土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
77 巻, 6 号
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環境システム研究論文集 第49巻
  • 大塚 佳臣
    2021 年77 巻6 号 p. II_1-II_12
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     全国の成人を対象としたアンケート調査をもとに,多項ロジットモデルを用いてスーパーおよびコンビニエンスストア(以下コンビニ)のレジ袋有料化の賛否とその多様性に影響を与える因子を抽出し,その影響度を評価した.レジ袋有料化について,スーパー・コンビニともに賛成する層(C1)は環境問題全般への関心が高いこと,スーパー・コンビニともに概ね賛成する層(C2)は身近な環境配慮行動を重視すること,コンビニを中心に有料化に反対する層(C3)はレジ袋の利便性,有用性を重視していること,有料化に反対する層(C4)は有料化による資源使用量削減の効果に疑念を持っていることを明らかにした.有料化への賛意を高めるべく,C3またはC4からC1またはC2への移行を促すためには,レジ袋有料化による環境側面の効果を定量的に示すこと,不便感・金銭負担感を解消することが必要であることを示した.

  • 藤山 淳史, 岩橋 茉耶, 松本 亨
    2021 年77 巻6 号 p. II_13-II_21
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     国連サミットにて採択された2030年までの国際目標である「持続可能な開発目標」は,17のゴール,169のターゲットから構成されるが,達成度の定量的評価については様々な提案がある.社会的投資収益率もその1つであり,インプット(投入費用)に対するアウトカム(成果)の比率により求める.本研究において評価対象とした乾式オフィス製紙機を用いたオンサイト型紙循環システムは,不要となった紙を装置に投入することで,その場で再生紙を作ることができ,再生紙製造のための水と輸送段階の大幅な削減に寄与する.紙の選別・投入段階のために障碍者を雇用する動きがあり,SDGsへの貢献も期待される.そこで,乾式オフィス製紙機を導入している企業の実データを用いてSROIを算出することで,オンサイト型紙循環システムの総合評価を行った.その結果,本研究ではSROI値が4.43と試算され,投資額1に対して,4.43倍の社会的価値を創出することが推計された.

  • 山下 奈穂, 郭 静, 白川 博章, 谷川 寛樹
    2021 年77 巻6 号 p. II_23-II_31
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     資源生産性は循環計画の大目標として掲げられている物質フロー指標であるが,本指標では物質フローを支える物質ストックの間接的な影響を評価できない点が課題であった.先行研究において,物質ストックを考慮した資源生産性の要因分解は行われているものの,物質ストックの価値はその用途や種類によって多様であることから,全ての物質ストックに一概に適用することは困難である.本研究では,提案型論文として日本の住宅を対象に要因分解式を試用し,住宅ストックの変化が資源生産性に及ぼす影響を明らかにした.分析の結果,2008年から2017年にかけてストックあたりのサービス発生効率の低下や空き家の増加による資源生産性への負の影響が明らかになった一方,住宅の長寿命化が資源生産性の向上に最も貢献していることが確認された.

  • 古賀 愛, 范 学周, 松本 亨, 藤山 淳史
    2021 年77 巻6 号 p. II_33-II_42
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     近年,中国等の廃プラスチック輸入規制や海洋のマイクロプラスチック等の問題から,国内の廃プラスチック循環の拡大が求められている.プラスチック循環の拡大と最適化の検討のためには,全国レベルのマクロなフローのみならず,より詳細な地域レベルの廃プラスチックフローを把握する必要がある.産業廃棄物は廃棄物処理法や条例にもとづき,産業廃棄物多量排出事業者実施状況報告書,産業廃棄物管理交付等状況報告書,電子マニフェスト登録等状況報告書,産業廃棄物処理業による実績報告などの都道府県等への報告義務があり,本研究ではこれら行政報告データを用いることで,ボトムアップ的に物質フローや空間移動量の推計手法を開発した.

  • 黄木 燿斗, 高橋 優, 荒井 康裕, 國實 誉治, 小泉 明, 藤川 和久, 堺 総一郎, 佐々木 慶太
    2021 年77 巻6 号 p. II_43-II_52
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     水道事業者にとって各家庭で水がどのように使用されているかを詳細に理解することは,水道料金の設定と収益予測,施設整備計画,水運用の日常業務などに取り組む上で重要である.本研究の目的は,アンケート調査データを分析し,生活用水の原単位水量の増加に寄与する要因を把握することである.使用水量によって分類された0-1の2値変数に対するロジスティック回帰分析を実施した結果,以下のような知見が得られた.単身世帯に関しては,在宅時間の長さ,湯張り回数と洗濯回数の多さが、原単位水量の高値群に寄与する要因となることが示された(p < 0.05).一方,四人以上世帯では,洗濯回数の多さに加え,トイレの購入時期の古さが,原単位水量の高値群に寄与する要因となることが示された(p < 0.05).

  • 阿部 謙三, 林田 寿文, 萱場 祐一
    2021 年77 巻6 号 p. II_53-II_58
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     中小河川では,大小のプールを様々な落差で配置したウロコ型全断面魚道の設置が増加している.しかし,ウロコ型全断面魚道は明確な設計・機能評価の方法が確立されておらず,魚類の遡上が不明な事例が散見される.本研究では,現地に設置されたウロコ型全断面魚道の機能把握を行うことを目的にフロートとUAVを用いた現地調査を行った.また,棚田式魚道でも同様の調査を行い,ウロコ型全断面魚道との機能比較を行った.得られたデータから,1) フロートの分散と流下時間,2) 魚道の3次元点群データからプール間の落差やフロートの移動経路,3) 水脈の流下角度とプール形状の解析を行った.その結果,フロートが流下する分散度合が大きいほど魚類の遡上経路の多様性を示すなど,ウロコ型全断面魚道の特徴が明らかになった.

  • 鬼束 幸樹, 緒方 亮, 平田 大成, 橋本 将直, 増元 達郎, 白坂 雄一
    2021 年77 巻6 号 p. II_59-II_66
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     粗石付き魚道を設計する上で,粗石周辺の流れと魚の遊泳特性との関係を把握する必要がある.しかし,粗石粒径が魚の遊泳特性に及ぼす影響はほとんど解明されていない.本研究では,開水路底面に設置された模擬粗石の粒径および流速を系統的に変化させ,オイカワの遊泳特性への影響の解明を試みた.その結果,流速の増加に伴い,粒径がオイカワの体長よりも小さな場合は,オイカワの遊泳位置が粗石の頂部以深から頂部以浅へと上昇する一方,粒径がオイカワの体長よりも大きな場合は,オイカワは粗石背後の低流速域を目指して水平方向に移動した後に休憩しながら遊泳するため,上流まで到達するオイカワの尾数が増加することが明らかとなった.したがって,河川に粗石付き魚道を設置する際には,対象魚の体長以上の粒径の粗石を底面に設置すると遡上率が向上すると推定される.

  • 中谷 祐介, 小野 一樹, 鹿島 千尋, 西田 修三
    2021 年77 巻6 号 p. II_67-II_72
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     瀬戸内海を対象に,人口減少による窒素・リンの発生負荷量の将来変化を推計するとともに,今後の汚濁負荷の管理方針に関する検討を行った.瀬戸内海全体では,2020年に比べて2050年には集水域人口が約21%減少するが,生活系負荷が減少することで,発生負荷量は窒素で約7.0%,リンで約9.5%減少し,窒素に比べてリンが大きく減少する.発生負荷量の排出源別構成比や人口減少率の空間分布を反映して,負荷量減少率は湾灘ごとに2%~16%の範囲で大きく異なった.大阪湾と豊後水道を除く湾灘では,人口減少率と負荷量減少率との間に比較的強い相関が認められ,集水域人口が10%減少するにつれて窒素・リンの発生負荷量はそれぞれ4.4%,2.9%減少すると概算可能であった.今後,豊かな海の実現に向けて発生負荷量を制御する際には,人口減少による負荷減少量を見込む必要がある.

  • 山川 将径, 前 正人, 片桐 寿通, 金寺 登, 藤井 烈, 上野 裕介
    2021 年77 巻6 号 p. II_73-II_79
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     全国の開発事業に伴う環境影響評価や自然環境調査では,猛禽類等の生息状況調査が行われている.猛禽類調査では一般的に,現地での目視調査によって行動域や営巣地などを明らかにする.しかし,調査者が山林に立ち入ることで猛禽類が警戒したり,調査に多くの人手が必要となるため,効率的な調査技術の開発が求められている.本研究では,音声による5種の猛禽類(ミサゴ,ハチクマ,オオタカ,サシバ,ノスリ)および希少種のミゾゴイの種判別技術の開発を目的に,各種の営巣林近くで記録した音声データにノイズリダクション処理を行い,深層ニューラルネットワーク(DNN)による音声解析を実施した.その結果,6種のうち5種で90%以上の判別精度を実現できた一方で,環境音との誤判別も見られるなど,更なる精度向上に向けた技術的課題も示された.

  • 鬼束 幸樹, 梅野 翔太, 夏山 健斗
    2021 年77 巻6 号 p. II_81-II_87
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     ダムや堰等に設置された取水口に,放流されたサケ,マス等の稚魚が迷入し,相当量が消耗されることが古くから問題となっている.迷入防止策として,透過光,気泡幕,電流,障害物などを用いた魚類の行動制御が試みられてきた.河川魚を対象とした連続光を用いた忌避行動への影響に関する研究は行われているが,断続光の点滅周波数と照度を変化させた際の忌避行動への影響を解明した研究はほとんど行われていない.本研究では,静止流体中で断続光の点滅周波数と照度をそれぞれ0.3〜4.3Hz,500〜3000lxの範囲で変化させ,オイカワの忌避特性に及ぼす影響を検討した.その結果,点滅周波数が1.3Hzよりも高い場合は照度の増加に伴い,光が照射されたエリアに進入する割合が減少することや,光が照射されたエリアにおけるオイカワの平均遊泳速度が増加し,停滞率が減少することが解明された.

  • 白石 瑠菜, 中山 紘喜, 西野 友子, 野上 敦嗣
    2021 年77 巻6 号 p. II_89-II_98
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     本研究では都市部の保全緑地を対象に植物画像の収集調査を行って,植物種の分類を効率的に行う手法として深層学習法による高精度な学習モデルの開発に取り組んだ.植物調査を3年間継続実施して植物画像データを拡充し学習モデルの改良を行った.また,画像単位の分類ではなく,俯瞰画像から植物の分布を求める手法の構築を行った.2020年春までに調査した103種の分類試験ではヨモギの正答率が前モデルより低下したため,葉画像と花画像での正答率の違いなど画像要素との相関関係を調べた.さらに,Explainable AI技術を用いて画像の判断部分の解析を行った.結果は2020年秋までに調査した121種の学習時正答率は98.3%であった.また,俯瞰画像をスーパーピクセル分割して得た画像を分類し,同一分類のスーパーピクセルを連結することで植物の分布を求めることが出来た.

  • 中山 紘喜, 西野 友子, 野上 敦嗣
    2021 年77 巻6 号 p. II_99-II_106
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     里山における森林環境の保全は,生物多様性や環境教育等の観点から重要である.本研究では里山の植生分布を得るために踏査及びドローンで撮影した植物画像を学習させて,ドローン空撮によるパノラマ画像からスーパーピクセル分割を用いて樹冠画像を抽出した樹冠画像の種の識別を行った.オリジナル画像から作成した学習モデルより樹木6種において90%以上の高い確度を達成した.樹冠識別においては,アスペクト比の統一や類似画像の除去に加え,パノラマ画像と同程度の高度で撮影した画像を学習に用いることで,確度が向上することが分かった.本方法を用いて樹木分布図を作成することができたが,樹木種や撮影画像数も少なく, 適用できる場所は限定される.今後は,さらに植物種を増やして,角度や時間などの撮影条件が識別精度に与える影響を検証し,里山保全への適用地域を広げていく.

  • 平山 貴之, 中尾 彰文, 吉田 登, 山本 秀一
    2021 年77 巻6 号 p. II_107-II_120
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     輸出が困難となった廃プラスチックをRPFとして製紙工場で利用する取り組みが進められている.本研究では,輸出が困難となった廃プラの燃料利用に際して,RPF工場や製紙工場の立地がGHG削減に及ぼす効果を評価した.分析の結果,現状では製紙工場に受入余力はあるがRPF工場の受け入れ可能量が制約となるため廃プラ排出量が全て利用されず,廃プラ排出量の約6割がRPF燃料となりうること,また,GHG削減量を最大にするためには全国規模での圏域ブロックを越えたRPFの輸送が卓越しその際のRPF工場と製紙工場とのリンク(関係)数の様相は圏域ブロック毎に多様なことが必要であること,さらに感度分析の結果からRPF工場の受け入れ能力を増強することがさらなるGHG削減のために有効であることを明らかにした.

  • 山田 宏之, 飯田 敦也
    2021 年77 巻6 号 p. II_121-II_130
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     本研究では,大阪府営大泉緑地の遊具広場において子供の遊具や広場の利用実態を調査し,日向と日陰の利用状況やWBGTと利用方法の関連性等について解析を行った.夏季日中の日向平均WBGTは32.1℃となり,環境省の熱中症予防指針で原則運動禁止とされる31℃を上回る危険な暑熱環境であったが,多くの子供が日向空間を利用していた.しかし,WBGTの上昇に伴い,日陰で遊ぶ割合が有意に上昇し,また,休憩に際しては9割以上の子供が常に日陰を選択するなど,暑熱環境に対応した行動を取ることも明らかとなった.親同伴の場合には明確に日向を避ける行動が確認されたが,子供のみの行動の場合は温熱環境に関係なく遊具選択が行われており,注意が必要である.

  • 井ノ口 弘昭, 秋山 孝正
    2021 年77 巻6 号 p. II_131-II_137
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     本研究では,近年増加している熱中症に着目し,交通行動パターンからそのリスクを評価し,交通行動変容を期待した環境政策の有効性を示す.具体的には,GPSを用いた交通行動データおよび温度・湿度計測装置を用いて,交通行動者の熱中症リスクを定量化する.WBGT指標値とWBGTを3時間累積して得られる熱ストレス指標値を用いて検討した結果,高齢者と若年者で熱ストレス指標値に有意な差はないことがわかった.また,熱中症リスクが高い歩行場所として,鉄道駅周辺において危険判定の徒歩移動が多いことがわかった.また,徒歩トリップの時刻変更による熱中症リスクの低減効果を検討した結果,2時間の時刻変更で14%の熱中症リスクの低減が可能であることが分かった.

  • 尾﨑 平, 阪上 勇登, 北詰 恵一
    2021 年77 巻6 号 p. II_139-II_147
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     近年,高齢化による健康に配慮すべき人の増加や,気候変動による暑熱環境の悪化に伴い熱中症搬送数が増加している.本研究では熱中症に関する態度と行動に関して,大阪府大阪市,豊中市の居住者を対象にアンケート調査を実施した.因子分析,共分散構造分析を行った結果,熱中症対策行動の規定因は屋内外の対策行動ごとに異なっていること,ならびに,熱中症に対する態度を規定する規定因は年齢群ごとに異なっていることを明らかにした.熱中症対策行動の実施促進には,段階的要請法や役割演技法などを用いた態度と行動の関連を強化するアプローチが重要である.

  • 河瀬 玲奈
    2021 年77 巻6 号 p. II_149-II_157
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     家庭部門のエネルギー消費量は,気温による影響を受ける.そのため,気温影響を補正した後の世帯類型別CO2排出量変化についてLMDI法を用いて要因分析を行った.2013年度を基準とし,2017~2018年度を対象年として分析したところ,2018年度では,エネルギー消費量とCO2排出量の変化率はそれぞれ-8.8%と-29.4%であり,そのうち気温による寄与が30%と15%を占めた.世帯類型別のCO2排出量変化の要因分析では,いずれの世帯でも,電力のCO2排出原単位の減少による寄与が大きく,半分以上を占めた.他の世帯類型はCO2排出量の減少に寄与するが,単身・高齢世帯は増加への寄与となった.一番大きな要因は世帯数の増加であり,効率改善による減少が相対的に小さいことも確認された.

  • 冨樫 聡, 内田 洋平, 嶋田 一裕, シュレスタ ガウラブ
    2021 年77 巻6 号 p. II_159-II_169
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     豪雪地帯の特徴的な社会インフラである融雪システムが地中熱利用に与える影響を明らかにするため,石川県工業試験場(石川県金沢市)に導入した地中熱ヒートポンプシステムの実証実験データを整理し,これらデータを解析した.実証実験データより,積雪時において地中熱ヒートポンプシステムの性能向上(10%程度の消費電力量削減)が認められた.これは,融雪システム稼働時の地下水揚水により生じる人工的な地下水流動が原因である.また,実証実験の再現計算結果より,実証実験期間中に見かけ熱伝導率が変動したことが明らかとなった.見かけ熱伝導率は積雪時にほど大きい値(2.1~2.6W/(m・K))を示し,既往研究データと比較したところ,推定値は妥当であることがわかった.以上より,融雪システムが地中熱利用に与える影響を定量的に示すとともに,フィールドデータを用いて有効熱伝導率と見かけ熱伝導率の関係性を明らかにした.

  • 和田 年弘, 本間 隆, 落合 知, 石井 一英, 古市 徹
    2021 年77 巻6 号 p. II_171-II_181
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     バイオガスプラント導入による環境効果を定量化する手法を提案した.酪農地域における炭素循環と窒素循環の詳細を明らかにすることで,バイオガスプラント導入前後での温室効果ガス(GHG)排出量,窒素溶脱量を評価し,その差をもってバイオガスプラント導入の環境効果を定量化する手法である.炭素・窒素循環の詳細検討を行うために,入手可能な様々な統計・実測データをもとに検討における条件を設定した.北海道の酪農地域を想定した4万頭規模の仮想酪農地域モデルを構築し,提案手法を用いてGHGの削減量および窒素溶脱量の増加を定量的に評価を試みた.提案手法の評価の妥当性検討を行い,評価精度の改善に必要な項目を考察した.

  • 山田 崇雄, 中尾 彰文, 吉田 登
    2021 年77 巻6 号 p. II_183-II_192
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     現在,社会情勢の変化をふまえて,インフラ分野の脱炭素化とともにインフラの多面的な利活用が求められている.本研究では,埋め立て完了後の最終処分場浸出水処理施設を湿式メタン発酵の水処理施設として利用する計画をモデルケースとし,全国での適用可能性の分析を試みた.結果として,まず既存浸出水処理施設を利活用した湿式メタン発酵の計画事例をもとに算出した事業収支では,通常の投資回収年数を約30%短縮させる効果が示された.さらに全国の優良認定産業廃棄物処理業者における管理型最終処分場の情報をもとに分析した結果,2030年代前半に中部や近畿地方などにおいて一定規模の浸出水処理施設の活用可能性が示唆された.

  • 田崎 智宏, 西村 想, 稲葉 陸太, 河井 紘輔, 山口 直久
    2021 年77 巻6 号 p. II_193-II_198
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     人口減少や市町村の厳しい財政状況などに対応するため,ごみ処理施設の集約が政策的に要請されている.そこで本研究では,一般廃棄物焼却施設の集約に着目し,全国に存在する施設と広域化ブロックの現状ならびに将来の人口減少による廃棄物発生量の減少をふまえた最適な施設集約パターンを計算するアルゴリズムを開発し,全国レベルでの集約効果の推計を行った.3つの集約シナリオを検討した結果,人口減少が進展する状況下にある2030年代までの施設集約は,現在の処理規模ならびに効率性を確保するものとなることが示された.また,現在よりも施設を大規模化させ,300~600トン/日の大規模施設の集約化を目指したとしても,今後10年程度は大規模集約を行える可能性は大きくないことも示された.また,2030年代の施設規模の確保を目指すのであれば,施設の延命化は正当化できるといえた.

  • 杉本 賢二, 鈴木 滉, 西澤 聡洋
    2021 年77 巻6 号 p. II_199-II_206
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     大規模自然災害では一度に大量の廃棄物が発生するため,被災地域の復旧・復興や災害への事前対策として,災害廃棄物発生量を把握することが重要である.しかし,水害による廃棄物の発生原単位は2000年代初頭の処理実績に基づいており,近年頻度や規模が増加傾向にある大規模な水害を対象として原単位を推計した既往研究はない.本研究では,2009〜2018年の水害を対象として,市町村別の住家被害棟数及び廃棄物処理量に関する災害情報を収集し,住家被害区分別に災害廃棄物の発生原単位を推計した.その結果,発生原単位[トン/棟]は,全壊70.683,半壊9.373,一部損壊8.507,床上浸水5.137,床下浸水0.278と推計された.また,既往研究による原単位を用いた場合より,精度良く推計できることを明らかにした.

  • 多島 良, 森嶋 順子
    2021 年77 巻6 号 p. II_207-II_216
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     本稿では,基礎自治体において災害廃棄物対策をマネジメントするための現状評価ツールを社会実装することを目的に,筆者らがこれまで開発を進めてきたプロトタイプに立脚し,「発災時に初動対応と処理事業マネジメントができること」の達成状況を指標で評価するツールの最終版を構築した.そのうえで,目標と指標の論理的なつながりを定性・定量的に示したうえで,3県における試行を通じて実態と整合した評価結果が得られることを示し,当該ツールの妥当性を示した.さらに,試行に併せて実施したアンケート調査の結果を統計解析し,当該ツールを災害廃棄物対策のマネジメントにおいて効果的に活用するためには,評価ツールに対する信頼を得ること,十分な評価時間を確保すること,他組織と相談すること,地域防災計画を参照することなどが重要であることを明らかにした.

  • 丸山 愛海, 田畑 智博
    2021 年77 巻6 号 p. II_217-II_226
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     本研究は,1989年,2004年,2014年の3時点を対象として,世帯主年齢が35歳未満である若年層の消費支出に伴う直接・間接CO2排出量の変化を考察した.先ず,消費支出の内訳を明らかにするため,家計調査と全国消費実態調査を統合した家計消費データを作成した.次に,各消費支出に対応するCO2排出原単位を乗じて消費支出別の間接CO2排出量を推計した.直接CO2排出量は,家計消費における燃料消費に由来するCO2排出量を用いた.結果の一部として,二人以上世帯の一世帯あたり間接CO2排出量は,1989年で6.7t-CO2,2004年で8.5t-CO2,2014年で8.6t-CO2となった.大項目の消費支出別での比較の結果,通信に由来するCO2排出量は,二人以上世帯の場合,1989年から2014年で6倍以上増加していた.このことから,情報通信技術の進展に伴うCO2排出量の増加を抑制することの重要性が明らかになった.

  • 金 炅敏, 松橋 啓介, 石河 正寛, 有賀 敏典
    2021 年77 巻6 号 p. II_227-II_234
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     1995年から2015年の5時点間の性別5歳階級別の運転免許保有者数と平日運転者数の推移を対象にベイズ型APC分析を行い,免許保有者数および運転者数の変化の要因を,年齢,時代,コーホート効果に分けて評価するとともに,2020年から2050年までの将来推計と高齢者の免許返納と運転取りやめの考察を行なった.その結果,男性の新しい世代の免許離れと運転離れが進み,高齢女性の免許保有と運転の増加が進む傾向が分かった.2015年に比較して2050年の女性の免許保有者数と運転者数は横ばいだが,男性の運転者数は半減することが明らかになった.また,後期高齢者の免許返納率は男女ともに著しく低下し,後期高齢者の女性の運転取りやめのペースは鈍化して男性並みとなることが分かった.

  • 大西 悟, 藤井 実, 後藤 尚弘
    2021 年77 巻6 号 p. II_235-II_246
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/09
    ジャーナル フリー

     脱炭素化の潮流の中,複数業種間の連携による地域循環共生圏の形成が重要な課題となっている.本論では,産業共生研究とエキスパートインタビューに基づく調査をもとに,熱エコインダストリアルパーク(EIP)事業が成立する際の障壁,突破する動機と障壁の緩和策を,フェーズ1のポテンシャルの特定,フェーズ2の簡易実態可能性調査(FS),フェーズ3の詳細FSとビジネスモデルの構築,フェーズ4の地域展開と国内普及ごとに解析し,産業都市における地域循環共生圏の形成方策を考察した.結論として,熱EIP事業の形成過程の主要な障壁として個別事業の知見と経験の不足,地域に展開するための事業主体の不在があり,主な対応策は,段階的な事業化の知見の集積と,地域EIPセンターの創設にあるとした.

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