土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
63 巻, 4 号
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和文論文
  • 上田 尚史, 澤部 純浩, 中村 光, 国枝 稔
    2007 年 63 巻 4 号 p. 532-548
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     損傷理論に基づきアルカリ骨材反応が生じたコンクリート部材の膨張予測を簡易に行うモデルの提案を行い,提案した膨張予測モデルを3次元有限要素解析に導入し,その適用性について検討した.その結果,一軸拘束供試体の解析において,鉄筋量が増えるほどASR膨張が抑制される挙動を精度よく評価できることを示した.また,多軸拘束供試体の解析においては,実験値との比較から配筋の相違が部材の膨張挙動に及ぼす影響を妥当に評価するとともに,鉄筋曲げ加工部においてひずみが局所化する挙動を解析的に明らかにした.本研究を通して,提案したモデルを用いることでアルカリ骨材反応によるRC部材の膨張挙動予測と損傷評価を行うことができる可能性を示した.
  • 細田 暁, 藤原 浩一, 青木 千里
    2007 年 63 巻 4 号 p. 549-561
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     ペーストと骨材の熱膨張係数の差により発生する微視的温度応力が,高温履歴を受ける若材齢コンクリートの圧縮強度,引張強度,曲げ強度,弾性係数といった物性値に及ぼす影響を明らかにした.
     蒸気養生を模擬した高温履歴を与えたとき,水結合材比が30%の場合は骨材の有無により圧縮強度が大きく異なった.水結合材比が50%の場合は,粗骨材の違いが物性値に大きな影響を与え,微視的温度応力の影響が明らかとなった.特に高炉スラグ微粉末含有コンクリートにおいて物性値の低下が大きかった.高温履歴を受ける場合は細骨材の影響も生じ,石灰石砕砂はペーストとの界面の接着による強度向上の効果が示唆された.材齢7日に高温履歴を与えた場合は,微視的温度応力の影響がわずかであり,圧縮強度と弾性係数の低下は実験誤差の範囲内にあった.
  • 河野 克哉, 二羽 淳一郎, 大滝 晶生, 村田 裕志
    2007 年 63 巻 4 号 p. 575-589
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     微細な独立空隙を有する低吸水性の高品質軽量骨材の開発によって高強度かつ軽量なコンクリートが製造可能となり,橋梁上部構造などに実用化されている.しかし,このコンクリートは高強度化することで,自己収縮の増大や脆性的な破壊などを生じやすくなり,はり部材のせん断性能に着目した場合には弱点となる.このため,高品質軽量骨材を用いて高強度化したRCはりのせん断耐力の改善を目的とし,合成短繊維と収縮低減型混和材料の併用効果について検討した.その結果,それぞれの材料を単独で用いた場合よりも併用した場合の方がコンクリートの自己収縮の低減ならびに破壊力学特性の改善に寄与できるため,RCはりのせん断耐力を向上できることが明らかになった.
  • 桃谷 尚嗣, 関根 悦夫
    2007 年 63 巻 4 号 p. 608-619
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
     鉄道のバラスト軌道では,軌道沈下の抑制,列車荷重の路床への分散および雨水の路床への浸透の防止を目的として,アスファルト路盤が広く適用されている.従来のアスファルト路盤の設計は路床の剛性に応じてその厚さを定める仕様規定であったが,鉄道構造物の設計における性能規定化の一環として,アスファルト路盤についても列車本数の影響を考慮した性能照査型の設計方法を導入することが求められていた.そこで,本研究ではFEM解析によってアスファルト混合物層のひずみを推定し,疲労破壊規準式を適用することで路盤の厚さを求められる設計方法を提案した.この設計方法は鉄道土構造物の新しい設計標準に反映され,性能規定化に対応したアスファルト路盤の設計が可能となった.
  • 丸岡 正知, 渡辺 暢, 藤原 浩已
    2007 年 63 巻 4 号 p. 640-655
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     自己充填性を有する高流動コンクリートが流動障害を通過する際の圧力損失発生機構について,チクソトロピー流体および混相流体力学に基づく理論的検討と理論式導出を試みた.ここでは,コンクリート中の粗骨材量が局所増大し,内部の力の伝達が粘塑性流体の形式から固体粒子間摩擦が卓越する形式へ変化し,コンクリートの見掛けの降伏値が増大し,圧力損失が増大するモデルを構築し,本モデルの妥当性を,モデルコンクリートによる流動圧力損失量測定試験および流動状況の可視化実験結果に基づき検討した.その結果,高流動コンクリートの障害通過時に,障害近傍にて粗骨材の閉塞が現れず,圧力損失実測値が200Pa以下の範囲では,圧力損失の理論式による推定値と実験値の間に良好な相関が認められた.よって,本モデルは概ね妥当であるとした.
  • 内海 秀幸
    2007 年 63 巻 4 号 p. 656-666
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,水銀圧入試験より得られる圧入圧力と水銀浸入量の関係を表現するための理論構築と,その理論に基づく微細構造特性の評価手法の確立を目的としたものである.熱力学に基づいたエネルギー収支より,計測システムに対応した水銀の圧入過程を表す理論式を次式のように定式化した.
    V =V0Upc,

    1+Upc

     ここで,pcは圧入圧力,V は圧入圧力pcに応じて空隙内へ浸入する水銀量,Uは空隙径の分布特性を特徴づける定数,V0は全空隙量である.この理論式は,各種セメント系材料に対する水銀圧入過程の基本的傾向を表現することが可能であり,特にメソポア領域では極めて良好な精度で試験結果と対応する.本研究により,セメント系材料を対象とした水銀圧入試験における圧入圧力と水銀浸入量の関係と空隙径の分布特性を定量的に関連づけることができた.
  • 吉武 勇, 石川 慶典, 河野 博幸, 三村 陽一
    2007 年 63 巻 4 号 p. 677-688
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     コンクリートの初期ひび割れを予測するには,若材齢コンクリートに生じる引張応力を適切に推定する必要がある.正確な引張応力の推定には,その時点における引張ヤング係数が必要となるが,これまで比較的試験が容易な圧縮ヤング係数をもって代用されてきた.そこで本研究では,若材齢コンクリートおよび同モルタルの一軸引張実験を通じて引張ヤング係数の材齢変化特性を求めた.その結果,材齢1∼2日では,圧縮ヤング係数に比べ引張ヤング係数は大きく,このような傾向は水セメント比が高いほど顕著であった.また,複合則理論モデルを用いて引張ヤング係数の推定を行い,本研究で示す簡易モデルをもって若材齢コンクリートの引張ヤング係数を概ね適切に推定することができた.
  • 川端 雄一郎, 山田 一夫, 松下 博通
    2007 年 63 巻 4 号 p. 689-703
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     安山岩のアルカリ反応性評価を目的として,岩石学的分析を行った安山岩の各種促進養生試験における膨張特性とあわせて検討した.モルタルを飽和NaCl溶液に浸漬する試験法では,トリディマイト,クリストバライトは膨張性があるが,火山ガラスは非膨張性であった.これは,火山ガラスの溶解を開始するpH が反応性シリカ鉱物のそれよりも高いためと推察された.一方,現行のJIS規格の化学法,モルタルバー法ではいずれの安山岩も「無害でない」と判定された.本研究ではこれらの現象の機構をモルタルの空隙水組成や各種鉱物の溶解挙動によって説明した.以上を基に,外部からアルカリの供給があるような環境においてもガラス質安山岩はアルカリ総量規制を遵守すれば膨張しない可能性を明らかにした.
和文報告
  • 元野 一生, 村永 努, 八谷 好高, 梶谷 明宏, 加納 孝志
    2007 年 63 巻 4 号 p. 518-531
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     ブリスタリング等の破損が広範囲で生じた福岡空港の滑走路舗装に対して,航空機の運航に影響を及ぼすことなく,しかも日々の工事終了直後に大型航空機が高速,高頻度で走行するとの条件の下で,切削オーバーレイによる大規模補修を実施した.その補修方法ならびに施工管理方法については,一連の室内試験ならびに試験施工により定めた.すなわち,材料としてはアスファルト混合物に改質アスファルトII型と中温化添加剤を用いること,基層には大粒径骨材を用いること,さらに改質乳剤によるタックコートを使用することを基本とし,供用開始時刻の1時間前における舗装表面温度を60℃以下にするという施工管理方法を採用した.この方法により補修を行った箇所において,供用開始後に実施した舗装表面性状に関する追跡調査によりその有効性を確認した.
英文論文
  • Chunyakom SIVALEEPUNTH, Junichiro NIWA, Bui Khac DIEP, Satoshi TAMURA, ...
    2007 年 63 巻 4 号 p. 562-574
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    The parametric study using FEM and the experiment of T-beams prestressed with external tendons have been performed to investigate the factors thought to influence on the shear mechanism of externally prestressed concrete beams. The effects of prestressing force and stirrup can be observed as important factors to the failure mechanism. The simplified truss model, having a small number of degrees of freedom, has been modified and proposed by adapting the formulation to predict the angle of concentrated stress flow and the thickness of diagonal compression members for evaluating the shear carrying capacity of externally prestressed concrete beams. The predicted results show the good agreement with experimental results.
  • Ionut Ovidiu TOMA, Tomohiro MIKI, Junichiro NIWA
    2007 年 63 巻 4 号 p. 590-607
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    The present study is aimed at investigating the shear behavior of reinforced concrete beams with doubly reinforced rectangular cross-section, with and without steel fibers, affected by distributed cracks. The influence of the distributed cracks was mathematically quantified with the help of a crack density parameter. Monotonic loading tests were conducted on the RC beams and their failure indicated a mixed mode between both diagonal tension and diagonal compression failures. Due to the reinforcement layout, the effect of the longitudinal compression reinforcement on the shear carrying capacity should be taken into account. The distributed cracks were shown to have less influence on the peak load of doubly reinforced concrete beams.
  • Zhishen WU, Hedong NIU
    2007 年 63 巻 4 号 p. 620-639
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
    Crack-induced debonding failures are observed to be very dominant and sometimes unpreventable in concrete members strengthened with externally bonded FRP composites. Many research efforts have been concentrated on developing the debonding predictive models and different models have already appeared in some design guides and codes. However, most models are either lacking of comprehensive under-standing of failure mechanisms (empirical models) or too complex for use in practice. As a complement to our preliminary proposal which has been adopted and included in the current JSCE guideline, this pa-per presents a theoretically reasonable and analytically feasible methodology on how to predict the debonding failure induced from intermediate flexural cracks in FRP strengthened R/C beams. The predictions based on the present analytical model are compared to 180 experimental data collected from existing literature and a close agreement has been obtained.
  • Nobuaki OTSUKI, Aung Kyaw MIN, Marish MADLANGBAYAN, Takahiro NISHIDA
    2007 年 63 巻 4 号 p. 667-676
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
    This paper presents the results of the laboratory investigations on the corrosion of paint-coated steel plates with defects under laboratory conditions of simulated marine environment and in the field. First, experimental qualitative evidence showing significant similarity of the polarization behavior between divided, which were used for measurement of each potential and macrocell current, and undivided steel plates was established. Macrocell and microcell corrosion were then monitored in paint-coated steel plates with defects under different exposure situations and temperatures. Lastly, corrosion rates in an existing paint coated steel structure in the field were estimated. Results show that values of electrochemical measurements in divided steel plates are almost the same and showed the same trend as the undivided steel plate. Macrocell corrosion occurred between the painted part and the defect part of the steel plates. The exposure condition where high oxygen supply and high temperature exist, provided the most severe environment for corrosion of paint coated steel with defect. Moreover, corrosion rates in an existing steel structure in the field were successfully estimated.
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