土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
68 巻, 4 号
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和文論文
  • 北原 亘, 加藤 雅彦, 佐藤 健
    2012 年 68 巻 4 号 p. 203-212
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,ソバ根圏土壌でのアパタイト(HAP)による鉛不溶化特性を溶出量と化学形態から検証し,ソバ共存下でのHAPによる不溶化処理の可能性を考察した.ソバ生育2週目の根圏土壌は,HAPによって鉛溶出量が減少,最も溶解性の低い形態(残渣態)の割合が増加するが,ソバの生育期間6週目の根圏土壌では,2週目で抑制された鉛溶出量の37%から55%が再溶出し,残渣態割合も2週目に比べ減少した.これは,ソバの根から分泌される有機酸により鉛が再溶出したためと考えられた.しかし,再溶出は植物による下方への浸透抑制に比べ小さいものと考えられ,アパタイトと植物の併用による拡散防止技術は,両者を単独で用いた場合よりも効果が大きいものと考えられた.
  • 細谷 和範, 森元 純一, 野口 司
    2012 年 68 巻 4 号 p. 213-223
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     本研究では中国山地を流れる吉井川において,かつて高瀬舟が補助動力として風を利用していたことを手がかりに,風力利用の可能性を調べた.はじめに高瀬舟に関する文献や資料の中から風力に関する情報を収集し,高瀬舟が帆走可能であった区間を調べたところ,中流域の和気町では帆走に適した風が得やすいものと推測された.続いて和気町周辺の風況観測を実施し,風況の特徴を整理するとともに,簡単な風系推定モデルを用いて風場を推算した.この結果,和気町では年間を通じて昼間に2m/s~3m/s程度の風が得られる他,和気町を流れる吉井川は平地からの風が流入しやすい地形条件を有していることが見いだされた.この地域の風速は概して小さく,風力発電には適さないが,過去に利用された自然エネルギーを学ぶ環境教育への活用が期待できる.
和文報告
  • 毛利 光男, 貫上 佳則
    2012 年 68 巻 4 号 p. 224-233
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
     本報告では,都市ガス工場跡地のように鉄シアノ錯体を主体とする土壌の全シアン含有量分析値の信頼性を向上させることを目的に,底質調査方法による全シアン含有量分析の簡易な改善方法として段階的希釈操作の提言を行う.土壌試料を清浄砂で希釈することによってシアン回収率を低減させる要因が相対的に小さくなり,分析値が改善されることが期待される.一連の実験的検討より,段階的な希釈操作によって全シアン含有量の分析値が大幅に改善されることが判明した.通常(無希釈)の分析では234mg/kgという値が,段階的希釈操作によって500~534mg/kgというより信頼性の高い値に改善された.希釈後の分析値が50mg/kg以下の場合はそれ以上の希釈操作は必要がないこと,分析値が50mg/kg以上の場合はさらに希釈操作を行う必要があることがわかった.
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