土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
73 巻, 3 号
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和文論文
  • 山下 尚之, 西田 佳記, 李 善太, 田中 宏明, 小林 憲太郎, 高畠 寛生, 田中 祐之
    2017 年 73 巻 3 号 p. 101-111
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,下水再生水の衛生学的安全性を確保するために,凝集とUF膜を用いた水処理プロセスにおけるウイルスの挙動を明らかにするとともに,大腸菌ファージMS2とQßにおける除去率の相違について検討を行った.その結果,凝集処理におけるMS2の除去率は,凝集剤の注入濃度が高くなるほど大きくなり,また,MS2と比較してQßのほうが高い除去率が得られた.パイロットプラントを用いた凝集およびUFによるウイルス除去実験から,凝集剤の注入によってUFでのウイルス除去率が上昇が見られた.また,パイロットプラント実験から,凝集による除去率については,MS2と比較してQßの方が高い除去率となったが,凝集での除去の傾向に反して,UFでの除去率はMS2の方が高い除去率となった.
  • 袖野 玲子, 高岡 昌輝
    2017 年 73 巻 3 号 p. 112-120
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
     水銀に関する水俣条約の採択を受け,今後,世界的な水銀需要の低下が見込まれる.日本では廃棄物や副産物から回収された水銀の多くが輸出されているが,需要の低下により回収水銀を廃棄物として国内処分しなければならない事態が将来想定され,今後の処分体制の整備に当たり,余剰水銀の発生量の見通しを把握することは喫緊の課題である.このため,本研究では条約の影響を踏まえた国際的な水銀需給を予測し,世界及び日本の将来の余剰水銀の発生量を推計した.この結果,中国における水銀需給の不確実性が大きいものの,我が国においては,主な製品用途の水銀需要がなくなる2020年より余剰水銀が発生し,2025年以降増大すると予測された.また,2050年の余剰水銀のストック量は世界で約24~25千トン,日本国内で約600~1,400トンと試算された.
  • 小島 啓輔, 岡村 和夫, 田崎 雅晴, Mark N. SUEYOSHI, Rashid S. AL-MAAMARI
    2017 年 73 巻 3 号 p. 121-133
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル 認証あり
     産油国で問題となっている原油貯蔵タンクスラッジや油汚染土壌等の油性廃棄物を,低コストで確実に処理することができ,かつ油分を回収することができる方法として過熱水蒸気を用いた炭化処理方法を検討した.各種油性廃棄物中の油分濃度は,IR法で測定した結果59,800‐217,000 mg/kgと廃棄物種によって大きな差異がみられた.一方,炭化処理後の油分濃度は,N. D.‐65 mg/kgの範囲であり,全ての油性廃棄物において99.9%以上の除去率を示し,ほぼ完璧に油分を除去できていることが示された.またこの時,油性廃棄物中油分の63.6%以上の油分が回収され,廃棄物種により差があるものの,全ての油性廃棄物において油資源を回収することが可能であった.以上より,過熱水蒸気を用いた炭化処理方法の有効性が確認された.
  • 松井 一彰, 横山 雄一, 亀井 訓平, 中口 譲, 江口 充, 谷口 亮人, 竹原 幸生, 麓 隆行
    2017 年 73 巻 3 号 p. 134-142
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
     合流式下水道越流水(Combined Sewer Overflow: CSO)が都市河川に及ぼす影響と,大規模雨水貯留管(平成の太閤下水)の供用による改善効果の評価を目的に,降雨時の東横堀川(大阪市)にて細菌叢を指標とした水質調査を実施した.東堀橋地点では,4.0 mm/hを越える降雨時にCSOが原因と思われる懸濁態物質濃度の上昇と,それに伴う細菌叢の変化が確認された.しかしこのとき確認された河川中の細菌叢は,下水処理場で入手した処理前下水の細菌叢とは異なるものであった.雨水貯留管供用後も降雨時に河川水の電気伝導度が増加したが,それに伴った河川中の細菌叢の変化は確認されなかった.雨水貯留管の供用は,CSO流入を抑制することで,河川水質の改善や河川微生物群集攪乱の緩和に効果があると考えられた.
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