土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
69 巻 , 6 号
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環境システム研究論文集 第41巻
  • 五味 馨, 林 優里, 松岡 譲
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_1-II_12
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     様々な取組や主体からなる低炭素政策体系において,各取組や主体の排出削減への貢献を定量的かつ整合的に示すことが出来れば政策の必要性や優先度を検討するために有用な情報となる.本研究では政策評価のうちセオリー評価の手法にもとづき,DSM(design structure matrix)を低炭素政策体系に応用し,複雑に関連する多数の主体や事業の相互の影響関係を定量的に表現し,他の要素を通じた影響や複合的な効果を考慮して目標達成への寄与量を推計する手法を提案する.簡単な数値例で可能な分析の例を示す.
  • 長谷川 正利, 大西 暁生, 奥岡 桂次郎, 戸川 卓哉, 谷川 寛樹
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_13-II_23
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     持続可能な社会を達成するためには,将来のCO2排出量及びマテリアルストック・フローをできる限り詳細に把握する必要がある.そこで,本研究では北陸三県の市町村を対象に,将来のCO2排出量及びマテリアルストック・フローの推計をシナリオ別で行った.この結果,活力を促進し環境技術を導入した「Bシナリオ/技術導入有り」が2050年時点での北陸三県におけるCO2排出量及びマテリアルストック・フローを最も少なく抑えられることが分かり,その量は,CO2排出量30.5Mt,マテリアル投入量7.5Mt,マテリアルストック426.2Mt,マテリアル廃棄量19.9Mtとなった.また,その要因として,出生率の低下や都市の集約化,住宅の長寿命化が深く影響していることが示された.
  • 田中 健介, 早川 容平, 奥岡 桂次郎, 杉本 賢二, 谷川 寛樹
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_25-II_34
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     持続可能な社会の実現のため,わが国では循環型社会形成推進基本法,施策がとられている.高度経済成長期に整備され,耐用年数を迎える建築物・社会基盤施設が今後も増加傾向にあり,これらの適切な維持管理にあたり,蓄積された資材の詳細・空間分布・集積傾向の把握が急務とされている.そこで本研究では,建築物・社会基盤施設を対象に各都道府県へと投入・蓄積される資材量を統計情報・地理数値情報の二種類のデータを用い,蓄積量の推移と空間分布を明らかにした.この結果,1965年時点で72億トンであった社会基盤ストックは2010年では206億トンに増加し,約2.8倍となり,構造別では建築物と道路が,資材別ではコンクリートと骨材が大きな割合を示した.
  • 藤森 真一郎, 長谷川 知子, 増井 利彦, 高橋 潔
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_35-II_46
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究はこれまでエネルギー分析用に開発してきた応用一般均衡モデルの農業・土地利用分野の拡張を行い,物的に整合的な農業,エネルギー,土地利用の解析を行えるようにした.当モデルを用いてシナリオ分析を行い,農業・土地利用が物的に適切に記述されていることを確認した.また,感度解析を実施した結果,需要側の所得弾力性は人口,所得,土地生産性などの様々なショックに対する反応を決める重要なパラメータであることがわかった.
  • 武藤 慎一, 矢田部 貴司
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_47-II_57
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     2012年10月に地球温暖化対策税が導入された.わが国初の本格的な炭素税の導入であり,今後の地球温暖化対策の重要な役割を担うツールといえる.しかし,税の導入はDeadweight lossをもたらす.そのため,税の導入に伴うCO2排出削減効果とDeadweight lossがもたらす経済的影響を慎重に見極めた上で今後の環境税制の方向性を議論することが重要といえる.そこで本研究は,応用一般均衡(CGE)モデルを用いて地球温暖化対策税のCO2排出削減効果とその経済的影響の計測を行った.特に,本モデルは運輸部門,その中でも自家輸送部門への影響を詳細に分析できるように改良されている点に特長がある.
  • 白井 信雄, 田崎 智宏, 田中 充
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_59-II_70
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,社会,経済,環境を細分化した15領域を設定し,各領域に,他者への配慮,多様なリスクの備え,主体の活力といった持続可能性に係る3つの規範を当てはめることで,地域の持続可能な発展指標の尺度を設定した.この尺度を用いたWEBモニター調査を実施し,内的整合度を基準として15領域毎に3つの尺度を絞込み,合計で45の尺度を抽出した.
     作成した尺度を用いた分析の結果,(1)人口規模が大きな都市では「地域の持続可能性」に関する変数値が有為に高い傾向にあり,規模が小さい都市あるいは市町村で変数値が有為に低い傾向にあること,(2)「住民の幸福度」は「地域の持続可能性」とともに「住民の地域への関与度」に規定されること,(3)「住民の幸福度」の規定構造は地域の人口規模や住民の基本属性によって異なることを明らかにした.
  • 岩見 麻子, 大野 智彦, 木村 道徳, 井手 慎司
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_71-II_78
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では, テキストマイニングを用いて公共事業計画策定過程の議事録から, 話し合われたサブテーマと同テーマに言及した委員を把握するための手法の開発を試みるとともに, サブテーマを介した委員間の関係性を可視化するための方法について検討した.開発した手法を淀川水系流域委員会本委員会の議事録に適用した結果, 同委員会の「ダム建設」に関するサブテーマ(流量,琵琶湖水位,滋賀県のダムなど)とともにそれらサブテーマについて特に発言が多かった委員を把握することができた.またサブテーマと同テーマに言及した委員の関係性を可視化するためにネットワークグラフが有効である可能性を示すことができた.
  • 有賀 敏典, 松橋 啓介
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_79-II_84
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     中長期的な計画をする上で, 各種環境面からの地域内人口分布の評価が求められている.本研究では,乗用車による環境負荷に着目し, 2つの地域内人口分布シナリオを乗用車CO2排出量の面から評価した.まず, 全国3次メッシュ人口および市町村別乗用車CO2排出量から, メッシュ特性別の年間一人当たり乗用車CO2排出量を推計する回帰式を構築した.次に, 2005年のデータから回帰式を作成し, 2030年および2050年の偏在化・均一化の各地域内人口分布シナリオについて, 年間一人当たり乗用車CO2排出量を評価した.その結果, 地域の人口が同一であっても, 地域内の人口分布によって, 環境負荷が異なることを定量的に評価できた.具体的には, 全国年間一人当たり乗用車CO2排出量は2005年比で, 2030年は偏在化で4%減, 均一化で1%増, 2050年はそれぞれ3%減, 6%増と推計された.
  • 川本 清美
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_85-II_92
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     地方都市において,路面電車は中心市街地活性化や温暖化対策として注目されている.一方で,高齢化や財政難問題を抱える中,利用者の選択要因を把握し,確保し続けることが地域公共交通維持に重要である.本研究の目的は,地域固有のソーシャル・キャピタル(SC)構造を考慮して,路面電車利用者の交通選択意識構造を明らかにすることである.対象は,北海道函館市のSC構造が異なる3地区である.質問紙調査により,560の有効回答を得た.分析手法は,ロジットモデルと共分散構造分析である.結果として,地域愛着がSCを形成し,結束型地区ではSCのつきあい・交流,信頼要素,接合型地区ではSCの社会参加要素が直接,路面電車利用に影響を与えることなどを明らかにした.地域愛着やSCは,費用便益や実行可能性より強固な影響を与えていた.
  • 青木 えり, 栗栖 聖, 花木 啓祐
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_93-II_104
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     環境配慮行動に影響を及ぼしうる心理的因子は多様に示されてきたが,様々な行動への個別の対応は十分ではない.モデル化は,単純で一般的なものを求めるが,それが制限ともなり,異なる行動には異なる心理的因子が影響することを表現できない.よって本研究では,規定因となりうる様々な心理的因子から包括的な心理モデルを個別行動ごとに構築した.アンケート結果を用い,探索的因子分析によって人々の心理的因子を抽出し,共分散構造分析によって行動に至るメカニズムをモデル化した.結果,環境問題全体への認知は行動の初期段階でしかなく,行動に至るには対象行動自体への認知が及ぼす影響が大きかった.行動意図の規定因は,行動への肯定的な態度及び有効性認知に加え個人規範,行動へ至る規定因は,簡単だとの認知,習慣化である行動が多かった.
  • 大塚 佳臣, 栗栖 聖, 中谷 隼, 窪田 亜矢
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_105-II_115
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     一都三県の住民を対象にアンケート調査を行い,都市部における親水空間創出を目的として下水処理水を活用した水路整備を行うことの受容性および水路タイプ選好について評価を行った.水路の導入については,95.8%の住民が賛成の意思を表明しており,同目的における水路整備のニーズおよび下水処理水の利用ポテンシャルは大きいことが明らかになった.水路タイプとしては,【植生有,水辺アクセス有】(35.1%),【植生無,水辺アクセス有】(28.5%),【植生有,水辺アクセス無】(21.5%),【植生無,水辺アクセス無】(10.8%)の順に支持されたが,これらの選好においては市町村レベルでの地域差はみられなかった一方で,水辺全般への意識の違い,環境問題全般への意識の高さが強い影響を与えていた.
  • 天野 厳斗, 栗栖 聖, 花木 啓祐
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_117-II_126
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     東京都では水道水の飲用利用は依然一般的ではないが,飲用水の選択は場面によって異なると考えられる.様々な場面での飲用水の選択を明らかにするために,水道水やボトル水等の水の種類の希望の選択と,現実の選択,その選択理由に関する調査を行った.調査は,自宅や外出先など6つの場面ごと,さらに飲用水の種類ごとに行った.場面や飲用水の種類によって選択は異なり,自宅での飲用に関しては,味,安全性が大きな理由であることがわかった.また,自宅における飲用水の選択と選択理由についてクラスター分析を行ったところ,多くの人々が希望の種類を実際に飲んでいることがわかった.さらに,選択時に重要視したい情報に関する調査を行った結果,第三者機関の認定,指標,基準値といったよりわかりやすい情報が重要視されることがわかった.
  • 戸田 祐嗣, 山下 貴正, 宮本 仁志, 辻本 哲郎
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_127-II_138
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     流域スケールでの環境管理が必要な今,流域における物質循環特性と河川生態系の因果関係を定量的に表現・理解することが出来る技術の開発は重要である.そこで本研究では,分解者、一次生産者、水生昆虫等の食物連鎖低次の生物群集を考慮した数値河川生態系モデルを構築し,実河川流域の河道網構造に適用し,流域スケールでの物質循環と河川生態系の関係を定量評価した.兵庫県の揖保川流域を対象として解析を行った結果,付着性藻類の生産・剥離が河川生態系に与える影響は大きく,特に流量変動に伴う藻類剥離は下流に位置する氾濫原の有機物収支に大きな影響を与えた.また,流域全域における生物生産・代謝構造,有機物のダウンサイシングの特徴と河道位数,流域形状等との関係を定量的に示した.
  • 國實 誉治, 稲員 とよの, 小泉 明, 清水 和輝, 金 敏哲, 北澤 弘美, 佐藤 親房
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_139-II_147
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本論文は,安全でおいしい水の安定供給を目的とした残留塩素(以下,残塩)濃度の管理方法について研究を行った.送配水システムにおける残塩濃度の複雑な挙動を把握するために,水道GISを用いて残塩濃度の挙動をシミュレーションすることで,適正な残塩濃度管理による残塩低減化を目的とした検討を行った.今回は,東京都東部に位置する東南幹線の送水系統とそれに属する4つの配水区域をモデルとして,浄水場から配水管網末端までを考慮した残塩濃度シミュレーション分析を行い,浄水場における残塩低減について定量的に評価を行った.更に,4つの配水区域にある各給水所で追加塩素装置を導入した場合についてシナリオ分析を行い,追加塩素による塩素添加量の削減効果及び,給水区域内における残塩濃度の平準化効果について明らかにした.
  • 荒井 康裕, 西江 光司, 小泉 明, 稲員 とよの, 石田 紀彦, 山﨑 千秋, 守安 純三郎
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_149-II_156
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     水道事業の取り組むべき課題の一つに省エネルギー化が挙げられる.水道事業における電力使用量の60%以上が送配水過程に関連することから,どこの浄水場からどの配水池を経由して水を送るのが最も合理的なのかといった,水運用の最適化問題が電力使用量の削減において重要な研究テーマとなっている.本研究では,送配水システムの電力使用量の削減を目的とした最適化モデルを提案し,実際の大規模かつ複雑な送配水システムを対象にしたシミュレーションを試みた.対象システムに関して,実際の水運用を再現するために配水池の貯水量の増減を実績値とする制約を設ける等,より実態に即したモデルを得ることができた.また,提案モデルを用いたシミュレーションにより,電力使用量の削減効果がどの程度期待できるのかを明らかにした.
  • 山田 宏之, 田中 明則, 倉成 利幸
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_157-II_165
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は,新しく開発した建築用保水性コンクリート板を2層構造で葺く工法を用いて,小型のコンテナハウスを対象に,屋根面温度等の低減効果とエアコン消費電力量の実測と解析を行い,室内暑熱環境改善資材としての有効性を検証することを目的として実施した.2012年夏季の9~10月の実測結果から,屋根面温度の低減効果とエアコンの消費電力低減効果は保水板敷設区で顕著に現れ,対照とした無処理屋根区と比べて,夏季晴天日の日中(9~19時)においては,屋根面温度を2層構造の保水板で覆うことにより日中平均16.7℃ (1層:10.3℃),最大で28.1℃ (1層:18.7℃)低下させることが出来るという結果であった.室温については,日中平均1.9℃ (1層:1.2℃),最大で3.1℃ (1層:2.1℃)低下させるという結果になった.エアコンの消費電力量で比較すると,消費電力量を77.0%削減(1層:28.7%)するという結果になった.
  • 辻 佑機, 坂口 卓司, 田畑 智博
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_167-II_173
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     切捨間伐材のエネルギー利用は地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から重要であるが,現状では殆ど有効利用されていない.本研究では労働力確保の観点に着目し,建設業から林業への人材移転を想定したエネルギー利用促進の可能性及び人材移転の実現による切捨間伐材の集材・搬出可能量,エネルギー利用に伴うGHG削減効果と経済性を試算した.先ず,林業に類似するスキルを持つ建設業を移転元として検討するとともに,アンケート調査により林業で必要なスキルや資格を明らかにした.次に,人材移転に伴う集材・搬出作業の必要雇用労働者数と人材移転可能人員数を推計した.その結果,人材移転によりわが国の年間の切捨間伐材発生量の80%が集材・搬出可能となり,このときのGHG削減量は約2,430千t/年と試算された.
  • 福西 佑紀, 中谷 隼, 森口 祐一
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_175-II_181
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     家電製品などの耐久消費財では,生産段階と使用段階を含めたライフサイクル全体での電力消費や環境負荷の低減効果は消費者による使用実態によって変化するが,そうした情報が実際に提供される例は少ない.本研究では電球を対象として,製品種類ごとにライフサイクルの環境負荷とコストの評価を行い,製品種類や使用実態との関係を分析しグラフを用いて可視化した.そして,その情報をもとにした消費者に対するアンケート調査によって,使用時間の前提と様々な情報提供方法ごとに消費者の情報の理解度を検証した.その結果,環境情報そのものが製品選択に与える影響は相対的に大きくなかったが,消費者の使用状況に応じたコスト情報などを理解しやすい形で与え経済合理的な選択に導くことで,環境負荷を削減しうる製品の購入を促しうることが示唆された.
  • 池田 晴香, 神谷 大介, 赤松 良久
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_183-II_188
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     河川における種々の活動は,川と人,人と人をつなく効果があり,特に川の学習は自然を学ぶ機会であり,世代間交流を促すという意味でも非常に重要である.本研究では中国地方の一級水系河川を対象として,河川環境の保全・再生活動の変遷や活動内容間の関係性を明らかにした.また,川の学習活動に着目し,活動創始に関する要因分析とポテンシャル評価を行った.この結果,川の学習活動の創始や継続には小学校と流域連携が大きく影響することが分かった.さらに,活動創始のポテンシャルマップから活動が起こりやすい河川区間を具体的に挙げ,住民活動活性化のための方策について検討した.
  • 志賀 俊成, 松井 孝典, 町村 尚, 中尾 彰文, 山本 祐吾
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_189-II_197
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     農業では食料や資材などの人間の福利を支えるバイオマス生産が可能な反面,栽培管理に伴う多大な温室効果ガス(GHG: Green House Gas)の排出があり,生態系サービス利用と気候システム問題の間にトレードオフ構造が生じている.そこで,本研究ではそのトレードオフ構造が顕著である施設園芸を対象として,バイオマス生産とGHG排出削減の相乗便益モデルの開発を目的として,鑑賞用キク生産プラントを事例として温度および肥培管理の変更に伴うバイオマス生産とGHG排出の応答を分析し,栽培管理の最適化のモデルケースの導出を行った.分析では,DNDC (DeNitrification-DeComposition)モデルによる農地からのバイオマス生産量とGHG発生量の解析,温室暖房燃料消費試算ツールによる温度管理による暖房燃料消費量の解析,LCAツールであるMiLCAによる投入肥料製造に伴うGHG排出量の解析を統合して,様々な栽培管理ケースに対する炭素窒素収支の挙動を評価した.結果,対象プラントにおいて栽培管理の最適化により,現状から95%以上のバイオマス生産量を確保しつつ,GHG排出量を34.6%削減することが可能であるという結論を得た.今回構築した栽培管理の最適化のモデルケースは他の施設園芸においても有効に適用できると考えられる.
  • 四蔵 茂雄
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_199-II_204
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     既刊統計資料を元に,ネパール製造業のエネルギー消費量を推定すると共に,エネルギー消費構造の特徴を明らかにした.また,エネルギー消費量の変化要因について分析した.その結果,以下の点が明らかになった.(1)石炭が最大のエネルギー源である,(2)石炭ならびにバイオマスは主に窯業,食品業,金属製品業で消費されている,(3)これらの産業に加え,繊維織物業が4大エネルギー多消費産業である,(4)増加したエネルギー消費の約6割は,生産規模の拡大による,(5)エネルギー消費効率はほとんどの産業で改善されているが,エネルギー多消費産業を中心に大きく悪化している.今後の対策は,エネルギー多消費産業を中心に進めることが効果的であること,より正確な統計情報の整備が望まれることを指摘した.
  • 行木 美弥, 森口 祐一
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_205-II_215
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     鉄鋼の需要が急増する中国とインドを対象に,SRESの4つのシナリオの一人当たりGDPを用いて鉄鋼需要の中長期予測を行い,スクラップの利用可能性とその温室効果ガスの排出抑制効果を検証した.推計の結果,2010年から2050年の累積で,鉄鋼の需要(みかけの消費量)に対し,用途毎の利用上限も考慮したスクラップによる供給割合は,中国で34%~59%,インドで28%~41%にとどまった.鉄鋼製造による二酸化炭素の排出は,2010年から2050年の累積で,転炉と電炉の割合を各国の実績をもとに推計した場合と,スクラップを最大限電炉鋼として活用する場合を比較すると,中国で9%~13%,インドで26%~32%の排出削減が可能という結果となった.他方,2010年と2050年を比較すると,スクラップを最大限活用してもC02の排出量は中国では2.3~4.8倍,インドでは1.7~3.8倍に増加する結果となった.
     両国ともに2050年時点でもスクラップの活用による温室効果ガス排出低減効果は限定的であり,それ以外の対策,特に高炉/転炉鋼の温室効果ガスの排出量を下げるための取り組みが重要と考えられる.
  • 落合 淳太, 中川 喜夫, 松橋 啓介, 谷口 守
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_217-II_225
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     環境問題や原発事故の影響により,スマートグリッドを用いた分散型電源による電力の自給自足の重要性が高まってきている.しかし,技術開発が進む一方で,これらの技術を用いて電力の自給自足がどこで,どれだけできるのかを十分に把握できていない.そこで,本研究では居住地へのスマートグリッド導入を想定し,居住者の交通行動までを含めた全国の市区町村における自給率の算出を試み,都市特性との関係や,施策実施による影響度を分析した.その結果,1)自給率は市区町村によって最大で約4倍もの差があること,2)郊外のベッドタウンのような特徴を有する都市で自給率が高い傾向にあること,3)採用する施策とその対象都市の特性によって自給率の増加幅が大きく異なることなどが示された.
  • 大西 悟, 藤田 壮, 藤井 実, 董 亮, 戸川 卓哉
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_227-II_237
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     産業都市において工場単体ではなく,地区全体の環境改善を図るための物質・エネルギーネットワークの構築が課題となっている.本稿では,物質・エネルギーネットワークの構築に向けた現状のネットワーク分析および火力発電所の熱を近接する産業群で利用する将来シナリオの環境改善効果を分析する評価システムを提示し,特定の産業都市においてケーススタディを行った.その結果,ネットワーク全体で,年間Scope1では119Mt-CO2の削減,scope2では1.56Mt-CO2の増加,Scope3では14.4Mt-CO2の削減,総計では132Mt-CO2の削減効果が推計された.今後は,熱の供給源として火力発電所以外の産業(特に,鉄鋼業,製油精製業)および需要先としての化学産業,民生部門のプロセスモデルを構築し,温度帯を考慮した蒸気・温水搬送システムの検討を進める.
  • 森川 雄貴, 野田 圭祐, 盛岡 通, 尾崎 平
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_239-II_246
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,街区・地区レベルでのPV-BTシステム導入による費用効果を算定するモデルを構築し,街区・地区レベルの電力需給マネジメントの単位(空間と用途)を変えることによる負荷平準化効果の違いを定量化することを目的とした.神戸市旧居留地区を対象に検討した結果,以下の4点の結論を得た.1)PV-BTを0.17[kW/100m2]導入し,地区全体で電力マネジメントを実施することによる最大電力負荷の低減効果は,導入前に対して1.2%程度であった.この低減効果はPV-BT導入量に関わるため,評価尺度をPV-BT導入量に対する削減率で表現すると70%程度と大きな効果が見られた.2)PV-BT導入量を変化させた場合の年間純便益は,地区へのPV-BT合計導入量が単位面積当たり0.25[kW/100m2]程度で最大となり,それ以上は低下する.3)用途混合度が異なる街区別のピーク負荷低減効果を明らかにしたとこら,住居系の混合割合が高い場合,住居系のピーク生起時刻が事務所系・商業系と離れているためにPV-BTによるピーク負荷低減効果が相対的に小さくなる.4)事務所系と商業系のみが混合している街区では,電力需要が標準偏差分だけ大きくなる方に変移した場合,BTによるピーク負荷低減効果は相対的に高くなる.
  • Ramrav Hem, Toru Furuichi, Kazuei Ishii, Yu-Chi Weng
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_247-II_258
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     1,4-Dioxane migrates in groundwater with low sorption, low degradation, and low volatilization according to its physicochemical properties. 1,4-Dioxane migration therefore strongly depends on groundwater flow. Hydraulic conductivities, the most uncertain parameters and critical to groundwater flow, should be precisely determined. In a conventional approach, groundwater flow is estimated by calibration to optimize hydraulic conductivities, and then the calibrated groundwater flow is used for predicting 1,4-dioxane distribution considering other parameters such as source location and concentration. Although other parameters are properly set, 1,4-dioxane distribution cannot be always precisely predicted because the calibrated groundwater flow model does not perfectly present the real groundwater flow. Thus, the calibrated groundwater flow should be reevaluated to define the most suitable hydraulic conductivities considering 1,4-dioxane distribution.
     This study proposes a new approach with verification process of groundwater flow estimation for precisely predicting 1,4-dioxane distribution in groundwater. In this approach, several acceptable sets of hydraulic conductivities in term of groundwater heads are estimated by calibration and each groundwater flow is verified to match between calculated and observed 1,4-dioxane concentrations. The effectiveness of our new approach comparing to the conventional one was proved by a case study at an illegal dumping site in Japan where three aquifers have been contaminated by 1,4-dioxane for about 15 years. Eight acceptable sets of hydraulic conductivities of the three aquifers were determined by calibration using observed groundwater heads, and then verified to minimize the errors in 1,4-dioxane concentration. As a result, 1,4-dioxane distribution was predicted by our approach more precisely than the conventional approach.
  • 大西 史豊, 依田 伸治, 養父 志乃夫, 浅田 空斗
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_259-II_264
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     日本人は古くからアカマツ林を燃料山として活用し,多くの恵みを得てきたが,昭30年代の燃料革命以降,里山の管理放棄,マツノザイセンチュウ被害等により,アカマツ林は衰退,消滅した.マツ枯れ後,散状二伐天然下種更新により復元されたアカマツ林の特性を明らかにし,その有用性を明らかにする事を目的とし,アカマツ材積,下層植生に関する調査を行った.結果,調査地におけるアカマツの材積は明治初期発芽の材積に比べ大きい値を示した,16年生アカマツ林においてha当たり約12m3の材積が確認された.下層植生は46種見られ,明るい二次林を好む樹木も多く見られた.また,5年生アカマツ林,16年生アカマツ林内の下層植生の成長量は同程度であった.
  • 池田 裕一, 亀田 涼, 飯村 耕介, 石ケ森 渉, 宍戸 彩
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_265-II_273
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     近年,渡良瀬川において,ハリエンジュの繁殖が顕著で,冠水頻度のごく低い高水敷だけでなく低水路内の砂州上においても繁茂する例が見られ,従来からの優占種であるヤナギ類(主としてタチヤナギ)と競合している.そこで渡良瀬川中流域に観測区間を設け,そこを条件ごとに3つの領域に分けて現地調査を実施した.そして全ての個体の樹齢と位置座標を地図上にマッピングし,ハリエンシュの拡大動向,ヤナギとの競合関係,局所的な群落の形成過程,樹高や樹冠幅等のアロメトリー関係式の検討を行った.結果として,各エリアでの両種の群落の拡大過程の相違が明確になり,特にヤナギとハリエンシュが競合しているエリアではヤナギが縮小傾向なのに対し,ハリエンシュは高水敷まで拡大しており,今後も拡大していくことがわかった.
  • 岡田 久子, 倉本 宣, 渡辺 泰徳, 福島 雅紀
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_275-II_281
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     多摩川中流域にある羽村取水堰の下流で河床を構成する礫の動きをモニターして礫径と付着藻類の発達との関係を調べ,礫の移動と付着藻類量の関係を検討した.早瀬に1m×1.5mの方形枠を設定し,マーキングした礫を設置し,礫の移入出を43日間経時的に調べた.出水規模が大きいほどより径の大きな礫が移出した.43日後,方形枠内の全ての礫について径と付着藻類量の間には正の相関が得られた.大きな礫は付着藻類量が大きく安定持続期間が長かった.礫の安定持続期間は付着藻類量に影響を及ぼす重要な要因である.一方,43日間安定であった礫についても,径と付着藻類量の間には正の相関があった.小さな礫は,微小空間において,他の礫との干渉・水流や上流からの移動砂礫による撹乱の影響が大きかった.
  • 菅 洋輔, 中久保 豊彦, 東海 明宏
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_283-II_291
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,下水処理施設とごみ焼却施設の連携型更新計画の導入効果をエネルギー消費量,温室効果ガス(GHG)排出量で評価した.分析は処理計画人口30万人を想定して行った.比較ケースとして,現行処理体系であるケース1(厨芥:ごみ焼却・排熱発電,脱水汚泥:高温焼却)に対し,厨芥を下水処理施設の消化槽で受け入れるケース2,厨芥の消化槽受入とごみ焼却施設での脱水汚泥受入を実施するケース3を設定した.結果,ケース1と比較して年平均気温条件下でのGHG排出量をケース2では12.1%,ケース3では39.9%削減できると推計された.季節変動性に関する分析においても,月別平均気温が最高となる8月に対する最低月(1月)のエネルギー消費畳の増分は,ケース3が25.9GJ/日で最少となる結果を得た.
  • 佐藤 太平, 松本 亨, 藤山 淳史
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_293-II_299
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始を契機に,太陽電池(以下PV)システムの普及が加速している.将来的に使用済PVパネルが大量に廃棄されることが予想され,そのための処理・再資源化の体制を今から検討・整備しておくことは重要である.本研究では,まずPVパネル廃棄量の将来推計を行い,地域別に按分した.次いで,九州地域を想定し,1次輸送と2次輸送に要する輸送コストとストックヤード管理費用を合わせた総費用から,ストックヤードの最適配置を検討した.
  • 武部 玲央, 古市 徹, 石井 一英
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_301-II_312
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は,稚内市及び離島を含む計5地域からなる宗谷地域の生ごみとそれ以外の可燃ごみ中の紙・プラ・布・木くず(燃料ごみ)の両方を対象とし,(1)既設バイオガス施設利用とごみ燃料(RDF)化施設の新設による地域循環圏シナリオを構築し,(2)コスト,リサイクル率,最終処分量を評価軸とし,現状の焼却施設更新シナリオと比較した場合の改善効果を解析し,実行可能な地域循環の構築例を示すことを目的とした.生ごみについては利尻・礼文島からコンテナ–フェリー輸送で稚内市の既設バイオガス化施設に運搬し,燃料ごみについては全ての地域からコンテナ輸送(またはコンテナ–フェリー輸送)し,稚内市で集中的にRDF化し,旭川市の既設製紙工場で利用するシナリオの改善効果が高いことを示した.
  • 翁 御棋, 古市 徹, 石井 一英
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_313-II_320
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     最終処分場は,廃棄物の適正な処理・処分を行う際に,重要な役割を持っており,更に近年では,最終処分場のストックヤード機能も注目されている.最終処分場の跡地を有効に利用することにより,都市緑地の創生,有用資源のストックヤードとしての利用,災害廃棄物の一時保管など新しい価値も生み出すことが可能である.現代社会において,最終処分場は不可欠なものであるが,最終処分場の建設は困難な場合が多く,その結果,残余容量の少ない施設の数も増えてきている.今後,最終処分場を確保していくために,総合的に評価することによって,最終処分場の価値を示すことも重要な対策の一つであると考えられる.本研究では,稼働中の経緯も踏まえ,更に最終処分場の跡地利用を実施している事例について,総合的に価値属性を分析する.具体的には,各主体に与える価値の推計方法を構築し,対象地域の直接使用価値と環境と生態サービスの非使用価値を試算した.総価値向上のための改善対策を提案し,最終処分場の確保に関する多主体合意に役に立つことを目指す.
  • 竹内 奈穂, 齊藤 修
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_321-II_327
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     持続可能な社会形成への要請が高まる中,化石燃料からのCO2排出を抑制するバイオマスエネルギー利用はその必要性を益々増してきている.北海道下川町は,町内に豊富に存在する森林バイオマスを活用したエネルギー供給の取組みを行い,CO2排出量及び燃料経費削減に成功してきた.バイオマス利用に関しては,「再生産カを超えない利用」が持続可能性を担保するうえでは基本となる.本稿では,下川町を対象として森林の年成長量を推定し,年成長量から得られるエネルギー利用可能量を求め,森林が有するエネルギー自給ポテンシャルを明らかにした.この結果,森林の年成長量をベースにした理論上の利用可能量が,下川町の電力を除くエネルギー需要の80~131%になることがわかった.
  • 土屋 翔, 古市 徹, 石井 一英, 翁 御棋, 金 相烈
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_329-II_336
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     牛ふんスラリーの適正処理と資源化のための集中型バイオガスプラント(複数酪農家のふん尿を対象)導入には,悪臭や貯留槽の容量不足等の環境問題解決のみならず,運搬や散布の手間削減やエネルギー回収の効果もあるが,酪農家の経済負担問題から普及は進んでいない.本研究では,北海道の酪農が盛んな道東の3地域を対象にアンケート調査し,これまで不明であった牛ふんスラリーの不適正管理の実態を明らかにした.次に,コンジョイント分析により,「貯留槽容量不足の改善」及び「悪臭の改善」,「過剰施肥の緩和」について,酪農家が高いニーズを抱いていること,またそれらのニーズの違いは,飼養頭数の増加,耕種農家の有無等の地域特性によることを示した.すなわち地域特性によって異なる酪農家のニーズに応じた集中型バイオガスプラントの導入策が必要である.
  • 鬼束 幸樹, 秋山 壽一郎, 藏本 更織, 野口 翔平, 上田 紗奈江
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_337-II_342
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     河川構造物を建設する際に,濁水などが発生し河川水質に影響を及ぼす.変化した水質において,水生生物が被る影響を調査することが求められ,濁度などが魚類の行動特性に及ぼす影響が研究されてきた.しかし,魚の遊泳速度といった遊泳特性については解明されていない.本研究では,静止流体中の濁度を変化させ,アユの遊泳特性に及ぼす濁度の影響を解明した.その結果,濁度の増加に伴い,遊泳距離が短くなり,遊泳速度が遅くなる事を解明した.
  • Mincheol KIM, Toyono INAKAZU, Akira KOIZUMI, Jayong KOO
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_343-II_350
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     Water pipeline is the most important infrastructure in our daily life. However, pipeline deterioration is now causing problems for water supply service in Korea. Aged water pipelines need to be efficiently replaced to prevent problems. The present study aims to introduce efficient, gradual pipeline replacement plans, particularly analyzing risks through predicting the number of pipeline damages, the restoration time and water shortage volume. The results were put together and the overall risk ranking was estimated using predicted risk index (PRI). As a result, the highest PRI was given the highest priority for replacement. From these analyses, pipelines were assessed and given a risk ranking. In order to confirm replacement effects utilizing the PRI order, the Monte Carlo simulation was applied to three case studies with changed replacement order. Due to the random occurrence of pipeline accidents in terms of space and time, the Monte Carlo simulation can yield approximate solutions. The results of the Monte Carlo simulations in each case allowed us to confirm the effects of replacement in order of PRI, and can contribute to the decision-making concerning pipeline replacement plans for distribution networks.
  • 荒井 康裕, 小泉 明, 堀川 博哉, 恩田 雄太郎, Bambang Bakri
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_351-II_358
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,送水ネットワークを対象にしたライフサイクルコスト(LCC)及びCO2排出量(LCCO2)の把握を試みた.仮想地域を対象にしたケーススタディを通じ,人口密度の差異が及ぼす影響を推定した結果,人口密度の減少に伴ってLCC及びLCC02が著しく増加する傾向が示された.また,将来の人口減少を想定し,合理的な管路口径のダウンサイジング化を検討するための分析を行ったところ,口径を過度に小さくするよりも,多少の余裕を持たせたダウンサイズの方が,ライフサイクルでの経済的負担及び環境負荷が少なくて済むことを明らかにした.
  • 生津 路子, 藤森 真一郎, 松岡 譲
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_359-II_370
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,2050年に世界GHG排出量を1990年比半減する目標の実現可能性と,その社会経済影響を定量的に分析した.分析には応用一般均衡モデルを使用し,対象地域はアジアの主要10地域(中国,インド,インドネシア,日本,韓国,フィリピン,マレーシア,台湾,タイ,ベトナム)とした.
     結果から,国内削減のみを考慮した場合には日本と韓国を除いた8地域で排出量削減目標は技術的・経済的に達成可能である.日本・韓国においては国際的な排出量取引等の取り組みが目標達成に向けて必要不可欠である.また,目標達成に伴って経済的ロスが発生し,マレーシアを筆頭にタイ,インドネシア,ベトナム,中国にて10%以上のGDPロスが見られた.しかしながらこのロスを考慮してもGDPは現在と比較して増加し,経済発展は可能である.
  • 中尾 彰文, 山本 祐吾, 松井 孝典, 志賀 俊成, 吉田 登
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_371-II_382
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     近年,原油等の化石燃料の価格高騰は農業活動に深刻な影響を及ぼし,生産者の利益を圧迫している.しかし,生産者の高齢化や減少が進むなか,農業経営の体質強化を図る取り組みが困難な状況である.また,低炭素設備や省エネルギー技術の導入を通じた省エネルギー対策も十分に進んでいるとは言えない.そこで本研究では,施設園芸農家の実態調査に基づいて,農作物生産におけるエネルギー・物質フローを解明した上で,LCAの手法を用いてGHG排出量を推計した.さらに,栽培管理プロセスの加温機更新に関して7つの比較ケースを設定し,設備更新とバイオマス資源利用によるGHG削減ポテンシャルを評価した.その結果,栽培管理プロセスにおける施設加温でのエネルギー起源GHGの排出抑制が重要となること,GHG排出量削減では地域バイオマス資源の燃料利用が効果的であること,設備更新にあたっては,国などからの補助金や制度を活用しても投資回収が長期化することが明らかになった.
  • Noboru YOSHIDA, Yiqi WU, Takaaki KANAZAWA, Yugo YAMAMOTO, Tsuyoshi FUJ ...
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_383-II_390
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     This paper focuses on carbon footprints of steel production in China. Following the enforcement of the Kyoto Protocol in 2005, China has promoted energy efficient technological renovation in existing industrial zones as well as by the construction of new environmentally-friendly industrial zones. On the contrary, geographical fragmentation of production in China and East Asia has deepened the interdependency on regional transactions of goods and services that are part of spreading global value chains or vertical specialization. Based on the above background, we attempt to evaluate the multi-regional carbon footprint of steel-related low-carbon technological renovation by using input-output analysis. First, we created a dataset for input coefficient changes in an I-O table, corresponding to the low-carbon technologies that are implemented in the “global sectorial approach” to the steel industry. Second, we set up scenarios to implement a set of low-carbon technologies in the steel sector. Finally, we evaluated backward and forward linkage effects of low-carbon technology transfers in terms of their carbon footprints. As a result of the analysis, it was revealed that: 1) implementation of low-carbon technologies would provide a significant contribution to carbon footprint reduction in steel production; 2) the structures of carbon footprint reduction are different among regions due to variations of multi-regional steel production and consumption linkages; 3) the interdependencies among the different carbon footprints in each region can be used as basic information regarding regional collaboration to reduce carbon dioxide emissions in the spreading global value chain.
  • 阿賀 裕英, 古市 徹, 石井 一英, 谷川 昇
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_391-II_400
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     廃CCA処理木材の適正処理・資源化システムの構築を念頭に,以下の内容を体系的に調査した.まず分別処理の現状について解体業者へのアンケート調査やリサイクルルートのサンプル調査,文献調査を行った.その結果,約71%のCCA処理木材が分別漏れしており,サンプルから検出されたCCA成分は支障の可能性あるレベルであった.また,現状の適正処理方法とされる焼却埋立や直接埋立についても問題を指摘し,分別徹底と資源化システムの必要性を示した.続いてCCA処理木材の分別徹底を前提に,CCA成分の希硫酸抽出条件を検討した.その結果,0.5N硫酸による50℃,8時間の処理で,有機炭素の溶出を2%に抑えつつ,CCA成分を90%前後除去することができ,木質成分や金属成分の合理的な資源化の可能性を示した.
  • 戸川 卓哉, 藤田 壮, 谷口 知史, 藤井 実, 平野 勇二郎
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_401-II_412
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     エネルギー制約が厳しさを増す中,地域に賦存する固有のエネルギー資源(未利用エネルギー・再生可能エネルギー)の有効活用が課題となっている.本研究では,長期的観点から未利用熱源を核とした地域エネルギー供給策の評価を行うため,需要主体の立地パターンを選択的に設定し,エネルギー政策が地域に与えるインパクトを定量評価するフレームワークを構築した.
     東日本大震災による被災都市である福島県・新地町を対象として,地域エネルギー資源の一つである火力発電所排熱を回収し有効活用する施策の検討を行った.その結果,有効な土地の利用策が見いだされていない津波浸水区域における植物工場等のエネルギー集約型産業の新規立地可能性を評価し,現況都市構造との比較から土地利用政策・産業誘致策等の方向性について分析を行った.
  • 松井 孝典, 渡辺 浩志, 町村 尚
    2013 年 69 巻 6 号 p. II_413-II_422
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル フリー
     文化的生態系サービスとは生態系の存在が人類にもたらす文化的・精神的な利得であり,生態系との共生関係を築く上では極めて重要な位置付けとなる.にも関わらず,その不可視であるという特性から,末だ生成・享受過程は不明な点が多く構造的な分析が必要とされている現状がある.そこで本研究では,文化的生態系サービスを享受する代表的な場面として,ツーリズムを目的とした自然公園の利用を対象とし,様々な生態系の構成要素が文化的生態系サービスの利用と関係するかを分析することを目的とした.分析では,文化的生態系サービスの利用強度や域外利用率を目的変数として,自然公園の気候,地形,植生,自然・人文観光資源といった文化的生態系サービスの生成を特徴づける要因でクラスタ解析による類型化を行い,それが利用強度や域外からの利用という文化的生態系サービスの享受の特性を表す指標との関係を構造化した.その結果,自然公園からの文化的生態系サービスの生成・享受の構造を「標準型」,「里地・里山型」,「内陸人文観光型」,「海岸内需観光型」,「太平洋岸気候型」,「特異自然外需観光型」の6つにセグメントに分割して,文化的生態系サービスの生成と享受の構造を特定した.
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