土木学会論文集F
Online ISSN : 1880-6074
62 巻 , 4 号
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招待論文
  • 木幡 行宏
    2006 年 62 巻 4 号 p. 618-627
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     流動化処理土は,各種構造物の裏込めや地中構造物の埋戻しの際に適切な締固めができない場合に対して建設発生土を有効に利用するために開発されたものであり,締固めが不要で適度な流動性を持たせた泥状の土に固化材を適量に混合して固化効果を期待することが基本概念である.近年,社会的に再資源化が大きな時流となり,都市部で流動化処理土が広く利用されるようになってきた.本論文では,流動化処理土の実績と動向を概観し,埋戻し材として用いられる低強度の流動化処理土とシールドトンネルのインバート材に用いられる流動化処理土の力学特性を概説するとともに,靭性を改善して耐震性を向上させるために繊維質材料を流動化処理土に混合した繊維材混合流動化処理土の力学特性を述べる.また,今後の流動化処理土における課題について述べる.
  • 神崎 正
    2006 年 62 巻 4 号 p. 633-648
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/20
    ジャーナル フリー
     建設用ロボットは,先端技術,情報技術の進歩に支えられ発展しており,また同時にそれは新たな建設システムとしての展開に大きな役割を果たしてきている.一方,わが国は,今後より豊かな社会環境の整備,都市防災機能の再構築など多くの取り組むべき課題を抱えている.それを担う建設産業においては,少子高齢化,熟練技能者の不足,技術の継承の問題を解決しつつ,より安全で迅速に,かつ経済的に社会資本整備を整備していくことが求められている.建設用ロボットは,こうした期待と役割を担っている.
     本論文は,これらの背景を踏まえて,建設ロボットの役割,ロボティックス発展の経緯,用途,技術に関する今後の展望,社会資本整備におけるロボット技術への期待と提言を骨子として,建設用ロボットの歩んだ道を概観し,現状分析を行い,今後の社会資本整備における役割と将来像についての考察と提言を行うものである.
和文報告
  • 松崎 靖彦, 大屋 誠, 安食 正太, 武邊 勝道, 麻生 稔彦
    2006 年 62 巻 4 号 p. 581-591
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     海岸沿いに建設されたさび安定化補助処理橋梁は,無塗装使用の耐候性鋼橋梁に比べ特有な表面の風化状態を呈す.また処理被膜が風化した後の鋼板地肌の外観からは,さびの安定化の程度や将来の状態を評価することは難しく,経験の少ない技術者が良し悪しを適切に判定することは困難である.熟練者でなくても,これを適切に判定することができれば,維持管理上でのメリットを生むとともに,その結果の集積は架橋地点周辺の環境条件を評価する上で重要なデータになる.本文では,島根県の耐候性鋼橋梁調査結果のうち,さび安定化補助処理された橋梁の表面状態の典型を整理し,処理被膜の外観,さびの状態から,判定経験の多寡によらず一定のレベルで腐食状況を評価する方法について提案,試行した内容を報告する.
  • 松本 巧, 谷口 健男
    2006 年 62 巻 4 号 p. 609-617
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     阪神・淡路大震災以降,鋼橋の支承をゴム形式に取り替える施工が行われてきているが,支承が鋼形式からゴム形式に変更になった際には,支点近傍の応力集中が懸念される.鋼形式からゴム形式に変更した場合の支点近傍の応力集中をFEM解析により求めた.また,支点付近に取り付けられた小型の補強リブについて,その効果を鋼製支承,ゴム支承の場合で調べた.ゴム支承は鋼製支承と比較して,常時,地震時ともに支点近傍に発生する応力は低く,支承取替えには有効であると言える.小型の補強リブについては,ゴム支承の場合には効果が確認できたが,鋼製支承の場合には必要性を確認することができなかった.
  • 櫻井 春輔, 清水 則一, 芥川 真一, 吉田 秀典, 佐藤 稔紀, 山地 宏志
    2006 年 62 巻 4 号 p. 662-673
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     超大深度地下開発のアプローチとなる超大深度立坑は,その重要性を再認識されつつある.しかし,国内石炭産業の縮小に伴い,深度1,000m級の立坑はほぼ20年以上施工されていない.筆者らは超大深度立坑技術の継承と,定量的な立坑設計技術の確立を目的として,過去に施工された超大深度立坑の技術文献調査,およびかつて施工に従事された技術者からの聞き取り調査を実施し,立坑工事において発生する蓋然性の高い崩壊形態を調査した.その結果,立坑における崩壊のほとんどは高抜けと異常地圧による覆工破損の二つに分類されることが明らかとなった.さらに,その発生状況を検証したところ,この二つの現象は同じ原因により発生するものと判断された.
和文論文
  • 作田 健, 香月 智, 坊原 尚記
    2006 年 62 巻 4 号 p. 567-580
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,損傷進展の検知システムとして有効な複関数分類学習ニューラルネットワークシステム(複関数NN)のバックプロパゲーション(BP)法による学習則が,初期値のランダム性によってパターン分類が支配されることの難点に対する改良方法を提案したものである.すなわち,パターン分類の指向性を表現できるParticle Swarm Optimization(PSO)をパターン分類と初期学習則に用い,BP法は最終段階の収束計算に用いるものである.簡易な問題によってその特性を確認したうえで,提案法の適用性について,コンクリート供試体の繰り返し載荷試験に伴う損傷検知問題によって検証した.
  • 中川 良隆, 土谷 和之, 長谷川 専
    2006 年 62 巻 4 号 p. 592-602
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     本論文はわが国の公共工事の効率的な施行を目的として,望ましい工事発注規模について検討したものである.まず,わが国と英米国の公共工事1件当りの工事発注規模,建設産業構造,自然災害被害を比較した.その結果,わが国の発注規模が英米国に比較して小型であり,その原因が産業構造や自然災害被害が原因と捉えにくいことを指摘した.次に,工事発注規模が地方・国の経済にどのような影響を与えているか,産業連関手法を用いて評価した.発注規模を大型化すると,大手建設業者の元請工事が増大して地域経済に悪影響を及ぼすということが,官公需施策の理由である.検討の結果,大手建設業者の占有率が現状に比較して10数%増大してもフロー効果は減少することなく,フロー効果・ストック効果により当該都道府県の地方税収が増加することを明らかにした.
  • 白石 博文, 香月 智
    2006 年 62 巻 4 号 p. 649-661
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,礫衝突により生じた部材損傷が鋼製透過型砂防えん堤の安全性に及ぼす影響を評価する際に,既往の被災経験を今後の破壊確率評価に活用し,部材損傷が構造全体の安全性に及ぼす影響を評価する方法について検討したものである.提案法は,実存する損傷データから土石流流速および礫径を逆推定し,土石流荷重の素因子頻度分布を求め,続いて,これを用いて再度礫衝突した場合の部材損傷度およびその部材損傷が構造物の安全性に及ぼす影響をモンテカルロシミュレーションにより予測するものである.本研究では,実損傷事例について提案法を適用し,その実用性について検討した.
  • 後藤 悟史, 麻生 稔彦, 宮本 文穂
    2006 年 62 巻 4 号 p. 674-683
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     本論文では,デジタルカメラによるさび画像の画像処理とパターン認識手法を用いた耐候性鋼材のさび外観に対する評価方法を提案し,その有効性を検討する.まず,さび外観評点別のさび画像に対しウェーブレット変換による多重解像度解析を行い,さびの粗密さがさび画像の周波数エネルギー比の違いとして表現できることを示した.次に,さび画像の周波数エネルギー特性を学習パターンとする外観評点の識別モデルを,サポートベクトルマシンにより構築した.この識別モデルによりさび画像の自動識別を行った結果,全ての評点の画像について高い適合率が得られ,本論文により提案する方法が,耐候性鋼材のさび外観評価において現行の評価基準を補完し得ることが明らかとなった.
  • 渡邊 法美
    2006 年 62 巻 4 号 p. 684-703
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/20
    ジャーナル フリー
     本稿では,わが国のこれまでの公共工事執行方式の特徴を包括的に整理し,その長所と課題を明らかにする.次に,品質を確保することを大前提として,経済性を追求しつつ公正に工事を実施するという「難問」を解決するための,公共工事執行方式の改革の方向性をリスクマネジメントの視点から提案する.最後に,近年その本格的導入が検討されている出来高部分払方式の意義を理論的に考察することを試みた.
和文ノート
  • 楠見 晴重, 高橋 康隆, 中村 真
    2006 年 62 巻 4 号 p. 603-608
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     トンネル建設における地質調査では弾性波探査と電気探査が実施されている例が多いが,これらの調査結果に基づく設計は経験的で,度々実際と異なることがある.設計,施工段階においては,断層,破砕帯等の地質構造を事前に把握することは重要である.筆者らは,トンネルを計画・設計する際に事前調査として,よく利用される弾性波探査と電気探査に着目し,弾性波速度と比抵抗値を間隙率と体積含水率に変換する解析手法の構築を試みた.ここでは,本解析手法を変換解析と称する.そして,トンネル施工における各種の施工記録や原位置の岩盤状態と,変換解析結果である間隙率,体積含水率を比較することで,変換解析の有用性を検証し,さらには,トンネルの支保設計への適用性について検討を行った.
  • 重田 佳幸, 飛田 敏行, 亀村 勝美, 進士 正人, 吉武 勇, 中川 浩二
    2006 年 62 巻 4 号 p. 628-632
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     一般に無筋アーチ構造として建設されるトンネルの覆工コンクリートの健全度評価には,生じたひび割れの幅・長さ・密度だけでなく,(ひび割れの)方向性や発生部位が重要となる.また,現在の諸基準では,一定のランク分けによる健全度評価法が採用されているが,将来の合理的な維持管理計画を立案する上で,客観的且つ定量的に評価できる指標が望まれるものと思われる.そこで,本研究では岩盤工学等で用いられる“クラックテンソル”を参考に,覆工コンクリートの健全度評価用に改良した新指標(TCI)を考案した.本論文はこのTCIの特性を明らかにするために,いくつかのモデルケースに対して試算するとともに,実トンネルのデータに用いることで,TCIの適用性について検討を試みたものである.
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