土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
68 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
和文論文
  • 近藤 康行, 権田 豊
    2012 年 68 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,欧米で用いられている,河川水の電気抵抗の変化から魚の通過数を計測する手法(魚カウンター)を用い,日本の魚道を利用する魚類を計測することを目的としている.魚カウンターのセンサー部を,水理条件等の魚道の設計指針を満足するように,日本の魚道の形状に合わせて後付で構築し,産卵期に魚道を遡上するシロサケ(サケ)の数を計測した.センサー部をビデオカメラにより計19時間撮影した画像から計数したサケの遡上数と魚カウンターによる計測結果を比較したところ,魚カウンターによるサケの計測精度は96%であり,十分な精度で遡上数を計測できることが示された.魚カウンターの精度を低下させる可能性のある要因,センサー部の後付での構築方法及び調査コストについて整理,考察した.
  • 中町 和雄, 藤原 拓, 川口 幸男, 津野 洋
    2012 年 68 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     高負荷二点DO制御OD法は高度処理とコスト削減を目的に開発中のシステムである.本研究では,実施設への適用を目的に,縦軸水流発生装置を用いた散気式OD設備の流動特性および酸素供給性能が二点DO制御OD法の設計操作因子に及ぼす影響を明らかにする目的で清水実験を行った.
     OD水路の流動特性を槽列数および循環倍率を用いて解析した結果,対象とする時間範囲により押し出し流れから完全混合に遷移することを明らかにした.また,トレーサー試験で得た槽列数(N=65~100)からDO収支モデルを構築し,OD水路でのKLaを精度よく推定する手法を提案し,完全混合を前提とする従来法との違いを示した.さらに,OD水路の流動特性が循環時間やDO勾配など二点DO制御法の設計操作因子に及ぼす影響を明らかにした.
  • 前田 秀人, 中久保 豊彦, 東海 明宏
    2012 年 68 巻 1 号 p. 21-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究では都市計画と連動して街区レベルでの省エネルギー計画を策定するための統合マネジメントモデルを開発し,大阪市に適用した.都市構造ケースとして,建物の集積度合いが異なる3ケースを設定した.省エネルギー計画として,個別電化ヒートポンプを導入する施策,マイクログリッドを導入する施策と,各街区でCO2削減効果が高い方を選択導入する施策を設定し,各都市構造ケース下での施策導入効果をCO2排出量で評価した.結果,2050年における各ケースのCO2排出削減率(現状比)は54.8~57.6%と推計され,都市構造ケース間で差が見られなかった.ケース間比較では,傾向延長下で選択導入するケースの削減効果が最も大きく,都市高密化による熱の融通利用効果よりも太陽光発電の導入効果が上回ることが示唆された.
  • 深山 正光, 寺薗 克博, 古賀 康之
    2012 年 68 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     フッ素で汚染された鋳物廃砂(クロマイトサンド含有)中のフッ素の不溶化方法およびフッ素不溶化後の鋳物廃砂を用いて路盤材を製造する方法について検討した.さらに,実用化規模で不溶化実験と路盤材製造の実証試験を行った.その結果,以下の知見を得た.(1)MgOの配合手順の工夫等により,フッ素不溶化に必要なMgOの最小混合率を得た.(2)MgOと高炉セメントとの時間差混合により,比較的高濃度(溶出濃度:20~70mg/l)のフッ素を含む鋳物廃砂の不溶化処理が可能となった.(3)不溶化処理後の鋳物廃砂を用い製造した路盤材は,溶出試験においてフッ素の土壌環境基準を満足した.
  • 大木 高公, 大木 宜章, 高橋 岩仁, 大松沢 季宏
    2012 年 68 巻 1 号 p. 48-59
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,廃棄物の有効利用の観点から複数の廃棄物を混合した材料を緑化基盤材として用い材料としての実用性の精査と,のり面植生の環境・景観評価方法の提案である.のり面植生工施工後約4年間の観測結果から,材料の土壌硬度は緑化植物において適正な15~23mmの範囲内にあり,C/N比は33以下で推移するなど植生の生育にとって良好な値を得た.すなわち,廃棄物の有効利用の観点から緑化基盤材としての実用性を立証できた.つぎにのり面植生の色彩を選び,従来から用いられている反射率に代えて植生反射スペクトルから色彩を数値的に把握し,緑視率からのり面植生の環境・景観評価を予測する方法を提案する.結果から,提案する方法はのり面植生の環境・景観を客観的に予測する一方法となり得るものであり本研究の目的を達成できた.
  • 井上 康, 片山 新太
    2012 年 68 巻 1 号 p. 60-71
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     土壌汚染浄化技術の評価指標RNSOILを用いた,計画的開発目標設定手法を提案し,合理的に改善点を見出す方法を示した.農地のディルドリン汚染を想定し,開発段階にある,木質炭化素材に分解菌を集積させた資材を用いたバイオレメディエーションのRNSOIL値が高温熱脱着などの競合技術のRNSOIL値を下回ることを基準として,改善項目とその目標値を設定した.浄化期間と微生物を木質炭化素材に定着させる培養槽の最大培養量を改善項目とし,RNSOIL値の感度評価を行った.RNSOILの構成要素である,汚染による人の健康被害リスクと浄化に係る総費用およびCO2排出量の定量には,それぞれリスクアセスメントとライフサイクルアセスメントを用いた.目標達成に必要な改善項目,あるいは改善効果の大きな項目をRNSOILによる解析で明らかに出来ることを示した.
  • 清水 聡行, 東 佑亮, 谷口 久美子, 山田 淳
    2012 年 68 巻 1 号 p. 72-83
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/19
    ジャーナル フリー
     近年,水需要が横ばいから減少に転じる水道事業体が増えており,世帯レベルや各使用目的での水需要構造を捉えて予測することが必須となってきている.しかし,水需要構造の詳細な調査や分析に基づいた予測例は少ない.本稿では,2期にわたって利用者の属性,水利用実態,水使用量を世帯単位で捉え,その調査結果を用いて,数量化理論I類による需要構造分析を行い,原単位水量の予測を行った.その結果,世帯人数別に構造は異なっているものの,主たる影響要因の抽出は可能であることが分かった.しかしながら,10年程度の間に構造変化が起こっていることが明らかとなった.このため,影響要因の抽出を継続的に行うなど,この種の手法を用いた需要予測を行う際の課題に対する留意・検討すべき点を,分析結果を用いて整理した.
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