土木学会論文集F3(土木情報学)
Online ISSN : 2185-6591
ISSN-L : 2185-6591
70 巻, 1 号
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和文論文
  • 横田 有光, 浜本 隆之, 古賀 久志, 渡辺 俊典
    2014 年 70 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
     近年,地震計の整備が進んでいるが,地震計のような専用の観測装置による観測網は,高密度化に限界がある.一般に地震動は,表層地盤の振動特性の違い等の影響を受け,局地的に変化するため,地震計による観測網だけでは,こうした局地的に異なる地震動の全容を十分に把握することができない.そこで,本論文では,地震計による観測網を補うための手法として,一般の店舗等に設置されている監視カメラの映像を解析することにより地震動を推定する手法を提案する.提案手法では,大きな地震の際に室内の備品等に生じる様々な種類の運動のうち,滑り運動に着目する.画像解析により,滑る物体の動き情報を抽出し,その動き情報を逆解析して地震動を推定する.縮尺模型を用いて振動台実験を行い,提案手法の有効性を確認した.
  • 深野 健太, 増田 宏
    2014 年 70 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
     移動計測によって得られた道路周辺の点群データは,電柱や標識のようなインフラのメンテナンスなどへの利用が期待されている.この点群データを3次元情報として利用するには,点群から地物成分を抽出し,地物ごとに分類する必要がある.この分類には,機械学習法を用いた自動分類が有効と考えられる.本研究では,機械学習による分類の指標として用いられる特徴量に着目する.道路周辺の地物には柱状物体が多く存在するが,柱状物体の分類に有効な特徴量については,定量的な評価は未だ行われていない.そこで特徴量の分類器生成への寄与度を評価に用い,この寄与度の高さから有効な特徴量を判定する.評価実験により,我々の手法によって,柱状物体の分類に有効な特徴量が検出できることを示す.
  • 藤田 陽一, 小林 一郎, 緒方 正剛, Wongsakorn CHANSEAWRASSAMEE
    2014 年 70 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
     3次元点群データの利用に関する研究は,各分野で活発に行われている.筆者らはこれまでに,MMSがもつ位置情報を分析し,道路や道路周辺に存在する構造物に自動で属性を与える研究を行ってきた.本研究では,マニュアル操作により,点群データを編集し属性を与えるシステムを構築する.構築したシステムを用い,編集した点群データの利用法を示す.本研究では,3事例で点群データを編集し,各種協議・検討に点群データが利用可能であることを示した.
和文報告
  • 重岡 匠, 岡田 正人, 植原 光俊, 大和田 勇人, 小島 尚人
    2014 年 70 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/18
    ジャーナル フリー
     本研究は,各種検査・計測動画に対して作成される画像特徴合成動画(Feature Composite Moving image inducing visual illusion:FCM image)に対する「リアルタイム視認性評価策」を提案するとともに,動画視認性評価システム(VISibility evaluation system of FCM image: VISシステム)を構築したものである.VISシステムでは「動画を構成する静止画の取り込み→テクスチャ特徴画像生成(14種類対応)→エンボス処理(光の擬似照射方向8方位)→元画像への合成・動画化(錯視誘発:画質改善&画像特徴強調)→視認性評価図生成」といった一連の処理のリアルタイム化を実現している.視認性評価指標の表示レベルを切り換えつつ,視認性評価図をリアルタイム表示でき,画像特徴(線状構造,エッジ,キメ,粗さ等)の視認性と探索・判読精度を格段に向上させている.
  • 小堀 俊秀, 山口 嘉一, 岩崎 智治, 中島 伸一郎, 清水 則一
    2014 年 70 巻 1 号 p. 18-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
     ダムの安全管理において,変位計測は重要な測定項目であり,すべてのダムで実施しなければならない.筆者らは,緊急時の対応や長期的な人的労力とコストの観点から,フィルダムへGPSを用いた変位の自動連続計測の導入を進めている.GPSを適用する際の課題として,天端におけるGPSアンテナの設置方法が挙げられる.これまで天端道路を通行する管理車両等の障害とならないよう,歩道や欄干にGPSアンテナを設置したが,管理に必要なコアの変位を正確に計測することが困難であった.本研究では,この問題を解決するため,天端のマンホール内にGPSアンテナを設置しコアの変位を直接的に計測することを提案する.また,実用化に向けての課題を検討し,実際のダム計測に適用してその妥当性を検証する.
和文ノート
  • 杉原 成満, 朝位 孝二, 倉本 和正, 荒木 義則, 古川 浩平
    2014 年 70 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
     タンクモデルを用いて,河川の流出予測や土砂災害の発生予測等を行う場合,タンクモデルの構造とパラメータは,流量観測データに整合するように同定することが望ましいが,それらを同時に同定することは困難である.そのため,タンクモデルの構築にあたっては,その構造を予め定めた上で,最適なパラメータを同定する方法が一般的であり,構造の同定に関しては十分な検討が行われていない.
     そこで,本研究では最適化手法の1つであるSCE-UA法を活用し,流量観測データに基づいてタンク構造とパラメータの同定を同時に行うことを試みた.山口県佐波川流域を対象として検討を行った結果,最終的に得られた3段タンクモデルは,より複雑な5段タンクモデルと概ね同等の精度で流出量の再現が可能なモデルであった.
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