土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
69 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
和文論文
  • 小坂 浩司, 黒田 啓介, 村上 道夫, 吉田 伸江, 浅見 真理, 小熊 久美子, 滝沢 智, 秋葉 道宏
    2013 年 69 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     東京の地下水を対象に塩素酸イオン,過塩素酸イオンの実態調査を行った.試料は2007,2009年に採取した.塩素酸イオンは49試料中24試料が,過塩素酸イオンは52試料中28試料が定量下限値以上の濃度で,その割合は被圧地下水より不圧地下水や湧水で高かった.試料の25%程度は塩素酸イオンまたは過塩素酸イオンが比較的高い濃度で存在し,塩素酸イオンでは1試料で水道水質基準値を超えていた(2000 μg/L).東京の地下水は,国内の他の地下水(市販のナチュラルウォーターや専用水道の原水)に比べ,これらイオン濃度が高い試料は多かったが,定量下限値以上の濃度の試料の割合は最も低かった.これらイオン濃度が比較的高かった地下水では,その多くが水道水や下水の影響を受けている可能性が考えられた.
  • 簡 梅芳, 宮内 啓介, 井上 千弘, 北島 信行, 遠藤 銀朗
    2013 年 69 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     土壌および水域のヒ素汚染は人間の健康や食糧の生産に大きな影響をもたらす.本研究では,東北地方太平洋沖地震津波によって海底堆積物が打ち上げられた宮城県沿岸部土壌のヒ素含有量の状況を知るための調査を行った.県内主要河川の沖積平野部において,津波被災域と非被災域の土壌サンプルを採取し,ヒ素含有量を測定した.その結果,全ての沖積平野部において,津波被災域のヒ素含有量平均値は非被災域の平均値より高いことが明らかとなった.また,各河川流域の地質構成や産業活動によって,河川沖積平野部および津波堆積物のヒ素含有量は異なることが知られた.さらに,津波堆積物によってもたらされたヒ素は,7ヶ月~1年の時間経過によって下層の土壌に移行して従来土壌のヒ素高濃度化を引き起こしていることが知られた.
  • 尾崎 則篤, 高村 斎弘, 小島 啓輔, 金田一 智規
    2013 年 69 巻 1 号 p. 25-36
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     広島県内郊外地域の分流式下水道を対象として下水処理場へのPAHsの流入負荷および処理場内での動態を通年調査した.調査した16PAHsの流入,流出濃度はそれぞれ218, 42.9 ngL-1であり,特徴的な日/週変動は見られなかった.一方,一週間程度またはそれ以上継続する変動が見られた.処理場内では半分程度が消失し,のこる半分程度は放流水および汚泥へそれぞれ同程度移行すると考えられた.既往の研究と比較すると観測された流入濃度および負荷量は小さいレベルであった.分流式下水起源のPAHsの水環境中への寄与は小さいと考えられた.
  • 井上 陽仁, 松藤 敏彦
    2013 年 69 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,熊本県天草市を対象に,未利用廃棄物系バイオマスの総合的な利活用方法とその環境負荷低減効果の評価を行った.天草市の人口は約9万人であるが,合併により誕生したため,焼却施設が5施設,し尿処理施設が3施設と多くの施設を抱えている.これらの施設を集約したうえで,堆肥化を推進するシナリオ,メタン発酵を推進するシナリオ及びその中間的なシナリオを比較評価した結果,堆肥化に伴うメタンガスと亜酸化窒素の排出により,メタン発酵の導入が温室効果ガス排出削減に効果的であることが明確となった.その効果は,生ごみとし尿・浄化槽汚泥のメタン発酵導入のみで現状よりも最大25%の温室効果ガス排出量を削減することが可能であることが示された.
和文報告
  • 田中 恒夫, 宮本 豊尚
    2013 年 69 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
     電解を利用する晶析装置(電解晶析装置)を養豚現場に設置し,実畜産排水を用いて連続実験を行い,その栄養塩類除去特性などについて詳細に検討した.畜産排水の電解により,陰極近傍において結晶性物質が生成され,その結果流出水の栄養塩類濃度は減少することが確認できた.栄養塩類の除去速度は,流入栄養塩類負荷,電流,極性反転の間隔に依存して変化した.また,電解槽より回収した結晶性物質の中にはリン,カリウム,カルシウム,マグネシウムが一定の割合で含まれていた.これらの結果より,電解により生成された物質は,ヒドロキシアパタイト(HAp)やリン酸マグネシウム(MP)等の結晶の混合物と推察された.
feedback
Top