土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
70 巻 , 6 号
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環境システム研究論文集 第42巻
  • 清水 康平, 金谷 健
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_1-II_10
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     自治体における事業系ごみへの搬入規制等の実施実態と効果的な事業系ごみ減量施策を,全国の市制自治体へのアンケート調査とパネルデータ分析によって調べた.得られた主な知見は以下の通りである.1) 実施率が高く,かつ都市規模による違いが少ない施策は,「検査装置を使わない搬入物検査」と「他自治体のごみ混入への対策」であった.2) パネルデータ分析で事業系ごみ減量効果が認められた施策は,効果が高い順に,「他自治体のごみ混入への対策」,「検査装置による搬入物検査」,「自己搬入者への搬入事前予約の義務化」,「事業系ごみ手数料の値上げ」,「資源化可能物への搬入規制」,「検査装置を使わない搬入物検査」,であった.
  • 佐竹 佑太, 古市 徹, 翁 御棋, 石井 一英, 藤山 淳史
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_11-II_21
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     現在,日本の廃棄物処理では,可燃ごみは焼却し,不燃ごみは直接埋立しており,焼却に大きく依存したシステムとなっている.近年,リサイクルの推進により,焼却処理された可燃ごみの量や組成は大きく変化し,可燃ごみ中の生ごみの割合は大きく,発熱量は低い傾向にあり,焼却による効率の良い熱回収はできていないのが現状である.本研究で対象とした北広島市では,一般廃棄物から生ごみを除いた普通ごみは,直接埋立されており,最終処分場での有機物負荷が問題となっている.そこで本研究では,北広島市を対象に,可燃ごみの質と最終処分場への負荷を改善することを目的に,MBT(Mechanical-Biological Treatment)を用いた廃棄物処理システムを提案し,その導入の効果を検討した.その結果,北広島市の廃棄物処理システムにMBTを導入することにより,可燃ごみの質の向上と最終処分場の負荷低減を実現させる一方,コスト面でも,単に広域焼却する計画案よりも安価になり得ることを定量的に示し,本研究では,北広島市にMBTの導入ポテンシャルがあることを示した.
  • 鶴房 佑樹, 森口 祐一, 中谷 隼
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_23-II_32
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     2011年3月に発生した東日本大震災では,岩手県・宮城県の沿岸地域を中心に膨大な量の災害廃棄物が発生した.災害廃棄物推計量の見直しが複数回行われた原因を探るために,岩手県と宮城県の災害廃棄物処理計画における災害廃棄物発生推計量の推移を分析した結果,県ごとで特徴のある変化が明らかとなった.また,関係機関が公開している浸水面積などの被災状況を説明変数とした災害廃棄物発生量の回帰分析の結果,建物用地浸水面積と災害廃棄物量に強い相関が見られ,浸水面積1km2あたりの廃棄物発生量の原単位として34.2千t/km2という結果が得られた.さらに,宮城県を対象に処理前後での物質フロー分析を行い,発生量・処理量内訳について確認した.その結果,発生量の推計は混合状態の廃棄物をベースにされることが多い一方で,処理量は最終的な処理処分または再生利用に向けた選別後の廃棄物をベースに推計されているため,発生量と処理量では可燃物と不燃物の割合に差異が見られた.
  • 戸川 卓哉, 藤田 壮, 藤井 実, 大西 悟, 平野 勇二郎, 大場 真
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_33-II_43
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     低炭素で持続可能な都市・地域を実現するためには,資源・エネルギー循環のシステムの効率向上が不可欠となる.したがって,都市・地域を構成する各地区における資源・エネルギーの消費量を削減する一方で,都市・地域の特性を考慮した環境負荷の少ない方法で資源とエネルギーを供給するシステムを構築する必要がある.そのためには,長期的観点からエネルギー・資源循環に適した都市・地域の産業構造・空間構造へと誘導できる可能性も考慮して,関連する多岐にわたる施策について検討し,地域特性を考慮して適切に組み合わせる必要がある.以上の観点に基づき,本研究では,資源・エネルギーに関する施策影響の定性的関係を整理した上で評価モデルを開発し,長期的観点から地域特性に応じた資源・エネルギー循環システムをデザインするアプローチを提案する.
  • 坂本 嵩延, 古市 徹, 石井 一英
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_45-II_56
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,バイオマスを用いた地域熱供給システム構築のために,札幌市厚別地区の事例研究を通して,既存地域熱供給への接続義務化による熱需要増加を図り,そしてそれを補うために未利用バイオマスである稲わらを導入した場合の事業性(事業採算性とCO2削減)改善の検討を行った.接続義務化による熱需要増加により事業採算性は大きく改善する.収集費が高い稲わら利用は,現状以上の収益を確保できるが,天然ガス利用に比べて燃料費の経費増大につながる.それに対して,CO2クレジットや配管への補助金の施策は,稲わら利用による経費増大分の一部を賄える可能性があること,さらに収益増加分の還元による値下げは,地域熱供給利用につながるインセンティブになることを示した.
  • 靏巻 峰夫, 吉田 登, 中田 泰輔, 吉原 哲
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_57-II_68
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     和歌山県にとって林業は基幹産業の一つであり,その振興は県にとって重要な課題である.また,木材はカーボンニュートラルな資源であり,地球温暖化対策として活用が必要とされている.林業振興と地球温暖化対策の双方の対策として,未利用間伐材のエネルギー利用が各所で進められている.本稿では,和歌山県中部の日高川町を対象として,未利用間伐材を木質パウダー燃料として利用することで可能となる温室効果ガス削減量と経済的効果の検討を行った.活用を図る対象としては,和歌山県では,ほとんどが林地に放置されている植林後25年後の間伐材とした.木質パウダー燃料化の評価は,先行的に導入された施設での調査を行い,その結果を利用した.経済効果は,対象の日高川町の産業連関表を作成して検討を行った.検討の結果,温室効果削減可能量約550t-CO2/年,波及的経済効果62百万円,雇用効果3人程度の環境保全や経済的効果を定量的に明らかにした.
  • 平松 あい, 花木 啓祐
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_69-II_80
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     低炭素社会に向けた市民の取組みは増え多様な環境教育が展開されているが,その効果について定量的に評価した例は少ない.本稿では脱温暖化行動に焦点をあて,環境教育を行った個人を通して家庭での省エネ行動を浸透させ,得られるCO2排出削減量を包括的かつ定量的に算定するモデルを提案した.算定には世帯の各種構成員を対象としたプログラムを想定し,教育レベル別に実行度や家庭内での協力度合いの違いを考慮すると共に,時間経過による行動減衰,教育を受ける世帯人員の重複も考慮した.さらに包括的な定量化の実装にむけ,文京区をケーススタディとして各種環境教育プログラムの実施による行動実施変化率と世帯への寄与率を求め比較した.行動実施変化率は,教育レベルによる有意な差が見られた.
  • 松橋 啓介, 白木 裕斗, 芦名 秀一, 有賀 敏典
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_81-II_86
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     公開空地を提供する都市開発に対して容積率を加算する制度がある.この制度を環境配慮型の再開発等の都市開発に拡大して低炭素性能の向上を図る方策が検討されている.しかし,計画段階で評価・認定するため,運用段階の低炭素化の取り組みを十分に担保できない弱点がある.本研究は,省エネ,創エネによる低炭素化を目指し,残る系統電力等分については再エネを購入すると約束する開発地区に対する容積率緩和制度を新たに提案し,その適用可能な条件を明らかにする.具体例を用いた試算では,再エネ購入の追加費用は容積率割増分の賃料の約1割に相当し,事業者の収支はプラスとなった.各種費用と賃料の値に不確実性はあるが,一定地域の開発地区に本制度を導入可能であり,ゼロカーボン等の目標達成を誘導する効果が期待されることを示した.
  • 陳 鶴, 小田 佳代子, 谷口 守
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_87-II_95
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     地球環境問題の解決のためには,地域における日々の暮らし方を見直していく事が不可欠である.本研究ではエコロジカル・フットプリント指標(EF)を用いて,地域住民が自らの生活によって生じる環境負荷と,地域の環境受容とのバランスを確認できる評価ツールを開発した.さらに,つくば市における特徴の異なる複数の集落を対象に,環境バランスを改善するためのシナリオ実施効果を感度分析を通じてポテンシャルとして明らかにし,あわせて評価ツールの挙動を把握した.その結果,1) 戸建住宅の多い集落では太陽光パネル設置の促進が有効,2) 未利用地の多い集落では自然的土地利用への転換による改善ポテンシャルが高い,3) 都心から離れた集落では公共交通への転換が効果的であること等を明らかにした.
  • 黒田 将平, 杉本 賢二, 奥岡 桂次郎, 谷川 寛樹
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_97-II_106
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     持続可能な社会に向けて,社会に蓄積された資源の分布と動態を把握することが重要となるが,データの制約に伴い,全世界での資源蓄積を詳細なスケールで把握する新たな手法が必要である.本研究では,愛知・岐阜・三重・静岡の4県を対象に,全球で入手可能なデータとしてリモートセンシングデータであるDMSP-OLS Nighttime light data(衛星夜間光)とSAR(合成開口レーダ)による観測データを用いて建物延床面積の推計モデルの開発を,土地被覆を用いて都市域と非都市域に分類した上でそれぞれの地域について行った.推計結果の検証から,都市域での回帰式は線形・非線形いずれの式も誤差が±10%程度と高い精度を示したが,非都市域での回帰式は線形のみ高い精度を示した.今後は日本の他の地域や海外などで検証を重ねることが必要である.
  • 谷本 圭志, 日髙 大希, 土屋 哲
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_107-II_114
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     地域における人々の生活を維持するためには,社会資本やライフラインの着実な点検や見回りが重要である.しかし,特に地方では維持管理に当たる人員や労力の削減が進んでいる一方で,気候の変化などによる社会資本に対する自然現象の脅威が増す中で,それに伴うリスクやコストには多くの関心が向けられていない.そこで本研究では,限られた人員や労力の下での維持管理がもたらす社会的費用を概略的かつ定量的に評価する手法を開発する.その上で,感度分析を行い,管理対象の拡大・縮小がどれだけの社会的費用の変化をもたらすのかを試算する.
  • 鬼束 幸樹, 秋山 壽一郎, 野口 翔平, 宍戸 陽
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_115-II_121
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     高い遡上率を有する魚道を設置するには魚道の適切な幾何学形状の把握が必要となる.既往の研究,各種魚道マニュアルにおける記述では,プール底面の傾斜はほとんど水平である.しかしながら,プールの底面傾斜が遡上率に対して与える影響についてなされた研究および言及はないのが現状である.本実験では魚道のプール底面傾斜と流量を系統的に変化させ,底面傾斜がアユの遡上特性に及ぼす影響について検討した.その結果,最も遡上率が高い値を示したのは,プール底面を上流側に下り傾斜に設置した場合であった.これは,プール底面を上流側に下り傾斜に設置することにより,アユの休憩場所が上流側に近づき遡上経路が短くなったためであると考えられる.
  • 蟹江 盛仁, 戸田 祐嗣, 辻本 哲郎
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_123-II_130
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     河川の水・物質輸送と河川生態系の因果関係に基づいて流域スケールでの河川環境管理を行うには,流域内に数多く存在する堰堤の影響を適切に把握,評価する必要がある.そこで本研究では,既往の河道一貫物質循環モデルを基礎として,堰による不等流効果を考慮した河川生態系シミュレーションを実河川流域で実施した.兵庫県の揖保川流域を対象として解析を行った結果,堰の背水区域における滞留時間の増加により粒状態有機物の堆積・分解が促進され,流域内の食物網に対し影響を与えることが明らかになった.また,単独の堰の効果による物質循環への影響は,支川の合流によって部分的に解消されるものの,流域内に多数の堰が存在するため,流下方向に蓄積・拡大しながら伝搬することが定量的に示された.
  • 松井 孝典, 宇賀田 徹, 町村 尚
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_131-II_139
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     日本では近年,耕作放棄地が増加傾向にあり,それに伴って農地での自然共生システムが崩れ,生物多様性や農地の持つ生態系サービスの低下などの様々な問題を引き起こしている.この問題に対して,耕作放棄が生じる要因を特定し,将来的な耕作放棄を予測することで,営農を持続するための農業計画の策定を支援する必要がある.このため,様々な地域や集落を対象とした要因の抽出や将来予測が行われてきているが,地域ごとに耕作放棄の特性が異なることから,すべてを説明する汎用モデルの構築が困難という問題が生じている.そこで本研究では,様々な地域に対して適用可能な,その地域固有の状況に応じた耕作放棄要因を特定し,かつ将来の耕作放棄量を予測するためのモデル生成プロセスを開発することを目的とする.モデル構造の特定には,要因の特定と予測が同時に可能な機械学習アルゴリズムである一般化線形モデル,ランダムフォレスト法,多変量適応型回帰スプライン法を適用し,モデル生成プロセスの最適化を図った.その結果,ランダムフォレスト法が最も精度よく耕作放棄量の予測とその要因の特定を行うことを示し,耕作放棄が進む地域や進展が遅い地域など様々な地域に適用が可能であることを示した.
  • 中澤 菜穂子, 神山 千穂, 齊藤 修, 大黒 俊哉, 武内 和彦
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_141-II_150
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     天然のキノコ・山菜は特用林産物として古くから利用され,その採取活動は様々な生態系サービスと関係している.これらの林産物は市場を介さない自家消費が多く,これまで定量的な価値評価はあまり行われてこなかった.本研究は,石川県七尾市の釶打地区を対象地に聞き取り調査を実施し,採取活動の実態を定量的に明らかにすることで,それらの経済的,文化的価値の評価を試みた.市場価格から金銭換算した結果,天然のキノコ・山菜による供給サービスは比較的高い経済的価値を有していることがわかった.また,文化的サービスの観点からは,採取活動は,その贈答や食文化の継承を通して,地区内外の交流を深めるという社会的意義を担っていること,採取行動と加工処理の過程においても,経験や技術に裏付けられた文化的な価値を有することが示された.
  • 中西 悠, 井手 慎司
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_151-II_158
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,滋賀県において魚のゆりかご水田プロジェクトが実施されている24地域を対象にした現地ヒアリング調査によって,各地域における同プロジェクトの活動の現状や課題などを把握した.また,同調査で得られた情報を基に,統計的に調査対象地を分類した結果,I型「大半が湖北と湖東に位置し,米の付加価値付けより収量の確保を優先し,栽培した米を主にJAに出荷している,活動がやや低調な地域」とII型「大半が湖西に位置し,米の収量より付加価値付けを優先し,栽培した米を独自の販路で販売している,活動が低調な地域」,III型「湖南と東近江に位置し,栽培した米を主にJAに出荷している,活動が活発な地域」の3グループに類型化できることがわかった.また,類型化の結果に基づき,同プロジェクトの実施水田面積を拡大するための方策を考察することができた.
  • 横山 佳裕, 吉次 祥子, 藤井 暁彦, 中嶋 雅孝, 内田 唯史, 中西 弘
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_159-II_166
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     生物動態を考慮した物質収支モデルにより,諫早湾干拓調整池における窒素・リンの物質収支特性を把握するとともに,流入負荷対策等を行った場合の物質収支を計算し,水質改善手法の方向性を検討した.その結果,調整池の窒素・リンは,流入負荷や底泥からの巻き上げ・溶出による寄与が大きいことがわかった.また,動植物プランクトンを介しての物質移動量が大きい反面,底生生物や魚類への栄養物質の移動量は小さく,これら生物による水質改善の効果は小さいと考えられる.動植物プランクトンの除去や覆砂・巻き上げ対策は水質改善に繋がるが,費用対効果や効果の持続性で課題が多い.一方,調整池への流入負荷量をバイパス放流した場合,調整池の窒素・リンは減少し,水質改善に繋がることが示唆された.
  • 永瀬 真豪, Narumol VONGTHANASUNTHORN, 三島 悠一郎, 三樹 祐太, 荒木 宏之, 山西 博幸, 古賀 憲一
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_167-II_173
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     2000年のノリ不作問題を契機に,有明海海域環境問題が社会問題となり,諫早湾干拓調整池(以下,調整池)では,調整池排水門の開放に係る環境影響評価が実施されたが,懸濁性物質濃度(SS)の予測,特に海水導入に伴う調整池内SSの凝集沈降現象に関して,検討の余地が残されているようである.本研究では,2002年に実施された短期開門調査結果のSS実測値との再現結果から沈降・巻き上げパラメータを推定し,海水レベルの塩分条件下での調整池のSS挙動と開門後を想定した調整池のSS計算を行い,調整池内での堆積現象について考察した.海水導水による希釈と海水レベル塩分条件下での凝集沈降によるSS濃度減少及び海水導入後における調整池内での堆積が生じることを明らかにした.
  • 坂東 伸哉, 河口 洋一, 大串 浩一郎, 野口 剛志, 濱岡 秀樹, 佐藤 雄大, 関島 恒夫, 手塚 公裕
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_175-II_182
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     2010年10月中旬に試験湛水を開始した嘉瀬川ダム(佐賀県)の上下流において,試験湛水の開始前後で堆積・流下有機物FPOM(FPOM : Fine Particulate Organic Matter, 粒径:1μm~1mm)に生じる影響を量的・質的に評価した.主要な変化として,炭素・窒素安定同位体比を用いた評価では,St. 2,St. 3(ダムサイトからそれぞれ2.2km,11.7km下流)において,試験湛水中の春(4月)の窒素安定同位体比が試験湛水前に比べて顕著に上昇した.この要因として,春季にダム湖表層で発生した植物プランクトンが下流へ流下し,これらが流下する過程で堆積したためと考えられた.以上より,試験湛水中におけるダム下流の堆積有機物の質は,ダム湖表層の植物プランクトンの発生状態と関係性を持つことが推測された.
  • 杉村 佳寿, 村上 進亮, 鵜飼 隆広
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_183-II_194
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     小型家電リサイクル法が平成25年4月より施行されたが,過度な負担に対する関係者の懸念などを理由に,制度創設に当たっては制度の必要性や強度について多くの議論がなされた.この議論の終結に大きな役割を果たしたのが費用対効果分析である.本稿の目的は,小型家電リサイクル制度の創設に当たり,費用対効果分析がリサイクルの必要性・制度の必要性の判断材料としてどのような意義を持ち,制度の在り方に対してどのような示唆を与えたかを明らかにすることにある.また,便益帰着構成表が制度における関係者の役割分担に対してどのような示唆を与えたのかを明らかにする.
  • 堀 啓子, 松井 孝典, 町村 尚
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_195-II_206
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     小規模分散型の再生可能エネルギーの普及促進のためには,市区町村等の地域コミュニティが主体となり,安定性や経済性等の条件を満たし,かつ環境影響の少ない地域適合型の再生可能エネルギーミックスを検討する必要があり,バイオマスの循環や地域の生態系への影響も考慮されなければならない.よって本研究では,多面的な環境指標を加えた,再生可能エネルギーミックスの地域別最適化計算及び評価ツールを開発した.ツール構築において,市区町村別の再生可能エネルギー供給ポテンシャルとエネルギー需要のデータベースと,再生可能エネルギーの組み合わせを評価する6指標(再生可能エネルギー利用率,経済収支,風力発電導入率,CO2削減率,バイオマス資源循環率,生態系影響面積)を作成した.開発した最適化ツールを滋賀県東近江市に適用し,複数のシナリオについて最適化計算を行った結果,シナリオごとに異なる再生可能エネルギーの組み合わせ最適解を導出でき,また生態系保全と経済性の間のトレードオフも表現できた.結論として本研究では,多様な環境影響を条件として考慮しながら,シナリオに応じた様々な再生可能エネルギーミックスの組み合わせ最適解を市区町村レベルで導くツールを開発できた.
  • 大城 賢, 増井 利彦
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_207-II_215
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,日本を対象とした積上型技術選択モデルを用い,低炭素エネルギー技術(原子力・CCS(炭素隔離固定)・再生可能エネルギー)利用が制約された場合における2050年までの温室効果ガス排出量を定量化した.主な結果として,再生可能エネルギーが低水準に制約され,かつ原子力ゼロの場合,長期目標の80%減を達成するCO2価格は,再生可能エネルギーの普及制約なしの場合と比較して約3倍に増加することが示された.またCCSが利用できない場合削減量が80%に達しない可能性があり,仮に活動量が低水準に留まり80%減に達する場合でも,CO2価格は3~4倍に増加することが示された.長期的な温暖化対策検討の際は,原子力のみならず,CCS・再生可能エネルギー等の普及の不確実性を踏まえることも重要であると考えられる.
  • 赤尾 聡史, 福永 剛士
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_217-II_225
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     独立型太陽光発電システム(SAPV)では,電力需要に応じて太陽光パネル容量と蓄電池容量を設定する必要がある.近年は,あるタイムステップごとに発電量,蓄電量,需要量の収支を計算し,設備容量を設定する報告が多い.本研究では,日照変化による発電量変動のほか,新たに需要量の変動を上記計算に加えた.また,太陽光パネル容量と蓄電池容量を規定する設計関数を応答曲面法を用いることで求めた.このことにより,SAPVのコスト最適化が数式処理で行えるようになった.50人の仮想集落を対象に,年間停電回数1日となるSAPVの設置コストを求めた結果,20年間稼働する設備として439百万円と算出された.その際の太陽光パネル容量は448kWp,蓄電池容量は683kWhと求まった.
  • 行木 美弥, 森口 祐一, 亀山 康子
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_227-II_238
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     炭素集約度の高い財に着目した温室効果ガス排出削減策として,ジョイント・クレジット・メカニズム(JCM)など4つを取り上げ,温室効果ガスの削減効果や実行性等の10種類に分けた評価項目に基づいて包括的な評価を得るため,我が国の専門家を対象にインタビュー調査を実施した.得られた42名の回答を用い,符号付順位検定とクラスター分析を実施した結果と,合わせて聴取した個別意見を踏まえ考察を行った.その結果,上流での炭素税については適切な運用の確保と利点に着目した利害関係者の調整が,消費量に基づく温室効果ガス排出量算定・対策では煩雑さと算定範囲手法等の明示が,認証制度では,対象とする財の種類やレベルの選定とルールの明示が,JCMでは対象国や技術の選定と測定・報告・検証(MRV)の徹底等が解決すべき課題であると示唆された.
  • 河瀬 玲奈, 松岡 譲
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_239-II_247
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     2050年を対象に,世界の鉄鋼部門におけるCO2排出量削減ポテンシャルを推計した.具体的には,CO2排出削減対策として,転炉から電炉への転換を取り上げ,電炉の導入限界を鉄スクラップ発生量の供給側,及び,財別の鉄鋼生産量の需要側から検討し,鉄鋼部門からのCO2排出量の推計を行った.なお,粗鋼生産量の将来推計は,対策なしのBaUケースと様々な対策を導入するCMケースの2ケースについて行った.
     その結果,推計対象期間すべてで粗鋼生産量よりも鉄スクラップ発生量の方が少なく,転炉をすべて電炉で転換することは不可能であった.鉄スクラップ回収率を100%としても,BaUケースの2050年のCO2排出量は対2005年比で12%の増加となった.同条件で,CMケースでは32%の削減が達成された.需要側からの制約がある場合の削減ポテンシャルは6%であった(CMケース).
  • 岩見 麻子, 大野 智彦, 木村 道徳, 井手 慎司
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_249-II_256
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,公共事業計画策定過程の議事録に対するテキストマイニングによって,同過程中における意見の協調・対立関係を把握するための分析手法の開発を試みた.開発した手法を淀川水系流域委員会の議事録に適用した結果,分析手法としての有効性を示すことができた.具体的には,同委員会において話し合われたメインテーマとダム建設に関するサブテーマへの言及の傾向によって委員を分類することで,発言の大きな対象とダム建設に対する態度とによって委員をそれぞれグルーピングすることができた.また,委員間の発言の応酬に着目した応答関係とサブテーマへの言及の傾向に基づく委員間の距離を組み合わせたネットワークグラフを描くことで,ダム建設に関する近畿地方整備局と委員の間,また委員内部における意見の協調・対立関係を把握することができた.
  • 伊藤 新, 橋本 征二
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_257-II_265
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     持続可能な発展指標の1つとして,欧州や日本で資源生産性指標が用いられるようになってきているが,その値は国によって大きく異なることが報告されている.本稿では,日本,オーストラリア,中国を対象として,3ヶ国の資源生産性の差異の要因,1995年,2000年,2005年,2010年の4ヶ年の資源生産性の推移の要因について分析を行い,以下のような結論を得た.(1)日本の資源利用強度とオーストラリア,中国の資源利用強度の差のほとんどは,財・サービスの資源利用強度の差と輸出の需要構造の差で説明できる.(2)各国の資源生産性の推移の要因は,財・サービスの資源利用強度の変化の影響が大きい.加えて,オーストラリアにおいては,輸出の需要構造の影響,中国においては,国内最終需要構造の影響も見られた.
  • 箕浦 一哉
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_267-II_278
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では山梨県北杜市で活動する「八ヶ岳南麓風景街道の会」における市民と行政の協働を事例として,協働の経験を通じて地方自治体職員がどのように認識と行動を変化させたのかを,聞き取り調査に基づき定性的に分析した.その結果,行政職員は市民との協働への参加を通じ,敵対的認識の解消からメリットの認識,主体的な貢献へと進み,業務への活用に至るというプロセスで認識と行動を変容させていた.そこには,協働への参加経験の肯定的評価が参加意識を強化するという正のフィードバックループが存在していた.その評価の要因としては,目的意識に対する共感,知識・経験への尊重,行動に対する尊敬が見いだされた.また,本事例での行政職員への影響には,本会の継続的で固定的な協働形態も要因となっていると考えられた.
  • Qianyu Dong, Tohru Futawatari
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_279-II_290
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     The increasing concerns in China's air pollution crisis and the energy structure adjustment has heightened the need for renewable energy. Meanwhile, Residential Grid-connected PV Power System(RGCPVS) as a popular application of PV power is just launched in China, which faces great opportunities and challenges. Thus, this study discussed this issue from five sections. Firstly, we built a SWOT matrix for the factors we assumed to be the strengths, weaknesses, opportunities and threats to the development of RGCPVS in China. Next, we collected data from a survey towards Japanese and Chinese experts, and confirmed that the most significant S, W, O and T factors are ‘Economic benefit’, ‘Economic barriers’, ‘Government is getting values’ and ‘Lack of funds’, respectively. Then, through statistical analysis, we verified Japanese and Chinese experts share analogous views on 14 factors, while one of their most significant divergence is the evaluation for ‘Government is getting values’, we explained the reasons and built a policy intervention and green product lifecycle model to clarify it. Next, we revealed that experts with different backgrounds take a similar point of view for the vast majority of SWOT factors by using ANOVA method. Finally, our recommendations were presented.
  • 西口 和宏, 渡辺 晴彦
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_291-II_296
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,不確実性を有する将来の地区需要に対して供給能力とのバランスを踏まえて,減径可能な水道管路の抽出及び時期の把握を行い,ダウンサイジングの可能性を評価できる手法を提案する.まず,人口減少下にある将来地区需要の不確実性に対して,時系列水量データから得られる標準偏差をもとに水量分布を把握する.この分布に対して,モンテカルロ法を適用して水理計算を行い,地区需要と水理特性との関係をモデル化する.さらに,地区需要の分布に対する減径後の管路流量や有効水頭の分布を推計し,ダウンサイジングの可能性を判定する.その判定結果を視覚的に捉えることにより,水理的視点による管路システムとしての減径時期の把握及び減径管路の抽出を可能とする.
  • 荒井 康裕, 阿部 翔, 稲員 とよの, 小泉 明, Bambang Bakri, 与田 博恭
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_297-II_307
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     発展途上国において将来の水道インフラ市場の拡大が予想されている.しかし,現状では人口増加や,工業・商業の急速な発展に伴う需要水量の増加に対し,水道施設の整備が追い付いていない状況である.また,不適切な管路配置や老朽化のため,漏水事故や水圧不足が喫緊の課題となっている.
     そこで本研究では,発展途上国を対象とし,将来の需要水量の増加への対応(水理的制約を満たすこと)とライフサイクルコスト削減の両面から,より適切な管路口径と材質を選択する最適化モデルを提案した.本モデルは遺伝的アルゴリズムを基礎とし,管網解析を内在化させたモデルである.投資効果の小さい管路は更新対象から除外して他の管路を優先的に更新するといった,更新管路の「選択と集中」を本モデルの適用によって検討した結果,限りある予算の中で効率的な長期更新計画の立案が可能となった.
  • 和田 昌寛, 山田 武史, 平山 修久, 伊藤 禎彦
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_309-II_317
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     水道事業として,水道施設老朽化や人口減少,節水機器の普及による水需要の減少などの外部環境変化に適応するためには,今後,中長期的な視点から水道施設の再構築を検討する必要がある.本研究では,実管網を対象とした管路の縮径と管路形状に関する管網解析を行い,人口減少社会における管網システムのあり方について,管内における濁質の堆積や流速による濁水発生を予防するという管路の自己洗浄性と,災害レジリエンスを確保するという耐震性の2つの機能から検討した.その結果,管路再設計に耐震管路を用いない条件下では,管路の自己洗浄性と耐震性はトレードオフ関係にあることを明らかにした.一方,検討したケースにおいて,150mm管路を100mm管路に変更し,かつ,配水管延長密度を低減した条件下で,自己洗浄性と耐震性のいずれの機能も確保することが可能となる条件が存在することを示し,今後の管路再構築における管路機能高度化のひとつのあり方を示しえた.
  • 佐藤 正幸, 佐尾 博志, 森杉 雅史, 大野 栄治
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_319-II_330
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     メコン川流域諸国では近年経済発展に伴う水質汚染が深刻となっている.この問題を起因とする死亡率の削減には,上下水道事業に代表される生活関連型社会資本の整備が有効であるとされるが,途上国にとってその適切な実行時期を探ることはとりわけ重要である.筆者らの先行研究ではベトナム・ラオスにおいてアンケート調査を実施し,算定したWTPは被験者の所得水準や全要因死亡率といった年代に関連する指標と大きく関わることを理論的・実証的に明らかにしている.本研究では得られたオプション価格をさらに発展させ,想定事業の非利用価値を示すオプション価値の導出を図る.途上国では想定事業の便益を算定する際,支払い能力が低くサービスを利用することのできない人達を考慮する必要がある.そこで, オプション価格とオプション価値を結合することで適切な便益評価指標を提案する.終章では上下水道事業が浸透している諸国と比較し,環境クズネッツ曲線仮説との整合性についても考察する.
  • 吉永 弘志, 大河内 恵子, 角湯 克典
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_331-II_340
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     遮音壁を道路の合流部等に設置する際は,開口部からの漏れ音を抑制するためオーバーラップさせる.本論文では,オーバーラップさせた遮音壁の近傍における騒音レベルLA,LBの計算方法をLBE-11と称して提案する.LBE-11では, オーバーラップの開口部からの直達, 反射, および回折による伝搬により騒音が大きくなること, ならびに遮音壁がオーバーラップしている上方からの伝搬では騒音が大きく減衰することを考慮する.LBE-11は1/25の縮尺模型実験で評価し,実務で活用できる精密さ(precision)を有していることを確認した.さらに, 音源を道路交通の線音源とした試算を行い, 遮音壁が二重になっている箇所の上方を伝搬する騒音の計算は簡素化できるが,開口部の反射音および回折音は考慮する必要があることを明らかにした.
  • 園田 陽一, 中村 匡聡, 松江 正彦, 久保 満佐子, 上野 裕介, 栗原 正夫
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_341-II_350
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では道路環境アセスメントにおける事後調査の技術手法として,糞抽出DNA分析を利用した道路横断施設のモニタリング技術の適用可能性と野生哺乳類に対する道路の生態学的影響について検討することを目的とした.文献調査の結果から,糞抽出DNAによる個体識別率の高い種であるニホンノウサギLepus brachyurusを選定し,一般国道289号線甲子道路の福島県南会津郡下郷町において糞の採取を行った.ノウサギの糞からDNAを抽出し,マイクロサテライトマーカー7種によるPCRを行い,フラグメント解析を行った.また,糞から抽出したDNAについて,ZFX/ZFY遺伝子により雌雄判別を行った.糞344サンプルから36個体(オス28,メス8)が確認され,個体数密度は,1.11個体/haであった.また,道路両側において4個体の横断が確認された.本研究の結果から,糞抽出DNAによる野生動物のバリアー効果や道路横断評価へ適用可能性が示された.
  • 長沼 悠介, 立花 潤三, 後藤 尚弘
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_351-II_359
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,代表的な食料8種類について,食料供給システム(食料生産・流通・消費)における食料フローを解析し,1965年から2005年までの各消費量,食品ロス量,食料供給に係る投入エネルギー及び二酸化炭素排出量を明らかにした.二酸化炭素排出量は2005年において約5,400万t-CO2(日本の二酸化炭素総排出量の約4.5%)であることが明らかになった.また,国民が摂取した熱量(摂取熱量)と食料供給に要した熱量(投入エネルギー)の乖離幅と食品廃棄物量に関係があることが明らかになった.そして,必要とする栄養素量を満たしながら,投入エネルギーが最も少ない低炭素型の食生活を線形計画法によって明らかにした.その結果,穀類・豆類・肉類等の摂取を増加し,野菜類・魚介類等の摂取を減少させる解が得られた.この食生活を日本人全員が行うと,年間で約500万t-CO2の削減が可能である.
  • 神山 千穂, 中澤 菜穂子, 齊藤 修
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_361-II_369
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     生態系サービスの定量的評価は, その持続的な利用と保全に向けた重要な研究課題の一つである. 本研究は, これまで定量的に把握されてこなかった日本の里山における食料の自家消費実態を明らかにするため, 全国を対象にウェブアンケートを実施し, 豊富な自然資源を有する石川県能登半島に着目した解析を行った. その結果, 能登地方では, 「自家生産(または採集)したもの」および「近親者からのいただきもの」という市場を介さない食料が, 人々の食生活を質・量ともに豊かにしていることがわかった. また, 家庭あたりの自家消費品目数のうち, 平均で約半数が「あげる」または「貰う」という行為によって家庭外とつながっており, このような食料を介した社会的ネットワークが, 将来の里山の持続性を検討する上で一つの重要な要素であることが示唆された.
  • 左近 祐佳子, 田畑 智博
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_371-II_380
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     農畜産系バイオマスのエネルギー利用は,地球温暖化対策の観点から重要である.一方で,現在わが国では農業従事者の高齢化が進行しており,バイオマスの安定生産が見込めないおそれがある.本研究では,農畜産系バイオマス生産量の将来推計モデルを開発するとともに,2010年度から2030年度までの兵庫県のバイオマス生産量を予測した.結果として,2010年度のバイオマス生産量は7,823千tであるのに対し,2030年度では3,786千tと,半分以下に減少することがわかった.次に,雇用増加がバイオマス生産量に及ぼす影響を分析した.その結果,例えば労働年齢(15歳~44歳)の農業従事者数を2015年度から2030年度までそれぞれ20%ずつ増加させた場合,2030年度のバイオマス生産量は約25%改善されることがわかった.
  • 中尾 彰文, 山本 祐吾, 吉田 登
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_381-II_392
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,和歌山市をケーススタディの対象地として,将来の公共下水道人口と下水汚泥発生量の変化を考慮した下水汚泥焼却設備の更新シナリオを設計した.その上で,汚泥処理の集約化や現有焼却炉代替の高温焼却およびバイオオイル化技術の導入によるエネルギー消費量,GHG排出量の削減効果をシナリオ別に評価した.その結果,1)汚泥処理を集約化して設備利用率を高めることで,環境負荷削減においてスケール効果を得ることができること,2)エネルギー効率に劣る炉を早期に休廃止もしくは低炭素技術に更新するとともに,処理の集約化を図る計画のほうが,単独処理をするよりも環境負荷低減効果が高いこと,3)低炭素技術の選択と汚泥処理の集約化によって,エネルギー消費およびGHG排出量がそれぞれ最大で19.6%,19.2%削減可能となることなどが明らかになった.
  • 荒井 康裕, 梅沢 元太, 稲員 とよの, 小泉 明, 蛯江 美孝
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_393-II_401
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,国土強靭化や今後予想される南海トラフ巨大地震の防災・減災に寄与すべく,中長期的及び短期的の両視点から,し尿処理の広域システムとその最適化について検討した.中長期的な計画として震災に備えるべく,多目的貯留槽の有効性に着目した分析を行った.また,短期的な計画として震災直後の効率的な輸送を可能にするための仮設ピット導入によるシミュレーションを行った.その結果,多目的貯留槽を整備することにより輸送効率性(ton·km)の改善効果が見込め,全施設に多目的貯留槽を整備するのではなく,重要拠点となった施設に導入すれば良いことが示された.また,仮設ピットの導入に関しては,中継輸送による費用削減効果が定量的に示されるとともに,設置すべき箇所の特定と最適容量の決定が可能になった.
  • 荒井 康裕, 浅野 弘樹, 小泉 明, 稲員 とよの, 細谷 昌平, 山﨑 千秋, 松葉 香奈
    2014 年 70 巻 6 号 p. II_403-II_409
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/28
    ジャーナル フリー
     水道施設の省エネルギー化には,全体の6割から7割程度を占める送配水システムの電力使用量を削減することが重要となる.既往の研究成果として,混合整数線形計画(MILP:Mixed Integer Linear Programming)法に基づいたシステム全体の電力使用量を最小化するモデル(MILPモデル)がある.しかし,当時の定式化では配水池における貯水量の水量変動を各時間で一致させる制約条件が含まれていたため,本論文では制約条件に関するその問題点を改良した新モデルを提案した.新モデルを用いたシミュレーションにより,配水池の循環制約を満足した上で,旧来モデルに比べて電力使用量の削減が期待できる結果を得た.さらに,提案したモデルにより,震災時リスク低減の要求に応じながら,省エネルギー化も図ることのできる最適な送配水方法を見出すことが可能になった.
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