土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
68 巻 , 5 号
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地球環境研究論文集 第20巻
  • 大西 暁生, 河村 直幸, 奥岡 桂次郎, 石 峰 , 谷川 寛樹
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_1-I_13
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     近年,資源の有限性などから,物質の投入・廃棄の量を低水準に抑えるストック型社会への移行が求められている.とりわけ,都市構造物における物質循環は大きく,ここでの削減は循環全体においても非常に重要である.このような状況の中,人間活動において使用される資源の重量と挙動をできる限り詳細に把握する目的から,マテリアルストックとフローの分析が進められている.そのため本研究では,将来のマテリアルフローを把握する前段階として,人間活動がもっとも反映される都市構造物に着目し,このマテリアルストック需要量に影響を与える社会的・経済的な要因を整理するとともに,異なった社会像を反映した複数のシナリオを用いることによって,2000年から2050年までの全国都道府県のマテリアルストック需要量を推計した.この結果,都市構造を集約し,また経済成長が進み女性の社会進出が促進され出生率が低下するといった「都市集約型」シナリオにおいて,2050年の都市構造物のマテリアルストック需要量の削減量が,2000年と比較して,他のシナリオ(現状維持型と分散定住型)よりも少なくなることがわかった.また,「都市集約型」シナリオの一人当たり都市構造物のマテリアルストック需要量は,同期間において,他のシナリオが減少するのに対してむしろ増加することがわかった.
  • 東 章吾, 河瀬 玲奈, 松岡 譲
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_15-I_24
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本研究ではエネルギー集約素材の代表である鉄鋼を取り上げ,鉄鋼を含む財ストックが提供するサービスの需要量,その財ストックに含まれる鉄鋼ストック量,およびストックに新規に追加される鉄鋼需要量の推計を行うモデルを構築し,2005年から2050年までの推計を行った.また,将来社会におけるシナリオは各種パラメータを2005年の値で固定する固定シナリオの他に3つのシナリオを想定し,それぞれにおける鉄鋼ストック量と鉄鋼需要量の削減効果の検討を行った.その結果,2050年において鉄鋼需要量は素材の高度化や財ストックの効率改善を想定する混合シナリオで,固定シナリオと比べ最大で40%の削減効果が得られ,サービスの質を維持しながら物質需要量を削減する脱物質化社会への転換の可能性が示された.
  • 盧 現軍, 松本 亨
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_25-I_32
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本研究では,中国における家電以旧換新の買替促進政策によるCO2削減効果の分析を行った.中国の現地ヒアリング調査から得た情報・データをもとに,趨勢ケースと買替促進ケースについて平均使用年数を推計し,以旧換新政策による家電4品目の買替促進量を推計した.その後,エアコンを対象に,推計した保有台数,出荷台数と生存率関数から出荷年別保有量を推計した.これを元に,エアコン使用時の電力消費量を推計し,趨勢ケースと買替促進ケースのCO2排出量を算出した.その結果,中国政府の家電買替促進政策によりエアコンの平均使用年数が短縮され,エネルギー消費効率の向上したエアコンがより速く普及することで,使用時のCO2排出量が10年間で約1億トン削減できるとの結果が得られた.このことから,家電買替促進政策の目的の1つであるCO2排出量の削減を実現できることが示された.
  • 河瀬 玲奈, 松岡 譲
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_33-I_40
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本研究は,世界のGHG排出量半減達成の可能性を検討するために,世界を35地域に区分し,その地域ごとの削減目標達成のフィージビリティを推計した.具体的には,エネルギー集約度(EI),炭素集約度(CI)に対し,過去のトレンドや既往の将来シナリオの変化率を用いて将来変化の幅を求め,これを予想される経済成長率と組み合せることによってGHG排出量を推計し,この結果をいくつかの排出割当スキームから要請される国別削減目標と比較した.その結果,これまで想定されてきた将来シナリオのうち比較的速いEIとCIの改善速度(上側5%タイル値)と低経済成長の組み合わせの時にのみ,世界半減目標が達成できたが,高経済成長の場合は,1990年比削減率は32.5%に留まり目標には及ばないことが分かった.
  • 藤原 健史, 伊藤 依理
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_41-I_48
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     自国に生産業を持たない太平洋の島嶼国では、天然資源を生かした観光業に力を入れている。旅行客の消費を賄うために食料品や生活用品を海外から大量に輸入し、さらに島民のライフスタイルが消費型に変わったことで輸入量が増えた。島内で消費された製品は廃棄されて島内に処分され、現在では環境汚染や景観悪化の原因となっている。国土が狭い島嶼国では最終処分場の確保が困難なため、島が持続的に発展してゆくためには、廃棄物の発生を抑制し、海外との連携を視野に入れた循環型社会を構築することが必要である。そのために、島の経済発展やライフスタイルの変化を考慮しつつ、廃棄物の量や質を将来に亘って把握することが不可欠である。本研究では、米国グアム準州を対象に、産業連関表を作成して現在の経済状況を把握するとともに、島民の人口増加や将来の観光客数、観光客の消費の変化を考慮したシナリオを作成し、経済波及効果を考慮しながら将来の家庭ごみ排出量を推計する。
  • Siti Norbaizura MD REJAB, Tomohito HAMADA, Takeshi FUJIWARA
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_49-I_57
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     Compares to other middle income developing countries, Malaysia is emitting a significant amount of greenhouse gases (GHG) that causes global warming. Feasibility study on building a low-carbon society in its Multimedia Super Corridor city, Cyberjaya Digital Green City 2025 (DGC2025) was launched following the study of Putrajaya Green City 2025. The main objective of these studies is to build the cities to become a pioneer township in Green Technology. Smart 3R Cyberjaya is one of DGC2025 four themes and focuses on planning alternative solid waste management that fulfil the challenge of building both low-carbon and sound material society. Smart 3R Cyberjaya set the target of building a zero emission society that depend less on landfill and actively practicing waste reduction at source. This is quantitatively represent as 75% reduction of waste sent to landfill site and 50% reduction of total greenhouse gases emission, compare to 2025 business as usual scenario. Three counter measure scenarios were evaluated from combination of waste reduction at source; 2R actions and waste treatment selection; food disposer, recycling and thermal treatment. Solid wastes modelled in our scenarios are household solid waste, business solid waste, sludge, green waste and electrical and electronic waste (e-waste). In 2025, total waste generation is 207 ton/day and 1041 ton/year of e-waste. Both waste and GHG reduction target is achievable at 2025CM3 scenarios, 78% (172 t/day) and 84% (1459 t-CO2/day), respectively. Results of other scenarios could also give us a new image of alternative future society.
  • 島田 幸司
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_59-I_65
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     日本における家庭部門の電力消費量の抑制は,京都議定書第一約束期間の目標達成や東日本大震災以降の電力需給の逼迫への対応の観点から喫緊の課題であるが,この部門の電力需要,電気料金,消費支出の関係についての研究蓄積はきわめて少ない.そこで本研究では,日本の9地域圏のパネルデータを用い,変数の定常性や共和分関係を考慮しながらベクトル誤差修正モデルによるGranger因果性の分析を実施した.その結果,家計最終消費支出と家庭用電力消費の間には双方向に正の因果性があり,家庭用電力消費と家庭用電気料金の間には双方向に正負の因果性が認められた.今後の電力価格の上昇の影響や価格に対する政策介入の効果の検討にあたっては,このようなメカニズムを考慮する必要がある.
  • 益田 悠貴, 加藤 博和, 柴原 尚希, 伊藤 圭
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_67-I_76
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     旅客交通手段を対象に,速度・快適性・安全性等の性能と低炭素性を総合評価する方法論を開発する.そのために,性能値とライフサイクル環境負荷の比である環境効率指標を用いる.性能値は旅客交通手段が有する様々な性能をコンジョイント分析を用いて統合し,旅行速度の単位で表現する.環境負荷はCO2を対象とし,ライフサイクル排出量を推計する.
     評価に際しては,移動目的・距離・人数に応じた場面を設定し,それを利用する地域の交通状況も考慮に入れる.公共交通4種(高架鉄道,地下鉄,LRT,BRT)と乗用車16種を比較した結果,乗用車のライフサイクルCO2が大きいものの,環境効率値で比較すると,移動人数が多く,快適性を重視する移動場面やDID人口密度が低い交通状況では,結果が逆転する場合があることがわかった.
  • 宮本 善和, 成瀬 研治, 千村 次生, 藤田 智康, 玉城 重則, 金城 朗子
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_77-I_88
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     沖縄県のサンゴ礁生態系に負荷を与えている赤土等の流出を防止するためには,現行の取組に加えて農家が行う営農対策をリソース面から支援していくことが喫緊の課題である.そこで本稿は,農家の生産向上につながる土壌保全(赤土等流出防止)と収益増を両立させることをインセンティブとした環境保全型農業を推進し,生産される農産品を適切な価格で販売して,消費者から協力金を集め,対策に還元していく「地域協力型環境保全営農支援制度」を構想し,モデル地域での試行と消費者の意向調査を行った.その結果,地域協力型環境保全営農支援制度のスキームはモデル地域において存立し,稼動することが確認されるとともに,消費者に一定の支持を得て購入されることが明らかとなった.
  • 入嵩西 正治, 安谷屋 隆司, 松下 潤
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_89-I_98
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     沖縄・石垣島を囲む海域の世界屈指のサンゴ礁は、[外的要因]海水温上昇に伴う白化現象と[内的要因]の陸域の経済活動に伴う表土土壌(通称赤土)の海域流出による劣化現象の二面的問題に直面する。本稿では、内的要因中の流域の中心を占める農地からの赤土流出問題を扱う。第一に、本問題の原因について、本土復帰以降の大規模土地改良事業と換金作物としてトウキビ単品目栽培の普及が影響している点を明らかにする。第二に、その対策として、零細農家が多い亜熱帯島嶼の地域特性のもとで、収益効果の高い環境経済調和型農業生産モデルを設定し、二年間に亘る栽培実証実験をもとにその収量・品質,収益性,環境性を実証した。
  • 佐藤 大作, 横木 裕宗, 桑原 祐史, Ane TALIA, 山野 博哉, 茅根 創
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_99-I_104
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     環礁州島における有用な資源の一つにサンゴ礫が挙げられるが,堆積過程や地形変化に関する情報は乏しく,管理体制は整っていない.そこで本研究ではツバル国フナフチ環礁フォンガファレ島の南端部に形成しているサンゴ礫の砂嘴状地形に着目し,地形変化の現地計測および衛星画像から計測を行った.また,周辺波浪場の算定結果からシールズ数を算出し,月平均の波浪条件下でのサンゴ礫移動可能性について検討した.計測結果から,砂嘴状地形は活発に移動しているものの,平面的な拡大・縮小は生じていないことが明らかとなった.また,日常波浪条件下でのシールズ数による検討からラグーン側では礫の移動は生じておらず,主に礁原上および外洋側で数か月間のみ活発に生じているものと考えられた.
  • 竹村 紫苑, 赤松 良久, 鎌田 磨人
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_105-I_110
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     パラオ諸島におけるマングローブの生育地としての干潟の形成と安定性に関わる流域特性を用いて潜在的生育地を推定し,広域的視点から生育地の脆弱度評価を行った.流域特性として土砂供給,土砂堆積,そして波の静寂性に関わる要因をGISを用いて算出した.そして一般化線形モデルを用いて流域内に生育可能なマングローブ生育地面積の推定を行った.その結果,流域山地部からの土砂供給量が多く,平野部の土砂堆積容量が十分で,かつ平野部の水理条件の良い河川が大きな内湾に流入する場所において潜在的生育地面積が大きかった.しかし,マングローブの潜在的生育地は限られた場所であり,パラオのマングローブ生育地のほとんどは脆弱な環境に立地することから,土地開発は慎重に検討する必要がある.
  • 石内 鉄平, 小柳 武和, 桑原 祐史, 大橋 健一
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_111-I_119
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本研究は,茨城県を代表する観光資源である袋田の滝に着目して,気象の変化と滝の凍結度,観光客数,観光客の満足度の関係を分析した.その結果,気温および降水量と滝の凍結度,特に平成17年度以降の観光客数と滝の凍結度の間に相関関係が確認された.加えて,袋田の滝における利用実態調査から,冬期に訪れる観光客の多くが滝の凍結状況に対して高い関心を持っていることが確認された.また,約半数の観光客が滝の凍結情報を得た上で訪れており,活用した情報媒体はテレビとインターネットで9割以上を占める.結論として,今後12~2月の気温上昇により氷瀑する日数および観光客の満足度の減少が予測されるとともに,テレビやインターネットを介した滝の凍結状況に関する更なる情報発信の必要性が確認された.
  • 藤田 昌史, 井上 龍太郎, 佐藤 大作, 桑原 祐史, 横木 裕宗
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_121-I_125
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     フナフチ環礁のラグーン海岸の主要な汚濁源は,ボトムレスのSeptic Tankから流出する生活排水であることが著者らの既報で報告されている.本研究では,生活排水の流出機構を明らかにするために,まずSeptic Tank内の水位を調べた.その結果,潮位と3~4時間程度のタイムラグで連動して変化していた.次にラグーン海岸において,干潮時,満潮時に溶存態無機窒素濃度や大腸菌数を調べたところ,いずれも干潮時の方が高い値を示した.したがって,上げ潮のときにSeptic Tank内に海水が浸入し,下げ潮のときに生活排水が流出しているものと考えられた.ラグーン海岸で大腸菌数を連続測定したところ,小潮から大潮の間では下げ潮のときに最大で26,600MPN/100mLを示したが,大潮の直後では1,080MPN/100mLであった.以上のことから,下げ潮のときにボトムレスのSeptic Tankからラグーン海岸に流出する生活排水の負荷には,潮位変動の履歴が関係していることがわかった.
  • 梅田 信, 落合 雄太
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_127-I_135
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本研究では,全国的な多数のダム湖を対象に,気候変動による水質変化の予測・展望を行った.37のダム湖を対象として,GCMの出力結果を用い,3期間(現在および今世紀半ばと末期)におけるダム湖の鉛直水温分布の計算を行った.この計算結果に基づいて,アオコ発生の指標と考えられる年間で表層水温が20℃以上かつ表層水温勾配が0.5℃/m以上になる日数を評価した.これに加え,現状の各ダムにおける流入河川のTP濃度を用いて,年平均の表層クロロフィルa濃度の経験式を作成した.この式を用いて,将来の年平均の表層クロロフィルa濃度を推定した.その結果,クロロフィルa濃度は全国的に増加し,富栄養化するダム湖が増加することが予測された.また富栄養湖の増加数は,特に東日本の方が多いことが示された.
  • 山本 祐吾, 古野間 達, 吉田 登, 盛岡 通
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_137-I_146
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     カーボン・ニュートラルとされるバイオマス資源の中でも,特に廃棄物系バイオマスの利活用とそれによる化石燃料代替の促進は,資源循環と低炭素化の両側面において重要である.本研究では,下水汚泥等の都市系廃棄物バイオマスから重油や天然ガス代替のバイオオイルを生成する急速熱分解技術に着目し,それが下水処理プロセスに適用されたときの温室効果ガス(GHG)の削減効果を,LCAの手法を用いて定量的に評価した.その上で,大阪府および兵庫県下における下水処理施設の連携や焼却炉の統廃合に関する中長期計画を策定し,施設更新と技術選択のマネジメントによる地域レベルでのGHG削減効果を分析した.その結果,熱分解オイル化技術の導入によって,汚泥焼却時のN2O排出量の削減やバイオオイルによる重油代替などが進み,単純焼却と比べて54.3%のGHGが削減可能であることが明らかになった.また,一部の炉を廃止し,下水汚泥処理の集約化を図る中長期戦略によるGHG削減効果が大きいこともわかった.
  • 峠 嘉哉, 田中 賢治, 中北 英一, 小尻 利治
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_147-I_152
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     深刻な水資源問題が発生している中央アジアでは,今後の持続可能な開発へ向けた科学的根拠として,流域の水資源・需要量や,各種の対策の効果を推定する手法が必要である.本研究では,陸面過程モデルSiBUCを中心としてアラル海縮小を組み込んだ水循環モデルを用い,灌漑効率や灌漑手法,灌漑面積等を改善する仮想的な対策を設定し,これらの改善がアラル海水量に与える効果について定量的に推定した.その結果,過去の灌漑手法が実際より改善されていた場合に,現在より多くの水がアラル海へ流入し,持続可能な社会に向けた対策として効果があることが分かった.
  • 森澤 海里, 朝岡 良浩, 風間 聡
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_153-I_158
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     近年の地球温暖化により熱帯アンデス氷河は後退しており,氷河の後退による将来の水資源問題が危惧されている.本研究では,ボリビアのコンドリリ氷河を対象として氷河融解量を計算するために必要なパラメータである地表面アルベドの推定を行い,コンドリリ氷河周辺のアルベド分布図を作成した.アルベド推定はLandsat衛星画像を用いて行い,チリのスリレ塩湖でのアルベドを1とすることで,スリレ塩湖における反射エネルギーは入射エネルギーと等しいと仮定して計算した.その結果,コンドリリ氷河上のアルベド分布は雨季と乾季で大きく異なり,雨季には標高4400m~5100mで雪氷上のアルベドが標高の高低により大きく変化することが分かった.
  • 申 龍熙, 高橋 潔, 花崎 直太, 肱岡 靖明
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_159-I_169
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     IPCC AR5に向けて作成されたCMIP5気候シナリオの特徴を把握するため,年平均気温,年平均降水量,年平均日射の将来変化の分析を行った.その結果,2090年付近において日本域付近の気温は1990年付近に比べRCP8.5で4.9℃と最も大きく上昇,降水量はRCP4.5で9.2%増加,日射はRCP8.5で8.7W/m2増加となることがわかった.CMIP3とCMIP5の特徴を比較した結果,気温変化に関しては,放射強制力が近いRCPシナリオとSRESシナリオの間では類似な気温上昇を示した.降水量に関しては,類似な排出シナリオの間でも違いがみられたがいずれの場合でも増加が予測されている.日射の場合,CMIP5気候シナリオでは増加するがCMIP3シナリオでは減少すると予測され,日射に感度が高い影響評価では注意が必要である.
  • Pichnaree LALITAPORN, Gakuji KURATA, Yuzuru MATSUOKA
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_171-I_182
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     Long-term trends of tropospheric NO2 columns from four satellites, GOME, SCIAMACHY, OMI and GOME-2, are analyzed over the capital cities in Southeast Asia, Japan and China for the period 1996 to 2011. The results show a significant increase in tropospheric NO2 columns over Shanghai during the study period (21.5% yr-1, reference year 1996). The seasonal variability reveals a different pattern between the different city locations. The cities located in low- and mid- latitude show the maximum levels in wintertime and minimum in summertime. Reversely, those cities near Equator give the opposite results. The inter-comparisons between the satellites show reasonably well agreements with the correlations larger than 0.75. The consistency between NOx emissions from several regional and global emission inventories and tropospheric NO2 columns is investigated and give the different results for each city due to the effect of meteorology. The comparison of ground- and satellite-based NO2 are performed for several stations. The results illustrate better relations for OMI and GOME-2 than GOME and SCIAMACHY owing to the differences in satellite overpass time and spatial resolutions. Finally, the results of seasonal variability from GEOS-Chem simulation generally agree well with satellite measurements. However, the model underestimated retrieved tropospheric NO2 columns by the factor of 3-4.
  • 島田 洋子, 松岡 譲
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_183-I_191
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     発展途上国において室内での固形燃料の燃焼により発生するPM2.5による健康影響が懸念されている.本研究では,インド29州の都市域と農村域を対象に,家庭内での燃料の燃焼によって排出されるPM2.5による室内空間滞在中の個人暴露濃度を,家庭内の燃料消費量の用途別の燃料種使用割合,世帯や住居に関する統計情報の地域別の詳細なデータを用いて推計した.その結果,調理に薪を使用する割合の多い農村域の台所滞在中の個人暴露濃度が都市域に比べて大きく,また,35~64歳の無職女性の台所滞在中の個人暴露濃度が他の個人属性集団よりも高く,Rajasthan州農村域での35~64歳の無職女性の暴露濃度が最も高く1033μg/m3との結果を得た.男性は女性より低いが65歳以上の無職男性の室内滞在中の個人暴露濃度は25~34歳の有職女性より高かった.
  • 郭 敏娜, 倉田 学児, 松岡 譲
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_193-I_204
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     微小粒子状物質(PM2.5)による健康影響が懸念されているが,中国では,主に農村部における石炭やバイオマスなどの固形燃料を室内で使用することによる室内曝露とともに,急増する自動車交通起源のPM2.5による屋外および室内曝露のそれぞれが深刻な問題となっている.
     本研究は,中国の31の省・直轄市を対象として,室内での燃料種・用途別のエネルギー使用量データからPM2.5発生量を推計するとともに,地域別の交通量推計および簡易沿道拡散モデルによって,道路交通起源のPM2.5濃度を推計し,これに年齢等の個人属性別の生活時間利用データを用いた微環境曝露モデルを適用して,全曝露濃度に占める各発生源からの寄与を推計した.その結果,都市では道路起源の寄与が大きく,農村では室内起源の寄与が大きい結果となり,また年齢・性別による違いも大きいことが分かった.
  • 北野 慈和, 山田 朋人, 泉 典洋
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_205-I_210
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     日本の豪雨イベントを引き起こすメソスケールの現象の一つとして線状降水帯が挙げられるが,その物理機構については不明な点が多い。線状降水帯の形成過程を解明することは防災の観点から非常に重要である。そこで本研究では,線状降水帯が発生する条件の一つである不安定な成層をした大気場の空間特性を解析的に明らかにした。解析では,問題を単純化するために降水や熱力学的な効果は考えず,大気場における鉛直方向の擾乱の水平分布のみを考慮している。この解析により擾乱の発達とフルード数及び密度差に関する無次元パラメータとの関係が明らかとなり,これらと線状降水帯との関係性について考察した。
  • 長谷川 知子, 松岡 譲
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_211-I_220
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     インドネシアでは,国内温室効果ガス(GHG)排出量の約67%が農業・森林・土地利用変化(AFOLU)に由来している.排出削減効果の定量的な評価および高い削減効果をもつ対策の特定は重要である.我々は,AFOLU排出削減評価モデル(AFOLUB)を開発したが,これを用いAFOLU部門におけるGHG排出緩和のための具体策を提示した.GHG排出量を推計した結果,2030年において対策を実施しない場合AFOLU部門に由来する排出量は2000年比2.5倍の1.7GtCO2eqになることが示された.その75%は泥炭地の排水・酸化による.また,2030年,GHG排出削減のための追加的許容費用10USD/tCO2eq下において農畜産業部門では2000年排出量比45%に相当する33MtCO2eq/年の削減が見込まれ,うち11MtCO2eq/年は水田での水管理および農閑期の稲わらのすき込みによる効果であった.一方,森林・土地利用変化部門については10億USD(2005~2050年)の資金制約下において,長期的な視点での対策策定を行えば,自然回復の強化,再植林,森林伐採の減少により,2050年まで平均して約829MtCO2eq/年の削減効果が示された.これは2000年時点のLULUCF部門の排出量の1.2倍,エネルギー部門の排出量の約2.6倍に相当する.
  • 辰己 賢一, 山敷 庸亮, 寶 馨
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_221-I_226
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     CMIP3マルチ気候モデルによるSRES A1B, A2, B1シナリオに基づく出力値を農作物収量算定モデルの入力値に用い,コムギ・トウモロコシの2040-2059年,2080-2099年における生産量の現在(1980-1999年)からの変化を見積り,気候変動が農業生産に与える影響を不確実性を考慮して評価した.コムギの地球全体における生産量は近未来,未来とも全シナリオ下で減少することが示され,東アジアでは生産量が増加する一方,南アジアやヨーロッパでは大きく減少する結果を得た.トウモロコシは現在の主要生産域での生産量減少は微小な幅にとどまることがわかった.B1シナリオでは将来における生産量変化のモデル間のばらつき,つまり不確実性の幅が最も小さい結果となった.
  • 長谷川 知子, 藤森 真一郎, 申 龍熙, 高橋 潔, 増井 利彦
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_227-I_236
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本論文では気候変化による作物収量変化が,食料消費,飢餓,マクロ経済に対してどの程度影響するのかを分析する.将来の社会経済条件の違い,気候条件や適応策の取り方などの諸条件をシナリオとして与え,これらを比較することで気候変化によってもたらされる農業部門への影響を総合的に解析する.分析には世界経済モデルと作物モデルを用いる.社会経済条件,農業に強く関連する事象としてシナリオで考慮するのは,人口,GDP,作物収量(気候変化の影響と適応策の効果を考慮)とした.結果は以下のことを示唆する.社会経済条件は栄養不足人口や食料消費にとって大きな因子である.気候影響は適応策を適切に実施する場合栄養不足人口に対して軽微な影響であるが,適応策を適切に実施できない場合大きな影響を持つ.また,作物収量変化によるGDP損失は比較的小さいことが明らかとなった.
  • 田中 朱美, 高橋 潔, 申 龍熙, 増冨 祐司, 山中 康裕, 佐藤 友徳
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_237-I_248
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     現在気候下の北海道のコメ収量変動を再現するため,潜在作物生産性モデルGAEZの北海道への適用可能性評価および改良を実施した.改良前のGAEZでは計算対象期間の大半で北海道のほぼ全域で気温条件を満たさず収量がゼロとなり,耐冷性の強化によってコメ栽培が可能となった北海道にはそのまま適用できなかった.モデルの改良として(1)気温条件の緩和,(2)バイオマス計算論理の変更,(3)出穂日推定論理の追加,および(4)障害型冷害の考慮を実施した.(1)により寒冷地でも収量を得ることが可能となるが,観測の収量変動をほとんど再現しなかった.(1)に加え(2),(3),(4)を組み合わせることで再現性は大幅に向上した.特に障害型冷害の考慮と出穂日の推定が北海道の観測収量変動の再現性向上に大きく寄与した.
  • 満塩 将太, 有働 恵子, 永松 大, 松原 雄平, 真野 明
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_249-I_254
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     鳥取砂丘については,その地形変化特性について,外力との関係を詳細に解析された例はない.本研究では,鳥取砂丘の主要部である浜坂砂丘の地形変化特性を把握するために,2007年から2009年にかけての約3年間の地盤高変化データに対して,経験的固有関数解析(EOF)を適用した.その結果,モード1の時間関数は2007年4月から2008年2月にかけて地盤高変化が顕著になっていることを示し,モード1の空間関数と合わせて考えると,砂丘の東側で主に堆積の傾向が認められた.また,風向風速や,飛砂の制限要因である植生分布のデータとモード1の時間関数や空間関数を行い,植生が地形を安定に保つ傾向にあること,海風と陸風が複合的に地形変化を起こしていることを示した.
  • 吉見 和紘, 岡部 真人, 山田 正
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_255-I_260
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     降雨パターンの違いが流出現象に与える影響を解明する事は,従来から行われてきた多様な治水手法の組み合わせによる総合的な治水対策の更なる発展に寄与し,治水計画を検証する上で非常に有益である.本論文では,台風の経路は一様でない事や温暖化による気象現象の極端化を想定し,利根川上流域を対象として,カスリーン台風時の降雨データを元に擬似降雨を作成し, 降雨パターンの違いが八斗島基準点のピーク流量に与える影響を検証した. その結果,降雨パターンの違いによって,八斗島基準点のピーク流量に1割~2割の違いが現れる事を示した.また,カスリーン台風級の豪雨が襲来した場合,降雨パターンによっては八斗島基準点の基本高水流量を上回る事を示した.
  • 小松 和, 木村 龍, 横尾 善之
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_261-I_266
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本研究は日本の水資源を保全する上で重要な山地流域の河川の流況を流域特性値から推定する手法の開発を目的として,豊水量・平水量・低水量・渇水量と流域の気候的・地理的特性値の関係を重回帰分析した.その結果,年間降水量は豊水量・平水量・低水量の増加要因,建物用地と黒ボク土壌の面積率は平水量・低水量・渇水量のぞれぞれ減少要因,増加要因であることがわかった.また,紀伊半島以西の流域では,得られた重回帰式と流域特性値から豊水量・平水量・低水量・渇水量が精度よく推定できた.
  • 荒木 功平, 奥村 謙一郎, 安福 規之, 大嶺 聖
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_267-I_272
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     地球温暖化等の気候変動に伴う大雨の頻度増加が指摘されるようになり,各種産業への影響等が懸念されている.特に沖縄県では,亜熱帯特有の高温多雨気候により,土壌侵食を受けやすく,農地や開発事業地等から流出する赤土等は1950年代頃から問題化しているが,未だ解決に至っていない.沖縄のみならず亜熱帯化が懸念される九州地方においても侵食を受けやすい土壌を有している.
     本研究では,50年,100年スケールで年平均気温や激しい雨の年間発生日数の経年変化を調べ,九州の亜熱帯化の現状把握を試みている.また,亜熱帯地域である沖縄県国頭郡宜野座村の農地で土壌侵食実験環境を整備し,降雨量~土壌水分~土壌侵食量関係の計測および考察を行っている.
  • 小野 桂介, 風間 聡, 手塚 翔也
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_273-I_278
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     表層崩壊の危険度を力学的手法により示す方法を示した.タイ王国ペチャブン県において2001年に生じた斜面災害を研究事例として,表土層厚,斜面勾配,日降雨量,土質パラメータを入力情報とした無限長斜面安定解析により表層崩壊ハザードマップを作成した.結果を以下に示す.1)流域の西部に安全率の小さい斜面が分布する,2)実際に崩壊が生じた位置と小さい安全率が示されたグリッドは高い相関を示す,3)安全率1.00を安定・不安定斜面を判別する閾値とした場合,70%の確率で崩壊地と不安定グリッドが一致し,20%の確率で非崩壊地を不安定グリッドと誤判定する,4)先行研究で示された土質パラメータを用いたにもかかわらず,ハザードマップの精度は良好である.この結果は,今後のタイ王国における斜面災害対策の策定に利用可能である.
  • 有働 恵子, 武田 百合子, 吉田 惇, 真野 明
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_279-I_285
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     将来懸念される海面上昇の干潟への影響を調べるため,広大な干潟が広がる有明海・八代海および東京湾を対象とし,過去の長期的な干潟面積の変化を調べるとともに,海面上昇に伴う将来の浸食予測を行った.過去の長期的な干潟面積の変化を調べた結果,干潟面積は長期的に減少する傾向にあった.最新の詳細な海底地形データを用いて,海面上昇量と堆積(地盤上昇)速度の影響について将来の干潟浸食予測を行ったところ,干潟の堆積速度の差異により,その浸食面積は大きく異なった.今後洪水等の影響も考慮した,より精度の高い予測が必要とされるものの,海面上昇により深刻な干潟浸食が生じる可能性があることが示唆された.
  • 川越 清樹, 江坂 悠里
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_287-I_296
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     日本列島を対象に気候システムの温暖化による斜面崩壊の人的リスクを見積もるため,複数の気候モデル(MIROC3.2Medres, MRI-CGCM2.3.2, GFDL CM2.1, CSIRO MK3.0)と排出量シナリオ(SRES-A1B,A2,B1)に応じた各年代(2000年期, 2020年期, 2050年期, 2090年期)の再現年(50年, 100年)の降雨極値を求め,斜面崩壊発生確率を検討した.この結果と人口分布データを照合し,斜面崩壊による影響人口の関係性を求めることで,空間的,定量的な人的リスクの推計を試みた.解析過程の中で,現在気候で斜面崩壊の影響を受ける人口が総人口の1%である結果を得た.また,温暖化による影響評価より,日本列島各地の都道府県で現在比10%の増加となること,日本海側で影響人口増加の傾向が高まることを明らかにした.
  • 石原 肇
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_297-I_304
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日の東日本大震災の発生に端を発した福島第一原子力発電所の事故により大量の放射性物質が放出され,福島県だけでなく,首都圏でも,環境汚染を引き起こしている.2011年5月から,首都圏における事故由来放射性物質による環境汚染の測定に関する報道がなされ,住民に最も近い基礎的自治体である区市町村では,学校や公園などの一般環境の空間放射線量率の把握が求められてきた.そこで,本稿では,今般の原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質による環境汚染に関して,首都圏の基礎的自治体がどのように対応を行ってきたかについて,公表情報から明らかにする.
  • 神谷 大介, 赤松 良久, 板持 直希, 竹林 洋史, 二瓶 泰雄
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_305-I_312
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本論文では近年増加してきている局地的豪雨災害に対し,小規模集落での課題と支援方策について検討を行った.2010年に発生した奄美大島豪雨災害を事例として,社会調査と簡便な氾濫解析を行った.これらより,公助としては災害イメージの固定化(水害=台風)や既往最大のみに対応していることの問題点を指摘した.共助の観点からは平日昼間という災害時の支援者不在状況の避難計画の必要性を指摘した.自助からは,事前に決めている避難のタイミング等が機能しないこと,災害に対する誤った認識があることを指摘した.誤認識に対しては,簡便な氾濫解析でも是正可能であることを示した.
  • 梶井 公美子, 藤森 眞理子
    2012 年 68 巻 5 号 p. I_313-I_321
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
     本調査では,アジア太平洋地域の途上国に対して,実効性を確保した形で適応技術の移転を促進する必要性をふまえ,沿岸域における適応技術を対象に,技術を体系的に整理する手法,必要とされる対応(ニーズ)と日本等の先進国が有する適応効果をもつ技術(シーズ)の対応関係を整理する手法を構築した.これにより,1)適応技術については,気候変動への適応以外の目的で開発・普及されている技術も含めて幅広い分野の情報源から技術情報を入手・精査する必要があること,2)ニーズについては,気候要素,自然的・社会的要因,一次影響,二次影響という一連の因果関係をふまえて抽出できること,さらに,3)適応技術の沿岸タイプ別のニーズの高さを定性的な判断の目安に基づき整理できることを明らかにした.
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