河川において水位差が大きい落差工は,魚類の生息環境を縦断的に分断すると共に,遡上・降下する際の深刻な障害になる.これらの問題を解消する対策として,魚道を設置するなどの方法がある.しかし,魚道において縦断勾配を緩やかにした場合,魚類の遡上・降下は容易になる反面,構造延長の増加は避けがたい.縦断勾配が急な小規模魚道であれば,構造延長の増加に伴う設置費用の抑制が期待できる.本研究では小河川における既設落差工に,越流部の下端へ切欠きを設けるなど工夫した急勾配の小規模魚道を設置し,機能検証のためヤマメによる放流実験を行い得られた結果について検討した.その結果から,設置した魚道がヤマメにとって遡上可能であることが証明され,小河川におけるヤマメの生息環境の改善に有効であることが明らかになった.
鋼橋梁の補修作業の塗膜剥離に用いられるブラスト工法で用いられるケイ砂,溶融アルミナ,ガーネット,フェロニッケルスラグ,銅スラグ,ステンレスカットワイヤーを対象に,濃塩酸およびフッ化水素酸を用いた酸分解を行い,含まれる重金属を定量した.その結果,ケイ砂は非常に低い重金属含有量を示すのに対し,溶融アルミナ,ガーネット,フェロニッケルスラグ,銅スラグは,数千〜1万ppm程度の重金属を含むことがわかった.また,ステンレスカットワイヤーは,ステンレスに元々含まれる量と同じ程度の重金属を含んでいる.発注者および請負事業者には,各研削材および各種ブラスト工法で生じ得る粉塵量を勘案し,それぞれに適切な工法の選定や作業環境の整備が求められると考えられる.