土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
66 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
和文論文
  • 永元 直樹, 片 健一, 浅井 洋, 春日 昭夫
    2010 年 66 巻 2 号 p. 132-146
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/20
    ジャーナル フリー
     近年,コンクリート橋の軽量化,施工の合理化などから,複合橋が注目されている.この複合橋の一つとして,著者らはウエブを蝶型に成型した鋼板に置き換えたバタフライウエブ橋を開発した.本稿では,上記のバタフライウエブの耐久性向上を目的とし,鋼板のウエブ部を超高強度繊維補強コンクリートにて製作した構造を提案している.まず,本構造のせん断挙動を評価するため,1/2モデルによるせん断実験を行った.その結果,適切な部材設定を行うことにより,所定のせん断耐力を有することが明かとなった.また,その挙動は非線形解析により評価可能であることが確認された.さらに,上記のウエブ構造を有する仮想橋梁において,有限変形非線形解析を行い,橋梁全体系としての挙動を把握した.これらの結果をもとに,本構造の設計手法の提案を行った.
  • 松崎 裕, 秋山 充良, 大木 文宏, 中嶋 啓太, 鈴木 基行
    2010 年 66 巻 2 号 p. 147-165
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/20
    ジャーナル フリー
     塩害環境下にあるコンクリート桁は,鋼材腐食が時系列で進展し得る中で,高頻度で活荷重の作用を受ける部材であり,設計耐用期間にわたる構造安全性を評価する際には,こうした荷重特性および鋼材腐食進展の影響を考慮する必要がある.本研究では,桁への荷重・環境作用に係る支配的なハザードである活荷重ハザードおよび塩害環境ハザードを考慮した上で,鋼材腐食進展評価および構造性能評価に介在する種々の不確定性を陽に反映させたコンクリート桁の構造安全性評価手法を提案した.そして,提案手法をプレテンションPC桁へと適用し,所要の構造安全性を設計耐用期間にわたって確保するためには,活荷重や塩害環境の特性を設計時に適切に考慮する必要があることを示した.
  • 尾上 幸造, 松下 博通
    2010 年 66 巻 2 号 p. 166-178
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/20
    ジャーナル フリー
     土木学会コンクリート標準示方書における設計疲労強度の算定式は,乾湿状態の影響を反映しているが,水以外の液体作用の影響については考慮されていない.したがって,絶えず海水と接する海洋コンクリート構造物や,凍結防止剤が浸透する床版コンクリートなどの疲労破壊に対する安全性については検討の余地を残しており,各種液体の浸漬により疲労強度が低下する機構を明らかにする必要がある.本論文では,繰返し圧縮応力を受けるコンクリートの疲労強度について供試体の変形特性ならびにエネルギー吸収特性の観点から検討し,浸漬液体の表面張力が高いほど界面エネルギーの低下によってサイクル毎のひずみ増加量が増大し,その結果として疲労寿命が低下することを示した.また,湿潤状態における標準圧縮強度を基準とした時間耐久線図を提案した.
  • 千々和 伸浩, 川中 勲, 前川 宏一
    2010 年 66 巻 2 号 p. 179-192
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/20
    ジャーナル フリー
     RC部材の主鉄筋定着部に発生する腐食ひび割れは部材耐荷力を大きく低下させ,損傷定着部の直接的な修繕の効果は一般に低い.そこで,腐食ひび割れ先端近傍からせん断ひび割れが脆性的に誘発されることを鑑み,せん断ひび割れの貫通が想定される健全部に限って予防保全的な補強を施すことを検討した.鉄筋をせん断スパン内に局所的に配置する補強は剛性急変点を形成するため,ひび割れは付加した補強材を回避して進展し,部材耐力を回復することが困難であることを実験で示した.この機構が数値解析でも再現可能であることを確認した後に感度解析を実施し,劣化の未だ及んでいない部位に対する予防保全的な補強行為が部材耐力の回復に有効となる条件について検討した.実験から本補強が有効に機能することも確認された.
  • 国枝 稔, 小澤 国大, 小倉 大季, 上田 尚史, 中村 光
    2010 年 66 巻 2 号 p. 193-206
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,離散化した合成短繊維,マトリクスおよび両者の界面をモデル化した3次元メゾスケール解析手法を開発し,2種類のひずみ硬化型モルタルの引張破壊解析を実施した.短繊維,マトリクスおよび両者の界面に適切な材料パラメータを導入することで,比較的容易に引張試験時の応答が解析できることを明らかにした.さらに,マトリクス強度,破壊エネルギー,繊維の分布に関するパラメトリック解析により,擬似ひずみ硬化挙動や複数微細ひび割れの形成メカニズムに関する考察を行うとともに,高精度化の可能性を示した.
  • 山路 徹, 濱田 秀則, 水間 誠治, 山本 俊彦
    2010 年 66 巻 2 号 p. 207-220
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/18
    ジャーナル フリー
     海洋環境下に位置する港湾RC構造物への適用を目標とし,3種類のステンレス鉄筋(SUS430, SUS304, SUS316)の耐食性に関して,コンクリート模擬溶液浸漬試験および海洋環境暴露試験による検討を行った.その結果,各ステンレス鉄筋における腐食発生限界塩化物イオン濃度は普通鉄筋と比べて極めて大きく,少なくとも12 kg/m3程度以上であると推測された.また,普通鉄筋の場合と比べて,鋼材の腐食に対するひび割れ幅の限界値を緩和できることが確認された.上記の結果を基に港湾RC構造物のライフサイクルコストを試算した結果,ステンレス鉄筋を用いた方が,普通鉄筋を用い供用期間中に補修を行う場合より安くなる可能性が示された.
feedback
Top