土木学会論文集F4(建設マネジメント)
Online ISSN : 2185-6605
ISSN-L : 2185-6605
70 巻, 4 号
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特集号(論文)
  • 山岡 泰幸, 秀島 栄三
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_1-I_12
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     多くの地方自治体が施策の改善を目的として市民への満足度調査を実施しているが,満足度と施策の有効性の関連性は必ずしも明白でない.原因として,市民の満足とは何かの定義が明らかでないことが挙げられる.本研究ではこの問題の克服のためにまずサービスクオリティ法を用い満足を構成する要素を定義した.市民満足度は「認識された施策」と「市民の施策への期待感」のギャップであり,全層市民と転入市民とでは「市民の施策への期待感」を構成する「口伝えによる評判」「市民の要求」「過去の経験」の差が,満足度に違いを生じさせる,との仮説を立て,数式で表し,某自治体における2回の施策満足度調査データを用いた実証分析によって数式に矛盾がないことを確かめた.加えて,全層市民サンプルにおける平均値検定では市民の声を吸い上げきれないことを明らかにした.
  • 田中 皓介, 神田 佑亮
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_13-I_25
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     公共事業は,良質な生活空間や,自然災害に対して安心・安全な国土の構築に大きく寄与している.ところが近年,公共事業に対するネガティブなイメージが流布され,公共事業に対する批判的な雰囲気の中で,国民の支持が得られにくい状況に追い込まれ,事業の遅延や中止,予算削減に直面している.そこで本研究では,そうしたネガティブイメージの是正に資することを目的とし,「公共事業」とそれに関連する様々な言葉に対して人々が抱くイメージについてのパネル調査を,2012年6月から半年毎に4回行い,イメージ変化に影響を及ぼす要因として,人々の認識変化やメディア接触,実際の新聞報道などの影響について分析,考察を行った.その結果,人々の公共事業を巡るイメージ変化に対しては,新聞の報道量が影響している可能性や,人々の政治に対する評価との関連を示唆する結果が得られた.
  • 伊藤 徳彦, 高野 伸栄
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_27-I_37
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,建設事業の事業地域における経済波及効果を詳細に推計するプロセスを構築し,過疎化の進む,地方部の高規格幹線道路整備事業でケーススタディを行った.構築したプロセスは,対象の建設事業について,入札情報提供サイトのインターネット調査から各工事費を把握し,工種・工期を踏まえ,初期需要額を整理し,事業地域内産業連関表と建設部門分析用産業連関表を用い,産業連関分析により,産業部門別・工事部門別・暦年別に,事業地域の経済波及効果を推計するものである.ケーススタディから,工事の発注は全体工期10年間のうち,3年度目にピークを迎え,多くの発注時期が10~11月であったことから,実際の工事はその翌年から本格化し,発注工事に,金額の大きい,工期の長いトンネル工事が含まれていたことから,本格化以降は,毎年安定的に自治体予算と同額の域内需要が創出されていること等を論理的に示し,推計プロセスの有効性を明らかにすることができた.
  • 中前 茂之, 高野 伸栄, 大川戸 貴浩
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_39-I_52
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     平成に入ってから長く続いた少雪傾向が一変し,近年は豪雪が頻出する傾向がみられ,財政の厳しい市町村にとっては豪雪への対応は財政上軽い負担ではない.除雪事業の特徴として,あらかじめ降雪の量を決定して予算を立てることが不可能である上,一旦豪雪が発生した場合は市町村は除雪費を否応なく確保しなければならず,限られた市町村財政では賄いきれない恐れがある.しかしながら,国によるいくつかの支援措置はあるものの,国と地方の負担・分担のルールも明確に定まっていない.そこで,本稿では,これまでは直轄国道や道府県管理道路について除雪費推計手法として提案してきた除雪単価逓減則を市町村道にも適用することを検討するとともに,市町村の豪雪時における財源確保の状況や想定する負担限度を明らかにし,その際の課題を整理検討する.
  • 高木 元也, 高橋 明子
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_53-I_60
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     建設現場には頻発している死亡災害(以下,頻発死亡災害という)がある.その再発防止はリスク低減効果の高い対策を講じることに尽き,すでにその対策の多くは現場関係者は理解している.それらを実施すれば頻発死亡災害を撲滅できるはずであるが,現状,何らかの問題がありリスク低減効果の高い対策を講じることができず,頻発死亡災害の多くはなくならない.
     本研究では,この問題の解決策を検討するため,建設会社を対象としたアンケート調査により,頻発死亡災害に対するリスク低減対策,及びその対策におけるリスク低減効果と実現性の評価を収集し,その分析結果に基づき頻発する死亡災害に対する有効なリスク低減対策等について考察した.その結果,各種リスク低減対策のうち,その対策や災害そのものを周知することが優先されるもの,新たなリスク低減対策が必要なもの,対策の実現に向け施工業者に対する支援の検討が必要なものなどを示すことができた.
  • 玉越 隆史, 横井 芳輝, 石尾 真理
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_61-I_72
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究は,道路橋における実測データを用いた将来状態予測によって維持管理戦略の立案等を支援するアセットマネジメント手法の実現性について実証的検討を行ったものである.2004(平成16)年から同じ要領によって全国の直轄道路橋で蓄積されてきた近接目視に基づく定期点検データに対し,社会資本への適用性検討例のある複数の既存劣化予測手法を適用した.その結果,推計手法の相違によって将来の予測結果には維持管理戦略に影響を及ぼす差が生じる可能性があることがわかった.また,諸元や部材位置,使用条件等によって劣化の特徴は大きく異なる.これに対し,劣化予測における信頼性確保の観点から,点検ではこれらの条件をできるだけ一致させることができるように細分化された単位でデータを取得し,蓄積していくことが有効であることを示した.さらに着目する劣化事象について,ばらつきに関する情報を含む劣化の特徴を簡便に評価できる実務的な手法を提案した.
  • 谷 拓歩, 横田 弘, 橋本 勝文, 古谷 宏一, 北里 新一郎
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_73-I_82
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     老朽化が進む大量の社会基盤施設を予算制約の下,適切に維持していくことが重要な課題となっている.そのため,補修・更新を行う施設の優先順位決定手法の確立が望まれている.そこで,本論文では2つのモデル港湾施設内の複数の係留施設を対象として劣化予測を行い,予定供用期間中の補修費用と便益から純現在価値(NPV)を算出することで各施設の補修優先度評価を行うとともに,各港湾施設間における補修優先度の差異を考察した.さらに,年間予算を複数通り設定したうえでシミュレーションを行い,年間予算が各施設の補修優先度に及ぼす影響を検討した.
     その結果,便益の大きい施設の補修優先度を高く設定した場合にNPVが最大となることがわかった.また,各港湾施設内における各施設の補修費用の合計が最適な年間予算に影響を及ぼすという結論を得た.
  • 大津 宏康, 小林 拓, 長谷川 信介
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_83-I_94
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,まず従来の山岳トンネル事前調査段階における地山評価手法(コア評価点を用いた地山評価手法)の精度が高くないこと,および課題を示す.そして,従来手法に代わる新たな地山評価手法として,ニューラルネットワークを用いた地山評価手法の提案を行い,ニューラルネットワークの入力層データとして,事前調査段階で得られる物性値(弾性波速度Vp,比抵抗ρ)のうち,どの情報を用いた場合に精度の高い最適な地山評価が可能であるかを議論する.そして,建設コストの観点から提案手法と従来手法の比較を行い,提案手法の適用性を定量的に検証する.以上を踏まえて,ジオリスクの低減の観点から,今後の山岳トンネル建設プロジェクトの事前調査段階における地質調査および地山評価のあり方について提言を行う.
  • 木村 友哉, 堀田 昌英
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_95-I_104
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     近年,社会基盤施設の老朽化に伴う戦略的な維持管理・更新が求められており,入札契約制度においても長期保証型契約等が検討されている.本研究では,長期保証工事において,民間の技術力の効果的,効率的活用を促す制度設計の手法を提案した.事例として国土交通省中国地方整備局アスファルト舗装工事に注目し,各企業の入札行動に関するシミュレーション分析によって,長期保証型契約における受発注者のインセンティブ構造を明らかにした.その結果,発注者の期待効用,社会的余剰の増減は,違約金の規模によって決定されることを示し,その定量的関係を明らかにした.また,制度設計に成功するために,社会的余剰を増加させるための適切な発注内容の検討が必要であること,及びその条件を明らかにした.
  • 木下 誠也
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_105-I_116
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     東日本大震災においては,地元建設企業の尽力により道路啓開をはじめとする災害対応活動が迅速に行われた.しかし,近い将来発生が予想される首都圏直下地震や南海トラフ地震のような巨大災害が起きた場合に,このような速やかな対応が可能かどうか極めて憂慮される.
     近年の公共投資の減少等により建設市場が縮小したことに加え,過当競争による利益率の低下により,優良な建設企業が生き残りにくくなってきた.特に地域の中小建設業の疲弊が著しく,災害時の対応力が低下している.最近の公共工事の増加で建設投資額は堅調に推移しているが,人手不足が深刻であり疲弊構造は改善していない.建設産業の疲弊が深刻化しているのは,他に例をみないわが国特有の入札契約制度と工事の価格決定構造が要因になっていると考えられる.
     本研究では,わが国の建設産業の疲弊要因を分析し,入札契約制度の変遷を概観する.そして,近年様変わりした海外の公共調達制度との比較を通じて,健全な競争環境のもとで良質なインフラを適正価格で適時に整備・管理する観点から,予定価格制度の見直しや交渉手続きの導入などの入札契約制度の改革を行うとともに,社会システムの改変を進める必要性を指摘する.
  • 山下 巧, 森本 恵美, 滑川 達
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_117-I_125
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     総合評価落札方式では最低価格者以外の落札が生じており、技術等の優位性が反映された状態といわれている。本研究ではいわゆる逆転落札に着目し、それら工事の落札価格と得点の実態を明らかにした。具体的には2012年度の徳島県土木一式工事、施工能力審査型118件を対象に最低価格落札と逆転落札を2つの視点で比較分析を行った。逆転落札について、落札率は最低価格落札より低かった。評価値1位者と2位者の得点差は0点~15点に89%の案件が存在し、これは加算点0点~3点分である。技術点1位者の落札可能最高入札価格と実際の入札価格を比較した分析では価格の上乗せが可能であった案件は69%存在することがわかった。以上のことから逆転落札では得点の差が入札参加者の価格決定心理に影響を与える状態には至っていない可能性が考えられる。
  • 草柳 俊二
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_127-I_136
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     2006年4月に日本土木工業協会(土工協)が「透明性ある入札・契約制度に向けて-改革姿勢と提言-」を公表した.提言内容は実施的な談合離脱の宣言であり,建設産業は「競争の原理」へと動き出した.その結果,発注者側の設定した「予定価格」を大幅に下回る金額で契約が成立するケースが全国で発生し,追加費用精算への落札率の適用問題が浮かび上がってきた.国土交通省を始めとして,ほとんどの公的発注機関が追加費用精算への落札率適用をルール化しているが,その論理基盤は確かなものか.これまで,入札・契約方式といった調達方式の改革が進められて来たが,契約条項に基づく適正な追加費用精算システムの確立は「競争の原理」に基づく産業基盤を作る上で極めて重要なものとなってくる.
  • 草柳 俊二
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_137-I_144
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     我が国においてWTO政府調達協定が発効したのは1996年1月であった.発効から20年近くが経過し,本協定への対応策は完備したように見える.だが,契約管理の面で解決しなければならない問題が多く残されている.最も顕著な問題はWTO政府調達協定の第15条の限定入札に絡むものである.国土交通省を始めとして,ほとんどの発注機関が追加工事の額が原契約額の50%以上となった場合,超過額は支払できないといったルールを設定している.我が国の公共工事は国際市場での実態とは相当に異なった執行システムで動いており,その相違が対応策の理論的整理の面で大きな障害となっている.現在,TPP協定の交渉が進められているが,国際協定への対応策の理論整備は喫緊な問題として捉えなければならない.
  • 宗広 裕司, 草柳 俊二, 五艘 隆志
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_145-I_156
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本邦建設コンサルタントの国内市場,海外市場(ODA予算が主体)は共に縮小・維持傾向である.一方,経済成長の目覚ましいアジア地域では旺盛なインフラ需要があるものの,エンジニアリング市場における日本企業のシェアは僅か3%と欧米や豪州等の企業に席巻されている.この要因は,言葉の壁によるコミュニケーション力の問題だけではなく,我が国建設産業の成り立ちと密接な関係があるものと考えられる.本研究では,建設コンサルタントが現在抱える課題をその歴史的成り立ちから紐解くとともに,アジア地域で導入が進むPPP事業の代表格として小水力発電事業をケーススタディに取り上げ,建設コンサルタントが担うべき役割とリスクを明確化し,PPPにより海外市場参入を目指す際に有効となるインフラ・ビジネスモデルを示した.
  • 石原 康弘, 森田 康夫, 久保 尚也
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_157-I_169
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     総合評価方式は、総合評価方式の導入期、普及・拡大期、変革期を経て、その時々の社会的要請等に対応しつつ改変され、現在に至っている.本論文では、国土交通省直轄工事を主な対象とし、2013年の運用ガイドラインまでに着目して、改変された内容と、その目的、効果等を分析した.その結果、総合評価方式における技術評価方法に関して、技術提案に見合った予定価格の設定、価格競争の制限と品質審査の明確化、評価結果に差の出るような技術評価方法への改善、発注者相互で利用可能な支援システムの構築といった課題を明らかにするとともに、これらに対する改善案を提案するものである.
  • 野口 好夫, 鈴木 弘司, 河野 修平, 鈴木 昌哉
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_171-I_182
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究は地方自治体に勤務する技術公務員の評価・育成の在り方を論ずることを目的とし,そのために必要となる技術公務員の技術力とは何かを明らかにする.まず,建設マネジメントの体系に関して既往研究で示されている建設マネジメントの概要図を分析し,一定の考察を加え,新たな建設マネジメント体系の構造図を提案した.次に,技術公務員の業務はこの構造図の体系に内包されると考え,建設マネジメント概要図を形成する7つの側面から技術公務員の業務とそれに必要な技術力・能力を抽出した.得られた技術力・能力は建設マネジメント分野から見た技術公務員の業務体系から導かれたものと考えられ,これらの中には仕事のプロセス3段階のうちスループット領域に含まれるものがあり,これらが技術公務員の技術力の評価指標につながることを示している.
  • 奥村 昌史, 五艘 隆志
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_183-I_192
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本稿は,今後30年間で60~70%の確率で発生することが予測されている南海地震時の緊急輸送手段の有効性について検証を行ったものである.2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震時には,有効に機能した「くしの歯作戦」をベースとして,四国地方においても「四国版くしの歯作戦」の検討が行われている.災害時における道路ネットワークの活用は必須事項であるが,東北地方と四国地方では地質・地形条件が異なっている.本稿では地すべり地形と深層崩壊推定頻度に着目し比較検証を行った.検証の結果,「四国版くしの歯作戦」で緊急輸送道路に指定されている路線では道路施設被害が多発することが懸念される.四国地方の地質・地形特性を考慮した総合的な緊急輸送手段の構築が必要と考えられる.
特集号(報告)
  • UK SOMETH, Masaru MINAGAWA
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_193-I_204
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     Preah Vihear in Cambodia is typically an isolated region that has been neglected for many decades. In 2008, when Preah Vihear was listed as World Heritage Site, the Cambodian government finally started to pay attention to this remote region. One of the most important issues is how Preah Vihear could be an economic and eco-cultural motor for the development in one of the poorest regions in the country. Preah Vihear can be an engine for the development of the region, if once its potentials of cultural heritage combine with its natural resources. This paper indicates that Preah Vihear and its region has various heritage values and regional cultural values, and its resources are able to generate development. These could lead to the road of sustainability, if once all the criteria for economic growth works well and the conditions for social progress are fulfilled. In that perspective, Preah Vihear must have a chance to achieve its final goal and reduce poverty gap by sustainable development.
  • 松本 茂
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_205-I_212
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     栃木県では,地球温暖化対策を推進するため,地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入拡大の取組を進めている.栃木県は河川の源である山地や森林を有することから,豊富な水資源を活用して年間を通して安定した水力発電の実施が可能である.そこで,県では水力発電の一層の導入を促進するために,県が民間の発電事業者を積極的に支援する「河川活用発電サポート事業」を立案し,実施することとした.
     本稿は,栃木県の水力発電に係る施策の体系を示した上で,本事業立案の背景や事業スキーム等の概要,これまでの経過等について報告するとともに,県の水力発電の普及拡大に向けた今後の展開について述べるものである.
  • 加知 範康, 田中 徹政, 坂口 伸也, 松崎 成伸, 牧角 龍憲
    2014 年 70 巻 4 号 p. I_213-I_220
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     地域防災の観点から,地方において地元建設企業は災害時の初動対応に必要不可欠な存在であり,災害対応の円滑な実施には,自治体と地元建設企業との効率・機能的な協力体制の構築・推進が必要である.一方,公共投資の縮小傾向に加えて,入札による価格競争の激化による厳しい経営環境のもと,地元建設企業は著しく疲弊している.地元建設企業を将来的にも存続させ,協力体制を維持するためには,地元建設企業による災害対応の実態を客観的に評価することが求められている.そこで本研究では,平成24年7月に発生した九州北部豪雨災害を事例として,アンケート調査により地元建設企業の災害対応の実態を把握するとともに,自治体との協力体制からなる地域防災機能を維持・確保していくための,今後の課題を整理した.
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