土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
62 巻, 4 号
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和文論文
  • 高橋 順, 宮本 文穂
    2006 年 62 巻 4 号 p. 619-630
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     床版防水層は防水機能を保持するためにコンクリート床版への付着性能が要求されるが,防水層が付着するコンクリート床版では重量車両の走行によるたわみや床版面のひび割れといった挙動が起こり,防水層の付着性能に影響することが考えられる.本研究では,床版に生じるたわみや床版面に発生したひび割れが防水層の付着性能への影響についてFEM解析による検討を行った.その結果,床版に発生したたわみによって防水層に発生した応力は輪荷重に対応した応力に加算されること,ひび割れの生じた床版に輪荷重が負荷されるとひび割れ端部の防水層に大きなせん断応力が発生することがわかった.床版のたわみやひび割れがない条件での防水層の仕様選択では,ひび割れの影響による照査が必要であることがわかった.
  • 田中 直樹
    2006 年 62 巻 4 号 p. 631-640
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     道路のメンテナンスにおいて,路面に発生したクラックの検出が必要とされている.本論文では,レーザーイメージングシステムにより得られた道路面の画像からのクラック抽出方式および面状/線状クラックの判定方式について述べている.レーザー光源による画像は,照明条件などの変動が無い反面,クラックの深さや路面の状態の変動のために低コントラストとなる傾向がある.また,クラックは深さ・幅・形状などが一定でない.そのため,クラック抽出方式は,低コントラストに対応できること,クラックの形状などの変動に対応できることが求められる.本提案方式は,主に,モルフォロジー演算により検出される鞍状点をクラック候補領域とすることなどにより,低コントラスト性や,クラックの形状の変動などへの耐性を実現している.
  • 露口 雄次, 町田 篤彦
    2006 年 62 巻 4 号 p. 641-656
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     現在,鉄筋腐食状況を推定する非破壊検査法は,鉄筋端部をはつり出す一部破壊作業が必要である.そのため,電気探査法の一種である直流比抵抗法を用いて,鉄筋のはつり作業を行うことなくRC構造物の鉄筋腐食状況などを非破壊で推定する基礎的研究を実施した.実験では,健全鉄筋,腐食鉄筋,円形空洞の直径をパラメータとして,これらが直流比抵抗法で測定できるかの検討を行い,その実験結果から,鉄筋の有無,鉄筋腐食状況,空洞の有無を推定可能であることが明らかになった.解析では,三次元有限要素法の電界プログラムを開発し,数値シミュレーションを行って解析手法と解析コードの妥当性を検証すると共に,上記の実験結果と比較検討を行った.その結果,開発した電界プログラムは,RC構造物の内部推定に有効であることも明らかとなった.
  • 山本 武志, 金津 努
    2006 年 62 巻 4 号 p. 657-671
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     フライアッシュのポゾラン反応性を迅速に評価するAPI法により得られたAPI値とフライアッシュ混合モルタルのアルカリシリカ反応(ASR)膨張抑制効果の間には,正の相関が認められ,API値が高いフライアッシュほどASR抑制効果が高まることを明らかにした.API法により,フライアッシュの物理・化学特性を包括的に評価できると考えられた.パイレックスガラスを骨材としたモルタルでは,フライアッシュ混合の有無に関わらず,骨材近傍で生成するASRゲルは,Si,Na,Kを主要構成元素とし,それらの構成比率は同程度になった.フライアッシュを混合した場合は,ASRゲルの生成量が抑制されるためにASR抑制効果がもたらされると考えられた.
  • 西内 達雄, 阪田 憲次
    2006 年 62 巻 4 号 p. 672-688
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     アーチダムの耐震安全性を評価する上で,ダムの常時挙動と耐荷機構を明らかにしておく必要がある.このため,アーチダム鉛直方向の施工ジョイント部での剥離とすべり,再接触を考慮できる数値解析モデルを,コンクリートブロックによる一面せん断試験に基づき提案した.提案モデルを組み込んだ三次元有限要素解析手法を用いて,気温の年変化と貯水位の変化によるアーチダムの解析を行い,堤体変位計測データと比較した.その結果,解析結果は計測値と良好に一致し,アーチダムの変形挙動を評価できることが明らかとなった.また,アーチダムの堤体では,鉛直方向の施工ジョイント部の剥離やすべりによる状態変化により,作用荷重の推移に伴う力の伝達領域が形成され,アーチダムの耐荷機構が明らかとなった.
  • 佐藤 研一
    2006 年 62 巻 4 号 p. 689-697
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     セメント改良土を用いた歩行者系舗装は,景観との調和を考慮した公園内の歩道などに多く用いられるようになってきた.しかしながら,舗装剛性を低く設定し足への負荷を軽くするために,自然環境の変化や使用用途の違いによる摩耗やひびわれによる舗装材料の耐久性の問題が指摘されている.そこで,本研究では,36箇所の土系舗装施工現場において目視によるひびわれ調査,舗装剛性および滑りやすさについて現地調査を行った.また,セメント改良土を用いた舗装材料について自然環境の変化を考慮して養生した供試体を用い,一軸圧縮試験,カンタブロ試験および回転摩耗試験の結果から材料特性の把握を行った.その結果,舗装材料の耐久性はセメント量,被覆材,そして使用用途の違いが大きいことが示された.
  • 内藤 英樹, 白濱 永才, 秋山 充良, 高田 真人, 鈴木 基行
    2006 年 62 巻 4 号 p. 698-712
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     SRC柱の正負交番載荷実験により,H形鋼の割合が多いSRC柱は,H形鋼フランジの局部座屈が生じた後に鋼材が破断することで脆性的に耐力を失うことが報告されている.本研究では,破断の前段階であるH形鋼の局部座屈を終局としたSRC柱の靭性能評価法を提示した.コンクリートに拘束されたH形鋼の座屈性状に着目し,3辺固定-1辺自由の支持条件を仮定した平板の弾塑性座屈モデルにより,H形鋼フランジの座屈時ひずみを定式化した.さらに,この座屈時ひずみを基に部材軸方向の曲率分布を定め,これを二階積分することで座屈時変位を算定する.そして,FEM解析や正負交番載荷実験と比較することで,提案手法はSRC柱でのH形鋼の座屈時変位やフランジの座屈長などを妥当に評価できることを確認した.
  • 加地 貴, 石井 光裕, 橋本 紳一郎, 橋本 親典
    2006 年 62 巻 4 号 p. 713-727
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     フライアッシュを細骨材の一部と置換する方法で比較的大量に使用したコンクリートの実用性の評価を目的として,レディーミクストコンクリート工場の実機プラントで製造したコンクリートをポンプ圧送し,試験用ブロックを作製することにより,コンクリートのフレッシュ性状および施工性を調査した.また,試験用ブロックを海岸部飛沫帯へ3年間曝露し,曝露期間中に採取したコアを用いて強度および耐久性に関する試験を行った.その結果,フライアッシュを細骨材の一部に置換した場合,粘性の増加を考慮することによって,通常のコンクリートと同様の施工が可能であるとともに,長期強度の増進,中性化の進行抑制および塩化物イオンの浸透抑制が図れることが実施工レベルで明らかになった.
  • 武田 三弘, 大塚 浩司
    2006 年 62 巻 4 号 p. 728-738
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,X線造影撮影によりコンクリート構造物内部の空隙やマイクロクラックの発生状況を測定することによって,コンクリート劣化の数値化や凍結融解抵抗性の判定を目的として行ったものである.本研究では,凍結融解試験によって劣化の程度を変えたAEコンクリート供試体に対してX線造影撮影を行い,検出されたひび割れの数値化方法や,その数値化された値と相対動弾性係数との関係を求めた.また,強度の異なるモルタルや各種コンクリート供試体および劣化を受けたコンクリート供試体に対してX線造影撮影を行い,数値化された空隙量やマイクロクラックの値と凍結融解作用による質量減少率との関係を求めた.さらに,実コンクリート構造物へのX線造影撮影の適用例を示した.
  • 丸屋 剛, 武田 均, 堀口 賢一, 小山 哲, 許 鎧麟
    2006 年 62 巻 4 号 p. 757-776
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,塩化物イオンにより促進されるコンクリート中の鋼材の腐食をマクロセル回路の形成による腐食ととらえ,それに基づき腐食量の分布を算出する解析手法を構築し,乾湿繰返し環境に暴露した供試体中の鉄筋の腐食をシミュレートしてその妥当性を検証したものである.ミクロセル回路形成におけるアノード分極曲線とカソード分極曲線を塩化物イオン濃度などの腐食因子を要因として定式化し,得られたミクロセル回路の自然電位の差によりマクロセルが形成されるものとした.解析上の自然電位および腐食量の分布は供試体の測定結果と定性的に一致しており,本論文の腐食進行に関する解析手法の妥当性が明らかとなった.また,断面修復部などにおけるマクロセル回路の形成について解析的に明らかにした.
  • 荒巻 智, 垣尾 徹, 谷村 幸裕, 宮川 豊章
    2006 年 62 巻 4 号 p. 777-789
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     鉄筋コンクリート構造は,適切に設計,施工されれば,極めて耐久性の高い構造である.しかし,近年,鉄筋コンクリート構造物において,鉄筋腐食によりかぶりコンクリートが剥落する事象が見受けられる.鉄筋の腐食が進行すると,鉄筋の断面欠損を生じ,構造物の耐力を低下させる恐れがある.本研究では,コンクリートの中性化と内在する塩化物イオンの影響で鉄筋の腐食を生じたと考えられる経年約30年の鉄道ラーメン高架橋を対象に,腐食した鉄筋を採取し,実構造物の鉄筋の強度性状を現場の計測から簡易に推定する方法について検討した.その結果,鉄筋の最小径を測定することにより降伏強度残存率と見かけの疲労強度残存率を推定することができることがわかった.
  • 守屋 進, 大澤 隆英, 渡辺 健児, 中野 正, 永井 昌憲, 多記 徹, 金井 浩一
    2006 年 62 巻 4 号 p. 790-797
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     本報告は,ISO/TC156に採択された国際共同暴露試験地の1つである駿河湾大井川沖に設置された海洋技術総合研究施設において実施された重防食塗装系の海上暴露試験結果である.下塗りに厚膜形ジンクリッチペイントを用い,上塗にふっ素樹脂塗料を用いた重防食塗装系は海上暴露という厳しい腐食環境下でも20年を経過しても良好な防錆性と耐侯性を有することが確認できた.一方,重防食塗装系でもエッジ部でさびが発生しているものがあり,エッジ部の防錆対策が重要であることが認識された.
  • 幸左 賢二, 脇山 知美, 西岡 勉, 小林 寛
    2006 年 62 巻 4 号 p. 798-814
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     せん断スパン比(以下,a/d)が小さく,せん断補強筋を有するディープビーム部材を対象に,a/d,せん断補強筋比,有効高さをパラメータとして,単純梁を用いた鉛直載荷実験を行い,せん断抵抗に関する検討を行った.その結果,a/d≦1.0とa/d=1.5では終局時の破壊の形態が異なることが,デジタルカメラやひずみの計測を詳細に行うことにより明らかとなり,a/d≦1.0のせん断破壊では,圧縮力が主体となるためせん断補強筋はほとんど効果を発揮しないが,a/d=1.5ではひび割れ幅の抑制効果があることからせん断補強筋が十分に効果を発揮することが分かった.また,本研究におけるせん断耐力評価式は実験値を概ね評価できることが分かった.
  • 八谷 好高, 坪川 将丈
    2006 年 62 巻 4 号 p. 815-825
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     空港滑走路におけるグルービングの航空機荷重に対する安定性について研究し,それを保持するために必要となる方策について明らかにした.まず,現地調査と数値解析の結果に基づき,すべり抵抗性を確保するという滑走路の要求性能を満足するためには,グルービングの溝の容積減少率を20%以内に抑えることが必要であることを見出した.そして,一連の室内試験を行った結果に基づいて,これを可能ならしめる具体策は,表層アスファルトコンクリートに改質アスファルトを使用することであることを明らかにした.これに加えて,オーバーレイの場合にはストレートアスファルトを用いたとしても,骨材面での工夫をした上である程度の養生期間を確保することで対応しうることがわかった.
  • 鬼束 俊一, 瀬下 雄一, 中川 貴之, 堤 知明, 岩波 光保
    2006 年 62 巻 4 号 p. 832-843
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     効果的な維持管理を行うためには,補修による効果を定量的に評価する必要がある.各補修工法の補修効果については,基礎的な検討は実施されているものの,補修後の再劣化に関する実データの蓄積が十分ではなく,補修効果の定量的な評価にまでは至っていない.本研究は,表面被覆工法・断面修復工法を対象として,塩害劣化環境下における補修効果を定量的に評価するためのモデルについて検討したものである.検討に当たっては,実構造物において,実際に表面被覆や断面修復が施工されたものを対象として,補修前後の遮塩性能を調査・分析することで,補修効果の定量評価を試みた.その結果,補修効果をモデル化して,補修効果を定量的に評価する方法について提案した.
  • 田嶋 仁志, 岸田 政彦, 神田 亨
    2006 年 62 巻 4 号 p. 844-854
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     二次覆工を省略したシールドトンネルの耐火性能について検討を行った.RCセグメントの爆裂には応力状態が影響を与えることから,クラウン部(正曲げ)およびスプリングライン部(負曲げ)の設計断面力を作用させた大型試験体を用い,RABT曲線による耐火実験を実施した.加熱中は爆裂の進行状況や試験体の熱変形挙動に着目して計測を行った.耐火被覆を施した正曲げの試験体では変形量も小さく損傷はほとんど生じなかった.無被覆負曲げの試験体では激しい爆裂を生じ変形も大きくなったが崩壊には至らず,最後まで設計断面力を保持可能であった.ポリプロピレン繊維を添加した正曲げおよび負曲げの試験体では,コンクリートの爆裂が発生せず,鉄筋温度の上昇が抑えられたため変形量も小さかった.ポリプロピレン繊維の効果は耐火被覆には及ばないものの,十分な耐荷力が期待できることが確認された.
  • 久部 修弘, 吉武 勇, 稲森 あゆみ, 浜田 純夫
    2006 年 62 巻 4 号 p. 855-865
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,炭素繊維シートで補強されたコンクリート要素の純せん断力作用下における破壊挙動や補強効果を明らかとすることで,炭素繊維シートによるせん断補強効果に関する基礎的データを資することである.本研究では,簡易的に純せん断力を作用させることのできる中型純せん断実験装置を用いて,炭素繊維シートの種類や繊維軸角度をパラメータとした実験的検討を行った.その結果,炭素繊維シートによるせん断補強効果は,繊維軸角度に強く影響を受け,その破壊モードも異なることが確認できた.
  • 岸 利治, 永峯 秀則
    2006 年 62 巻 4 号 p. 866-881
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     著者らは,別報において,変形性指標Γm(フロー値)とモルタルに一定の遠心力を作用させたときの浮き水の量と粉体容積との比である遠心分離水比WcsPは直線関係にあり,高性能AE減水剤SPの添加量ごとに規則的に傾きを変えるWcsP-Γm直線群はΓmが負の領域で焦点を結ぶ事実を見出し,この焦点を原点とする遠心分離水こそが,自由水として定義すべき状態量であるとの考えを提示した1).本報告では,配合と粘性の変化に伴う自由水の傾向を分析することにより,粒子の凝集形態が,SP添加量に応じて強凝集・遷移・分散の各領域に大別できること,また,粒子間摩擦には凝集体表面の摩擦と凝集体内部での摩擦があり,凝集体表面の摩擦は変形性を,凝集体内部での摩擦は粘性をそれぞれ支配することを明らかにした.
  • 永峯 秀則, 岸 利治
    2006 年 62 巻 4 号 p. 882-892
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     モルタルに一定の遠心力を作用させたときの浮き水の量と粉体容積との比である遠心分離水比WcsPは,変形性指標Γmと直線関係を示し,このWcsP-Γm直線の傾きは高性能AE減水剤(SP)の添加量ごとに異なる.本研究では,異なるSP添加量ごとのWcsP-Γm直線群が,Γmが負の領域で焦点を結ぶ事実を見出した.そして,この焦点では水粉体容積比がほぼ一定であり,SP添加量に依存せず変形性が一意に定まる特異的な状態であることから,この焦点における状態は“変形に寄与する水がゼロ”の状態であり,流動性の支配機構に基づけば,この焦点を原点とする遠心分離水こそが,変形に寄与する水,すなわち,自由水として定義すべきものであることを明らかにした.
和文報告
  • 田中 良樹, 河野 広隆, 渡辺 博志
    2006 年 62 巻 4 号 p. 739-756
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     実構造物におけるエポキシ樹脂塗装鉄筋(ECR)の防食性能を把握するため,発錆限界塩化物イオン量の視点から,北米の各州で実施された実態調査の結果を収集,再分析した.凍結防止剤散布による床版中のECRの腐食は,コンクリートのひび割れ,ECRの塗膜剥離の有無にかかわらず,ECR周囲の塩化物イオン量にある程度依存すること,ECRの発錆限界塩化物イオン量は普通鉄筋よりも大きいことがわかった.また,フロリダ沿岸部で早期劣化が見られた橋脚群におけるECRの腐食事例でも,かぶりコンクリートの低い塩分浸透抵抗性などの理由によりECRの周囲に多量の塩化物イオンが存在していた.ECR周囲のコンクリート中の塩化物イオン量をECRの発錆限界値以下に抑制することによって,沿岸部橋脚にもECRを効果的に適用できることがわかった.
和文ノート
  • 吉岡 国和, 吉武 勇, 宮本 圭介, 浜田 純夫
    2006 年 62 巻 4 号 p. 826-831
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究は近年開発された低添加型膨張材による膨張コンクリートのひずみ特性を調べるため,若材齢期を中心とした長さ変化挙動を実験的に求めた.特に各ひずみ成分に分離を行うことを目的とし,配合条件や環境湿度を実験パラメータとしたコンクリートのひずみ計測を行った.そして,ひずみの重ね合わせ則に基づいて,若材齢期の膨張コンクリートの各ひずみ成分を求め,その特性について考察を加えた.その結果,標準添加量20kg/m3とする膨張コンクリートの(自由)ひずみ変化量は,ほぼ同じ配合構成で異なる環境下におけるコンクリートのひずみを用いることで,精度よく推定できることを確認できた.
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