土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
71 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
和文論文
  • 小川 翔平, 加藤 雅彦, 佐藤 健
    2015 年 71 巻 4 号 p. 102-111
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,鉛模擬汚染土にリン資材を混合し,不飽和浸透を模擬したモデル試験による鉛移動量と溶出試験による鉛溶出量を評価,それぞれの試験後の安定鉱物(緑鉛鉱)形成量をX線回折法により定量した.炭酸鉛を含む中性の汚染土,塩化鉛を含む酸性の汚染土いずれも,資材の添加によって鉛の溶出,移動が抑制され,緑鉛鉱の形成が確認された.酸性汚染土の溶出試験では,鉛溶出抑制率が72.6%,試験後の緑鉛鉱形成率が51.6%であり,試験過程での緑鉛鉱形成により鉛溶出が抑制されたこと,緑鉛鉱形成以外のメカニズムも鉛溶出抑制に寄与していることが示された.モデル試験では,鉛移動抑制率が44.1%,緑鉛鉱形成率が49.6%であり,その定量関係から,不飽和条件下で溶解した鉛が,移動過程で緑鉛鉱を形成することで移動抑制されることが実証された.
  • 毛利 光男, 馬場 直紀, 土田 充, 中嶋 卓磨
    2015 年 71 巻 4 号 p. 112-124
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,土壌洗浄による放射性Cs汚染土壌の浄化・減容化効果を把握することを目的に,各洗浄プロセスの放射性Cs量の収支を検討した上で,トレードオフの関係にある浄化・減容化の評価を行なった.土壌洗浄による浄化効果は高く,20,000 Bq/kg前後の元土壌から概ね3,000 Bq/kg以下の浄化産出物(洗浄土+粗粒子分)が得られること,減容化効果も高く,元土壌の70~80%を浄化産出物として回収できることが判明した.また,元土壌中の有機物のほとんどが濃縮残渣に集約され,浄化産出物の強熱減量は2~3%と低い値となった.分級処理に化学的洗浄処理であるスクラビング・フローテーションを追加することは,高い除去率と高い減容率の両立に極めて有効であると考えられた.
  • 畠 俊郎, 入江 光輝
    2015 年 71 巻 4 号 p. 125-133
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
     イシュケウル国立公園の環境復元を目的とし,流入河川の一つであるJoumine川の貯水池の浚渫底泥を活用したイシュケウル湖底の強度増進技術の有効性を室内実験により明らかとした.具体的には,貯水池底泥内に生息している微生物の機能を活用し,底生生物として着目した環形動物の潜砂限界強度まで底泥を固化する技術の有効性について検討した.その結果,1) Joumine貯水池底泥には窒素サイクルを利用して底泥を固化する能力を持つ微生物が生息している,2) 尿素と塩化カルシウムを添加することで炭酸カルシウムの結晶析出を促進させ,底泥の強度増加が期待できる,3) 2週間程度の施工により底泥の強度を環形動物であるチロリの平均的な住活動可能範囲まで高める効果が期待できる,ことが明らかとなった.
  • 小泉 賢司, 足立 進吾, 高橋 信補, 武本 剛, 田所 秀之
    2015 年 71 巻 4 号 p. 134-142
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究ではライフサイクルコストを低減するようDistrict Metered Area (DMA)の構築を支援する手法を提案する.配水管網をグラフネットワークと捉え,密な接続を抽出するグラフクラスタリングおよび遺伝的アルゴリズムを適用してDMAのエリア境界を決定する.さらに,ライフサイクルコスト最小化を目的とし,構築に必要な設備および構築後のポンプ吐出圧を決定する.提案法を仮想管網へ適用してDMAを構築し,設備投資コストのみではなくポンプ運転コストを同時に考慮することで,9%程度のライフサイクルコスト削減の見込みを得た.加えて需要量を変化させたシナリオを用意して感度分析を行い,DMA構築時の水理条件に余裕を持たせることで,需要の変動に対して頑健なDMAが構築できることを確認した.
  • 中村 寛治, 渡辺 健幸
    2015 年 71 巻 4 号 p. 143-151
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/20
    ジャーナル フリー
     原生動物の捕食挙動解析のため,細菌への蛍光タンパク質遺伝子の導入を検討した.対象細菌はトリクロロエチレン汚染土壌の浄化に利用された実績のあるCupriavidus necator KT1とし,捕食実験では水環境に広く生息するSpumella属の鞭毛虫を捕食者として利用した.導入遺伝子は,緑色および赤色蛍光タンパク質遺伝子で,トランスポゾンによって,プロモーターと共にKT1株の染色体上に組込んだ.その結果,検討した全てのプロモーターによって,Cellレベルでの検出が可能となった.一方,蛍光タンパク質遺伝子の導入によるKT1株の性状変化や,捕食挙動への著しい影響は観察されなかった.また,形質転換体の中から捕食されにくい変異株が選出でき,2色の蛍光を利用した比較実験により,高い残存性が示された.
feedback
Top