本研究は,人口減少下での持続可能な都市交通戦略の検討手法として,戦略代替案を俯瞰的に分析し政策統合の方向性を検討するヴィジョニングモデルを構築し,中長期的視点から2030年における公共交通戦略と都市のコンパクト化のアウトカムとその地域分布を分析した.その結果,全国レベルでは1)交通事業利潤最大化戦略はCO
2を削減するが便益を低下させる,2)CO
2最小化戦略は便益を向上する,3)コンパクト化はCO
2を削減するが便益が低下する可能性が示された.一方,都市圏毎の分析より,1) CO
2最小化戦略は大都市のCO
2削減と便益向上を両立させるが地方都市では両立させにくい,2)コンパクト化は地方都市のCO
2削減と便益向上の両立可能性を高める,3)大都市のコンパクト化は混雑を悪化させ,CO
2削減や便益を低下させる等の知見が得られた.
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