土木学会論文集F3(土木情報学)
Online ISSN : 2185-6591
ISSN-L : 2185-6591
77 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
和文論文
  • 穴井 智史, 矢吹 信喜, 福田 知弘
    2021 年 77 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

     画像処理による土木構造物の変状の自動検出手法として,以前は人間による特徴量選択が行われていたが,検出率が高くなかった.現在は適切な特徴量を自動取得可能な深層学習が登場し,従来手法と比べて検出率の向上や複数種類の変状の矩形検出等が報告されている.しかし,複数種類の変状検出では,深層学習モデルによる検出結果が個別に報告されており,異なる深層学習モデルによる検出精度は比較されていない.そこで本研究は,変状5種類(ひび割れ,鉄筋露出,遊離石灰c,遊離石灰d,遊離石灰e)を検出対象として,7種類の深層学習モデル(Faster R-CNN, SSD300, SSD512, RetinaNet-50, RetinaNet-101, RetinaNet-152, YOLOv3)による検出精度を比較した.その結果,YOLOv3の検出精度が最も高いことを確認した.

  • 藤田 悠介, 小林 圭太, 浜本 義彦
    2021 年 77 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

     橋梁やトンネルなどの社会インフラの老朽化が問題になっている.既存の構造物を有効に活用するためには,その維持管理をいかに効率化し,高度化するかが重要な課題である.コンクリート構造物の劣化や破壊を引き起こす要因の一つであるひび割れは,構造物の点検において重要な指標であり,これらを効率的にかつ精度よく評価することが求められる.近年,画像処理技術や深層学習などの機械学習を用いて,ひび割れを評価する研究が行われている.筆者らは,これまでの研究で,目視によるひび割れ位置の指定と画像処理による抽出からなる半自動処理法を提案している.本論文では,ひび割れ発生位置の検出とひび割れ自動抽出の二つの問題に深層学習のモデルを適用し,コンクリート構造物のひび割れ抽出を効率的にかつ高精度に評価する方法を提案する.

  • 山本 健太郎, 藤後 廉, 小川 貴弘, 長谷山 美紀
    2021 年 77 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/01/20
    ジャーナル フリー

     切羽の地質状況の評価は,主に技術者による目視観察により行われているが,主観要素を含むことが課題とされており,地質状況を客観的指標により評価可能な手法の構築が望まれている.近年では,画像解析による切羽の定量的評価手法や,ドリルジャンボを用いた施工により取得される穿孔データを用いた定量的評価手法が提案されており,新たな評価指標の一つとして注目されている.したがって,切羽画像と穿孔データの関連性を学習するモデルを構築することで,両者の関連性を考慮したより詳細な地質の定量評価の実現が期待できる.そこで,本論文では機械学習の一つであるオンライン学習に基づき,トンネル切羽画像から穿孔エネルギーを推定可能とする手法を提案する.実験により,提案手法の有効性を確認した.

  • 大関 誠, 堀田 修平, 與那覇 誠, 山口 浩平, 中村 聖三
    2021 年 77 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/20
    ジャーナル フリー

     橋梁維持管理の基本方針は予防保全であり,そのためには橋梁の点検・診断・措置・記録というメンテナンスサイクルを確実に実施する必要がある.点検・診断作業については深層学習の導入によって効率化・自動化が進みつつあるが,補修設計については,客観的に実施可能な点検とは異なって,経験知が必要な評価であるためにモデル化が複雑であり,また,判断根拠が求められるため,点検や診断に比べるとそれほど進んでいない.本研究では,補修設計作業の支援を目的として,損傷写真と診断結果である所見を含む定期点検データを用いて,橋梁の部位ごとに補修判断を行い,かつ,判断根拠として入力画像群の損傷の度合いと損傷の進行状況を出力するモデルを検討し,再現率約70%を達成した.

  • 鈴木 慎人, 加藤 祐悟, 全 邦釘
    2021 年 77 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/20
    ジャーナル フリー

     地下利用が進展し,都市の路面下に上下水道,電気,ガス,通信などの埋設管が増えるにつれて,これらの埋設管が設計施工上の障害となることが多くなってきている.掘削を行わずに埋設管の埋設位置を計測する技術として地中レーダが広く用いられているが,現状地中レーダによる探査結果は目視によって分析されており,分析時間と分析精度が問題視されている.そこで本研究では,ディープラーニングの一種であるYOLOv3とU-Netによって,地中レーダによって取得されたデータから自動的に埋設管の位置を推定する手法を構築するとともに,交差検証により精度を確認した.本手法は,将来的に長距離にわたる地中レーダ探査によって得られる膨大な量のデータを分析することを可能とし,埋設管の非掘削での埋設位置情報の構築に資することができる.

  • 日下部 貴也, 須﨑 純一
    2021 年 77 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー

     衛星Synthetic Aperture Radar (SAR)データには上昇軌道と下降軌道の観測データが存在し,両者の時系列SAR解析結果とGNSS測量データを統合して,地盤の三次元変動を推定できる.しかし,GNSS測量データが解析対象地域外に,しかも少数しか存在しない場合に,GNSS測量データから内挿される対象地域内の地盤変動と実際の変動が整合しない場合が生じる.そこで本研究では,整合しないデータに対する重みを考慮し,更に解析点数を増やし,二方向の解析点間の対応付けで距離の上限を設ける有効性も検討した.新潟空港周辺へ適用した結果,Root Mean Square Error (RMSE)は4.0mm/yearから2.4mm/yearへと向上し,提案手法の有効性を確認できた.

  • 小西 智久, 伊藤 征嗣, 小黒 剛成
    2021 年 77 巻 1 号 p. 59-69
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

     洪水などの自然災害発生直後の被害状況把握は非常に重要である.そのため,曇天時や夜間にも観測可能な合成開口レーダーデータを用いた災害調査手法の確立が期待されている.しかし,従来の閾値法では浸水域の抽出精度が十分とは言えない.そこで,本研究では2011年のタイ国の洪水を対象として,COSMO-SkyMed画像に深層学習の一つであるU-Netにより浸水域抽出を行い,その精度評価を行った.その結果,災害前後と災害前後の差の3層を入力データとしたU-Netによる浸水域抽出においてF値が92.0%であった.閾値法とU-Netによる浸水域抽出におけるF値はU-Netが優れており,合成開口レーダーデータを用いた浸水域抽出にU-Netが有効であることが確認された.

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