土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
65 巻, 1 号
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和文論文
  • 川口 哲生, 片桐 誠, 白井 一義, 二羽 淳一郎
    2009 年 65 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
     超高強度繊維補強コンクリート(以下,UFCと略記)は,200N/mm2級の圧縮強度,高い自己充てん性,短繊維補強による高い変形能力など,従来のコンクリートよりも極めて優れた性能を有する材料である.補強用鋼材による補強を行い,さらに合理的な構造形式を実現させるために,UFCと補強用鋼材の付着応力伝達機構の明確化を試みた.ここでは,局部付着応力−すべり関係と平均付着応力度に着目した.片側引抜き試験を行い,各種試験要因が局部付着応力−すべり関係に及ぼす影響の把握と定量化を図った.さらに,重ね継手を有するRCはりの曲げ試験を行い,各種試験要因が平均付着応力度に及ぼす影響を把握した.
  • 小澤 満津雄, 内田 慎哉, 王 若平, 鎌田 敏郎, 森本 博昭
    2009 年 65 巻 1 号 p. 16-29
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,火害によるコンクリートの爆裂の発生メカニズム解明の基礎的資料を得る目的で,高強度コンクリートを対象に,含水状態をパラメータとした加熱試験を実施した.加熱に伴うコンクリート内部のひび割れ発生状況をモニタリングするため,アコースティック・エミッション法(AE法)を適用した.また,内部温度と蒸気圧も同時に計測し,含水状態の違いが爆裂の発生に及ぼす影響についての検討を行った.その結果,AE法により得られたAE累積発生数および振幅規模別頻度分布に着目することにより,加熱に伴うコンクリート内部でのひび割れの発生および進展状況や,爆裂による破壊の特徴が評価可能であることを明らかにした.
  • 菅野 貴浩, 石橋 忠良, 松尾 伸二, 幸田 和明
    2009 年 65 巻 1 号 p. 45-62
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     地中に深く埋まっているRC橋脚に対し,橋脚く体をRCや鋼板等で巻き立てて耐震補強を行う場合,一般に大規模な仮土留めや掘削等が必要となり,工事費や工事期間の増大につながる.そこで,地上部からRC橋脚く体内部を斜め下方に削孔し,補強鋼材をあと挿入して耐震補強する方法を考案し,効果の確認のために,供試体による正負水平交番載荷実験を行なった.実験結果を損傷状況,荷重と変位の関係,補強鋼材のひずみ,補強後のせん断耐力と曲げ耐力に達する時のせん断力との比である補強後耐力比,損傷形態,じん性率等との関係で検討,考察した結果,この方法による耐震補強効果を確認できた.さらに,耐震補強効果や損傷形態は補強後耐力比と関係することなどがわかった.
  • 大下 英吉, 堀江 宏明, 長坂 慎吾, 谷口 修, 吉川 信二郎
    2009 年 65 巻 1 号 p. 76-92
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,コンクリート中の鉄筋に対して電磁誘導加熱を行い,鉄筋からの熱拡散により変動するコンクリート表面温度性状からコンクリート内部の鉄筋腐食性状を非破壊で診断する手法を構築したものである.鉄筋腐食の有無によりコンクリート表面の温度性状は異なり,腐食が存在する場合には腐食生成物の熱的性質により非腐食領域に比べて温度が低くなり,その程度は腐食率の増加に伴って顕著となる.また,鉄筋の腐食率或いは腐食厚に関して逆解析手法による腐食厚同定手法の提案を行い,実験結果との対比からその有用性を示した.
  • 楠 貞則, 添田 政司, 大和 竹史
    2009 年 65 巻 1 号 p. 93-102
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     フライアッシュをコンクリート混和材として利用する場合,JISで品質が分類されているものの,使用するフライアッシュの品質によってコンクリートの品質変動が大きいことが懸念され,フライアッシュの有効利用拡大の妨げとなっている.また,近年,フライアッシュを細骨材の一部に代替した利用も進められているが,このフライアッシュコンクリートの品質管理手法について十分とは言えない.本研究はフライアッシュの品質特性を簡易に評価する手法とフライアッシュの品質がフレッシュコンクリートの性状に与える影響について実験的検討を行った.この結果,フライアッシュの品質の中で特に重要な未燃カーボン量の簡易測定手法を提案するとともに,簡易なモルタル試験によるフライアッシュコンクリートの性状評価手法の提案も行った.
  • 東 洋輔, 宮里 心一, 二井谷 教治, 山田 一夫, 宮川 豊章
    2009 年 65 巻 1 号 p. 103-117
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     プレストレストコンクリート部材中のPC鋼材に関して,緊張力が鋼材腐食に及ぼす影響を評価した研究は少ない.また,コンクリート中鉄筋の発錆限界塩化物イオン濃度については多数の研究が実施されているが,グラウトの塩化物イオン濃度が鋼材腐食に及ぼす影響に関する研究は少ない.以上を踏まえ,グラウトの塩化物イオン濃度およびPC鋼材の緊張力が鋼材腐食に及ぼす影響について評価した.そのため,緊張力を有するPC鋼材を,セメント質量に対して0.02∼3.6%の塩化物イオンを含有したグラウトに埋設した.実験の結果,1)グラウトの塩化物イオン濃度が0.09%以下であれば,PC鋼材の腐食発生の可能性は低いこと,2)PC鋼材に与えられる緊張力は,実施工の範囲内(引張強度の80%以下)であれば,腐食発生に影響を及ぼさないこと,が確認された.
  • 福浦 尚之, 前川 宏一
    2009 年 65 巻 1 号 p. 118-137
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     多方向非直交ひび割れ群を有する三次元鉄筋コンクリート要素に対して,アクティブクラック法の一層の高精度化を試み,従来法と同等以上の精度と適用性を追及した.これにより,多方向ひび割れの発生とひび割れの開閉合を実現象により忠実にモデル化することができ,三次元空間上で六方向までの非直交ひび割れ群を有する鉄筋コンクリートの履歴依存型分散ひび割れ構成モデルの厳密な導出を得た.これを非線形構造解析に組込み,多方向ひび割れシミュレーション,既往の要素実験,部材実験との検証解析を行った結果,本モデルは実際に生じるひび割れ損傷と相互作用を表現でき,実用上,十分な精度と適用性を有することを確かめた.
  • 冨 健一, 梅原 秀哲
    2009 年 65 巻 1 号 p. 138-148
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
     兵庫県南部地震以降に設計されたRC橋脚を有する多径間連続高架橋を対象として,将来発生すると想定される東海地震や近年発生した十勝沖地震等の長周期地震動を含む数種類の地震動を用いて3次元非線形動的解析を実施し,地震動特性と連続高架橋におけるRC橋脚の挙動に関して考察した.その結果,支承条件や橋梁の規模の関係で連続高架橋の固有周期が長くなる傾向となるので,長周期成分の影響により地震動と連続高架橋の挙動が共振現象を起こし,RC橋脚の応答値が大きくなる場合があること,および,3次元ファイバーモデルによる耐震性能評価を行うことで,従来の2次元フレームモデルよりも詳細なRC橋脚の耐震性能評価が行えることが確認できた.
英文論文
  • Pitiwat WATTANACHAI, Nobuaki OTSUKI, Tsuyoshi SAITO, Takahiro NISHIDA
    2009 年 65 巻 1 号 p. 30-44
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    The purpose of this research is to study the durability of porous aggregate concrete against chloride attack by examining the influence of porous aggregates on chloride ion (Cl-) diffusivity of concrete and Interfacial Transition Zone (ITZ) properties, and to investigate the influence of curing conditions; which are curing temperature and curing period; on Cl- diffusivity and ITZ properties of concrete using four types of aggregate. Three types of porous aggregates; Japanese artificial lightweight aggregate, coral aggregate and crushed clay brick aggregate; are employed to compare with crushed limestone aggregate. Three different water-cement (W/C) ratios are used in this study. The properties of ITZ around coarse aggregates, such as the thickness and the Cl- diffusivity of ITZ, are measured and used to explain the influence of porous aggregates and curing conditions on the Cl- diffusivity of concrete. The results show that Japanese artificial lightweight aggregate concrete has lower Cl- diffusivity compared with normal aggregate concrete because the Japanese artificial lightweight aggregate has a dense outer crust, thus Cl- can not penetrate through aggregate and ITZ phase. Coral and brick aggregates, which are poor quality aggregates, have very high water content when they are in saturated surface-dry condition causing a thicker water film around aggregates and Cl- can easily penetrate through them. Therefore, concrete made from coral and brick aggregates have higher Cl- diffusivity and show expectedly poor performance under marine environment. Finally, the improvement for the poor quality aggregates by using dry aggregates for mixing concrete is successfully proposed in this study.
  • Chunyakom SIVALEEPUNTH, Junichiro NIWA, Dinh Hung NGUYEN, Tsuyoshi HAS ...
    2009 年 65 巻 1 号 p. 63-75
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    This paper describes the results of an experimental study and nonlinear finite element method in order to examine the shear failure mechanism of segmental prestressed concrete beams by varying the length of segment, prestressing force and loading position. It is observed that after the opening of the segmental joints, the stiffness of such beams considerably decreases and the tendon stress is caused to increase significantly. The simplified truss model and other existing prediction methods for shear carrying capacity have been applied in this study in order to examine their applicability and accuracy. The simplified truss model can provide reasonable accuracy under the limitation of applied prestressing force.
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