土木学会論文集F
Online ISSN : 1880-6074
ISSN-L : 1880-6074
63 巻 , 3 号
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招待論文
  • 古田 均, 茅野 牧夫, 渡邊 英一
    2007 年 63 巻 3 号 p. 287-294
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     現在,世界各国で社会基盤施設の維持管理が焦眉の課題となっている.既存施設は,橋梁一つをとっても非常に多くあり,それらすべてを健全な状態に維持していくことは,経済的,社会的,技術的に容易ではない.周知のように,現在のわが国の経済状態では,潤沢な維持管理費用は期待できず,そして,何よりも未だ依然として技術的にも多くの問題を抱えている.また一般に重要性の認識も十分ではなく,その理解と支持を得るためには絶え間の無い努力が必要である.
     これらの情勢の中,現在ブリッジマネジメントシステムあるいはアセットマネジメントシステムが注目を浴びている.本稿では,まず橋梁の維持管理の現状と問題点を明らかとし,ブリッジマネジメントシステムとアセットマネジメントの違いについて説明する.そして,両者の維持管理における可能性について言及し,その将来展望について詳述する.
和文報告
  • 内田 善久, 蓮本 清二, 玉井 猛, 小熊 登, 神藤 健一
    2007 年 63 巻 3 号 p. 295-308
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     岩盤割れ目を対象としたセメントグラウチングの室内試験結果を検証するために実施した現場試験で,1)注入孔内の固化グラウト中に数カ所の空洞等が観察され,ボーリング孔と割れ目の交差部(割れ目入口)での目詰まり現象が現場でも確認された,2)現場では注入圧力により割れ目幅が変化し,グラウトの浸透と割れ目幅の関係は室内試験ほど単純ではないが,0.3mm以下の割れ目幅では改良範囲が狭く,効率的ではない,3)低次数の注入ほど,選択的に大きな割れ目に注入され,グラウトの浸透範囲が大きく,注入によるLu値の改良効果が良い.一方,高次数の注入ほど,割れ目幅を拡大させる傾向があり,浸透範囲も小さく,改良効果が悪い,4)従来より濃い初期配合(C:W=1:4,1:2)から注入開始しても改良効果に問題はなく,注入時間の短縮になる等が明らかとなった.
  • 坪田 邦治, 中島 啓, 西垣 誠
    2007 年 63 巻 3 号 p. 323-334
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     兵庫県北部の豊岡盆地では,沖積粘性土地盤が厚く堆積しており,盆地の中央を北上する1級河川である円山川の築堤工事に際しても,市街地周辺では,近接している民家に対して,築堤盛土に伴う周辺地盤沈下の抑制が大きな課題とされてきた.本論文では,対策工として,深層混合処理工(CDM工法)を選定し,対策工による沈下抑制効果の予測および試験盛土の動態観測結果との対比により,予測計算の有効性および対策工による沈下抑制効果が高いことが確認できた.この結果,対策工の設計に際して,改良深度,改良幅,改良強度と周辺家屋の傾斜角が関連する対策工の最適化設計チャートについて新たに提案するとともに,対策工の施工時の変位抑制のために施工した緩衝孔の効果について論じる.
  • 末永 清冬, 長谷川 憲孝, 高橋 嘉樹, 江島 泰, 清水 厚延, 瀧口 高, 南部 光広
    2007 年 63 巻 3 号 p. 403-416
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     神戸空港は神戸港沖に埋立・造成されたが,海底地盤には粘土層が厚く堆積している.埋立・造成や舗装工事にあたっては,これら粘土層の圧密特性を十分に考慮する必要があり,その特性に沿って造成地盤高さや舗装勾配等を決定していくことが必要であった.このことより,施工前の土質調査結果に基づいた圧密解析を行うとともに,施工中に計測されたデータに基づいて予測値を見直し,精度の高い予測結果を得るよう日々改善した.具体的には,舗装工事完了後の不陸発生を極力抑える埋立・造成工事計画を立案するとともに,圧密特性を考慮した舗装高さや勾配の設定を行った.工事は約6年という短期間で終了したが,圧密を考慮した施工管理手法導入の結果,舗装面には大きな不陸も発生することなく,所定の空港機能を維持することができている.
  • 北原 雄一, 上田 浩之, 渡部 剛賢, 高橋 和雄
    2007 年 63 巻 3 号 p. 417-425
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     女神大橋は,長崎県に建設された最大支間長480m,主塔高170mを有する鋼斜張橋である.現地の地形的要因から斜ベントを用いた主桁のバランシング架設工法を採用した.また,風洞模型実験等の結果から制振対策として,完成時はもとより架設時においても Tuned Mass Damper(TMD)を配置した.2003年6月に大型で強い勢力を持つ0306号台風が長崎県に上陸し,主塔が独立したばかりの不安定な状態であった架設地点を直撃した.
     本稿では,この架設途中に来襲した台風の現地観測結果および主塔の動的挙動を基に,TMDの制振効果について検証した.その結果,TMDの作動により主塔の対数減衰率はδ=0.133となり,主塔の応答が1/1.6~1/1.9程度抑制されたことから,TMDの制振効果が確認された.
和文論文
  • 西垣 誠, 坪田 邦治
    2007 年 63 巻 3 号 p. 239-250
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     下水道工事に伴い敷設する函渠による地下水流動への影響に対して,函渠周辺に通水層(人工透水層)を敷設する全断面集排水工法を採用し,地下水を保全することとした.そこで,地下水に対する影響を,室内モデル実験,断面二次元浸透流解析および準三次元浸透流解析によって検証を行った.この中で,事業者,地下水利用関係者,学識経験者等で構成された宮水保存調査会の委員に,室内モデル実験における地下水の動向を直接視察し,理解を深めた上で審議を進めた.この結果,合意形成を図ることができ,事業を円滑に行えるとともに,日本でも有名な西宮の「宮水」の流動保全が行えた.本論文では,このような合意形成のために実施した室内モデル実験と解析をベースにした設計・施工の有用性について論述する.
  • 黄 逸鴻, 小泉 淳
    2007 年 63 巻 3 号 p. 251-262
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     土木事業は社会的責任の最も大きい公共事業である.現代社会の発展に土木事業は様々な場面で貢献してきたが,必ずしも正当な評価を得ているとは思えない実情にある.いわゆるバブルの崩壊後には税収減にともなう緊縮予算の中で,その占める割合が大きい土木事業は,政府予算の無駄使いの根源と曲解されている.世界に誇れる一流の技術を持ちながら,我が国の土木技術者があまり高く評価されないもっとも大きな原因は,ユーザーとの価値観の違いにあると考えられる.今後の土木技術者は土木事業の価値の向上を目指したVE の手法を駆使できることが必須の条件になる.本論文は土木事業のプロセスを視野に入れて,バリュー・エンジニアリング(VE)の手法を具体的に述べるものである.
  • 中尾 努, 古川 衛, 田村 武
    2007 年 63 巻 3 号 p. 263-276
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     京都市の地下鉄工事1)では矩形の断面形状を掘削するために揺動カッタ方式のシールド(Wagging Cutter Shield)工法2)が採用された.矩形断面であることから,覆工や地盤の計測3)を実施した他,砂礫地盤を特殊な掘削機構で施工することから,掘進中だけではなく掘進を停止している時にも掘進管理データが収集された.これらのデータを分析することで,砂礫地盤での地盤変状(隆起・沈下)の原因となった操作やその際のシールドの挙動,生じた地盤変状の特徴を明らかにした.また,原因別の地盤変状の算出方法を提案し,掘進を停止している時の作業でも沈下や隆起が生じ,これらの絶対値の合計は施工全体で生じる地盤変状の約40%を占めることなどを示した.これらの知見は一般的なシールド工事にも適用できると考えている.
  • 喜多 直之, 吉田 幸司, 岡野 素之, 関 雅樹
    2007 年 63 巻 3 号 p. 277-286
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/20
    ジャーナル フリー
     鉄道RCラーメン高架橋柱のうち耐震補強を行うことが難しい高架下利用箇所などを対象に,鋼製ブレースを圧縮材として使用する新しい形式のダンパーブレース工法(圧縮型鋼製ダンパーブレース工法)を開発した.本論文では,圧縮型鋼製ダンパーブレース工法の概要と,実験結果に基づく設計方法および本工法の性能を発揮するための施工方法について述べ,最後に実高架橋への適用事例を2例紹介する.
  • 小山 俊博, 石橋 勝彦, 金子 岳夫, 南 将行, 小林 順二, 齋藤 敏明, 菊地 宏吉
    2007 年 63 巻 3 号 p. 309-322
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     大規模地下発電所空洞の維持管理を合理的に実施するため,既設地下発電所空洞を対象に掘削中並びに掘削完了後の変形挙動をもとに,大規模空洞の時間依存性変形挙動の特徴を分析するとともに,時間依存性変形挙動の予測が可能な解析手法の検討を行った.本研究では,レオロジーモデルの一つである非線形粘弾性モデル(コンプライアンス可変型モデル)に関して,初期コンプライアンス,破壊接近度,時間依存性パラメータ等の設定方法について提案した.提案した手法の適用性を検討するため,地下発電所空洞に対する解析結果と,掘削時から掘削完了後約10年間にわたる実測挙動との比較検証を実施した.さらに,地下発電所空洞に対して掘削完了後30年までの岩盤変位の予測解析を行い,その長期安定性を評価した.
  • 村本 勝己, 中村 貴久, 関根 悦夫
    2007 年 63 巻 3 号 p. 335-348
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     近年,セメント等のてん充材によって道床バラストを固結して,線路延長方向に連続した板構造とする既設線省力化軌道が本格的に施工されている.しかしながら,路盤が粘性土の場合,多量の降雨の後に路盤土の流出や空洞の発生等の路盤変状を生じることがある.このような路盤変状が顕著になった場合は,軌道をジャッキアップしててん充層下に再てん充を行って補修を行うのが一般的であるが,変状が再発することが少なくない.
     筆者らは,再てん充による補修を行う際に,軟弱化した路盤面を予め乾燥処理することで再てん充層の強度低下および路盤変状の再発を防止する工法を考案し,実物大模型試験によって十分な効果があることを確認した.
  • 飯田 廣臣, 野々村 政一, 小山 幸則, 小西 真治, 小泉 淳
    2007 年 63 巻 3 号 p. 349-360
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/20
    ジャーナル フリー
     近年,コスト低減を目指して,都市部の土砂地山のトンネルにおいてもNATMを採用するケースが増えてきており,NATMとシールド工法は競合し,境界は不明瞭になるとともに,両工法の境界領域では,施工法の選定,トンネル覆工体の設計法,トンネルに作用する荷重の評価方法などが大きな課題となっている.東北新幹線三本木原トンネルでは,両工法の境界領域の地山を対象として密閉型シールドを用いた場所打ちライニング工法を採用し,ライニングをNATMの一次支保材と同様に位置付ける新しいトンネル構築方法を開発した.本論文は,三本木原トンネルの施工時に現場計測を行い,その結果を考察し,これまで明確にされていなかった場所打ちライニングの挙動について明らかにしたものである.
  • 菊本 智樹, 川端 信義, 丸山 大輔, 山田 眞久
    2007 年 63 巻 3 号 p. 361-373
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,乗用車専用小型道路トンネルにおける火災時の避難環境について,1/3スケール縮小模型トンネルを用いた火災実験により検討したものである.模型実験の諸元は,フルード数相似則,レイノルズ数,トンネル壁面への吸熱特性の相似性を考慮して決定した.得られた模型実験結果を,フルード数相似則等を用いて実大小型道路トンネル火災へスケール換算する方法を提案し,その結果に基づいて煙挙動と避難環境について検討を行った.その結果,従来トンネルに比べて小型道路トンネルは内空容積が少ない分,成層状態でも煙層底面までの高さが低く避難者にとってより危険な状態になること,煙降下現象が従来のトンネルに比べて短距離・短時間で発生すること,熱気流の進行速度が従来トンネルの約半分(1m/s程度)となることが分かった.
  • 松川 努, 宮本 文穂, 中村 秀明
    2007 年 63 巻 3 号 p. 374-385
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,下水管網診断のための予防保全計画策定に対してAHP理論を援用することで,ユーザーが比較したい複数の診断候補箇所と評価基準の重要度を評定するだけで,診断方法と診断位置の順位付けが合理的かつ自動的に行える意思決定支援システムのプロトタイプを構築し,その検証を行った.
     筆者らが提案する支援システムは,既存アナログデータをデータベース化し有効活用することで,代替案における一対比較の作業工程の全自動化を可能とし,一対比較行列構築やウェイト算定ならびに代替案の順位付けが整然と行えることを特徴とする.また,AHPではユーザーに大きな負担を強いる一対比較作業の問題点を大幅に改善することで,意思決定に対するユーザーの負担軽減と合理化を実現した.
  • 貝戸 清之, 熊田 一彦, 林 秀和, 小林 潔司
    2007 年 63 巻 3 号 p. 386-402
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/20
    ジャーナル フリー
     道路舗装のひび割れには,縦ひび割れ,横ひび割れ,面ひび割れ等という多様なひび割れのタイプが存在する.本研究では,道路舗装のひび割れによる劣化状態を,ひび割れの損傷度(ランク)とひび割れのタイプという2種類の離散的な状態変数を用いて表現する.その上で,2種類の状態変数で表されるひび割れ進行過程を,階層型指数劣化ハザードモデルを用いて記述するとともに,ひび割れに関する劣化状態間の推移過程をマルコフ推移行列を用いて表現する方法を提案する.さらに,道路舗装のひび割れに関する実測データを用いて,階層型指数劣化ハザードモデルを推計し,道路の構造特性,舗装特性,および交通条件等が,道路舗装のひび割れ過程に及ぼす影響について分析する.
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