土木学会論文集D
Online ISSN : 1880-6058
ISSN-L : 1880-6058
64 巻, 1 号
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特集(モビリティ・マネジメント研究の展開)
  • 藤井 聡
    2008 年 64 巻 1 号 p. 43-44
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
  • −万歩計を用いた健康歩行量TFPを通じて−
    中井 祥太, 谷口 守, 松中 亮治, 森谷 淳一
    2008 年 64 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     MMの手法に関し様々な研究・調査が実施されているが,健康意識への働きかけだけでどれだけ行動変容効果が生じるかは十分に明らかにされていない.本研究では個人の健康意識に働きかけることで歩行を促進し,自動車利用を抑えるTFPの提案を行い,実施効果を明らかにする.具体的には,広島県福山市において78人の被験者(パネル)に対し,起床時から就寝時まで万歩計を使用し日常生活と歩行量の関係を調べた.健康歩行量TFP実施の前後で比較すると,制御群で基準化した1日の歩行量は約30%増加し,自動車利用時間は徒歩や公共交通の利用により約27%削減されるという結果を得た.これらの結果から,健康意識に働きかけるMMは健康促進だけでなく,交通環境改善のための有効な方策となることが示された.
  • 大森 宣暁, 中里 盛道, 青野 貞康, 円山 琢也, 原田 昇
    2008 年 64 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,GPS携帯電話を利用したトラベルダイアリー調査システムと,WebGISソフトウェアを活用した交通行動自己診断システムを開発し,トラベル・フィードバック・プログラムのコミュニケーションツールとしての有効性を検討した.開発したシステムは,Webブラウザ上に,一日の交通パターンの詳細と移動軌跡を表示し,交通手段を変更した場合の複数の代替案を比較・検討できるものである.本システムを大阪府「かしこいクルマの使い方プログラム」に適用した結果,意識の面で自動車利用抑制に関する知覚行動制御および行動意図が改善し,行動の面でも自動車利用の減少の点で,既存のWebを活用したTFPシステムと同等の効果があることが確認された.
  • −フォーカス·ポイントの相違が態度·行動変容効果に及ぼす影響−
    谷口 綾子, 島田 絹子, 中村 文彦, 藤井 聡
    2008 年 64 巻 1 号 p. 65-76
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,モビリティ·マネジメント(MM)施策の二大目標「自動車利用抑制」と「公共交通利用促進」に着目し,これら二つが人々の交通行動の意思決定のフレームとフォーカス·ポイントに与える影響の差が態度·行動変容効果の差として表れるか否かという視点で,龍ケ崎市におけるコミュニティ·バス利用促進MMプロジェクトの効果分析を行った.その結果,施策としてコミュニティ·バスによりフォーカスした群で公共交通に対する態度·行動変容効果が示唆された一方,相対的に自動車利用抑制にフォーカスした群においては,自動車利用抑制に対する態度·行動変容効果が見られ,本研究の仮説が支持されたことが示唆された.
  • 松村 暢彦
    2008 年 64 巻 1 号 p. 77-85
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     これまで数多く実施されてきた住民を対象としたモビリティ・マネジメントの広がりとして本研究では,既存住民と転入者を対象としたワンショットTFPによる態度・交通行動変容効果の持続性を評価した.2002年11月に大阪府吹田市役所の転入者窓口および既存住民世帯へのポスティングにて,事前調査票を配布し,その後,公共交通に関する情報提供や,行動プラン法を実施し,直後,1年後,3年後に事後調査を行って心理指標,行動指標の変化を把握した.その結果,既存住民に対しては態度・交通行動変容効果は示されなかったが,転入者に対しては,直後から3年後においても情報提供群,行動プラン法群ともに制御群と比べて有意にバス利用頻度が高く,自動車利用頻度が抑制されていることが明らかになった.
  • 萩原 剛, 村尾 俊道, 島田 和幸, 義浦 慶子, 藤井 聡
    2008 年 64 巻 1 号 p. 86-97
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     職場におけるモビリティ・マネジメント(職場MM)は,近年国内において様々な取り組みがなされているものの,それらは小規模な実験的取り組みにとどまっており,その効果検証方法も「参加者からのアンケート調査」という非集計データによるものであった.また,これまでの職場MMにおいては,様々なコミュニケーション手法が開発されてきたが,それらを同一地域において,同時に実施した事例は報告されておらず,MM施策の効果に関する定量的な比較は十分ではない.
     以上の認識の下,本研究では,京都府宇治地域に立地する事業所の従業員約4,400名を対象に,複数のコミュニケーション手法を用いたMMを実施し,交通量データによる集計的効果の把握と,参加者からのアンケート調査による施策効果の比較分析を行った.
  • ∼福岡における取り組みからの知見と実務的課題∼
    須永 大介, 中村 俊之, 北村 清州, 牧村 和彦, 小椎尾 優, 藤井 聡
    2008 年 64 巻 1 号 p. 98-110
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     本研究では地域住民を対象としたモビリティ・マネジメントのうち,家庭訪問形式を採用しフェイストゥフェイスによるコミュニケーションを行うプログラムにおける実施上の有効性,大規模展開上の課題等を明らかにするため,福岡市南区長住地域の地域住民を対象としたプログラムの実施結果を基に分析を行った.その結果として,家庭訪問形式による対象者へのコミュニケーションを行うことにより,クルマ利用の移動について削減効果が検証されるとともに,対象者への調査趣旨の浸透度が高まり,同時に高い水準の回収・コミュニケーション率の達成を実現できるなどの有効性があることなどが整理された.
  • 木内 徹, 土井 勉, 藤井 聡
    2008 年 64 巻 1 号 p. 111-121
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     近年,人々の過度に自動車に依存した交通行動を,自発的に変化させることを目的としたモビリティ・マネジメント(MM)施策が注目され,その適用事例が増加している.それらの多くでは,自動車利用の抑制や,路線バスやコミュニティバスを中心に公共交通の利用促進の効果があることが報告されている.
     筆者らは,複数の鉄道路線を対象に,その利用促進を目的としてMMに取組んできた.それらの取組みにおいて,アンケート調査から測定される意識・交通行動においては,一定の鉄道利用促進効果が確認されたが,実際の利用者数においては集計的効果が得られるまでにはいたらなかった.本報告は,鉄道利用促進のためのMMの事例について報告するとともに,その中から得られた課題をとりまとめるものである.
和文論文
  • 中井 秀信, 森本 章倫
    2008 年 64 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/01/21
    ジャーナル フリー
     本論文は,環境負荷低減を目指したコンパクトシティを指向し,郊外から都心部への移住をシナリオとして想定した場合,どのような居住形態(戸建または集合住宅)・家族形態(単身世帯,夫婦世帯,3世代居住等)が都心に移住すればエネルギー消費低減に寄与するかをシミュレーションした.具体的には民生部門では電力消費量に着目し,住宅種別や世帯人員等,ライフスタイル別の相違を把握し,コンパクトシティ政策時の予測を行った.運輸部門では現状推移・コンパクトシティ政策時の交通需要推計を行い,エネルギー消費量の算出を行った.この結果,コンパクトシティ政策により,運輸・民生両部門で,エネルギー消費量低減効果が確認できたことから,この両部門での総合評価を実施した点に本研究の特色がある.
  • 梶田 佳孝, 外井 哲志, 松岡 淳
    2008 年 64 巻 1 号 p. 11-23
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/01/21
    ジャーナル フリー
     本研究は,近年深刻になっている違法駐輪問題解決のための効果的な対策の評価手法として,有料駐輪施設の料金,駐輪時間などの説明変数を導入した駐輪形態および駐輪箇所の選択モデルを作成し,さらにそれを組み込んだ駐輪行動シミュレーションモデルを作成した.駐輪形態および駐輪箇所の選択モデル作成の際にはネスティッドロジットモデルを適用し,駐輪を行う際に考える駐輪形態,駐輪ゾーン,駐輪箇所の選択構造を分析した.作成したモデルに基づき,対象地区における駐輪行動の現状をシミュレーションし,どのような対策を講じる事で違法駐輪を駐輪施設へ誘導出来るのか,その方向性を検討した.
  • 横松 宗太, 湧川 勝巳, 小林 潔司
    2008 年 64 巻 1 号 p. 24-42
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/01/21
    ジャーナル フリー
     自然災害により家財を喪失した家計は,復旧のために自己資金以外に外部資金を調達することが必要となる場合がある.しかし,家計が金融機関から借入れができないという流動性制約に直面する場合,家財の復旧過程が遅延することによる被害が発生する.本研究では,流動性制約下における家計による家財の復旧行動をモデル化し,家財が低い水準に止まることや,復旧過程が遅延することにより発生する流動性被害について分析する.そして,防災投資が「期待被害額の減少効果」のみならず,低所得層の家計に対して「期待部分復旧被害額の減少効果」や「期待復旧遅延被害額の減少効果」をもたらすことを明らかにする.また,災害保険や政府による復旧資金の貸付制度というリスクファイナンス手段が,家計の復旧過程に及ぼす機能について考察する.
  • 屋井 鉄雄, 平田 輝満, 山田 直樹
    2008 年 64 巻 1 号 p. 122-133
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     羽田や福岡・那覇などの混雑空港における容量拡大は,我が国の経済,地域・国際交流の活性化のために必要不可欠である.羽田空港に関しては,2010年に新D滑走路が完成予定で,現在の1.4倍程度の容量になるものの,中長期的な視点では十分な容量であるかは議論の余地が残る.また,空港容量の拡大方策を検討する際には,滑走路新設等のハード施策に加え,航空管制方法の改善等のソフト施策もこれまで以上に検討する必要がある.本論文では,羽田空港を対象として,容量拡大のための新たな管制方法とそれに対応した統計的容量算定方式の提案をし,さらに空港容量算定シミュレーションを活用し複数滑走路のインタラクションを考慮した容量拡大方策についても分析を行った.
  • 岡林 隆敏, 関 暁麗, 前川 裕之, 後藤 恵之輔
    2008 年 64 巻 1 号 p. 134-147
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/21
    ジャーナル フリー
     長崎の「唐人屋敷」は,公有化しないままに現在に至り,宅地開発等により境界が変化させられたために,明確な範囲確定ができない現状にあった.本論文では,GPS,GIS等の測量技術を駆使して,唐人屋敷の範囲と敷地,面積を推定した.さらに,現地調査結果を踏まえ,絵図・古地図と現在の地図を使ったGISの処理,コンピュータグラフィックスより敷地構造の表現を併用した検討を行った.また,コンピュータ技術を導入して,当時の絵図を合成することにより,唐人屋敷の地形を立体的に表現でき,より現実感のある復元を可能にした.本研究は,絵図・古写真等歴史的資料のデジタル化と,地理情報技術の融合により,遺跡の範囲を推定するための新しい土木史研究の実施方法を提案するものである.
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