都市経済学における標準的な住宅立地理論は,交通費用と地代のトレード・オフ関係をもとに,都市の土地利用と交通パターンを説明する.その理論では,交通条件は静学的な枠組みで表現され,渋滞現象等の
intra-dayレベルの詳細は無視できると仮定されている.一方,ボトルネック・モデルに関する最近の研究によれば,静学的な交通モデルは,交通費用に関して非常に大きな評価誤差を生じうると指摘されている.そこで,本研究では,従来の立地−交通均衡理論が,どのような都市条件の下で,交通費用に関して大きなバイアスを生むかを明らかにする.この目的を達成するために,本研究では,通勤者の出発時刻選択を内生化した住居立地モデルを構築し,均衡解を求める.そして,その均衡解から,従来理論による状態表現が妥当でないと考えられる都市−交通条件を導く.
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