土木学会論文集H(教育)
Online ISSN : 1884-7781
ISSN-L : 1884-7781
77 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
和文論文
  • 二宮 利江, 鈴木 雄吾
    2021 年 77 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/20
    ジャーナル フリー

     高速道路事業を担う技術者組織のマネジメント力を継承する仕組みとして研修を設計,開発,運営し,暗黙知伝承について考察した.各時代で高機能道路の技術規準を生み出してきた指導的組織の同一性感覚を継承すべく,過去事例を疑似体験しつつ新しい社会情勢や技術を取り込む二重構造の研修を開発し,研修前後で直属の上司による受講者の業務に対する評価を測定することで効果を示した.受講者自身が疑似体験できるロールプレイング要素を活かすことで研修の効果は増え,講師陣のリーダーシップによって研修効果が倍増することが分かった.受講者が説明を受けずに本研修の仕組みを理解し評価したため,暗黙知を形式知として定義した技術系マネジメント力に加えて,いまだ定義されていない暗黙知が受講者に伝わったと見なした.

  • 浅野 和香奈, 岩城 一郎
    2021 年 77 巻 1 号 p. 11-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー

     社会インフラの現状と維持管理について市民の理解を醸成するため,著者らは子どもたちに対し教育を通じた広報活動を行っている.そのねらいは,教育を受けた子どもやその家族の土木や社会インフラに対する意識や関心が変わることである.そのため,「橋」,「コンクリート」,「メンテナンス」をテーマに,それぞれ橋のペーパークラフト,コンクリート製オブジェ・ストラップ工作,簡易橋梁点検チェックシートといったオリジナル教材や,小中高生の発達段階に応じたテキストを作成した.中学年以上の小学生に対し親子参加型の自由研究講座,中学生に対し総合的な学習の時間でのグループ学習,土木を学ぶ工業高校生に対し学校の授業内の課題研究で各教育プログラムを実施した結果,実践した教育のレベルとねらいに応じた教育効果を上げることができた.

  • 三輪 富生, 吉田 亮, 久世 益充, 渡辺 孝一, 中村 純一, 水谷 克也
    2021 年 77 巻 1 号 p. 26-36
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

     コロナ禍にあって,会議や学会,大学の授業などで,オンライン会議システムが急速に普及しつつある.土木学会中部支部では,毎年,土木技術者と学生が交流する催しを開催しているが,令和2年度はオンライン会議システムを用いて実施することとなった.本稿では,その実施方法の検討や実施結果,参加した土木技術者と学生による評価の結果を取りまとめたものである.各交流会では,数名の技術者と1~15名程度の学生がオンライン会議にて交流を行った.参加者による事後評価アンケート結果から,技術者よりも学生の方が満足度が高い傾向があること,土木事業の魅力を伝えたり,参加者の満足度を高めるには,1度の交流会に参加する学生の数は,3~10名程度が適切であることが明らかとなった.

  • 田中 皓介, 森口 颯人, 佐藤 俊一, 寺部 慎太郎, 栁沼 秀樹
    2021 年 77 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー

     土木の社会的な印象の悪化に対し,土木業界では「土木」という言葉そのものを避ける事例も見られる.特にそれが顕著なものとして,多くの大学において学科名称から「土木」という言葉がなくなりつつある.しかし,現状では名称の変更が,学科の人気や所属する学生の意識に対してどのような影響を及ぼすのか,実証的な分析は行われておらず,名称変更の是非について建設的な議論ができない状況となっている.そこで本研究では,その影響を明らかにするために,複数の大学の土木系の学科に属する学生に対するアンケート調査,入試データや在学生属性のデータに基づき,学科名称が及ぼす影響を実証的に分析する.分析の結果,土木改名によって,女性比率の向上,建築学科との混同,土木志望度の低下などが生じうることが明らかとなった.

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