土木学会論文集G
Online ISSN : 1880-6082
ISSN-L : 1880-6082
62 巻, 2 号
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和文論文
  • -液晶テレビを事例として-
    和田 安彦, 中野 加都子
    2006 年 62 巻 2 号 p. 211-219
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     資源生産性の向上,循環利用率の向上,最終処分量の極小化を実現するサービス提供モデルとしてサービサイジングへの試みがはじまっている.本論文では,サービサイジングの1つの形態である家電リース・システムを例に,消費者を対象としたアンケート調査を行い,ユーザー側から見たメリット,デメリット等を明らかにした.また,リース・システムに適合する製品の種類を明らかにし,コンジョイント分析によりリース・システムの普及を図るための条件を明らかにした.
     その結果,消費者が最も重視するのはリース料金であるが,中途解約,メンテナンスをオプションとしてリース料金に含めれば,リース料金が製品の販売価格より割高であっても,消費者に受け入れられる可能性があることを明らかにした.
  • 牧 孝憲, 高橋 徳, 舛田 智江, 根本 健児, 落 修一
    2006 年 62 巻 2 号 p. 220-228
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     廃木材を爆砕処理した木質爆砕物をピートモス代替物として法面緑化資材に利用するために,木質爆砕物を用いた各種試験をおこない,以下の結果を得た.(1)木質爆砕物に大量に含有される有機酸および低pHは,植物の発芽・生育を阻害することが明らかとなった.(2)木質爆砕物に中和資材を添加すれば,植物は十分に生育できた.(3)中和資材を添加し,木質爆砕物を3~7割配合した法面緑化資材による法面緑化工を実施したところ,導入草本植物の発芽・生育は不良であった.しかしながら,導入木本植物の発芽・生育は良好であり,また周辺環境より草本植物が侵入・定着できた.以上の結果から,木質爆砕物は周辺環境に調和した法面緑化が達成できる資材として利用でき,ピートモスの代替となり得ると推察された.
  • 今村 正裕, 本多 正樹, 松梨 史郎, 川崎 保夫
    2006 年 62 巻 2 号 p. 229-245
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     海域生態系の環境影響評価にあたっては,物質循環やエネルギーフローを重視するよう求められている.特に,アマモ場では,アマモの生長や周辺の物理・生物・化学環境の変化が有機的に関係し,それらを十分に評価できるモデル構築が求められる.そこで,物質循環の観点からアマモ生産力・現存量の消長や底生生物を含めたアマモ生育場の堆積物環境を現地観測から検討した.その結果をもとに,アマモの生産力と現存量,さらに堆積物中に生息する底生生物量を再現できるようなアマモ場生態系モデルを構築した.このモデルを実海域へ適用してみた結果,アマモ生産力・現存量さらにアマモ場の存在がアマモ場周辺における堆積物中の底生生物生息状況・周辺環境に与える影響を再現することができた.
  • 伊藤 禎彦, 早坂 剛幸, 宮本 太一, 越後 信哉, 岡山 治一
    2006 年 62 巻 2 号 p. 258-267
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     浄水処理過程におけるエストロゲン様作用物質の固相・水相間挙動に関する基礎的検討を行うとともに,浄水場内でのエストロゲン様作用物質のフローを評価した.室内実験からは,対象物質の凝集処理前後における収着・脱着平衡と凝集処理における除去率,およびエストロゲン様作用物質の固相からの脱着速度を把握した.さらに,浄水処理過程におけるエストロゲン様作用物質の挙動を調査した結果,エストロゲン様作用物質は沈降汚泥やスカムなどの固相に高濃度で濃縮されていること,主として凝集処理による固相への移行,および塩素処理による分解によって低減していることを明らかにした.
  • 根岸 昌範, 下村 雅則, 樋口 雄一, 高岡 昌輝, 武田 信生
    2006 年 62 巻 2 号 p. 268-277
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,鉄粉による脱塩素反応を利用した地下水浄化技術の室内基礎検討を実施した.バッチ試験では29種類の製品鉄粉および廃棄物鉄粉について,トリクロロエチレンの脱塩素反応速度を明らかにし,副生成物も含めた鉄粉種類ごとの分解特性を把握した.カラム試験では,鉄粉の配合量・通水速度・通水pH・溶存酸素濃度をパラメータとして,脱塩素反応速度に及ぼす影響について把握した.また,長期カラム試験では通水後の鉄粉をカラムから取り出し,バッチ試験による反応速度定数の再測定を実施した.その結果,6.4年経過した試料は擬一次反応速度定数で初期状態に対して1/6の値を示した.透過性地下水浄化壁のような長期的な漏洩防止対策向けの用途では,腐食による経年的な反応面積の減少による分解反応の減衰を考慮する必要がある.
和文報告
  • -砂漠化防止のための社会基盤整備の観点から-
    藤原 靖, 藤田 元夫
    2006 年 62 巻 2 号 p. 246-257
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     砂漠化が進行している半乾燥・乾燥地,特にアフリカのサヘル地帯での社会基盤の強化に資する水資源の開発方法として,地下ダムによる浅層地下水の開発が着想されてきた.浅層地下水は未利用なだけでなく再生可能な水資源であり,地下ダムは地上ダムに比べ蒸発損失が少なく衛生的な貯水方法である.
     本研究は,砂漠化進行が深刻な西アフリカのブルキナファソ国北部において地下ダムの建設による浅層地下水の開発が可能な地域を探査し,その結果ナレ村を通過する季節河川であるコロンゴ川地下に適当な化石谷が存在することを確認し,実際に地下ダムを建設して浅層地下水の貯水可能性を検討した.その結果,化石谷に地下ダムを建設することで地下ダム上流域の地盤間隙中に浅層地下水を貯留できることを実証した.
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