭状のジオフォンを用いている.杭状ジオフォンアレイを2本(素子数:4)用いた評価実験の結果,位置推定精度は直達音のみを使用する従来手法と比べ3.42倍と向上することがわかった.また,ジオフォンアレイの配置や構成する素子のずれが音源位置の推定に与える影響を実規模シミュレーションにより実験し,提案手法の位置推定精度は従来手法に比べ最大で14.6倍に向上できることを確認した.以上より,従来手法に比べ高精度の音源位置測定が可能であることが示された.
  • 山本 雄平, 中村 健二, 田中 成典, 藤本 雄紀
    2013 年 69 巻 2 号 p. I_139-I_146
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     CGMには,地域住民に役立つ情報が多く投稿されている.例えば,地域の防犯に関する情報や災害時の緊急対応に関する情報などが含まれており,あらゆる地域の様々な情報が集約され公開されている.しかし,CGMは誰でも投稿可能なメディアであるため,1つのWebページに複数の地域に関する情報が混在することや同一地域でも異なるトピックの情報が含まれることが多くあり,特定の地域やその内容に関連した情報のみを抽出することが困難である.そこで,本研究では,CGMに流通する情報を投稿単位に分割し,各投稿が対象としている地域や内容に基づいてグループ化することで,CGMから有害な地域情報を抽出する手法を提案する.さらに,グループ化した投稿に含まれる位置情報を解析してGIS上に表示することで,地域情報マップの構築の可能性を検討する.
特集号(報告)
  • 舩戸 智也, 佐田 達典, 石坂 哲宏
    2013 年 69 巻 2 号 p. II_1-II_6
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     見通しが悪い交差点は多く存在している.このような交差点における改良の必要性の有無は,技術者の経験により判断がなされている.モバイルマッピングシステムによる三次元点群情報を用いることで,見通しを数値化して推定することが可能となり,客観的かつ詳細な交差点改良の検討に資するといえる.そのため,本研究ではモバイルマッピングシステムによる三次元点群情報を用いた交差点における見通しの評価手法に着目し,検討を行った.その結果,モバイルマッピングシステムによる三次元点群情報を用いることで,各流入部及び各視点での見通しを不可視空間の割合を用いて表現することができた.
  • 岩上 弘明, 佐田 達典, 石坂 哲宏, 江守 央, 池田 隆博
    2013 年 69 巻 2 号 p. II_7-II_12
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     準天頂衛星が放送するLEX信号を用いた,単独搬送波位相測位(PPP)によって,センチメートル級の測位精度が期待されている.日本の天頂付近に長時間留まる軌道を持つ衛星システムであるので,日本国内の山間部や都心部の高層ビル街などでも,測位できる場所や時間を広げることができる.本研究では,キャンパス内を仮想の街として,異なる遮蔽環境下で,LEX信号を利用したPPPによる測位精度の検証を行った.また,JAXAが開発した複数GNSS対応高精度軌道・時刻推定ツールMADOCAによって生成した暦を用いた後処理PPP測位も実施し測位精度の比較を行った.その結果,遮蔽環境が測位精度に影響を与えることが確認された.
  • 栗原 航介, 桑原 祐史, 沼尾 達弥
    2013 年 69 巻 2 号 p. II_13-II_18
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     災害時の避難所として公共施設が利用されることが多いが,これらの施設は,避難所を主要用途として設計されたものではなく,避難所として使用する際には,不安感やプライバシー確保などの生活環境上の問題が発生することが懸念される.東日本大震災時には,避難所になるべき施設に相応の設備や備蓄が十分に備わっておらず,避難所によって運営に大きな差があり,被災者のニーズ変化への対応や避難生活の改善が十分でなかったといった課題があった.本研究では,避難所における生活質として,(1)津波や洪水,土砂災害に対して避難所が安全な場所に立地しているか,(2)津波浸水想定域から津波到達時間内に避難可能であるか,(3)避難所の収容率や備蓄数,避難所と給水所との位置関係の3点に着目し,生活質の観点から見た避難所の地域特性分析手法を検討した.
  • 金澤 文彦, 田中 良寛, 澤田 泰征
    2013 年 69 巻 2 号 p. II_19-II_27
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     現在,高速道路を中心に約1,600箇所でITSスポットサービスが展開されている.ITSスポットでは,ITSスポット対応カーナビ等から送信される走行履歴や挙動履歴の取得が可能である.また,対象車両所有者の了解のもと,事前にITSスポット対応カーナビ等に特別な設定を行うことで,個別車両を特定したプローブ情報を活用することが可能となる.国土技術政策総合研究所では,この情報を活用した物流支援サービスに関する官民共同実験を実施している.本稿では,ITSスポットの特定プローブ情報について物流支援サービスの活用可能性を考察し,サービスの効果についてロジックモデルを用いて波及過程を整理し,このうち官民共同実験で計測可能な効果についてケーススタディとして評価検証したものである.
  • 物部 寛太郎, 徳永 幸之
    2013 年 69 巻 2 号 p. II_28-II_35
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     東日本大震災からの復興において,まちづくり,産業や公共・防災設備など,様々な要素を統合的に分析できるGISの利用は,非常に有効となる.しかし,GISを用いた分析結果を有効に活用するためには,誰もが簡単に復興計画のイメージを共有できるような,情報の可視化を実現する必要がある.
     そこで,本研究では,Google MapsとGoogle Earthに着目した.被災自治体とのKMLによるデータ共有によって,GISソフトウェアとGoogle Mapsの並行利用を目指した.また,GISソフトウェアを用いた分析結果をKMLに変換することで,Google Earthにおいて可視化を行った.そして,宮城県山元町における,復興計画や防災情報等の情報をGoogle Earth上で表現することによって,震災復興に向けての支援を目指した.
  • 伊藤 廣紀, 蒔苗 耕司
    2013 年 69 巻 2 号 p. II_36-II_42
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル フリー
     近年スマートフォンの普及により,位置情報を利用したARアプリケーションの需要が高まっている.しかし,携帯端末上におけるAR技術の利用は処理コストが高く,それに耐えうる高速な手法が求められている.中でもオクルージョン処理は,仮想物体を違和感無く重畳するために欠かせない処理であるが,現実空間の奥行きデータをリアルタイムで取得する必要がある.本研究では,現実空間から取得した地物モデルデータによってオクルージョン処理を行う手法を提案した.結果として,携帯端末の携行性を犠牲にすることなく,オクルージョン処理を行うことができた.問題点として,センサーやモデルデータについて,高い精度が求められることがわかった.今後はデータを動的に取得する手法や,ズレを補正するための手法について,研究していく必要がある.
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