タンクモデルを用いて,河川の流出予測や土砂災害の発生予測等を行う場合,タンクモデルの構造とパラメータは,流量観測データに整合するように同定することが望ましいが,それらを同時に同定することは困難である.そのため,タンクモデルの構築にあたっては,その構造を予め定めた上で,最適なパラメータを同定する方法が一般的であり,構造の同定に関しては十分な検討が行われていない.
そこで,本研究では最適化手法の1つであるSCE-UA法を活用し,流量観測データに基づいてタンク構造とパラメータの同定を同時に行うことを試みた.山口県佐波川流域を対象として検討を行った結果,最終的に得られた3段タンクモデルは,より複雑な5段タンクモデルと概ね同等の精度で流出量の再現が可能なモデルであった.
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