海洋環境下に位置する港湾RC構造物への適用を目標とし,3種類のステンレス鉄筋(SUS430, SUS304, SUS316)の耐食性に関して,コンクリート模擬溶液浸漬試験および海洋環境暴露試験による検討を行った.その結果,各ステンレス鉄筋における腐食発生限界塩化物イオン濃度は普通鉄筋と比べて極めて大きく,少なくとも12 kg/m
3程度以上であると推測された.また,普通鉄筋の場合と比べて,鋼材の腐食に対するひび割れ幅の限界値を緩和できることが確認された.上記の結果を基に港湾RC構造物のライフサイクルコストを試算した結果,ステンレス鉄筋を用いた方が,普通鉄筋を用い供用期間中に補修を行う場合より安くなる可能性が示された.
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