マレーシアのパームオイル製造工場において,パームオイル工場廃液(POME)を処理するラグーンから発生するメタンガスの放出量を測定した.調査対象のラグーンシステムは,前段処理として2つの酸生成ラグーン(酸生成ラグーン1, 2),後段処理として2つの嫌気性ラグーン(嫌気性ラグーン1, 2)から成り,システム全体のCOD除去率は96.7%であった.前段処理の酸生成ラグーンでは,糖類等の易分解性有機物の低分子化および,脂質等の難分解性有機物の分離が確認された.後段処理の嫌気性ラグーン1では,有機物分解に伴いメタンが生成され,その生成速度は6,710 Nm
3/dとなり,酸生成ラグーン2の19倍の速度であった.嫌気性ラグーンにおけるメタン生成速度は,廃液流入口の近傍で高く,廃液の流下に伴い低下した.
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