土木学会論文集F4(建設マネジメント)
Online ISSN : 2185-6605
69 巻 , 4 号
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特集号(論文)
  • 田中 皓介, 神田 佑亮
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_1-I_7
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     公共事業は,良質な生活空間や,自然災害に対して安心・安全な国土の構築に大きく寄与している.ところが近年,公共事業に対するネガティブなイメージが流布され,公共事業に対する批判的な雰囲気の中で,国民の支持が得られにくい状況に追い込まれ,事業の遅延や中止,予算削減に直面している.そこで本研究では,そうしたネガティブイメージの是正に資することを目的とし人々の抱くイメージについての追跡調査を行った.特に,2012年12月には,笹子トンネルでの崩落事故や,第46回衆院総選挙など,公共事業に直接・間接に関わる重大な出来事があった.こうした出来事の半年前の6月下旬,および直後の12月下旬において,公共事業に係る言葉に対するイメージについての追跡調査を行い,その変遷を分析した.
  • 稲積 真哉, 大津 宏康, 熊本 紗也華
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_9-I_18
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     我が国では,環境規制の強化や廃棄物処分場に起因する環境安定性に対する住民の懸念を受け,内陸処分場から都市部の港湾域に大規模展開する海面処分場へと処分場の立地条件の多様化が進められている.しかし,環境安全性に関する基準やモニタリング手法は確立されておらず,海面処分場は長期的な評価が行われないまま,建設・運用されている現状である.そこで,本研究では海面処分場に関する長期的な性能評価を行うために,廃棄物浸出水の漏出を防ぐ海面処分場の遮水工の劣化評価手法を構築する.劣化予測手法として,物理・化学的手法と統計的手法の2つの手法を用いた.さらに,廃棄物処分場の廃止後も跡地利用が期待される海面処分場において,適切に維持管理を行い,環境安定性を保つことが必要となる.そこで,海面処分場の遮水工が損傷することで環境被害が発生すると考え,統計的手法であるワイブル分布から得られた故障率を用いて算出した補修コストと被害コストの和を期待LCCとし,アセットマネジメントの観点からLCCを指標とした廃棄物処分場の維持補修計画の検討を行う.
  • 早矢仕 廉太郎, 平川 恵士, 小濱 健吾, 貝戸 清之
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_19-I_26
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     トンネル照明ランプの不点は,部分的な路面照度の低下を引き起こし,利用者の走行安全性に影響を及ぼす.そのため,道路管理者においては,照明の不点リスクや,不点発生によるリスクを定量的に評価することが重要な課題となる.本研究では不点発生による路面照度低下リスクを評価することを最終目的として,照明ランプが路面照度に与える影響,およびその範囲を分析するための方法論を構築する.具体的には,照明ランプと照度の関係を空間的相互作用を考慮した空間的照度分布モデルとして定式化し,空間的照度分布モデルの未知パラメータおよび自己相関パラメータに対するベイズ推定手法を提案する.最後に高速道路の実測データを用いた適用事例を通じて,提案手法の有効性を検証する.
  • 小濱 健吾, 貝戸 清之, 小林 潔司
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_27-I_37
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究では,床版かぶりコンクリートの剥離・剥落発生過程を数え上げ過程としてモデル化する.その際, 剥離・剥落事象が,時間に依存せずランダムに発生する場合(ランダム事象)と,床版の劣化とともに時間に依存して発生する場合(劣化事象)に分類されるものと考える.具体的には,定常的な剥離・剥落発生過程を斉次ポアソンモデルで,時間に非定常な剥離・剥落過程を到着率が時間変動する非斉次ポアソンモデルを用いて定式化する.その上で,両者の発生過程が混合して観測されるような混合ポアソン劣化モデルを定式化する.最後に,実際の高速道路へ適用することで提案したモデルの有効性を実証的に検証する.
  • 坂口 創, 平川 恵士, 水谷 大二郎, 小濱 健吾, 貝戸 清之
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_39-I_49
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     高速道路上落下物は,利用者の快適な運転を妨げ,重大事故発生の要因の1つとなるため,落下物の視認性の向上が求められている.特に,トンネル内の落下物は,トンネル外の落下物と比較して視認しづらく,その視認性はトンネル照明方式により大きく左右されるため,トンネル照明方式の決定が重要な課題となっている.
     本研究ではトンネル照明方式の決定手法の確立を最終的な目標と設定し,その基礎的研究として,落下物の反射率分布をモデル化する方法論を構築する.具体的には,反射率分布を,多峰性を表現できる混合ベータモデルを用いて表現し,混合ベータモデルの未知パラメータおよび混合率をEMアルゴリズムにより推計する.最後に,実測データを用いた適用事例を通して,本研究で提案した方法論の有効性を実証的に検証する.
  • 鈴木 哲也, 森井 俊広, 河合 隆行
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_51-I_56
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     平成23年3月11日に東日本大震災が発生し,多くの貯水施設(ため池)が損傷を受けた.既存施設の戦略的保全管理を考慮した場合,東日本大震災により顕在化した損傷とその復旧過程を詳細に検討することは,今後の大規模地震災害における迅速な復旧に資するものであると考えられる。本研究では,農業用ため池の堤体部を対象に東日本大震災による損傷特徴を143ヶ所の既存施設の調査結果から考察した.特に甚大な損傷を受けた2ヶ所の施設については比抵抗電気探査と常時微動計測を用いて被災状況と復旧効果の定性評価を試みた.検討の結果,東日本大震災によりため池堤体は堤軸方向のひび割れが顕在化し,それらの可視化には比抵抗電気探査の有効性が確認された.常時微動計測結果は,H/Vスペクトル比を用いることにより損傷と復旧効果の検証が可能であることが明らかになった.
  • 根津 佳樹, 神田 佑亮, 小池 淳司, 白水 靖郎, 藤井 聡
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_57-I_68
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     我が国の国土構造は,首都圏をはじめとする大都市圏に,極度に集中した不均衡なものになっている.国が災害等で致命的な被害を受けるのを避けるためには,地域ごとに交通インフラを整備し,交流圏を形成させ,国土の多軸化,分散化を目指すべきである.特に東京への一極集中を是正するためには,大阪を中心とする西日本でのバックアップ体制強化が必要だと考えられる.
     そこで,本研究では西日本でのインフラ整備を想定し,シミュレーションを行った.その際,GDPや人口,地方税収といった様々な指標を用い,西日本全体に及ぼす影響を,推定することとした.結果,これまで想定されていた以上に,大きな効果をもたらし得ることが示唆された.
  • 皆川 勝, 草栁 満
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_69-I_80
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     災害初期には,被災地の地元建設業者の貢献は重要であり,道路啓開には多くの建設重機が必要となる.しかし,不況や公共事業費の抑制の影響により,地元建設業者が保有する重機数は減少している.皆川らは,予想される東海地震を対象に地域間連携が発災初期の被災物撤去に与える効果をマルチエージェントシミュレータを用いて検討した.本研究では,皆川らのモデルを用いて被災物処理における輸送路被災の影響を検討した.さらに,道路の属性の相違とそれに伴う被災物処理効率の変化が被災物撤去に与える影響を検討した.その結果,道路幅員の相違やそれに伴う被災物集積状況,被災物処理効率が発災初期の被災物撤去に影響を与えることが示唆された.
  • 城古 雅典, 矢吹 信喜
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_81-I_88
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     応札見積りの作成や実行予算の作成を行う際,受注者独自の標準単価は重要であり,精度の良い標準単価を収集することは,重要な課題である.標準単価の収集方法は,実行予算の作成,管理予算の作成,調達発注業務および標準単価の収集の手順で行うこととし,収集したデータは統計的手法を用いて選別を行った.標準単価フィードバックシステムとは,以上の収集,選別を行ったデータを表示するシステムであり,表示データとしては,処理年度,単価表名称,規格名称,実績件数,実績平均単価,標準偏差,最小単価の情報と,棒グラフとした.
     効果としては,実行予算の工種別単価を標準単価として収集するしくみを構築したため,収集される単価は,労務費,材料費,機械費の構成がすべて同じになるため,信頼性の高いデータが収集できることが挙げられる.
  • 高橋 明子, 高木 元也, 三品 誠, 島崎 敢, 石田 敏郎
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_89-I_95
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     これから建設作業に従事する未経験者や実務経験の浅い作業者には,現場の危険要因を理解させ,経験不足を補うような安全教育の実施が必要である.本研究では低層住宅建築工事現場を対象とし,タブレット端末を用いて作成した安全教材が導入教育として利用できるかについて検討するため,この教材による教育訓練を作業者,訓練生,未経験者に対して実施し,教育訓練効果の検証を行った.その結果,訓練生,未経験者ともに危険要因を早く正確に認識できるようになり,教育内容の理解の観点から教育訓練効果が認められた.また,安全教材の操作性には改良の余地があったが,訓練生の安全教材に対する主観評価(安全教材への興味,主観的学習効果)も高く,本研究で用いた安全教材の導入教育としての利用可能性が示された.
  • Salman Ali NISAR, Koshi YAMAMOTO, Koji SUZUKI
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_97-I_107
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     In this paper, we develop a method called the resource-dependent critical path method (RDCPM) to identify resource dependencies that exist between activities in order to determine the critical paths and real floats in resource-constrained scheduling (RCS) techniques. The popular critical path method (CPM) and program evaluation and review technique (PERT) network techniques are based on the assumption of unlimited resources. This assumption is not valid in most practical applications, wherein exist definite limits on the amount of available resources. Although RCS techniques can consider resource limitations, they do not provide the correct floats and critical path, as do the CPM and PERT techniques. This is because in addition to technological relationships, a resource constraint schedule contains resource dependencies between activities that are neglected in RCS techniques.
     RDCPM provides reasonable resource links between activities so that both total floats and free floats can be computed accurately, and critical activities and critical sequences can be correctly identified. Moreover, to minimize the number of resource links and reduce the complexity of the network, RDCPM establishes resource links between activities while considering their optimization and removes redundant relations. This approach makes a schedule more realistic and provides a stable schedule with progress updates. Therefore, it should be considerably more beneficial and useful for the construction industry.
  • 佐多 孝徳, 出口 近士, 吉武 哲信, 浅野 誠
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_109-I_120
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     近年の土地区画整理事業では,保留地販売不振や事業期間の延伸に起因して収入不足が見込まれる地区が少なくない.特に組合施行事業では,保留地処分金への依存度が高いことから収入不足に陥っている地区も多く,顕在化したリスクに対して適切な対応と資金計画の再構築方策を講じることが重要になっている.本稿では,土地区画整理事業の技術者にアンケート調査を実施して,組合施行の土地区画整理事業における顕在化リスクへの対応方法と資金計画の再構築方策の有効性と実現性を9段階の数値で評価してもらい実効性を検討するとともに,リスクが顕在化した危機管理下の状況において資金計画を再構築するための危機対応フローを試作した.
  • 大野 沙知子, 髙木 朗義
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_121-I_128
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     財源および技術者不足の中で,住民参加や協働をキーワードに,インフラを管理していくことが求められている.本研究では,地域住民が維持管理に関わる領域を地域インフラと定義し,その管理の要点について議論する.具体的には,岐阜県中津川市における原材料支給を地域協働の取り組みとして取り上げる.原材料支給は,自治体が地域住民に必要な資機材を提供する仕組みを指し示し,その仕組みと関係主体の役割を視点として考察することで,自治会を活用した地域協働の取り組みを導入および促進させるための要件と課題を明らかにする.事例分析の結果から,地域インフラは,生活や生業の延長にあり,地域住民および地元建設業者,自治体との関係の中で範囲が定められることが示される.地域インフラを管理するためには,地域住民の視点からは地域での生活や生業を考慮する必要があり,地元建設業の視点からは健全な経営基盤を維持することが重要である.そのために,自治体の視点からは,適切な制度設計,住民活動への参加および地域住民と専門家をつなぐ役割が求められる.
  • 小林 秀一, 鈴木 哲也, 長崎 文博, 佐藤 弘輝, 山岸 俊太朗
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_129-I_136
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     多くの灌漑施設は,外部環境の影響を受けて損傷が蓄積する.これら施設の再建設や改良の前提として更新工法の開発が急務な技術的課題となっている.本報では,鋼矢板‐コンクリート複合材による腐食の進行した鋼矢板水路の保全対策を検討した結果を報告する.実験的検討では,曲げ載荷過程の変位挙動から鋼矢板‐コンクリート複合材の力学特性を評価した.検討の結果,複合材による力学特性の改善効果は,作用モーメントと最大変位量の関係から明らかになった.鋼矢板‐コンクリート複合材の材料構成と力学特性は密接に関連しており,検討手法の適用が腐食鋼矢板水路の効果的な保全策として有効であることが示唆された.
  • 伊藤 達也, 伊藤 省二, 永田 尚人
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_137-I_144
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     日本国内では,砒素など自然由来の重金属類を含む土壌や岩石が広く分布しており1),建設工事において重金属を含む地質に遭遇する事例が増えてきている.これら重金属類を含む土壌や岩石を掘削するトンネル工事では,周辺環境への負荷を低減するために様々な環境対策が求められている.
     重金属類を含む掘削ずりへの対策を実施するためには,掘削ずりの定量分析が必要となる.数日を要する分析期間中の対応として,掘削ずりの仮置きにおける飛散・流出防止など,周辺環境への負荷低減を図ることが求められている.本研究では,重金属を含む掘削ずりをオンサイトで迅速に分析し,情報通信技術を活用した実務的利用を目途とした管理システムを構築することで,重金属を含む掘削ずり処理への道筋を示すことができた.
  • 秀島 喬博, 小澤 一雅
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_145-I_157
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     平成11年に公共事業において初めての総合評価方式が適用されてから,我が国では国土交通省を中心として総合評価方式の適用が拡大し,現在では,地方公共団体,公益法人や道路関連会社なども含めて多くの公共事業において,様々なタイプの総合評価方式が実施されている.一方で,総合評価方式の課題が指摘され,その運用方式の改訂が行われると同時に,市場の変化や発注者のニーズの変化等により,今後も必要な改訂が繰り返されることが予想される.本稿では,総合評価方式における評価方法の違いが応札行動に及ぼす影響を明らかにするため,加算方式の総合評価方式を適用している発注者の中でも特徴的な価格評価をしている6つの発注者の入札結果を対象に比較分析した.比較分析の結果,価格評価を緩和せず価格評価基準を高く設定する価格評価方法では,価格評価基準に応札が集中し,価格評価を緩和して価格評価基準を低く設定する価格評価方法では,価格評価基準に応札が集中しないことなどが分かった.また,技術評価方法に関しては技術点の配点を大きくするよりも技術点差をつけることで,価格より技術で落札者が決まる傾向が強くなることなどを確認した.
  • 石原 康弘, 久保 尚也, 秀島 喬博
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_159-I_170
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     地方公共団体における総合評価方式は、2001年に東京都で導入されて以来、現在では、全ての都道府県及び政令市で実施されているが、その実施状況は詳らかでない。そこで、本研究においては、近畿地方の地方公共団体の7府県及び4政令市の総合評価方式を対象に、具体的な内容を比較、分析し、総合評価方式の実施率が伸び悩んでいること、総合評価方式の適用範囲が限定的であること、技術競争を有効に行うための制度設計が不十分であることなどの課題を抽出した。また、これらの分析結果に基づき、一般競争入札への原則総合評価方式の適用、特別簡易型を中心とした評価方法への転換、技術競争の有効性を高める制度への改善等の改善案について提案を行ったものである。
  • 森本 恵美, 荒井 弘毅
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_171-I_180
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     本稿では,低入札対策の実態と,その要因と影響を理解することを目的とし,国土交通省四国地方整備局発注の一般土木工事等級A及び等級Bの入札データを分析した.2008年度の低入札調査基準価格改定は,入札価格・落札価格に対してほとんど影響を及ぼしておらず,2009年度・2011年度の改定も実際の落札価格で,正の傾向は見られるものの有意な影響とまでは言い切れない.しかしながら,施工体制確認型総合評価方式に対応し,応札者が競争する中で生じる入札行動の変化を把握するために行った辞退・無効の発生確率の分析では,2009年度・2011年度の改定で,辞退・無効の生じる確率が共に有意に高くなっており,こうした結果を通じて落札価格引き上げのメカニズムが,今後働いていく可能性のあることが示された.
  • 川俣 裕行, 馬場 一人, 森田 康夫
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_181-I_192
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     設計・施工一括発注方式は,設計と施工を一括で発注することにより,民間の優れた技術を活用し,設計及び施工の品質の確保,施工能力を踏まえた合理的な設計,設計と施工の連携による効率性などを目指す発注方式である.
     本研究は,国土交通省の直轄事業において設計・施工一括発注方式による発注の際に適用されている受発注間の契約書を調査し,設計・施工分離発注方式で適用される工事請負契約書との相違点を考察したうえで,国土交通省の直轄事業における設計・施工一括発注方式に適用する発注者と受注者間の標準的な契約書として,その構成と条文に規定されるべき内容について提案するものである.
  • 藤島 博英, 簗瀬 範彦, 森本 章倫
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_193-I_204
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     平成24年の国の調査によると,地方自治体における総合評価の導入に頭打ちの傾向が出ている.特に中小規模の市町村において導入が進んでいない.その理由として,「発注者の事務量増大」に対する抵抗感は特に大きい.公共調達の透明性・公平性を重視し,地域のインフラを維持してゆくには,今後とも品確法に基づく入札制度の導入を推進してゆく必要がある.
     しかし,市町村における総合評価実施の実態に関するデータはほとんど見られない.そこで,平成22~24年度にかけて地方自治体を対象に総合評価導入に関するアンケート調査を実施した.
     本研究は,地方中小自治体における公共調達の実態を調査分析し,総合評価に関する課題を明らかにし,総合評価導入促進の支援策を提案するものである.
  • 南 昌宏, 大谷 悟, 森田 康夫, 吉田 純土
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_205-I_212
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     調査・設計等業務を担う建設コンサルタントは,広域(大手)企業,地域(中小)企業及びその中間にある準広域企業に大別される.近年,災害直後の現地確認や点検,応急復旧等に即時対応できる地域企業の重要性がこれまで以上に注目されるようになった。
     本論は,建設コンサルタントの業界団体に対する聞き取り調査の結果を整理して得られた,広域企業と地域企業の競合に関する課題を,平成23年度の国土交通省の入札契約データを参加企業の規模に着目して分析した結果と比較することにより検証し,地域企業の確保や災害対応力の維持向上に資する,調達方式の改善策について考察を加えた.
  • 吉田 純土, 森田 康夫, 大谷 悟, 南 昌宏, 小宮 朋弓
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_213-I_220
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     国土交通省直轄事業の調査・設計等業務においては,総合評価落札方式が導入されて以来,各種の低入札対策の効果もあり,低入札落札は著しく減少した.その一方で,平均落札率はこの2~3年において82%付近を横ばいで推移し,入札価格が調査基準価格近傍に集中する傾向が強まっている.これは,技術力において優位な参加者が,技術力の優位性を入札価格に十分に反映させていないことが原因であるものと考えられる.過度な価格競争は,短期的な企業の利潤に結びつきにくい人材育成や技術開発に要する費用の削減を促し,長期的には建設業全体の技術力低下を招くことが懸念される.こうした状況を踏まえ,本研究では,総合評価落札方式の実施状況を分析するとともに,受注者の聞き取りを通じて明らかになった評価方法の課題について検討した.
  • 岩本 宙也, 堀田 昌英
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_221-I_230
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     近年我が国の建設投資額は長期的に減少傾向を辿る一方で,建設業許可業者数の減少幅は投資額の減少に比して小さい傾向が見られる.このことは業界全体が供給過多の過当競争状態に陥っている可能性を示唆している.一般に需要量が供給量に対し減少し続ける産業の将来の見通しとして,企業が需要を奪い合ってしまい全企業が同質的に衰退してしまうシナリオと,一部企業の淘汰を含めた企業間格差の拡大が生じるシナリオが考えられる.本研究では建設投資の減少している事例として大分県における国及び県発注の土木工事入札を取り上げ,入札シミュレーションを用いて過当競争状態を経た後のシナリオを分析した.本研究の結果,県内の企業は発注量の漸次的な減少に対して,受注量格差と技術格差が共に減少していることが明らかになった.
  • 斉藤 真美子, 堀田 昌英
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_231-I_241
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     資源活用の地域的取組みを持続的に推進するには,その舞台である地方自治体など行政が,関係者と連携して仕組みづくりをしていく必要がある.地域マネジメントにおいては,各地域で異なる状況を考慮し,関連政策を検討することが必要がある.本研究では,農業資源の域内流通を取り上げ,拠点整備の検討プロセスを支援するシステムを提案すること,を目的とする.具体的には,域内流通拠点である直売拠点を利用する生産者の出荷行動,および消費者の店舗選択行動を,空間情報を用いモデル化する.そして, 直売拠点の立地や条件が利用者に与える影響をシミュレーションによって定量的に把握する.シミュレーションの結果は,拠点利用者数だけではなく,地域の生産者,消費者の効用や,域内流通システムとしてのパフォーマンスの観点より評価を行う.
  • 中前 茂之, 高野 伸栄
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_243-I_251
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     地球温暖化に伴い降雪を含めた降水量について,年ごとの変動が大きくなっている.多雪により除雪費が増大するリスクへの対応策は,国や地方公共団体の補正予算や予備費などの仕組みが整えられているが,降雪が少なく,請負企業が支払う費用に対し受け取る額が小さくなる少雪リスクへの対応は不十分である.
     その上,入札制度の改革や近年の降雪状況の変化などのもと,請負企業が少雪リスクを負えない状況が発生している.今後とも降雪量の変動が大きくなる傾向が続き,担い手である除雪業者が減少すれば,我国の雪寒冷地域における冬期の生活の安全・安心・安定を確保する上で重大な課題となる.
     そこで本稿では,降雪リスクを評価する際,除雪単価逓減則を考慮して少雪リスクを評価するとともに,請負企業が負う少雪リスクへの対応方策の必要性を述べる.
  • 角崎 巧, 五艘 隆志, 草柳 俊二
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_253-I_264
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     東日本大震災の震災復興は,二年が経過しても目に見えて進まない.未曾有の大地震と津波が直接的な原因ではあるが,これまでの大規模地震災害への対策は内陸型地震への対策が主体であり,臨海型地震による広域への津波災害に対し,これまでの経験が生かせなかったことがその原因である.加えて基礎自治体や中央政府の復興へのシステム自体にも原因があると考えられる.基礎自治体には広域大規模災害への事前の備えがなく,中央政府では平時のシステムや法規制により対処したことが復旧・復興の遅れを生んだ.本論文では,基礎自治体が地域の実態に則した効果的な施策を実行する“Local Public Management”の観点から,迅速な復興へ向けての組織と法規制の在り方の課題を整理し,事前の対策から復興に至る一連の災害マネジメントシステムの必要性を見出した.
  • 小池 淳司, 和田 成夫
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_265-I_272
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     建設産業は他産業と比較して生産性が低い産業といわれている.また,近年の公共投資への過度なコスト縮減が建設産業の技術の進歩・継承を阻害する恐れがあるとの指摘もある.本研究の目的は,わが国の建設産業の技術が社会的背景によりどのように変化したのかを把握し,その問題を明らかにすることである.そこでマクロとミクロの視点から技術進歩の指標としてTFP(Total Factor Productivity;全要素生産性)を計測した.マクロ的視点においてはわが国の建設産業全体と他産業のTFPを比較した.また,ミクロ的視点においては,建設産業の個別企業別のTFPを計測し,各々の特徴を把握し,建設産業の問題を明らかにした.
  • 竹谷 修一, 大橋 幸子
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_273-I_279
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     2011年3月に発生した東日本大震災においては,地域建設業による迅速な支援活動が実施された.本研究では今後の巨大災害の備えに資する知見を得ることを目的に,支援活動が迅速に行われた要因を明らかにすることとした.分析に際しては,国土技術政策総合研究所・東北地方整備局・東北建設業協会連合会が実施した,地域建設業の活動実態調査結果を用いた.その結果,自社確保による建設機械やオペレーターが迅速な支援の要因と考える企業が被害の大きかった沿岸部で多いこと,支援活動に活用した資源は沿岸部では自社保有による確保が困難であったことなどが明らかとなった.
  • 鈴木 弘司, 野口 好夫, 今泉 佑介
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_281-I_290
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究では,2種類のアンケート調査データを使用して,若手土木技術者の評価・育成の仕組みに対する評価者,被評価者の意識の現状について業種別に把握した.まず,人事評価方法の認知と業務環境の関係性について業種による違いを集計分析により明らかにした.次に,仕事への満足度及び評価方法に対する受容性について,業種ごとに判別分析を行い,満足度にはやりがいや魅力が影響すること,評価の受容性には指導頻度などの業務環境の影響が大きいことを示した.さらに,被評価者と評価者,若手技術者と学生の関係に着目して,評価指標の重要項目を比較分析し,評価者と被評価との意識に差異があること,若手土木技術者と学生の意識については業種によらず,その差が小さいことを明らかにした.
特集号(報告)
  • 田中 徹政, 加知 範康, 塚原 健一
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_291-I_301
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は、地域防災力の観点から見た、災害時の対応に必要不可欠な建設機械の必要量及び存在量を地域毎に明確にし、その確保のための方策について研究するものである.既存研究においては、一般論としての地域防災力の低下や、地方の建設業衰退による建設機械、技術者の不足は指摘されているが、地域的に、かつ具体的数量を踏まえた研究は殆どなされていないのが実情である.とりわけ、建設機械台数の地域毎における現状把握やあり方の検討が急務とされている.
     一方で、九州地方においては、全国でも最も自然災害の脅威が大きく、過疎地域における高齢化の進展、市町村合併等による過疎地域での公共サービス密度の低下等により、中山間地域等、地方部での災害に対する脆弱性が高まっている.このような状況の中で、地域防災力の向上が求められている.
     そこで、本研究では、九州地方における地域毎の災害発生時の復旧活動に必要となる建設機械の賦存量(復旧資機材の供給可能量)を把握するために、建設機械器具リース・レンタル企業149社を対象としてアンケート調査を実施した.その結果、地域毎の賦存量の実態把握が可能となり、建設機械の地理的偏在が明らかとなった.また、これに起因する問題点ならびに今後の取り組むべき課題について整理した.
  • 松本 茂
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_303-I_311
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     栃木県は,低炭素化社会を目指して,再生可能エネルギーの利用や省エネルギー設備の導入を促進している.一方,県は切迫した財政状況を受け,財政基盤の立て直しのための財政計画に取り組んでいる.こういった背景の中で,県は老朽化する管理ダムにおいて,賦存の水力エネルギーの有効利用と環境負荷の低減,更に管理費の削減を図ることを目標として「ダムESCO事業」を考案した.ダムESCO事業は,県が民間の持つ資金,経営能力等を活用し,管理ダムにおいて管理用発電の設置と省エネルギー化を図る事業である.本稿は,栃木県のダムESCO事業の導入に関する取り組みについて,事業に参入する民間事業者の視点を加えて報告するものである.
  • UK SOMETH, Masaru MINAGAWA
    2013 年 69 巻 4 号 p. I_313-I_322
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
     On 7 of July 2008, the sacred Site of Preah Vihear was inscribed into the list of World Heritage. Preah Vihear province is one of the least inhabited compared to other regions, and is one of the most undeveloped regions in Cambodia. In this paper, the authors discuss the past development trend, present issues to develop, in order for the future sustainable development of the valuable heritage region. Since the area has the potential for agriculture production, the long term vision as well as the development policy should be established for the success of sustainable development for the overcome of the poverty.
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