-
井上 史也, 越前谷 渉, 堀江 啓
2019 年75 巻5 号 p.
I_1-I_7
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
2018年台風21号について再現実験と,21世紀末の気候場を仮定した擬似温暖化実験をWRFを用いて実施した.再現実験はベストトラックの進路と中心気圧をよく再現していた.擬似温暖化実験の台風の進路は再現実験とよく一致しており,中心気圧はおおむね10hPa以上の低下が確認された.両実験を比較すると,大阪府から和歌山県の沿岸のほぼ全ての領域で風速が20%以上強まった.さらに擬似温暖化実験では,京阪神でも広く風速25m/s以上の暴風が確認された.降水量も大幅に増加し,近畿地方の広い範囲で3時間降水量が再現実験の2倍を超えるような降水が確認された.また,北陸地方でも風速が強まり,沿岸部では広い領域で風速が30%以上強まった.
抄録全体を表示
-
越前谷 渉, 久松 力人, 井上 史也, 堀江 啓
2019 年75 巻5 号 p.
I_9-I_14
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
地球温暖化に伴い高潮リスクの増大が懸念されており,その影響を定量的に把握することは重要である.本研究ではWRFによる力学的ダウンスケーリングと高潮推算モデルSuWATにより,2018年台風21号による高潮の再現実験および擬似温暖化実験を行った.WRFで計算された気象場をSuWATに入力して高潮を推算したところ,気圧・風速の経験的なモデルによる再現結果と比較し,観測潮位偏差の再現性が高くなった.擬似温暖化実験では気圧の低下と風速の増加に伴い大阪湾の東側湾奥で顕著に潮位偏差が増大し,大阪潮位観測点では最大潮位偏差が87cm増加した.地球温暖化に伴う海面上昇の影響を含めると,大阪潮位観測点では潮位が157cm増加する可能性を明らかにした.
抄録全体を表示
-
山本 道, 風間 聡, 峠 嘉哉, 多田 毅, 山下 毅
2019 年75 巻5 号 p.
I_15-I_23
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
気候変動に対する緩和策と適応策についてその効果を定量的に示し比較した.二次元不定流モデルと治水経済調査(案)を用いて,洪水時の浸水深と被害額を算出した.また2050年における洪水被害を推定するため6つのGCMを用いて将来気候における降水量を求め,それを入力値として将来の浸水深と被害額を求めた.また,適応策として土地利用規制に着目し,その効果を検証した.RCP8.5シナリオからRCP2.6シナリオに温暖化を緩和することによる洪水被害軽減額は年192億円と推定され,再現期間100年の洪水時に10m以上浸水する箇所を規制する土地利用規制による適応策の効果は年576億円と推定された.また,費用対効果について考察すると緩和策は0.056となる一方,適応策の費用を288億円に抑えられれば適応策の費用対効果を2.0以上に維持できると推察される.
抄録全体を表示
-
星野 剛, 山田 朋人, Dzung Nguyen-Le
2019 年75 巻5 号 p.
I_25-I_31
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究は過去および将来の気候において十勝川流域での洪水リスクの高い気象要因を明らかにするため,大量アンサンブル気候データを用いて各気候条件における8, 9月に発生した大雨の気象場を調べたものである.大雨発生時の気象場を自己組織化マップを用いた手法により台風を基準に分類し,各気候条件における気象場の発生割合および降雨の増加量を調べた.この結果,台風の接近事例や遠方で台風が影響する事例や台風とは無関係の事例のそれぞれが占める割合は気候条件間で多少の違いがあるものの全体的な降雨量の増大に対しては各気象場における降雨量の増大が支配的であることがわかった.また,いずれの気象場においても降雨は時空間的に集中化する結果となり,適応策の検討においては降雨量の増大および降雨の時空間特性の変化を考慮する必要性が示唆される.
抄録全体を表示
-
倉上 健, 相馬 一義, 宮本 崇, 古屋 貴彦, 馬籠 純, 石平 博
2019 年75 巻5 号 p.
I_33-I_39
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究では深層学習を用いて数値気象モデル出力を補正して,降水量を出力する手法を構築した.深層学習手法として畳み込みニューラルネットワークを用い,入力データとして詳細な都市環境を考慮した気象シミュレーション可能な雲解像モデルCReSiBUCによる降水短期予測実験結果の内,降水量と地上鉛直風速出力を用いた.予測実験結果と同時刻・同一セルに最近隣法を用いて内挿した気象庁解析雨量を教師データとして用いて降水量分布を出力した.
深層学習による補正前後の降水量2次元分布について気象庁解析雨量と比較した.その結果,特に地上鉛直風速出力を深層学習に入力した場合で,空間スケールの大きな降水事例について降水量分布が気象庁解析雨量に近づいた.しかしながら局地的な降水事例では,更なる改良が必要と考えられる.
抄録全体を表示
-
岡地 寛季, 山田 朋人, 渡部 靖憲, 猿渡 亜由未, 大塚 淳一, 森 信人, 馬場 康之, 久保 輝広, 二宮 順一, 内山 雄介, ...
2019 年75 巻5 号 p.
I_41-I_46
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
降雨観測はこれまで地上雨量計やレーダを用いて広く行われてきた.レーダ雨量計は面的情報を得ることが可能である.レーダ観測では粒径分布を仮定し,Z-R関係やKDP-R関係を用いて降雨量を推定する.しかし,粒径分布は降雨タイプや地域によってばらつきがある.本研究では,2013年夏季に京都大学防災研究所の田辺中島高潮観測塔に光学式ディスドロメータを二つの異なる高さに設置し,海上での降雨観測を行なった.海上で得られた粒径1mm以下の粒子数は風速に応じて増加する特徴を示した.これは,海面から発生する砕波飛沫であると考えられ,海上での降雨観測では粒径分布の変動が風速に応じて変動し,飛沫の混合を考慮する必要があること本論文では示唆する.
抄録全体を表示
-
馬場 健司, 吉川 実, 大西 弘毅, 目黒 直樹, 田中 博春, 田中 充
2019 年75 巻5 号 p.
I_47-I_55
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究は,農業分野における気候変動適応策・技術の全国展開について今後の見通し得ることを目的として,文献調査と聞き取り調査により,地域間での波及の状態,過程,要因の事例分析を行った.主な結果として第1に,課題を満たす技術の出現があった上で「組織的」「人的」要因の果たす役割が大きい.特に地域で主導的な立場にある「篤農家」やステークホルダー等から構成される「協議会等の組織」の果たす役割は重要であり,技術導入による収益向上(経済的要因),補助金制度の利用(制度的要因)等が有効である.第2に,地域間では,より大規模な地域間交流などの活動(組織的要因),地域間の人的ネットワーク(人的要因)等に加えて,文化的要因によるローカライズを通じた技術の最適化も波及のポイントとなる.
抄録全体を表示
-
供田 豪, 森杉 雅史, 大野 栄治
2019 年75 巻5 号 p.
I_57-I_64
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
近年では多くのスキー場において雪不足状態が慢性化し,各営業所は人工降雪機などを導入および運用することで対応を図っている.我々の先行研究では,長野県を対象としてパネルデータ解析を実施し,スキー場来客数の減少と温暖化現象との統計的な関係について考察している.本研究においては,そこで得られた解析結果と知見をさらに発展させ,冬山レジャーに与える温暖化による将来経済被害額の算定を図ることを目的とする.具体的には,独自に全国都道府県を出発地,各地域の代表的なスキー場を目的地とする,OD交通データベースを構築して,旅行費用法(TCM)を適用する.構築する訪問需要関数には気象変数が説明変数として組み込まれており,これに代表的な全球気候モデル(GCM)であるMIROCの出力を与えることで,気候変動による長野県スキー場への長期的な来客数の減少を見積もる.県全体における経済被害額はTCMで導出される消費者余剰(CS)の総和の減少分として見積もられるが,この五十年でRCP2.6シナリオでは3.04億円/年,RCP8.5では6.26億円/年,さらにこの百年ではRCP2.6では4.96億円/年,RCP8.5では24.43億円/年と算定された.特に最後の値は長野県の冬季レジャーの有するCSの35.6%にも匹敵するものであった.
抄録全体を表示
-
越智 雄輝, 藤森 真一郎, 高橋 潔, 松橋 啓介
2019 年75 巻5 号 p.
I_65-I_72
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
2017年,気候変動研究で分野横断的に用いられる新たな社会経済シナリオSSPs(Shared Socioeconomic Pathways)が公表された.日本の温室効果ガス排出量の削減経路及び気候変動影響や適応策評価においても活用が検討されているが,SSPsは世界全体を対象としているため国特有の状況や動向を精緻・正確には反映出来ていない可能性がある.本研究では,既往研究における研究論文や政府機関あるいはNGOの発行するレポート,政府委員会等で公表された資料などを網羅的に収集し152の日本の将来シナリオをデータベース化した.そして,既存のSSPsとの比較分析により,日本版のSSPsを作成するにあたって,注意すべき留意点や既存シナリオとの整合性等について議論を行った.結果の一例として,人口減少や原子力発電など国内で課題とされている項目に関して両者のシナリオの幅に乖離がみられた.
抄録全体を表示
-
高倉 潤也, 藤森 真一郎, 高橋 潔, 周 茜, 花崎 直太, 飯泉 仁之直, 長谷川 知子, 本田 靖, 増井 利彦, 肱岡 靖明
2019 年75 巻5 号 p.
I_73-I_80
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
気候変動による経済影響を評価するために用いられるプロセスベースの生物・物理的影響モデルや社会経済モデルは計算負荷が大きく,限られた数の将来シナリオの下でしかシミュレーションを実施することができなかった.この課題を解決するため,本研究ではプロセスベースの経済影響のシミュレーション結果を,少ない計算負荷で統計的に再現(エミュレーション)する手法の試作を行った.試作したエミュレーション手法は気温以外の要素や変数間の相互作用を考慮することで,特に気候変動の影響が明瞭に見られる場合において経済影響シミュレーションの結果を精度良く再現できることが確認できた.また,より精度の高いエミュレーションを実施するには,時間的・空間的により詳細な情報がエミュレータへの入力として必要である可能性が示唆された.
抄録全体を表示
-
西浦 理, 藤森 真一郎, 田村 誠
2019 年75 巻5 号 p.
I_81-I_88
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
海面上昇による経済的な影響はこれまで研究されてきたものの,気候・社会経済シナリオが古かったり,動学的なモデルによりモデル化される経済資本の被害による累積的な効果が考慮されてこなかった.本研究は,最新の気候変動関連シナリオである4つの気候シナリオ(RCPs)と3つの社会経済シナリオ(SSPs)を用いて計算された浸水被害額をもとに動学的一般均衡モデルを用いて市場を介した波及的な効果も含めた経済的影響を評価した.その結果,計算された浸水被害額がすべて資本への被害であると想定した場合,最も温暖化が進むケースでは2005年から2100年までの家計消費の損失は全世界では0.044%(SSP1)から0.028%(SSP3)であった.地域別でみるとアジアや南米や中東で比較的大きな損失額が計算された.
抄録全体を表示
-
石河 正寛, 松橋 啓介, 金森 有子, 有賀 敏典
2019 年75 巻5 号 p.
I_89-I_98
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
家庭部門のCO2排出実態統計調査を用いた既存の市町村別家庭部門CO2排出量推計モデルの問題点を改良するため,同調査の全国試験調査結果の個票データに対する欠測処理と,モデルの回帰パラメータ推定に非線形回帰を適用した.また,宇都宮市を対象として改良モデルの活用方法を例示した.
モデル改良の結果,既存モデルより適合度があがり,既存モデルでは説明しづらかった回帰係数の符号の改善や信頼区間の幅が狭められたモデルを構築できた.また,全国平均の世帯あたり排出量も,推計値と公表値の乖離が7%から4%に縮められた.改良モデルを用いた宇都宮市の感度分析的な検討を通じて,例えば平均世帯規模が2.36人/世帯から2人/世帯に縮小すると一人あたり排出量は9%増となること,戸建世帯割合が60%から80%に増加すると3%増となること等を例示した.
抄録全体を表示
-
Saritha Gopalan PADIYEDATH, Akira KAWAMURA, Hideo AMAGUCHI, Gubash AZH ...
2019 年75 巻5 号 p.
I_99-I_105
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
The storage function (SF) models have been extensively used for the rainfall-runoff modeling in different parts of the world due to its simple structure. However, there is a need for an SF model that can be applied in all the watersheds, except urban watersheds with combined sewer system, without requiring the effective rainfall as their input. In this study, therefore, we aim to propose a generalized SF (GSF) model that satisfies the above criteria with a new parameter named as rainfall distribution factor (f). The GSF model without parameter f was also examined in order to check the effectiveness of f in the GSF model. In addition, three different time intervals were considered for the numerical solution method used in this study in order to identify the effect of time intervals on the model performance. The results revealed that the GSF model with f exhibited higher hydrograph reproducibility associated with the lowest error evaluation criteria which emphasize the effect of parameter f. It was also demonstrated that the model performance is changing for the same model at different time intervals which can be interpreted as the strong influence of time intervals on the numerical solution method and subsequent model performance.
抄録全体を表示
-
Jean Margaret R. MERCADO, Akira KAWAMURA, Hideo AMAGUCHI
2019 年75 巻5 号 p.
I_107-I_114
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
The adaptation of integrated flood risk management (IFRM) plan in Metro Manila, Philippines is a challenging task due to heavy reliance on traditional structural measures in the past. Moreover, there are critical issues or “barriers” that hamper the adaptation of IFRM. These barriers are interrelated with each other, hence, they should be translated in a systematic model showing the interrelationships as well as the hierarchy. This study presents for the first time the application of the Interpretive Structural Modelling (ISM) method to barrier analysis related to IFRM. This method is a systematic approach that analyses complex and interrelated issues that is structured in a comprehensive model. The results show that, among the 12 barriers identified, the lack of sole organizing body is the most influential barrier while the poor solid waste management, sparse data and limited access, and deterioration of flood control structure barriers are the least influential barrier. The ISM model clearly showed that the barriers on the governance aspect are the most influential barriers that may dictate the movement of all other barriers. The ISM model produced in this study shows the interconnections of each barrier that can aid the decision makers and practitioners in Metro Manila, Philippines.
抄録全体を表示
-
Shingo ZENKOJI, Taichi TEBAKARI, Kentaro DOTANI
2019 年75 巻5 号 p.
I_115-I_124
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
Thailand has continually faced serious drought conditions since the severe flooding of 2011. No deaths ensued from this disaster; however, agriculture and drinking water were adversely affected. This study reports on hydrological conditions in the Chao Phraya River Basin (CPRB) since 2012, following a recent drought that followed historically severe flooding. Annual rainfall during 2012–2014 was approximately equal to the average annual rainfall during that period. However, annual rainfall was 77% of the mean annual rainfall in 2015, which was the second lowest rainfall recorded in 63 years. Annual rainfall in 2012, 2014, and 2015, and inflow over this 4-year period, were all below the annual means. The annual inflow in 2014 and 2015 were 56% and 37% of the mean annual inflow, respectively. Two large reservoirs experienced severe drought conditions and the Bhumibol reservoir was experiencing a water shortage in September 30, 2016. Comparing the ratio of the mean value to rainfall and inflow since 2012, the ration of mean inflow to observed inflow was larger than rainfall each year, indicating that the upper CPRB was affected by hydrological, as opposed to climatological, drought. Finally, we propose a useful drought index for the upper CPRB based on a mean storage volume in April of 6,000 MCM in the Bhumibol and Sirikit reservoirs.
抄録全体を表示
-
Abdul Haseeb AZIZI, Yoshihiro ASAOKA
2019 年75 巻5 号 p.
I_125-I_134
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
In the Hindukush-Himalaya (HKH) region, most of the population are largely dependent on snowmelt and glacier meltwaters. Snowmelt and glacier meltwaters are considered to be a key source of water resources. We evaluated the characteristics of snowfall and snowmelt in the HKH region, which elevation ranges from 1593 m to 5694 m. Moreover, we estimated the spatial and temporal Snow Water Equivalent (SWE) distribution combining remote sensing and snow model. For this purpose, we optimized the precipitation gradient (PG) for snowfall estimation and degree-day factor (DDF) for snowmelt distribution by the combination between MODIS and simulated snow cover area (SCA). Temperature lapse rate was calculated using the observation data, recorded at different altitudes and value of -9.0 ℃ Km-1 was obtained. As a result, we found the DDF value is 3 (mm ℃-1 day-1) for the low elevations (below 3000 m) and 3 to 5 (mm ℃-1 day-1) for the high elevations (above 3000 m). In addition, the precipitation distribution change with elevations the PG is 0 (m-1) for high altitudes (above 4500 m) and 0.001 (m-1) for low altitudes (below 4500 m). We estimated SCA and SWE through snow model using the two optimized parameters. MODIS and simulated SCA were examined and resulted in a determination coefficient of 0.98 and 0.96 for the years 2012-2013, 2013-2014 and 2014-2015, respectively. SWE accumulated from late October and continues until March. The SWE peaks in March and later on starts decreasing. The results justify that the snow model is applicable for water resources management under data-scarce and complex watersheds such as the HKH region.
抄録全体を表示
-
Grace Puyang EMANG, Yoshiya TOUGE, So KAZAMA
2019 年75 巻5 号 p.
I_135-I_140
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
Since fire severity is a term to define fire intensity effects towards forest ecosystem, it is important to find a method to measure fire severity. Furthermore, it is influenced by dryness conditions such as soil moisture and is expected to increase due to climate change. This study aims to explore the potential of using Normalized Difference Vegetation Index (NDVI) based phenology in detecting different fire severity which can enhance understanding towards dryness conditions in relation to fire severity. For this purpose, fire severity was defined using visual observation of scorch crown height which is used as an indicator for the probability of tree mortality. NDVI from Landsat 8 and post-fire observation of 12 selected trees in different fire severity areas in the 2017 Kamaishi forest fire and three trees from unaffected areas were used to analyse the phenology using cloud-free NDVI images. The time series analysis showed the greatest and least changes in NDVI, immediately after the fire, were detected in trees at high and low fire severity respectively. However, detection of low fire severity areas was difficult using NDVI because of the small difference in NDVI between unaffected and low fire severity areas. In addition, changes in NDVI in later months were difficult to interpret without further field observation which highlights the importance of field observation. While the delineation of fire severity areas in the spatial distribution map of NDVI differencing using pre and post-fire images was inadequate because of limited observation points used in determining the threshold for each fire severity level. These findings suggest NDVI based phenology is sensitive only when scorch crown height is at more than 30 % of its total crown height, thus could be used to detect moderate and high fire severity areas which are defined by the probability of tree mortality.
抄録全体を表示
-
Joan Cecilia CASILA, Ryohei OKUYAMA, Katsuhide YOKOYAMA
2019 年75 巻5 号 p.
I_141-I_146
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
The water level, salinity, turbidity, and dissolved oxygen (DO) were monitored from April to October 2018 when scum was most apparent in the Shakujii River estuary. The strength of odor representation or component; odor index or the total strength; and odor similarity of scum, air, water and sediment were analyzed using the odor machine. Results of the monitoring showed that scum appears two to five days after rainfall, when DO is less than 6 mg/L, at suspended sediment concentration of approximately 15 mg/L and less than 1 salinity level. The spatial distribution of odor showed that the relatively downstream areas of the rivers have higher odor index and similarity with scum. The strongest odor component of scum and sediment was organic acid followed by hydrogen sulfide and sulfur. Hydrogen sulfide was the strongest odor component of water and air. The analysis of similarity with scum and loss on ignition showed that the Shakujii River has a high probability to generate scum. The percent odor similarity to scum may be attributed to the organic matter content of sediments.
抄録全体を表示
-
Than Htike Oo, Toshiro HATA, Kyaw Zaw Htun, Katsumi MARUMO
2019 年75 巻5 号 p.
I_147-I_154
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
Arsenic can naturally be found in air, water, and soil in several places of the world as a metalloid and as chemical compounds and it is serious problem for the environment, humans and other living organisms due to its high toxicity. There are many detection methods for the arsenic contamination such as cathodic stripping voltammetry (CSV), atomic absorption spectrometry (AAS), inductively coupled plasma-mass spectrometry (ICP-MS) and spectrophotometry. But, some developing countries face some challenges to determine the pollution of arsenic in water and soil because it generally requires laboratory equipped instruments, complex technical procedures, skilled personnel and employing most of these technologies due to their high cost. Nowadays, various types of field test kits have become commercially available for arsenic analysis. In the present work, we presented for the analysis of arsenic by using a test kit and smartphone-based optical sensing. Concentrations of arsenic (As) in all samples were also analyzed by ICP-MS. The results of arsenic (As) in prepared standard solution are 0.005 mg/l to 0.101 mg/l and, artificial contaminated soil are 0.367 mg/kg to 1.867 mg/kg. The concentrations of collected samples were 0.060 mg/kg to 1.360 mg/kg. The results of reading samples using the test kit and analyze by smartphone in prepared standard solutions are 0.004 mg/l to 0.098 mg/l, artificial soil samples are 0.328 mg/kg to 2.190 mg/kg and collected samples were 0.051 mg/kg to 0.988 mg/kg. There was a very good relationship between test kit result and ICP-MS result.
抄録全体を表示
-
加藤 隼也, 寺崎 寛章, 梅村 朋弘, 高橋 礼, 福原 輝幸, 長谷川 美香, 日下 幸則
2019 年75 巻5 号 p.
I_155-I_163
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究ではバングラデシュ南部沿岸地域の飲み水支援を最終目標に,異なる長さの三角型太陽熱淡水化装置(TrSS)を用いた野外実験を行い,その造水量を調べた.また得られた実験結果を基に,同地域におけるTrSS(長さ1.0mおよび1.6m)の造水量および造水コストを試算し,同地域におけるTrSSの普及可能性を検討した.その結果,同地域の乾期(1月から4月)の気象条件に対して,長さ1.0mおよび1.6mの平均造水量は0.558kg/dayおよび0.834kg/dayとなった.また1日に必要な1人当たりの飲み水(1.5L/day)を確保し,乾期のみ10年間使用することを想定すれば,1.6mのTrSSの方が1.0mのそれと比較してコスト面で約8%優位となる.いずれの長さにおけるTrSSの造水コストも現地の基準水コスト(1.0BDT/L,BDT=バングラデシュタカ)と同程度であり,同地域において普及可能性があることが分かった.
抄録全体を表示
-
千田 眞喜子, 葛葉 泰久
2019 年75 巻5 号 p.
I_165-I_176
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
降水貯留水の緊急生活用水への適応性の検討を目的とした.吹田市で1年間,降水イベントごとに初期降水,全期降水,降水貯留水を採取して,降水貯留水と,降水・水道水・湖沼水・河川水の水質を比較し,災害時における非常用水としての適用性を検討し,以下の結果が得られた.降水貯留水の成分濃度は降水より高く,これは,晴天時に屋根に乾性沈着した成分が,降水により貯留タンクに流出したためと考えられた.しかし,降水貯留水の水質はpHが7付近で中性に近くTDSやイオン成分濃度も悪くなく,降水や河川水等と比べ採取しやすいため,災害時などの非常用の水として利用しやすいことが示唆された.
抄録全体を表示
-
阪田 義隆, 葛 隆生, 長野 克則
2019 年75 巻5 号 p.
I_177-I_183
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究では,自然エネルギー利用省エネ設備である地中熱ヒートポンプシステムのイニシャルコスト適正化の鍵となる間接型地中熱交換器の必要長さを戸建住宅への導入を想定し全国500mグリッドで算定した.各グリッドの気象条件から熱負荷を,ボーリングデータから地質の分布確率の加重平均として有効熱伝導率をそれぞれ推定し,地中熱交換器必要長さを必要温度条件と目標性能条件を満たすよう算定した.500mグリッドでの必要長さは,関東・濃尾・大阪平野では熱負荷の変化が小さく,有効熱伝導率を反映し,未固結な堆積物が厚い平野部で長くなる一方,10kmグリッドにアップスケーリングして全国で比較する場合,熱負荷の違いが反映され,寒冷な高緯度や内陸山地に向かって長くなる.更にシステム導入時の目安となる地中熱交換器必要長さ平均を気候地域区分と有効熱伝導率別に示した.
抄録全体を表示
-
宇野 宏司, 西脇 郁弥
2019 年75 巻5 号 p.
I_185-I_191
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
自然界からエネルギーを得る発電施設の多くは,自然豊かな空間に立地している場合が多い.こうした空間での防災・減災対策を考えるにあたっては,グレーインフラを中心とした従来の方法のみだけでなく,環境との調和を考えた社会資本(グリーンインフラ)整備を目指すことが不可欠である.しかしながら,この概念についての歴史が浅く,十分な知見が得られていない.一方,近年,高精度な国土空間情報が公開されるようになり,アクセスが困難な各種発電施設の地理情報等の入手も比較的容易になってきた.本研究は,GISによる空間情報解析によって,兵庫県内の再生可能エネルギー関連施設を中心とした各種発電施設における自然災害の被災リスクの評価を試みた.
抄録全体を表示
-
能登 大貴, 和田 有朗
2019 年75 巻5 号 p.
I_193-I_200
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
市民の小型家電リサイクルに対する意識とリサイクルの有無との関連を明らかにし,市民への周知活動の内容を考察した.また,小型家電の品目毎にリサイクルした方法およびリサイクルしなかった理由を把握し,退蔵されている小型家電をリサイクルするための方策を考察した.その結果,小型家電の周知活動の内容として,小型家電リサイクルに関する認知についての内容が望ましい.退蔵されている小型家電は個人情報を含む小型家電が多く,リサイクルしない理由は個人情報の流出の懸念が多いことを確認した.これらの小型家電をリサイクルした方法は,家電量販店の利用が最も多く,回収主体が,個人情報を含む小型家電を預かる際に,データを復元できないような対策や盗難防止等の対策を強化し,家電量販店での回収をさらに進めていく必要がある.
抄録全体を表示
-
森 龍太, 坂本 直樹, 中嶌 一憲, 大野 栄治, 森杉 雅史, 供田 豪
2019 年75 巻5 号 p.
I_201-I_209
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究では,一般的な死亡リスクを対象とし,理論的に整合的な統計的生命の価値(VSL)を計測するために,幸福度調査からデータを収集し,順序反応モデルを用いて幸福度関数を推定した.本研究で得られた知見は以下の通りである.(1) 相対的リスク回避度が1の場合(対数型効用関数),平均VSLは約6,912万円,一方で相対的リスク回避度が1.260の場合,平均VSLは約7億3,521万円とそれぞれ計測された.(2) 先行研究のように,年齢別のVSLは20代から50代までは増加するものの,60代で減少に転じ,VSLが逆U字型の形状を示す結果となった.(3) 子供や孫の有無,配偶者の有無,世帯人数,居住地といったさまざまな属性も,少なからずVSLに影響を及ぼすことが示唆された.
抄録全体を表示
-
村上 一真
2019 年75 巻5 号 p.
I_211-I_222
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
街なかや近隣家庭の緑のカーテンの知覚が,近隣住民との関わりも通じながら,自宅での緑のカーテン実施の意思決定プロセスに与える影響を,2都市の住民への質問紙調査データを用いた共分散構造分析により明らかにした.結果,2都市ともに育成の楽しさが緑のカーテンの実施意欲を高め,コスト意識が実施意欲を抑制すること,緑のカーテンの知覚や近隣住民との関わりは,育成の楽しさ,遮光・冷房効果への評価を高めるが,コスト意識には影響を与えないこと,福知山市のみ遮光・冷房効果も実施意欲を高めることが明らかになった.加えて,緑のカーテン実施の経験有群と経験無群の比較分析,今夏の緑のカーテンの実施群と未実施群の比較分析により,2都市の住民間での緑のカーテン実施を左右する要因,継続実施につながっていない要因の異同を考察した.
抄録全体を表示
-
村上 一真, 平山 奈央子
2019 年75 巻5 号 p.
I_223-I_232
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
早崎内湖の価値(自然環境の価値,他者との交流の場としての価値)と,それらを維持するために望まれる保全活動主体の関係を,内湖周辺住民への質問紙調査のデータを用いた共分散構造分析および多母集団同時分析により明らかにした.結果,自然環境の価値の維持には住民,NPO・ボランティア団体,滋賀県(行政)それぞれが保全活動に取組んでいく必要がある,他者との交流の場としての価値の維持には住民自身が保全活動を担う必要があると,住民は判断していることが明らかになった.加えて,早崎内湖の現状や自然再生事業の状況の認知水準の低い住民は,自然環境価値の維持には滋賀県(行政)が保全活動を担い,他者との交流の場価値維持のための保全活動に住民は注力することが望ましいと判断していることなどが明らかになった
抄録全体を表示
-
櫛部 航, 藤森 真一郎, 長谷川 知子
2019 年75 巻5 号 p.
I_233-I_238
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
食料廃棄物削減は持続可能な開発目標(SDGs)の中の一つに位置付けられており(SDG12)、社会的に重要な課題である。食料廃棄削減は廃棄物のみの問題だけでなく、その多寡によって様々な社会・経済・環境に影響を与えると予想されるが、これまでその将来における影響は明らかでなかった。本研究は、将来的に食料廃棄量が削減された場合の社会、経済、環境影響評価を統合評価モデルAIM/CGEを用いて行った。具体的には温室効果ガス排出量、自然資源消費量、土地利用変化、飢餓リスク人口に着目した。その結果、消費段階からの食料廃棄物を半減するという2030年の目標下では、廃棄物量の削減以外に様々な便益があり、温室効果ガス排出量は5.9%、飢餓リスク人口は4.7%減少した。一方、本研究が評価した温室効果ガスや飢餓リスク人口はそれぞれの目標があり、それらを達成するには不十分であるが、社会全体が取り組む諸施策の一つとしては有効であると考えられる。
抄録全体を表示
-
立花 潤三, 田中 良賢, 榊原 一紀
2019 年75 巻5 号 p.
I_239-I_246
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究では,長期的なエネルギーシステム計画問題における将来的不確実性を内包した確率計画モデルを開発し,富山県における2050年までのエネルギーシステムを対象として実証的検討を行った.本モデルにより,電力・熱需要量などの将来的な不確実性を十分に考慮した上で,富山県が豊富に保有している水力,地熱を有効活用してCO2排出量削減目標等の制約下における最適な施設の種類,建設時期,規模を明らかにすることができた.そして本モデル結果は,同条件で行った改良前のモデルよりも目的関数が259億円改善された.この改善の内訳を見ると施設状態変数ではなくリコース変量の変化によるものであることが分かった.また,財源,電力・熱需要量,各リコース原単位についての感度分析の結果,電力・熱需要量,財源,リコース原単位の順でモデルへの影響が高いことが明らかとなった.
抄録全体を表示
-
藤森 真一郎, 大城 賢, 長谷川 知子
2019 年75 巻5 号 p.
I_247-I_254
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
低炭素社会へ向かうにあたってアジアは大きな市場を持つ可能性があり,日本の炭素クレジットや企業活動にとってその市場規模を知ることは意義がある.一方,これまで定量的にアジアの低炭素市場を示した研究はなかった.そこで,本研究はパリ協定で定めた長期気候安定化目標である全球平均気温上昇量を産業革命以前から2℃以下に抑える場合に,アジアで発生するエネルギー関連低炭素市場のポテンシャルを,統合評価モデルを用いて評価した.その結果安定化目標を達成する場合,アジアのエネルギー投資は2050年で1.7兆$であり,これは現在の日本のGDPの約1/3に相当する.その大部分は再生可能エネルギーの発電で,地域的には中国・インドが全体の3/4程度を占めた.
抄録全体を表示
-
西脇 遼, 渡辺 一也, 齋藤 憲寿, 松林 由里子, 田中 仁
2019 年75 巻5 号 p.
I_255-I_260
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
大雨によって河川に流出した流木による被害が全国でみられる.一例として,2016年の岩手県豪雨災害における小本川の氾濫がある.一方,2017年7月に秋田県の雄物川にて発生した洪水では,橋梁や農地への流木の堆積が確認され,堆積した流木は針葉樹の杉であった.流木の流出過程を知ることは重要であるため,本研究では実在する橋梁をモデルとし,杉を用いた水理模型実験を行った.実験では,橋梁への流木の堆積数と橋梁の上流側と下流側の水位の変化に着目した.その際比較対象として流木の長さ,混合流木の平均長さ,流量などに関して複数のパターンを用意し結果をまとめた.実験より,流木長が長いほど橋梁への堆積が多いことが判明したが,水位は流木長に関わらず一定であった.
抄録全体を表示
-
小山 直紀, 山田 正
2019 年75 巻5 号 p.
I_261-I_266
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
降雨を観測する手法には, 地上雨量計を用いた方法や電波を用いた気象レーダ雨量計がある.地上に到達した雨粒を地上雨量計で測るのか, 上空の雨をレーダで測るのかによって同一の降雨であっても降雨強度の評価に違いが生じる. 本論文は, 入力値(流出解析における降雨強度)の不確実性が出力値(河川流量)に与える影響を, 降雨の空間分布に着目して定量的に評価することが目的である.その結果より,仮想流域において雨量計1つにおける支配面積とピーク流量差率の関係を明らかにし,流域面積が64km2以下であればピーク流量差率は10%未満に,36km2以下であればピーク流量差率は5%未満になることが分かった.また,実流域において雨量計1つが占める支配面積が10km2以下であれば,どの流域においてもピーク水位の変動係数はほとんど0であることが分かった.
抄録全体を表示
-
鈴木 貴志, 諏訪 美佐子, 池田 弘, 松岡 英俊, 河村 明, 天口 英雄, 下地 誠, 高崎 忠勝
2019 年75 巻5 号 p.
I_267-I_273
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究ではモデル作成が容易な河川水位モデルを提案した.洪水イベントごとのハイドロ―ハイエト関係を用いるという時系列の考えを取らず,全ての水位データの度数分布のうち,閾値よりも上位のデータのみを採用してパラメータ設定に用いる.基本式としてパラメータ数の少ない流出関数法を採用し,流出関数に相当する水位応答関数は,時間遅れを明示的に考慮した指数関数とした.雨量計毎の係数を導入し,候補とする雨量観測所の中から,着目する水位観測データを説明する雨量観測所が選択される.
得られたパラメータによる本モデルの検証を行い,星の貯留関数モデルと同等,もしくはそれ以上の精度で,良好なハイドログラフの再現性を示すことがわかり,本提案方法の有効性を明らかにした.
抄録全体を表示
-
藤澤 尚矢, 渡辺 一也, 齋藤 憲寿, 植木 洸太朗
2019 年75 巻5 号 p.
I_275-I_280
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
近年,全国的に集中豪雨による洪水被害が多発している.秋田県においては2017年7,8月の集中豪雨や2018年5月の浸水被害など甚大な被害を生じている.2017年には雄物川本川や二級河川である馬場目川においても被害を受けている.このような広域な被害に対しては低コストかつ広範囲な地形把握が可能であるUAVを使用して情報を得ることが有用である.
本研究では,馬場目川を対象とし,対象領域内の砂州の挙動を空中写真の撮影によって観測し,砂州の面積,砂州長,砂州幅を導出した.また,得た数値と水位の関係性から砂州の挙動と水位の関係性について定量的に評価した.本研究から,河道管理において流路の狭窄と砂州の流出を把握するためには砂州幅の評価が重要であるという結論を得た.
抄録全体を表示
-
尾島 由利香, 呉 修一, 石川 彰真, B. A. Priyambodoho , 丸谷 靖幸
2019 年75 巻5 号 p.
I_281-I_287
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
2019年7月豪雨では,西日本の広域で洪水氾濫等の甚大な被害が生じた.この出水では一部の流域で,ダムゲートの異常洪水時防災操作による直下流水位の急上昇が議論となった.本研究では,富山県の庄川を対象に,降雨流出・洪水氾濫計算より可能最大洪水を含む様々な洪水の状況を事前に算定する.これにより,現在庄川に建設中の利賀ダムが,各出水規模に対してどの程度の洪水低減効果を有するかを事前に評価する.
解析結果より,利賀ダムの洪水調節は,既往最大洪水に堤防決壊が生じる場合,氾濫初期に浸水面積を約24%,浸水量を約24%減少させ,可能最大洪水氾濫時には,浸水面積を約18%,浸水量を約22%減少させることを示した.しかしながら,可能最大洪水氾濫クラスの大規模出水では利賀ダムの貯水位がサーチャージ水位に達するため,氾濫時間の継続に伴い低減効果は減少する.
抄録全体を表示
-
藤塚 慎太郎, 河村 明, 天口 英雄, 高崎 忠勝
2019 年75 巻5 号 p.
I_289-I_296
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
近年,都市型水害が頻発しており,都市流出予測の精度向上が喫緊の課題である.都市の流出機構は複雑であり,簡易に精度が良い流出モデルを構築することは困難である.そこで本論文では,著者らが開発した都市流出モデルを,深層学習モデルによってエミュレーションできるか確認することを目的とし,まずその入力データとなる仮想降雨(バーチャルハイエトグラフ)および都市流出モデルを用いた流出量(バーチャルハイドログラフ)を構築した.そして,作成したバーチャルハイエトグラフおよびバーチャルハイドログラフを用いて,深層学習モデルを構築し,学習洪水および検証洪水における再現性を検証した.また,入力データとして使用できる洪水の観測データは限られているため,学習洪水数を減らした場合の再現特性について検討した.
抄録全体を表示
-
塙 翔一郎, 藤田 昌史, 桑原 祐史
2019 年75 巻5 号 p.
I_297-I_306
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
河川水の濁りの変化は,流量や水位の変化といった水害危険性を捉えられる要素であると考えられる.そこで本研究では,流況画像から得られる河川水の濁りを対象としたDeep Learningによる画像分類と安価な監視カメラによる河川モニタリング手法の提案を目的とした.沢渡川の流況画像を用いて,河川水の濁り具合に対応させて分類項目を設定したDeep Learningによる画像分類モデルを作成した.モデル作成には植生占有面積が大きい夏季の画像を使用し,教師データのクラス設定条件が異なる2つのDNN画像分類モデルによる検証ケースを設定した.最良の精度が得られたモデルを固定し,撮影日の異なる夏季~冬季の降雨時画像を分類した.検討の結果,教師データとは異なる時期の画像に対して高い分類精度が得られ,多時期の画像を扱う手法として展開できる可能性が確認された.
抄録全体を表示
-
峠 嘉哉, 峯岸 優好, 長谷川 匡, 川越 清樹, 風間 聡
2019 年75 巻5 号 p.
I_307-I_312
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
沢や山地スケールでの地表面温度分布は,水文過程,植物生態,雪氷分野等の様々な分野において重要であるが,1㎢以下の小流域のような狭域内部に対する時空間変化の観測例が少ない.本研究では,樹木の影響がない裸地小流域を対象に,UAVを用いた地表面温度を1時間・約20cmの時空間解像度で観測し,希少な地表面温度分布の挙動の把握を試みた.検証のため26地点の土壌水分量観測と1点で10分毎の定点観測を行うと共に,地形効果を考慮した放射収支を計算し,地表面温度の決定要因の検討や,土壌水分量を推定できる可能性を検討した.その結果,斜面方位・勾配の影響が大きく純放射量との高い相関を示すものの,土壌水分量との相関は低かった.土壌層の浅い岩盤地質で水分量の影響が小さいことと,土壌水分の局所性が高いことが原因と考えられる.
抄録全体を表示
-
高橋 剛一郎, 角貝 亮, 宮本 卓, 松浦 良輝, 滝口 祐次, 小川 光雄, 宮平 永一郎, 林 達夫
2019 年75 巻5 号 p.
I_313-I_322
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
普及型のUAVを用いた効率的な河道地形の把握手法を検討した.対地高度30m,OL/SLが90%/60%で撮影したとき,203.6haの面積に対して113点の標定点を設置した測量では精度が悪かった.150m×300mの区画に対し標定点が6点でRMSEが0.10m未満,標定点数が8以上でRMSEが0.05m未満であり,実用上十分な精度が得られた.これより,公共測量マニュアルによる要求精度と標定点の点数と比較して,要求精度を満足しつつ標定点の数を減らすことができる可能性が強く示された.裸地部分では正確な地形を把握できたが,植生地と水域部分では地表や水底を捉えることができなかった.UAVの飛行性能から,撮影できる範囲が限られるため,UAVによる写真測量は大河川には不向きで小規模河川に向いている.
抄録全体を表示
-
箭内 春樹, 熊野 直子, 田村 誠, 桑原 祐史
2019 年75 巻5 号 p.
I_323-I_330
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
今世紀末までに最大 0.82m の海面上昇が起こることが予測されているなか,各国では沿岸域の浸水被害を低減させるために様々な適応策を策定している.その一つとして堤防整備やかさ上げといった方法がある.堤防整備には多くの費用を要することから,適切な整備地域の選定と整備高さを設定することが重要となる.しかし,著者らの知る限り,堤防整備地点やその高さについて全球を同じ規格でデータを整備した事例は無く,経済データに基づく被害額推計などから適応策策定の根拠としているのが現状である.したがって,堤防データを用いたシミュレーションと被害額を比較することで,その妥当性が検証できる.そこで本論では,まず衛星画像から全球を対象とした堤防データの整備を行った.次に,高潮被害や土地被覆等が明確である東京湾および伊勢湾を対象として氾濫シミュレーションを行い,全球を対象に同一規格で生成した堤防データの妥当性を検証し,全球展開に向けた課題をまとめた.
抄録全体を表示
-
土田 晃次郎, 田村 誠, 熊野 直子, 横木 裕宗
2019 年75 巻5 号 p.
I_331-I_337
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
気候変動に伴う海面上昇による浸水影響について複数のGCMを用いた全球規模の影響評価を行った.その際,影響評価の精度を高めるため既往研究から海岸線位置情報等を更新した.その結果,全球の浸水面積は,2100年,RCP8.5において約75~82万km2と推計された.さらに,堤防設置による適応費用の推計方法を提案し,いくつかの適応シナリオの下で被害額との比較を行った.結果の一例として,堤防建設のみで浸水影響を全て回避しようとする場合,21世紀末の適応費用は被害額の約6倍と高額となった.全球規模の浸水影響への適応を検討する場合,堤防建設のみの適応策では高額となるため,グリーンインフラを用いた防護や順応等の複数の方法を含めた包括的な適応策の検討が必要であろう.
抄録全体を表示
-
熊野 直子, 田村 誠, 横木 裕宗
2019 年75 巻5 号 p.
I_339-I_350
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
気候変動に伴う海面上昇への適応策として,亜熱帯・熱帯などでは海岸線に分布するマングローブ林をグリーンインフラとして活用した海岸防護が行われており,堤防などの社会基盤(グレイインフラ)と組み合わせることで効果的に防護できるとされている.しかし,これまで局所的なマングローブの効果を検討する研究事例はあるものの,より広域な影響評価や長期にわたる適応効果評価がなされていなかった.そこで,マングローブ林の分布する112の国と地域を対象に全球規模の評価を展開した.その結果,全球規模ではマングローブ活用が有効である一方,国別では自然や社会経済の状況によってその有効性に相違があることが示された.
抄録全体を表示
-
山本 知広, 小貫 元治
2019 年75 巻5 号 p.
I_351-I_362
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
2011年の東日本大震災以降,各地で防潮堤などの海岸保全施設の整備が進行中であるが,その建設費・維持費が巨額であることなどの懸念事項がある.一方で,津波には浸水想定区域外への移転という根本的な対策もあるが,新たな建物の建設などに多額の資金を要するという課題が存在する.以上の背景から,大槌町と浜松市を対象として海岸保全施設整備と防災移転の費用便益分析を通した津波防災のあり方の検討を行った.行政による浸水想定のGISデータを用いて解析した結果,両地域において概ね海岸保全施設の整備の方が費用便益比は大きいものの,いずれの事業も直ちに実施に十分な経済的効率性を有すると判断できず,施設規模の縮小や,浸水想定区域外への長期的な誘導の形で移転を行うなどの改善を要することが分かった.
抄録全体を表示
-
久松 力人, 多部田 茂, 水野 勝紀, 金 洙列
2019 年75 巻5 号 p.
I_363-I_369
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
気候変動により将来的に高潮被害が増加することが懸念され,また実際に高潮被害が発生した際に,迅速に被害を把握することが求められている.本研究では従来手法であるロス関数と,新たにニューラルネットワークを用いた早期損害推定手法について考案し精度を比較した.まず,525パターンの想定台風に基づき高潮数値解析を実施し,東京湾沿岸の家屋や事業所などの損害額を推定した.次に,それらの結果に基づき,ロス関数とニューラルネットワークを構築した.最後に,検証用データを活用して2つの手法により高潮損害額を推算し,推定精度を比較した.結果として,従来の手法であるロス関数よりも,ニューラルネットワークを用いた手法のほうが高潮損害額に対する推定精度が高くなった.この成果は,大規模高潮発生時の,より高精度な早期損害推定に活用されることが期待できる.
抄録全体を表示
-
広城 吉成, 武藤 圭誠
2019 年75 巻5 号 p.
I_371-I_379
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
福岡市西部に位置する今津干潟はカブトガニ等の生息地であり,生態的に貴重な環境となっている.生態環境保全のために,本研究では今津干潟北東部から今津干潟に流出する栄養塩負荷量をモデルによる水収支解析と解析対象領域内の複数の観測点における水質分析により推定した.その結果,解析領域内の今津干潟に流出する地下水分布範囲と地下水流動方向が解明された.また,地下水位と潮位変動から地下水は潮汐の影響を受けにくいことが分かった.さらに,解析領域内で栄養塩濃度が高い値を示した観測井付近の地下水は肥料による地下水汚染の影響が示唆され,その地下水はカブトガニの主な産卵地である砂地を通過する可能性が高いことが判明した.本モデルの解析では地下水位観測値を精度良く再現でき,対象領域からの栄養塩流出特性が明らかとなった.
抄録全体を表示
-
千田 眞喜子, 葛葉 泰久
2019 年75 巻5 号 p.
I_381-I_391
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
水道水中の硝酸態窒素濃度の変動要因を検討することにより窒素の毒性リスク低減に役立てるために,琵琶湖・淀川流域内の吹田市の水道水の硝酸態窒素濃度(2007年10月~2015年12月,毎日22時に計測)に対する“気温・降水量・河川や天ケ瀬ダムの流量”の影響について検討を行った.吹田市の水道水(毎日計測)と月1回平水時の計測の硝酸態窒素濃度を比較すると,日データの方が変動係数は大きかった.それは,平水時だけでなく濃度変動が起きる降雨時や天ケ瀬ダムからの放流量が多い日も計測したことによる.相関係数マトリクスや主成分分析から硝酸態窒素濃度の増加には低気温もしくは天ケ瀬ダム流量の減少が関与し,硝酸態窒素濃度の減少には気温の上昇もしくは河川流量の増加が関与することが明らかになった.
抄録全体を表示
-
朝倉 宏, 松瀬 宇美雄, 中川 啓
2019 年75 巻5 号 p.
I_393-I_401
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
三京クリーンランド埋立処分場雨水調整池のpHがアルカリ側に傾く傾向があり,抑制策を講じる必要がある。アルカリ化の抑制のためには,藻類の光合成を抑える必要があり,手法の一つとして遮光がある。本研究では,アルカリ化抑制効果が高く,かつ,コストの安い遮光材を選定することを目的とした。水槽による遮光と水質の変化に関する実験によると,平均のpHを協定値の範囲内にできたのは,カバー,黒く塗ったペットボトル,墨汁を入れたペットボトルおよびシートで覆ったペットボトルであった。光量子を20μmol/m2s程度以下に抑えることが,アルカリ化回避のために必要な光量子の基準の一つとして提案できた。アルカリ化抑制効果があり,コストが低い遮光材として,カバー,墨汁を入れたペットボトルもしくはシートで覆ったペットボトルが挙げられる。
抄録全体を表示
-
今井 裕規, 川上 智規
2019 年75 巻5 号 p.
I_403-I_410
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
フッ素に関する一律排水基準は8mg/Lであるが,温泉旅館に対しては適切な処理技術が無いことなどから30mg/Lあるいは50mg/Lという暫定基準が適用されている.本研究では,隔膜で陽極と陰極とに隔てられた電解槽で温泉水を電解することによって陰極側に水酸化マグネシウムを生成させてフッ素を共沈除去することを試みた.原水に下呂温泉の源泉を用いて実験を行った.下呂温泉はマグネシウムを含まないためマグネシウムを添加する必要があったが,100mg/Lの添加で原水のフッ素濃度約17mg/Lを8mg/L以下に低下させることができた.フッ素除去のメカニズムについてモデルを構築した.モデルの結果よりフッ素除去量は,マグネシウムの沈殿量とその時のフッ素濃度に比例することがわかった.
抄録全体を表示
-
吉田 貢士, Desell Suanburi , 牧 雅康, 前田 滋哉, 黒田 久雄
2019 年75 巻5 号 p.
I_411-I_417
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究では,タイ国中央部に位置するスパンブリ県を対象として,サトウキビ生産要素に着目した農業統計分析と被害額推計,地下水位観測,サトウキビ生長モデルによる生産ポテンシャル評価を行った.サトウキビ単収と4か月積算降水量の相関分析の結果から,単収は雨季の始まり5-8月と雨季の終わり10-1月積算降水量との間に正の相関を示した.被害額は2005年と2006年で大きく,2005年の被害は前年の2004年の渇水,2006年の被害は前年の2005年9月の大雨による湛水の影響であると考えられた.比抵抗マップから推定した砂質土壌帯に観測井を設置し,計測した地下水位変動データから持続的に利用可能な浅層地下水資源量は2017/2018期において約400mmと見積もられた.サトウキビ生長モデルを用いて単収の増加率を評価した結果,浅層地下水を400mm灌漑した際の平均単収増加率は32.8%となった.渇水年においては利用可能水量はより減少するものと考えられるが,年降水量800mm程度の渇水年を想定した場合に,200mmの地下水灌漑により19%の単収増加が期待できることが明らかとなった.
抄録全体を表示
-
綿貫 翔, 山田 正
2019 年75 巻5 号 p.
I_419-I_425
発行日: 2019年
公開日: 2020/03/30
ジャーナル
フリー
本研究では,確率過程論を熱収支法に適用し,水温を推定するまでの過程に不確実性を考慮する理論的な枠組みを提案する.その一例として,上向き長波放射量の射出率に不確実性を入れ,水温の推定分布を計算する.また,確率論的に水温を求めるのとは別に,決定論的に,平均値と平均値±分散の計3種類の射出率で水温を推定し,確率論的に求めた結果と比較した.最後に,推定した水温の分布の応用性についても説明する.これらの結果,確率論的に求めた水温と決定論的に求めた水温は,年変動の傾向は類似していたが,日々の変動は確率論的に求めた結果の方が大きく,決定論的に求めた結果とは異なる挙動になることを示した.
抄録全体を表示