本研究は,筆者らがこれまでに関わった防災講座等の防災教育の事例を対象として,教育内容と受講者の属性によって,防災意識の形成に影響の差異があるか否かについて,横断的な分析を通じて考察したものである.
防災意識に関する5つの側面から,防災講座の内容と受講者の属性の影響を順序回帰モデルによって把握した結果,個人属性は,中学生が成人よりも意識が高く,子供を通じた教育効果が見込める結果となった.また,地域住民を対象とした方が,土地勘があり,現実感が高いことから,意識レベルが高い状況が見られた.講座内容は,実感しやすい内容として,現地の見学,液状化現象などの実験,図上訓練による実習に着目して効果を検討した結果,地震への関心と理解,そして地域防災への興味に比較的有意な影響を与えることがわかった.
抄録全体を表示